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壁の男 の商品レビュー

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68件のお客様レビュー

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2018/10/09

自宅そして町の家々の壁に絵を書く塾講師と彼を取材するライター。絵を書くことになった男の半生とライターの取材が、過去と現在を行き来しながら描かれる。他人を観る=取材する行為も、取材で伺いしれないある時点におけるその人自身のエピソードも、その人物を知るに足ることはない。ミステリ的な手...

自宅そして町の家々の壁に絵を書く塾講師と彼を取材するライター。絵を書くことになった男の半生とライターの取材が、過去と現在を行き来しながら描かれる。他人を観る=取材する行為も、取材で伺いしれないある時点におけるその人自身のエピソードも、その人物を知るに足ることはない。ミステリ的な手法で描かれたミステリでない本書、一気読み。よかった。

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2018/09/21

9月-9。3.0点。 田舎町で学習塾を経営する主人公。壁に稚拙な絵を描き始め、町中の壁にその絵が。書き始めを探るノンフィクション作家が、描く動機を探る。 ちょっと哀しい話。あっという間に読める。 でも、ラストは尻切れトンボ感。もうひと盛り上がり欲しい。

Posted byブクログ

2018/06/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

男はなぜ壁に絵を描くのか、 男の半生を紐解いてゆくことで明らかになる男の喪失感とそれを埋める手段としての描画。 このエピソードの順にきて、このラストは切なさを倍増させる。

Posted byブクログ

2018/04/27

なぜか良く判らないけど、人を引き付ける絵というものがある。 この田舎町の家々の壁に、上手いとはいえない絵を原色で描く男、伊刈。町の人もどうやらその絵を気に入っているようだ。その理由を探りにルポライターまで取材に来る。 しかし、伊刈は多くを語ろうとしない。 作中でその理由は徐々に明...

なぜか良く判らないけど、人を引き付ける絵というものがある。 この田舎町の家々の壁に、上手いとはいえない絵を原色で描く男、伊刈。町の人もどうやらその絵を気に入っているようだ。その理由を探りにルポライターまで取材に来る。 しかし、伊刈は多くを語ろうとしない。 作中でその理由は徐々に明らかになるのであるが、最後の頁を読み終えたとき、ストンと自身の腑に落ちるのだ。 そして笑里ちゃんは、きっとその町を見ているのだろう、良かったね、と思うことができる。 正直、前半の病気の所は読みたくなくなりかけたし、澤谷との幸せな時も、暗転することは判っているので、その楽しい描写さえ恨めしく感じたが、これこそが著者の得意とするところだ。 おそらく、人を魅了する絵というものは、これほどの情念を持って描かれているのであれば、まったく納得できる。 なぜ絵を描くのかということだけで、一冊の本が出来るのか疑問で、読むのが遅くなってしまったが、もったいなかった。良い小説であった。

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2018/03/06

壁の男。 貫井徳郎さん。 暇人の手すさびな 稚拙な絵が、 ある町の家の壁に、描かれて、 町全体を覆い尽くしている。 描いた男性の半生を 調べにきたルポライター。 絵を描く理由をさぐる。 人間はどうして寂しさを辛く 感じるんだろうな。 ひとりでいる方が 気楽だと自分に言い聞かせ...

壁の男。 貫井徳郎さん。 暇人の手すさびな 稚拙な絵が、 ある町の家の壁に、描かれて、 町全体を覆い尽くしている。 描いた男性の半生を 調べにきたルポライター。 絵を描く理由をさぐる。 人間はどうして寂しさを辛く 感じるんだろうな。 ひとりでいる方が 気楽だと自分に言い聞かせても、 どうにもならない。 こうやって下手くそな絵を見て笑ってれば、 少しは気が紛れるよ。 絵には素朴な力があり、見る者の記憶に残る何かが宿ってる。 読みながら、良い言葉を メモしていたが。。。 思いもかけない結末で、 ビックリしました。 涙が出て、哀しいけれど。 泣きながら笑みが溢れた。 絵を描く理由。 子供が喜ぶから。 深いです。 おススメ本です。 おもしろかった。

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2017/11/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

貫井さんだから今回はどんな殺人事件が、どんな人間の醜い部分が暴かれるのかと恐る恐る読みはじめたけど、まったく違う話でした。悪人なんて1人もいない、弱くて必死に生きている人ばかり出てくる話。でもここ最近子どもが辛い目に合う本が続いてるから、さすがにここまでくるとキツイなあ。笑里ちゃんが何したっていうのよ…。構成が不思議。読みやすいけど、読み終わってもずっと悲しい。

Posted byブクログ

2017/10/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

だんだん明らかになる伊苅の半生。最後の子供の話はそこがそうなってるのか、と驚きだった。一概に奥さんが悪いとも思ってたけど、でもそこは難しいだろうな。 伊苅が絵を描く理由、やはり「子どもが喜ぶから」という、その一言なんだろうな。

Posted byブクログ

2017/08/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ストーリーに引き込まれて一気読みでした。ただ、ノンフィクションライターの鈴木の存在や、梨絵子の行動、態度など気になる所がありました。また、全体が繋がっているようで、ちょっと噛み合わない分断感みたいなものも感じられました。

Posted byブクログ

2017/08/01

初貫井作品。全体に流れるあまり明るくないトーン、好みでした。 美術教師の母を持つ主人公。 集落の家々を稚拙な絵でラッピングしてしまう。 彼のルーツが明らかになっていく。 ラストのちょっとした驚きとともに、楽しみました。 タイトルでは引かれない。ちょっと勿体ない。

Posted byブクログ

2017/06/30

宇都宮山村で家々の壁に絵を書く人の物語 各章で主人公の人生が物語られていくのですが、かなり波乱万丈な人生に感動しました。 ただ、全員が知り合いという山村にもかかわらず、先輩の川上が中学時代の話には出てこなかったり、逆に中学時代の友人の堀越について現在の話で触れられていないのはち...

宇都宮山村で家々の壁に絵を書く人の物語 各章で主人公の人生が物語られていくのですが、かなり波乱万丈な人生に感動しました。 ただ、全員が知り合いという山村にもかかわらず、先輩の川上が中学時代の話には出てこなかったり、逆に中学時代の友人の堀越について現在の話で触れられていないのはちょっと気になりました。 章を追うごとに娘、妻、父母、社会人になってからの親友との関係が明らかになり、現在の主人公にどのように影響を与えているかが詳らかになる構成はうまいと思います。 最終章の後半がかなり衝撃的で、ある意味どんでん返し的な展開で驚きつつも感嘆してしまいました。

Posted byブクログ