〆切本 の商品レビュー
左右社って初めて聞くなー。 そして編者みたいな個人名も特にない。 そこがなんとなく不思議。 とにかく〆切にまつわる作家の文章を集めた本。 表紙裏表紙にそこから抜き出したフレーズが散りばめられているんだけど、これが面白い。 一番きたのが、「殺してください」と「原稿性発熱」。 子ども...
左右社って初めて聞くなー。 そして編者みたいな個人名も特にない。 そこがなんとなく不思議。 とにかく〆切にまつわる作家の文章を集めた本。 表紙裏表紙にそこから抜き出したフレーズが散りばめられているんだけど、これが面白い。 一番きたのが、「殺してください」と「原稿性発熱」。 子どもの頃、小説家に憧れたこともあったけど、多分2冊目が書けなかろう、と諦めた記憶がある。 「降りてきた」時に書けばいいわけではないのだから、小説家という職業はホントにすごいなと思う。 だからといって〆切がなければいいものができるわけでもないといのも深い。
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私は〆切に興味があった。なぜならば、常に〆切に苦しめられているし、一方では大量の文章を日々生産しているからである。 もちろん私は作家ではない。しがない普通のブロガーに過ぎない。それでも、この12年間、だいたい800字から1600字ぐらいまでの駄文(原稿用紙2-4枚)を書き続け...
私は〆切に興味があった。なぜならば、常に〆切に苦しめられているし、一方では大量の文章を日々生産しているからである。 もちろん私は作家ではない。しがない普通のブロガーに過ぎない。それでも、この12年間、だいたい800字から1600字ぐらいまでの駄文(原稿用紙2-4枚)を書き続けて、ネタが尽きた事がない。ブログ記入率はこの8年間75%で一定しているから、一週間に6ー5日は書いている事になる。そんな文章家ならば、この本の中の郷土大作家・内田百間の様に、〆切すぎて書けないで年越しをするようなことがなかったかというと、ほぼ毎月その苦しみを味わっていると告白する私がいる。 私は素人ながら、地域サークルの会報を二ヶ月に一度つくり、地域労組機関紙の映画欄に連載を持っている。この二つが、常に〆切ギリギリか、〆切を越さないと完成しないのである。 あの木下順二が、仕事にかかる前になんと「馬書」を読み込み、情報カードを生産し、それがおそらく万の数ほどつくっているというのを読んで、「あゝ同類がいる」と安心する。 神様の手塚治虫の様子は、とても参考にはならないけれども、「遅筆堂」というあだ名を敬意を持って私も拝借している井上ひさし名人のエピソードは、私にはとっても癒しになる。今回のエピソードは、今まで読んだことのないものだった。少しメモする。 ◯缶詰病の潜伏期間は次の等式で表される。(原稿用紙枚数の二乗×締切日までの残り日数×作物に対する患者の意気込み×原稿料或いは報酬)÷編集者の原稿取立ての巧拙。 ◯発病症状は初期が躁状態。中期は、睡眠を貪る。その次は、放浪癖。◯◯の目を盗んで盛り場をうろつく、要らないものを買う、映画を観て回る。最終局面、自信喪失の極に達し「次号回しにしてください」「殺してください」という。この場合、編集者はその願いを聞き入れてはならない。なぜならば、この病は「とにかく書かなければ治らない」から。 ◯井上名人は、末期症状の患者を缶詰状態にすると、奇妙なことに「ほとんどの患者が自力で立ち直る」と書いている。しかし、これは症状がまだ慢性化していなかった頃の文章だと思われる。患者(井上ひさし)はその後、大穴を何度も開けるからである。 川本三郎が天使のような編集者のことを書いていれば、元編集者の高田宏が編集者泣かせのクズ作家について書いている。 私には潜伏期間はない。私に編集者はいない代わりに報酬もゼロなので、ゼロ×全ての数字でゼロなのである。そして、なんの因果か、年に7回くらいは「完徹」をしても出来ないで〆切という「デッドライン」をやすやすと超えるのだ。 2017年6月5日読了
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とても面白く読んだ。 〆切とは、いかなるものなのか。 そのとらえ方は十人十色。 バラエティに富んだ執筆者にそれぞれの悲喜交々が、可笑しい。 その上、構成が良い。 冒頭に、白川静の『常用字解』から「締」と「切」を掲載するとは、まず、ここでやられたなあ。 第4章で、研究論文を入れて...
