壁の男 の商品レビュー
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貫井さんだからミステリだと思って、どんでん返しあるかと思ってどきどきしてたけど、すごく穏やかな描写の、ハートフルなヒューマンだった。すごく素敵な話だった。
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ずるい! 単なる東京から故郷に戻り、塾を経営し、ある時から壁に絵を描き出した話から 遡っていく。 3歳の女の子の癌の闘病 辛くで読み進められない、抗がん剤投与そして副作用に苦しみむ様子ー辛くて、つらくて。 主人公伊刈の娘、妻 遡れば恋人 そして母、父とつながって いろんなこと...
ずるい! 単なる東京から故郷に戻り、塾を経営し、ある時から壁に絵を描き出した話から 遡っていく。 3歳の女の子の癌の闘病 辛くで読み進められない、抗がん剤投与そして副作用に苦しみむ様子ー辛くて、つらくて。 主人公伊刈の娘、妻 遡れば恋人 そして母、父とつながって いろんなことが表されていく「ネタバレになるので〜」 本文よりー 人と人との間にわだかまりを作るのは才能の有無ではなく 劣等感なのだとしみじみ実感する。 ー言葉にする事で分かり合えることもある、だがどうしても言葉が届かない場合もある。 ーどんなに辛くても時間は流れていく ー喜んでも悲しんでも、時間は坦々と流れていく 4年前貪るように、貫井徳郎を読んだ、ほとんどの作品たぶん全部。 大好きな作家 久々に新刊と思って「壁の男」を読んだ。 最後に全部の謎が解き明かされた。 最後は号泣。 人間の悲しさ、宿命の悲しさ どんなに辛くても生きていかなければならない苦しみ。 一つや二つではない いろんなことを示唆されている 大作だと思う。 たくさんの人に読んで欲しい。 主人公のただひたむきに生きていく内面の持っている葛藤。 自分だったらどう生きていくのか いろいろ考えさせられた。 中山七里、吉田修一、道尾秀介、宮下奈都、宮部みゆきと いろんな作品を読むのが忙しくて。 あーやはり貫井徳郎も目が外せないな!
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久々に心を揺さぶられる小説に会う。この本は幾つもの異なる極上のテイストの小説を一冊で読めるような、そんな贅沢な作品だ。しかもその一冊一冊の小説の質の高さには脱帽せざるを得ない。 作者の人生の機微を知り尽くしたかのようなセリフの数々には唸らせられた。中でも幼い子供が病気と懸命に闘...
久々に心を揺さぶられる小説に会う。この本は幾つもの異なる極上のテイストの小説を一冊で読めるような、そんな贅沢な作品だ。しかもその一冊一冊の小説の質の高さには脱帽せざるを得ない。 作者の人生の機微を知り尽くしたかのようなセリフの数々には唸らせられた。中でも幼い子供が病気と懸命に闘う姿とそれを必死で支える父親の姿には心を締め付けられずにはいられない。 それでいてミステリーの要素も充分とあっては、これはもう傑作と言っても過言ではない一冊だ。
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とある集落の家々の壁に描かれた色鮮やかで力強い絵。子どもが描いたような下手くそで稚拙な絵を書いたのは、伊苅という寡黙な男だった。彼は何故、バカにされても嗤われても絵を描き続けるのか。ノンフィクションライターがその謎に迫る。 伊苅の半生が時系列を遡る形で詳らかになっていく。何というか、数奇な運命の末に「絵を描く」ことに行き着いたのだなという感じ。特に娘の闘病シーンは、子が寝ている傍で読むもんじゃなかった。 彼の母親が、稚拙でも絵を描くことを続けるモチベーションになっていることは言うまでもない。彼女が語る、人の才能とその人の優劣に相関がないということは頭ではよくわかるけれど、父親のこの言葉のほうがずっとずっと頷けるしリアルに感じられた。 ーー「自分がなんの才能も特技もない普通の人間であることに引け目なんて持っていないはずなのに、身近な人が羽ばたいていこうとすれば焦る。置いていかれる気がする。でも、何もできない。」 子どもに対してちゃんと自分の過ちを認める父親の勇気に胸を打たれる。
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子供でももっと上手いだろう、と思われるレベルの絵で町の大半が埋め尽くされている町。頼まれて絵を描く伊刈の半生を、帯にあるように伏せたカードをめくるように明かしていくことで話が進みます。いきなり突きつけられる2章の回想が辛くて悲しくて読むのがとてもきつかったです。いろいろなことに、...
