みかづき の商品レビュー
王様のブランチを見て気になっていました。 教育をテーマに三世代にわたる家族の物語。 それぞれの時代背景が分かりやすく描写される。 自分、そしてその前後の世代を俯瞰でき、ゼネレーションギャップについても腑に落ちた。面白く、勉強させられた。
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小学校で用務員をしていた大島吾郎。 いつしかそこで勉強が分からない子に 教えていくようになる。 それを見据えたある女性が一緒に塾を開かないかと持ちかけたことで 物語は始まる。 分厚さに何度も断念しそうになった。 人情味溢れるキャラクターには 面白かった。
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エンタテインメントとして面白い。四世代にわたる壮大な物語で朝ドラや大河ドラマにマッチしそう。その家族の遺伝子や思考、歴史が継がれていく感じに惹きつけられる。どんなビジネスでも家族経営の会社の経営者とかその家族に起こることってこういう感じなんだろうな、とも思う。 何よりも「教育」と...
エンタテインメントとして面白い。四世代にわたる壮大な物語で朝ドラや大河ドラマにマッチしそう。その家族の遺伝子や思考、歴史が継がれていく感じに惹きつけられる。どんなビジネスでも家族経営の会社の経営者とかその家族に起こることってこういう感じなんだろうな、とも思う。 何よりも「教育」というひとつのテーマを一生かけて追及する生き様はカッコ良い。自分もそうありたいし、自分にとっての一生かけて追及したいテーマって何だろうか、と考えてみたりした。
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教育とは難しいものだとつくづく思う。赤坂千明は文部省(現在の文部科学省)とその影響下で活動が大きく制約されている公教育を全く信用していない。大島吾郎は事情があって高校を中退し、千明の娘、蕗子が通う小学校で用務員(現在は技能員)の仕事をしているが、授業についていけない子供に放課後...
教育とは難しいものだとつくづく思う。赤坂千明は文部省(現在の文部科学省)とその影響下で活動が大きく制約されている公教育を全く信用していない。大島吾郎は事情があって高校を中退し、千明の娘、蕗子が通う小学校で用務員(現在は技能員)の仕事をしているが、授業についていけない子供に放課後勉強を教え、わかりやすいと評判になっている。千明は吾郎を説き伏せ、結婚した後、昭和37年、東京のベッドタウン千葉県八千代町(現在の八千代市)で塾を開く。千明は言う。 「….私、学校教育が太陽だとしたら、塾は月のような存在になると思うんです。太陽の光を十分に吸収できない子どもたちを、暗がりの中で静かに照らす月….」 こうして千明と吾郎は「八千代塾」を起ち上げる。「塾」と言っても「ジュク?」と聞き返される程度の認知度だった塾は、塾に通っていることがなにやら後ろめたかった時期を経て、現在のように通うのが当たり前の存在になった。そうした流れの中で、当初の理想や理念は時代にもまれて、いつのまにか変質していく。物語は、千明と吾郎を中心に、二人の3人の娘、その娘の息子・娘、千明の母頼子という、四世代の目を通して、教育とは何かを問いかけながら進行する。 教育に関して確固たる信念を持つ千明、ところがその3人娘は思うように「教育」されてくれない。長女蕗子は千明が敵視する公立小学校の教員となり、次女の蘭は教育よりビジネスを優先、三女の菜々美は遊び歩いて高校に進学する気すらない。全く人間は思うようにはならないが、一方で、ばらばらな家族はまたひとつになったり、最も教育とは無縁だった一郎(長女蕗子の子、千明の孫)が教育について深く考えることになるなど、思いがけない偶然が予想外の結果を呼んだりする。誰による、いつの、どんな教育が、どう影響を与え、人間をつくっていくのか、それは結果からたどって考えていくしかない。教育のそんな難しさが、四世代を通して移り変わる時代背景とともに描かれていく。 作者は、教育課程審議会の本音「できん者はできんままで結構,,,,,非才、無才にはせめて実直な精神だけを養ってもらればいいんです」(曽野綾子の夫である三浦朱門の言葉)を引用して、この国の「教育」観を否定する。私もこうした考えは本当に醜悪だと思う。では本当の教育とは何か、人間を教え、育てるとはどういうことか。 冒頭でも述べたが、全く教育とは難しい。だからこそ、この本をきっかけに読者一人一人に考えていってほしい、私はそれを作者からのメッセージとして受け取った。八千代台、大和田、勝田台、津田沼、こうした地名に反応する人は、更に感慨を持って読めるだろう。
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面白いという評判だったのでわくわくしていたのですが、期待が高すぎた故に、そこまで面白くなくてがっかりしました。三世帯に渡って教育に関わる大島家の物語。みかづきは、満月たりえない途上の月。塾業界、教育業界の歴史について知ることができました。
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初めての森絵都。 あらゆることがうまくはいかない、その展開に引かれた。小説的には上手くいかせた方が、楽なのではと思うけど、なかなか簡単には上手くいかない。その加減が絶妙。 教育行政の変遷は、すごく分かりやすいし、確かに塾に対する視線には隔世の感ある。教わることで子どもが力をつけて...
初めての森絵都。 あらゆることがうまくはいかない、その展開に引かれた。小説的には上手くいかせた方が、楽なのではと思うけど、なかなか簡単には上手くいかない。その加減が絶妙。 教育行政の変遷は、すごく分かりやすいし、確かに塾に対する視線には隔世の感ある。教わることで子どもが力をつけていく描写も丁寧。 全ての人が最後には憎めない人と感じられるのは、読後感よし。
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昭和30年代.千明と大島吾郎その頃は珍しかった学習塾を始める.学校,文部省に反発し色々な矛盾を抱えながらも事業は拡大して行く,物語は娘たち,孫の一郎にまで及び,ところどころ目頭が熱くなる場面も,
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家族の壮大な物語。飽きる事無く、最後まで一気読み。読み応えがあった。題名の意味を知り、ジワリときた。
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素晴らしかった。 最初から最後まで熱量がすごかった。 昭和から現代までの「教育」が大島家とともに書かれていて、自分より前の世代のことがわかったし自分が過ごした世代のこともわかって興味深かった。 吾郎さんがスピーチで話した、千明さんのお話に胸を打たれました。 週休2日制にしても何...
素晴らしかった。 最初から最後まで熱量がすごかった。 昭和から現代までの「教育」が大島家とともに書かれていて、自分より前の世代のことがわかったし自分が過ごした世代のこともわかって興味深かった。 吾郎さんがスピーチで話した、千明さんのお話に胸を打たれました。 週休2日制にしても何にしても小・中学生だった私には決定事項として従うしかなかった。いろんな議論や政治的な動きがあったんだな。あの時もっと新聞読んだりニュース見たりしておけばよかったなぁ。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
学校教育が太陽だとしたら、塾は月のような存在。太陽の光を十分に吸収できない子供たちを照らせるように、そんな想いから塾を開いた千明と吾郎さん。塾の揺籃期から成長期そして現在に至るまで、大島家の人々を通して、教育というものについて考えさせられた。といっても、重い話ではなく、時にユーモラスに、そして時に深く沁みる文章はとても読みやすくて、そこに森さんの想いがこめられていて教育に興味のない私でも、胸に響きました。忘れがちだけど、教育って皆が平等に受けられるものじゃないんですよね。
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