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壁の男 の商品レビュー

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68件のお客様レビュー

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    18

  2. 4つ

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  3. 3つ

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2024/01/05

学生時代に、人と人との間にわだかまりを作るのは才能の有無ではなく、劣等感なのだ。っていうのに気づけてよかったな。 笑里ちゃんへの想いは、せつない。やりきれない。

Posted byブクログ

2023/07/29

感動した… そういうことだったのか… 家の壁に稚拙な絵を描く寡黙な男の話。 なぜか人々を惹きつけて、彼に我が家にも、うちのお店にも描いて欲しい…と次々伝染し、街中稚拙な絵だらけに。 絵を描く男はどういう男なのか。 ノンフィクション作家が動き出すが面白い話は出てこない。 ただ、男...

感動した… そういうことだったのか… 家の壁に稚拙な絵を描く寡黙な男の話。 なぜか人々を惹きつけて、彼に我が家にも、うちのお店にも描いて欲しい…と次々伝染し、街中稚拙な絵だらけに。 絵を描く男はどういう男なのか。 ノンフィクション作家が動き出すが面白い話は出てこない。 ただ、男目線の懐古録では、誠実に愛情に溢れたドラマが繰り広げられていた。 中学生時代に男の母が言った言葉、才能があるから偉いわけじゃない、才能がないからって卑屈になる必要ない、が刺さった。 才能がない凡人は、家族でも友達でも才能がある人が身近にいると嫉妬して苦しむ。そして、嫉妬される方もそのことに苦しむ。 本当は必要ないことなのに。柔らかい中学生の男に素直に響いて、彼を救ったのが良かった。 嫉妬心は本当に厄介。私も嫉妬に苦しんだり、妬まれていると感じたりすることがあるけど、男の母の言葉で少し救われた。

Posted byブクログ

2022/08/05

スタートから、あまり期待出来そうな話ではないかと思われたが、平凡に見える男の心の奥が、少しずつ覗かれていき、とても切ない内容。ラストは淡々と終わって欲しかったが、そうではなかった。ハッピーエンドが好きだが、全体に胸を打たれる話であった。子供のくだりは、泣きたくなくても泣けてきてし...

スタートから、あまり期待出来そうな話ではないかと思われたが、平凡に見える男の心の奥が、少しずつ覗かれていき、とても切ない内容。ラストは淡々と終わって欲しかったが、そうではなかった。ハッピーエンドが好きだが、全体に胸を打たれる話であった。子供のくだりは、泣きたくなくても泣けてきてしまう。

Posted byブクログ

2022/11/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

主人公の過去が描かれた所からのめり込んで読めた。辛くて悲惨な人生だった。 なんでこの子が。それはそう思う。癌の70%は不運だと本に書いてあったのを思い出して理不尽だと思った。 嫉妬のところはちょっとよくわからなかったしあんなに性根腐ったお父さんが自分心分析した上で子に謝るのなんか腑に落ちなかったな。 自信がなくて人に当たることしかできない父とその父の機嫌を伺い下手にでる母の元で育てば自尊心なんてないだろうから中1にして嫌な部分を引き継いでるのはリアルだなと思った。 それでも主人公は負の連鎖を断ち切って前に進んだんだと思うと強い人だと思えた。

Posted byブクログ

2021/06/13

内容としては田舎へ帰って壁に絵を描くくだりから始まり、娘の闘病、夫婦関係、親との確執、友人…と随分盛りだくさんなのですが、それはすべて「伊刈」という人を理解する重要なファクターだったのだ、と読了して納得しました。 なぜ初めに壁に描いた絵が女の子なのか。 悲しくて切ないラストから...

内容としては田舎へ帰って壁に絵を描くくだりから始まり、娘の闘病、夫婦関係、親との確執、友人…と随分盛りだくさんなのですが、それはすべて「伊刈」という人を理解する重要なファクターだったのだ、と読了して納得しました。 なぜ初めに壁に描いた絵が女の子なのか。 悲しくて切ないラストから今の伊刈に想いを巡らせ、ああ…と、思わず涙が出ました。

Posted byブクログ

2021/05/29

先日「悪の芽」で初読みだった貫井徳郎氏。肌に合ったので続いてこちらも。やっぱり初読みの印象通り、いい! ある田舎町、その町中に稚拙な絵を描き続ける男、伊苅。稚拙だがどこか心をワクワクさせる不思議な絵。彼は何故描き続けるのか?ノンフィクションライターの私がインタビューするが無愛想...