子供でももっと上手いだろう、と思われるレベルの絵で町の大半が埋め尽くされている町。頼まれて絵を描く伊刈の半生を、帯にあるように伏せたカードをめくるように明かしていくことで話が進みます。いきなり突きつけられる2章の回想が辛くて悲しくて読むのがとてもきつかったです。いろいろなことに、なぜ、どうして?と思い続けながら読み進んだ先にあったのは…見ていた景色に突然色がついたような納得と、それでもこんなことがあっていいのかと思うほどの残酷さ。とても読み応えのある作品でしたが、闘病する関係者のいる方にはお勧めしません。
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一言でまとめられないが、主人公の井苅の人間性が読み進むにつれて明らかにされていく、これは人間ドラマなのか。 色々な人と繋がり、その繋がりの中で様々な葛藤があり、新たな自分に気付くこともある。田舎町の民家の壁に奇抜で稚拙な絵を描く男という存在だった井苅がノンフィクションライターの取...
一言でまとめられないが、主人公の井苅の人間性が読み進むにつれて明らかにされていく、これは人間ドラマなのか。 色々な人と繋がり、その繋がりの中で様々な葛藤があり、新たな自分に気付くこともある。田舎町の民家の壁に奇抜で稚拙な絵を描く男という存在だった井苅がノンフィクションライターの取材によって様々に掘り下げられていく。なぜ描き続けるのか?なぜ受け入れられるのか?語る事が全てではない。中でも笑里の闘病シーンが胸に迫る。 一つ一つ分かれていたらそんな経験をする人もいるだろう。だがここまで…作者は何に着想を得て物語を紡いだのか気になった。
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とある田舎町が、町中に描かれた「下手な絵」で全国的に有名になり、とある記者がそれを記事にしようと、絵を描いた本人、伊刈にインタビューを試みる。しかし伊刈は多くを語ろうとはせず、記者は町の人間や伊刈の周囲の人間から話を聞き出そうとするがー。 貴志祐介だったのでミステリーかと思いき...
とある田舎町が、町中に描かれた「下手な絵」で全国的に有名になり、とある記者がそれを記事にしようと、絵を描いた本人、伊刈にインタビューを試みる。しかし伊刈は多くを語ろうとはせず、記者は町の人間や伊刈の周囲の人間から話を聞き出そうとするがー。 貴志祐介だったのでミステリーかと思いきや、殺人は起こらなかった…。でも最後の方で真相が分かった時、「あれ???」と思って読み返したら見事に誘導されてた。 伊刈にせめて救いがあって良かったけど、それでも悲しい話。
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「壁の男」 「いままでの作品で培ったミステリー的手法をつぎ込んでいます」by貫井徳郎 伊苅重吾は故郷の町で絵を書いている。絵は決して上手くは無いが、町の人々は自分達の家の壁に書いて欲しいと依頼する。何故彼らは重吾の絵に魅せられるのか。そして、何故伊苅は絵を描き始め、書き続けるのか。 「慟哭」や「愚行録」のようなミステリでは無く、1人の男の人生を遡りながら彼の絵を書くという行為の理由を解いていく。 伊苅の絵を描くきっかけと伊苅に絵を依頼した近所の人たちの想いが明らかになる第1章から伊苅の故郷の町に帰った原因と思える愛娘と妻との別離、梨絵子との結婚、思春期に抱いていた劣等感との決別、そして友人との出会いと別離。物語は時間を遡りながら進んでいく。 伊苅の人生は、孤独と共生の繰り返しに思えてくる。象徴的なのは「才能があるから偉いんじゃなく何をするかが大事だ」と伊苅に教えた母であり、その言葉を理解し、伊苅に謝罪した、しかし、「今から自分の考えは変えられないからお前は俺のようにはなるな。お前を誇りに思う」と語った父である。 伊苅は美術教師の母の息子でありながら、自分に絵の才能が無く、他の才能も無いことから、劣等感に苛まれていた。しかし、母の言葉を受けたことにより、素直に友人と心を交わすことが出来るようになった。また、自分と同じように劣等感を抱え、小さい男に見えていた父にも、母の言葉から感じたことを伝えきることで、父と向き合うことが出来た。