静かな雨 の商品レビュー
装丁が好き。本の雰囲気にぴったりのルノワールのブーケの絵。優しく心地よい文章で、「静かな雨」というタイトルがしっくりくる。宮下奈都さん、やっぱりいいなぁ。昨日の記憶が残らないこよみさんと、生まれつき足に障害がある僕の二人の生活。過去にいろんなことを経験したから、こよみさんはこんな...
装丁が好き。本の雰囲気にぴったりのルノワールのブーケの絵。優しく心地よい文章で、「静かな雨」というタイトルがしっくりくる。宮下奈都さん、やっぱりいいなぁ。昨日の記憶が残らないこよみさんと、生まれつき足に障害がある僕の二人の生活。過去にいろんなことを経験したから、こよみさんはこんなに魅力的なんだろう。私たちの世界は、自分の経験したこと、感じたことから形作られる。僕の世界にはこよみさんがいて、こよみさんの世界には僕がいて、ふたつの世界は少しだけ重なっている。
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「忘れても忘れても、ふたりの世界は失われない」 こういう物語は他にもあるけど、これは回りくどくなく、ストレートに、そして短い中にいっぱいメッセージがこめられていた気がする。 『羊と鋼の森』の後にこの本を読んだ。人を作っていくものは何か?記憶?思い出?記憶力は人それぞれ違うけど、誰...
「忘れても忘れても、ふたりの世界は失われない」 こういう物語は他にもあるけど、これは回りくどくなく、ストレートに、そして短い中にいっぱいメッセージがこめられていた気がする。 『羊と鋼の森』の後にこの本を読んだ。人を作っていくものは何か?記憶?思い出?記憶力は人それぞれ違うけど、誰かと同じ思い出を共有することはすごく大事だし宝物だと思う。それが日々のこと、同じ番組を見て笑った、同じ空を見て感動したとか、そういう些細なことも。ということに気付かされた本だった。
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2004年の文学界新人賞佳作作品なんですね 美しい本になりました ルノワールが薄紙の記憶から現れてくるような 美しいやわらかい奈都さんのさんの文章味わいました ストーリーはちょっと二番煎じな感じが…… ≪ 記憶じゃない 人は思いで できている ≫
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読んでいる間ずっと『博士の愛した数式』が頭の中にちらついて、どうしても比較してしまい心から楽しめなかった。重いテーマを短編に纏めたためかツッコミどころがあったり説明不足な面があるように見受けられました。というか、これは短編というよりも長編向きの話だと個人的には思います。ただ、デビ...
読んでいる間ずっと『博士の愛した数式』が頭の中にちらついて、どうしても比較してしまい心から楽しめなかった。重いテーマを短編に纏めたためかツッコミどころがあったり説明不足な面があるように見受けられました。というか、これは短編というよりも長編向きの話だと個人的には思います。ただ、デビュー作から優しく穏やか静謐な宮下奈都さんの世界が確立されているので、理屈抜きに宮下さんの美しい文章に浸れる方には向いているのではないでしょうか?できれば、この作品だけで一冊の本にするのではなく、あと何編か収録して短編集の形式で出版して欲しかったなあ。
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2017/2/12 一日しか記憶が残らなくなったこよみちゃん。 宮下さんにしては珍しくドラマティックな展開!と驚いた。最近よくこういう設定の作品聞くけど、きっとこの本とは造りも終わり方も違うんじゃないかなあ。 「朝ごはんにおいしかった干物だとか、洗濯物を干すときの癖だとか、ふた...
2017/2/12 一日しか記憶が残らなくなったこよみちゃん。 宮下さんにしては珍しくドラマティックな展開!と驚いた。最近よくこういう設定の作品聞くけど、きっとこの本とは造りも終わり方も違うんじゃないかなあ。 「朝ごはんにおいしかった干物だとか、洗濯物を干すときの癖だとか、ふたりで歩いた帰り道に浮かぶ月だとか、そういう日々の暮らしの記憶が積み重なっていかないことがたまらない。ほんとうは、その些細なことこそが人間をつくっていくのではないか?」
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その人を形づくってるのは毎日の生活の中での思い…寄り添って生きていく揺るぎない覚悟をしっとり感じます。 相手の過去までは記憶あっても遡れない。大切な人を知るのもその日を一緒に過ごすというシンプルなことが全てかもしれない。 お話の中に出てくる数学者の本も私が好きなお話。 二つに共通...
その人を形づくってるのは毎日の生活の中での思い…寄り添って生きていく揺るぎない覚悟をしっとり感じます。 相手の過去までは記憶あっても遡れない。大切な人を知るのもその日を一緒に過ごすというシンプルなことが全てかもしれない。 お話の中に出てくる数学者の本も私が好きなお話。 二つに共通するのは愛のかたちがきれいなところです。 大切な人、それでじゅうぶん。 素敵すぎます。
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昨日の記憶を失くしてしまう、こよみさんと行助の暮らし。リスボンと胡桃が悲しくて、こよみさんのブロッコリーのメモも悲しい。それでも、昨日の記憶がないはずのこよみさんと仲良くなれていっている気がするという行助が、人は記憶だけじゃなく、毎日の生活の中での思いでできていると考えるところが...
昨日の記憶を失くしてしまう、こよみさんと行助の暮らし。リスボンと胡桃が悲しくて、こよみさんのブロッコリーのメモも悲しい。それでも、昨日の記憶がないはずのこよみさんと仲良くなれていっている気がするという行助が、人は記憶だけじゃなく、毎日の生活の中での思いでできていると考えるところが印象に残った。
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宮下奈都さんのデビュー作。静かなお話でした。こよみさんのたいやきが食べたいですね。こよみさんが持っている2冊の同じ本は、『博士の愛した数式』ですね。こよみさんの過去が作中では語られないのですが、なんとなくわかるくらいでこの作品はいい感じになっているような気がします。
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「本屋大賞受賞後の第1作」とあるが、初出は2004年6月号の「文學界」 行助の勤務先の会社が解散し解雇されることになった日の帰りに、駅そばのパチンコ屋の駐車場のたいやき屋で買ったたい焼きがとても美味しくて、引き返して「これ、おいしい」と言うと、うれしそうにほおを紅潮させたこよ...
「本屋大賞受賞後の第1作」とあるが、初出は2004年6月号の「文學界」 行助の勤務先の会社が解散し解雇されることになった日の帰りに、駅そばのパチンコ屋の駐車場のたいやき屋で買ったたい焼きがとても美味しくて、引き返して「これ、おいしい」と言うと、うれしそうにほおを紅潮させたこよみさん。 行助は毎日買いに行き、やがて一緒に食事するようになるが、交通事故のとばっちりで、こよみさんは3か月も意識不明になる。意識が回復しても記憶に障害が残り、前の日のことは覚えていない。 行助はこよみさんを支えるために一緒に暮らし始め、たい焼きを食べた行助の家族たちも、こよみさんを認める。 こよみさんの少ない持ち物で2冊同じものがあった本はたぶん『博士の愛した数式』。どんな気持ちで読んだのだろう。行助のモノローグで語られるので、そこはわからない。行助は「人は記憶でできている」という考えを断固否定する。「毎日の生活の中の思いで人はできている」と思うのだ。 ああ、うちにも前の日のことを覚えていなくなった母がいるんだった。
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これ、書籍化するならもっと長編にしてほしかったなぁ。 ちょっと物足りなさを感じてしまった。 読み終わった後に、たい焼きが無性に食べたくなりました。
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