三鬼 の商品レビュー
三島屋シリーズ4巻目 迷いの旅籠 少女の目を通して語られる怪異。あまり豊かでない小作農の娘ということで、前振りがたどたどしいが、あっという間に引き込まれる。舞台を見ているような、コメディのような展開に笑ってしまうが、悲しい話。 食客ひだる神 おかしくてほっこりする。弁当仕出し...
三島屋シリーズ4巻目 迷いの旅籠 少女の目を通して語られる怪異。あまり豊かでない小作農の娘ということで、前振りがたどたどしいが、あっという間に引き込まれる。舞台を見ているような、コメディのような展開に笑ってしまうが、悲しい話。 食客ひだる神 おかしくてほっこりする。弁当仕出し屋の主人が今回の語り手。繁盛店にもかかわらず一年の数ヶ月を休まなければならない理由とは。 三鬼 もちろんフィクションだけど、昔はこんなこと、当たり前みたいにあったんだろうな。忘れてはいけない過去。語り手は武士。心に重いものを投じられた。 おくらさま 新しい登場人物たちが活躍。去っていく人も。百物語がだんだんとバージョンアップしていく。謎解きのような趣向の話。早く次も読みたい。
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中身は4話。 「食客ひだる神」と「おくらさま」は不思議な話だが、恐ろしくはなく、楽しい話。 「迷いの旅籠」はなんともいえず寂しく、苦しくなった。 「三鬼」は恐ろしい。山中の話はこの手の話の定番といえるが、どんな話であっても恐ろしい。
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ひだる神さんのお話、なんだかほんわかとした読後感で良かったです。『迷いの旅籠』も『三鬼』も非常に切ないお話だし、『おくらさま』もやるせなかったけど最後は少し救われたような気がした。このシリーズも全て借り読みなので、青野利一郎といわれてももうよく思い出せないんですが(苦笑)今後は瓢...
ひだる神さんのお話、なんだかほんわかとした読後感で良かったです。『迷いの旅籠』も『三鬼』も非常に切ないお話だし、『おくらさま』もやるせなかったけど最後は少し救われたような気がした。このシリーズも全て借り読みなので、青野利一郎といわれてももうよく思い出せないんですが(苦笑)今後は瓢箪古堂の若旦那が楽しみです。
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昔と違い無駄に長い話が多い著者ですが、こちらは連作短編のような構成だったので、本筋から脱線することなく話が進むためイライラせずに済みました(笑) 逆に、著者の特徴である登場人物ひとりひとりの丁寧な描写が生きていて、人間の本質をあぶりだすことでほっこりしたり逆にゾッとしたり、章ご...
昔と違い無駄に長い話が多い著者ですが、こちらは連作短編のような構成だったので、本筋から脱線することなく話が進むためイライラせずに済みました(笑) 逆に、著者の特徴である登場人物ひとりひとりの丁寧な描写が生きていて、人間の本質をあぶりだすことでほっこりしたり逆にゾッとしたり、章ごとに色々な気持ちにさせられ、久々に著者の巧さを感じました。
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宮部みゆきはどこかの妖怪物語からヒントを経て書いているのかと思うほど、シリーズ4になっても色褪せず中だるみもない。 全ての人物が生き生きと動いている。 ちかも癒されてほしい。
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三島屋変調百物語シリーズ。 いつもながら、安定の面白さ。 軽々に人に語れぬ話を語る百物語だけに、今回も人のむごさ、哀しさ、やるせなさ、そして暖かさ、思いやりがぎっしり詰まっている。 胸のうちを隠さず語るだけで、心が軽くなること。 人の悩みを聴くことで、思いがけず自分の悩みにも...
三島屋変調百物語シリーズ。 いつもながら、安定の面白さ。 軽々に人に語れぬ話を語る百物語だけに、今回も人のむごさ、哀しさ、やるせなさ、そして暖かさ、思いやりがぎっしり詰まっている。 胸のうちを隠さず語るだけで、心が軽くなること。 人の悩みを聴くことで、思いがけず自分の悩みにも光が見えること。 あるある。 本作から、三島屋の次男でおちかには従兄にあたる富次郎、瓢箪古堂の若旦那の勘一さんが登場。 まだまだ、おちかの心の傷は癒えきってはいないけれど、淡い恋心を育てられるまで、そして恋が破れて泣けるまでになった。 瓢箪古堂さんの語る、『読み物の効用』は、もちろんこの本にもあって、読後爽やか。 読書の楽しみを堪能させてもらいました。
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『迷いの旅籠』は、祭りを通して死者をこの世に呼び戻そうとする試みをした絵描き。その結果はやはりとんでもない状態に。小野主上の『屍鬼』を思い出しました。 『食客ひだる神』は、旅の途中で憑りつかれた食欲の権化のようなひだる神を憑りつかれたままにして一緒に過ごす弁当屋の亭主がいい話。 ...