とても面白く読んだ。 〆切とは、いかなるものなのか。 そのとらえ方は十人十色。 バラエティに富んだ執筆者にそれぞれの悲喜交々が、可笑しい。 その上、構成が良い。 冒頭に、白川静の『常用字解』から「締」と「切」を掲載するとは、まず、ここでやられたなあ。 第4章で、研究論文を入れているのもグー。 最後は柴錬か、と思いきや谷崎が待っているなんて。 井上ひさし「罐詰病」は最高。いかにもな内容で笑える。漫画では、長谷川町子が流石の面白さ。
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好きな作家が載っている。「〆切」に対してそれぞれの作家がこんな風に思っているなんて。「書けぬ、どうしても書けぬ」に、ドキドキした。 制作に対してストイックな作家も、また良し…。
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どんな言い訳かを流し読み。これだけ集めた編集者の執念を感じるが、さすがにこれだけあるとじっくり読む気が起きない…。森博嗣さんはやはり異色。
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大昔、筒井康隆の乱調文学大辞典で、締め切りに間に合わない言い訳として「梅干しも漬けずに頑張ったのだが…」と語った作家のエピソードに抱腹絶倒し未だに覚えているのですが、本書は大作家たちの書けぬ書けぬの大怨嗟大会です。生産性向上にムチが振るわれている昨今のリアル社会に対する、ある種の...
大昔、筒井康隆の乱調文学大辞典で、締め切りに間に合わない言い訳として「梅干しも漬けずに頑張ったのだが…」と語った作家のエピソードに抱腹絶倒し未だに覚えているのですが、本書は大作家たちの書けぬ書けぬの大怨嗟大会です。生産性向上にムチが振るわれている昨今のリアル社会に対する、ある種のファンタジーとしてナイス企画!何も書かれていない原稿用紙に文字を書きつける創造物としての文学と工場や流通を巻き込む商品としての文学の側面がぶつかり合うのが締め切りというタイミング。そこで生ずる軋み音はまさに悲喜劇のメロディです。先日、ある編集者の方に「作家は狂人、読者は普通の人、編集者はその間で苦しむ」とのお話を伺ったことがありますが、その苦しみ、よく理解出来ました。巻末に向かうにつれ、締め切りこそが創造の源という指摘も増え、締め切りのクリエイティビティも感じさせてくれる本でした。最終ページにもニヤリ。
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やっと借りられました。書くことを生業としている人に対して、憧れや尊敬を感じるのですが、つらいからこその輝きなのでしょうか?
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有名な文豪などの「書けない」ときの言い訳が延々とまとめられている本。あまりの見苦しさに、ちょっと読んだだけでもお腹いっぱいになる。教科書に載るような著名な作家の人間らしい一面が垣間見れる。それにしても編集者など、原稿をもらう立場の人達の苦労は計り知れない。
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〆切に関して書かれた、著名な作家たちの言い訳やらスタンスやら、てんこもりの本。 ーを、図書館の返却期限に追われて読む私。 この名立たる方々に親近感を覚えずにはいられないほど、私もギリギリマスターなので、所々可笑しくて仕方がなかった。 凡人も天才も、〆切の前に同じ! 中には〆切...
〆切に関して書かれた、著名な作家たちの言い訳やらスタンスやら、てんこもりの本。 ーを、図書館の返却期限に追われて読む私。 この名立たる方々に親近感を覚えずにはいられないほど、私もギリギリマスターなので、所々可笑しくて仕方がなかった。 凡人も天才も、〆切の前に同じ! 中には〆切に一度も間に合わなかったこともないし、余裕を持って仕上げるという猛者もいらっしゃって、それはそれで説得力、破壊力、大。 私もこんな風になりたい、と思わせられる。 〆切が悪かと言えば、なければないでいつまで経っても出来ないし、集中力や生産性を高めるために必要であり、逆に時間がたくさんあればいい作品が生み出せるわけでもない。 〆切なんて破ってこそという人もいれば、仕事の依頼が来なくなるのではないか、白紙で出版される恐怖、身体の具合が悪くなるほど書けなくなる等、〆切にまつわるエピソードは人それぞれで、中でもやはり、コントみたいな言い訳が面白かったりする。 ネタバレしたくないので、誰がどうとか一切書かないので、是非読んでみてください。 興味のある作家のところだけ、拾い読みするような読み方でも良いと思う。 文筆家のエピソードが多かったけれど、数名漫画家(超有名)のものもあった。漫画家編も是非作ってください。
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文豪、編集者、漫画家達の、様々な立場・視点からの "締め切り" を題材とした短文集。 基本的に書下ろし原稿は無く、全て、"過去に蓄積された、締め切り関係の痛切な記録" が集められただけで、これだけ密な書籍が成立することに感心。 2/3程度読...
文豪、編集者、漫画家達の、様々な立場・視点からの "締め切り" を題材とした短文集。 基本的に書下ろし原稿は無く、全て、"過去に蓄積された、締め切り関係の痛切な記録" が集められただけで、これだけ密な書籍が成立することに感心。 2/3程度読んだところで、同様の視点・表現が別著者で重なったりすると少しダレるが、著者や編集者名にまで詳しい人ならば完全に飽きずに巻末まで読めるのだろう。 最後のページに、谷崎潤一郎の悲痛な1文が載っているのも印象的。 表紙が面白くて、その点も◯(マル)。
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