少しぎくしゃくしていた家族の間で、また上手くコミュニケーションを図れていなかった友人との間で、少し孤独であった伊苅は、母や父、友人と繋がる。 しかし、愛娘や妻、友人との出会い・別離では、伊苅にとっては辛い孤独だった。大切な繋がりが出来たと思ったら訪れる別離は、自分に置き換えたら、耐えられるか分からない。それは、伊苅と同様に妻もそうだったと後で分かった。 伊苅は、そんな辛い出来事を乗り切っていく。絵を描き続けたから乗り越えられたと言う訳ではなく、そこには絵を書くきっかけになった出来事があった。なぜこのきっかけが生まれたのかが明らかになる時、時系列で遡ったものが繋がるのだが、それ以上に伊苅の孤独が強まって非常に哀しくなる。と同時に強さを感じる。 一つあるとするならば、町で絵を書くきっかけと伊苅が絵を書くきっかけがいまいちリンクしないこと。一つ一つの時系列での出来事を見ると、伊苅にはとても感情的なものが内在しているはずだが、それが町で絵を書き続けている伊苅には垣間見えない。どうやって乗り越えてきたのかが見えてこない(時系列毎に物語がある為、仕方がないが)。これが強さを強調するのだが、最後の絵を書くきっかけを知ると、なぜあのタイミングで町で絵を書き始めたのかがしっくりこない。寧ろ知人の息子の死が町で書くきっかけになったのならば、少しは関係性が見えてくる様に感じた。 初めて自分以外の為に描いた下手くそな絵が、娘から上手と言われた。そのことが、今の伊苅に繋がっている。果たして、今の伊苅は孤独なのだろうか。恐らくそうではないだろう。娘を思う気持ちは、他人の為に書くようになった今でも、残っている。
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評価は5. 内容(BOOKデーターベース) ある北関東の小さな集落で、家々の壁に描かれた、子供の落書きのような奇妙な絵。 その、決して上手ではないが、鮮やかで力強い絵を描き続けている寡黙な男、伊苅(いかり)に、ノンフィクションライターの「私」は取材を試みるが……。 彼はなぜ、笑われても笑われても、絵を描き続けるのか? 寂れかけた地方の集落を舞台に、孤独な男の半生と隠された真実が、抑制された硬質な語り口で、伏せたカードをめくるように明らかにされていく。ラストには、言いようのない衝撃と感動が待ち受ける傑作長篇。 刑事物ばかり読んでいたので刺激が無いかと思いきや、どっぷりと伊苅の人生にはまってしまった。全然派手では無い一歩一歩大事に人生を歩んでいる姿に共感できた。 ただ、奥さんの性格は最後まで理解出来ず。いくら幼少期に期待され過ぎたっていってもこりゃ~病気だろう。
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家々の壁に絵を描き続ける男、という設定から、これだけのストーリーと小説としての筋を組み立てている、とても楽しい読書になった。最後まで記者は伊苅の口から多くを聞くことができなかった。これだけの出来事と経験に動かされて描いていることを、たとえ話したとしても、心を理解することはできない...
家々の壁に絵を描き続ける男、という設定から、これだけのストーリーと小説としての筋を組み立てている、とても楽しい読書になった。最後まで記者は伊苅の口から多くを聞くことができなかった。これだけの出来事と経験に動かされて描いていることを、たとえ話したとしても、心を理解することはできないだろうと思った。 才能のある人の方が偉いしすごいと劣等感を抱くのは間違っている 「BOOK」データベースより ーーーーーーーーーーーーーーー ある北関東の小さな集落で、家々の壁に描かれた、子供の落書きのような奇妙な絵。その、決して上手ではないが、鮮やかで力強い絵を描き続けている寡黙な男、伊苅(いかり)に、ノンフィクションライターの「私」は取材を試みるが…。寂れかけた地方の集落を舞台に、孤独な男の半生と隠された真実が、抑制された硬質な語り口で、伏せたカードをめくるように明らかにされていく。ラストには、言いようのない衝撃と感動が待ち受ける傑作長篇。 ーーーーーーーーーーーーーーー
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