先日「悪の芽」で初読みだった貫井徳郎氏。肌に合ったので続いてこちらも。やっぱり初読みの印象通り、いい! ある田舎町、その町中に稚拙な絵を描き続ける男、伊苅。稚拙だがどこか心をワクワクさせる不思議な絵。彼は何故描き続けるのか?ノンフィクションライターの私がインタビューするが無愛想な返答ばかり。そんな寡黙な伊苅の過去を辿って物語は進んで行く。妻の不貞行為の描写には心が締め付けられた。そして3歳の笑里の横紋筋肉腫。抗がん剤治療の過酷さ。そして伊苅の母の強さ。「<前略>才能の有無と、その人の価値は、まったく別の問題なの。才能があるからって、ただそれだけで人の価値が決まるわけじゃない。何をしたかが大事なの」人は人の才能に嫉妬してしまう。それは人間だから仕方のないこと。 更にそれだけでは終わらない真実が後半に。赤い絵の女の子が誰か分かった時の衝撃。秀作。

Posted byブクログ

2021/04/27

胸を抉られたくて貫井さんをチョイス。しかしこの作品はちょっと違った。故郷に独り戻った中年男性「伊苅」が、自分の家に奇妙で拙い絵画を描き始める。悪く言えば下手、良く言えば原色鮮やかなアフリカンアートのような感じらしい。ふとアメトークの「絵心ない芸人」を思い出す。笑い転げたはずの絵が...

胸を抉られたくて貫井さんをチョイス。しかしこの作品はちょっと違った。故郷に独り戻った中年男性「伊苅」が、自分の家に奇妙で拙い絵画を描き始める。悪く言えば下手、良く言えば原色鮮やかなアフリカンアートのような感じらしい。ふとアメトークの「絵心ない芸人」を思い出す。笑い転げたはずの絵が、アートに変化した衝撃。たぶんあれと同じことが起きたのだろう。やがて街全体に広がっていく伊苅の絵。伊苅が絵を描くきっかけを追いかけていくシナリオだが、次第に悲しい胸中がわかっていく。救いのほしいラストだった。

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2021/02/27

久しぶりの貫井作品。 第一章から壁の絵の意味は何だろう?と思いながら読み進める。 章ごとに場面が変わりながらも全体的に暗く、息を詰めるように引き込まれていく。 最後の章まで読むと全てが繋がり、一つの作品として流石だなと沁みる。 ドラマ的には地味な第四章が、主人公の伊狩を形造る出発...

久しぶりの貫井作品。 第一章から壁の絵の意味は何だろう?と思いながら読み進める。 章ごとに場面が変わりながらも全体的に暗く、息を詰めるように引き込まれていく。 最後の章まで読むと全てが繋がり、一つの作品として流石だなと沁みる。 ドラマ的には地味な第四章が、主人公の伊狩を形造る出発点のように感じ、個人的には印象に残りました。

Posted byブクログ

2021/02/26

貫井徳郎氏ってすごい引出し持ってるな。 本当にすごい! ストーリーの立て方が素晴らしい。 まさかラストにこーくるか。 読み終えてあったたかくなったよ。 ありがとう!

Posted byブクログ

2020/08/21

ちょっと驚く。貫井さんはこんな作品も書くのかと。栃木県のとある小さな場所に、絵で覆いつくされた集落があるらしい。その絵はへたっぴで稚拙、とても芸術性があるものとは思えない。その絵の作者、伊苅重吾という男の人生の物語。始めは地味な話だな...と思っていたが、生真面目、時に愚直とも思...

ちょっと驚く。貫井さんはこんな作品も書くのかと。栃木県のとある小さな場所に、絵で覆いつくされた集落があるらしい。その絵はへたっぴで稚拙、とても芸術性があるものとは思えない。その絵の作者、伊苅重吾という男の人生の物語。始めは地味な話だな...と思っていたが、生真面目、時に愚直とも思える伊苅の人柄に心掴まれ、人生の転機・試練の連続に胸が痛い。貫井さんにはミステリー作家のイメージがあったので、こうも心情描写に心揺さぶられるとは思わなかった。気がつけば静かに泣いていた。今後の伊苅に幸あれと願う。

Posted byブクログ