『迷いの旅籠』は、祭りを通して死者をこの世に呼び戻そうとする試みをした絵描き。その結果はやはりとんでもない状態に。小野主上の『屍鬼』を思い出しました。 『食客ひだる神』は、旅の途中で憑りつかれた食欲の権化のようなひだる神を憑りつかれたままにして一緒に過ごす弁当屋の亭主がいい話。 『三鬼』は、そこに左遷された役人たちが気が狂うほど人を寄せ付けないほどの山深い村での出来事。そこに流されたとある役人が鬱々と過ごしているうちにその村の秘密に気づいてしまいます。しかし、本当に恐ろしいのはその先だったというオチ。 『おくらさま』は、ある商家に代々に祀られていたのがおくらさま。ルールを守りさえすればその家を繁栄させるけれど、そのためには犠牲も必要というここまではよくある話。もちろんここでルールを破る人が出てくるのはお約束ということで。 ただこの話の最後でおちかの回りで少々変化があり、次巻があるとしたらちょっとメンバーも変わって新たな物語となるのかもしれない。
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聞いて聞き捨て、語って語り捨ての変調百物語、読んで読み捨ての読者として、経緯を忘れていたりする(^^; ゾンビの「迷いの旅籠」、食いしん坊の憑神「食客ひだる神」、暗殺代行「三鬼」、実は祟り神の「おくらさま」、それぞれほのぼの系好みの私としては、面白いと思いながらも重苦しさを感じた...
聞いて聞き捨て、語って語り捨ての変調百物語、読んで読み捨ての読者として、経緯を忘れていたりする(^^; ゾンビの「迷いの旅籠」、食いしん坊の憑神「食客ひだる神」、暗殺代行「三鬼」、実は祟り神の「おくらさま」、それぞれほのぼの系好みの私としては、面白いと思いながらも重苦しさを感じたが・・これは切なさ系になるんだろうなぁ~ おくらさまの章で新登場があり、まだまだシリーズは続きそうです。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
三島屋シリーズその4。ってことを知らずに読んでしまった。 基本、三島屋のおちかちゃんが聞き役となる変わり百物語の会で語られる話の連作短編集、的な。作中作と言っていいだろう。 先のシリーズを読んでなくても分かるような書き方がされてる。でも、本来はやっぱ順番に読んだ方が良さそう…。 まぁ、宮部みゆきなので、外れることはまずない。本書もぐいぐい読ませる内容だった。 ただ、普段時代物はほとんど読まないため(宮部みゆきもミステリしか読んだことなかった)、展開が個人的に新鮮だった。語り手の語るほぼ面妖な体験談が、ミステリなら「実は○○」って合理的なトリックで説明されるところを、面妖なままで終わってしまうのが、ミステリと違うなと。 どのくらい江戸時代の世界観がリアルに描写されてるか分からないけど、江戸はこんなふうに得体の知れないものと人間が何とか折り合いをつけながら暮らしてたんだろうなぁ…、とか、現代から歴史と化した時代を描くのは所詮ファンタジーでしかないのは理解しつつ、江戸の空気を吸ったような気分になった。 ・迷いの旅籠…故人を甦えらそうとする話。一番最初だったから「なにこれどういうトリック??」って姿勢で読んでしまった。でも親しかった故人にまた会いたいって気持ちは時代を越えて誰しもが持ってると思うので、最も感情移入できる話かも。 ・ひだる神…益神(なのかな?)との共存の話。仕出し弁当が評判の店が夏に店を閉じてしまうのは実は…ってミステリぽい(ミステリじゃない)。微笑ましかった。 ・三鬼…地方の小藩の、社会をドロップアウトさせられた人達を住人とする村に、死人が出ると出現する正体不明の鬼の話。一番怖かった。貧しいって、ツライ。 ・おくらさま…家の守り神「おくらさま」の話をした老女が忽然と消える話。話の中心が、語り手探しとおちかを巡る人間関係と二極あって、この話が一番とっ散らかってた。これまでのシリーズ読んでないと、人間関係が一部見えにくい。 あと、これは全く個人的な感想なんだけど、単行本の版型って、ちょっとした空き時間に開くには仰々しくて、主に通勤時に読書してる身としてはなかなか読み進められなかった。面白いのに。
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18/02/12読了 生身の人の語りは、血が通っていて面白うございます。ですが、生ものだけに、時にはあたる。 でもですね、読み物というものは。生身の人からはもう離れておりますから、枯れております。
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