向田理髪店 の商品レビュー
北海道の財政破綻している過疎のまち。そこで営まれる向田理髪店の息子が、ここを継ぐと言い出す。こんな、未来のない町で?!父親の康彦は顔をしかめるが、その町で起こるできごと。全6話。 田舎はこうだ、というステレオタイプの断定をしている一文がやや鼻についたが、読み進むうち、北海道方言...
北海道の財政破綻している過疎のまち。そこで営まれる向田理髪店の息子が、ここを継ぐと言い出す。こんな、未来のない町で?!父親の康彦は顔をしかめるが、その町で起こるできごと。全6話。 田舎はこうだ、というステレオタイプの断定をしている一文がやや鼻についたが、読み進むうち、北海道方言をつかった会話の、このリアリティにはあらがえなくなった。 何があっても、なんとかやっていかなくてはならない人間関係。田舎あるあるのエピソード満載なのだけど、問題を提起して、ひとつの解決を見いだしているところに救われた。
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読み終わって本を閉じたとたんに 何が書いてあったか忘れてしまうような本がある中で この物語は時間が経つにつれ、 ジワリジワリと心に効いてきました。 読み終えてからも、ふと北海道の過疎の町で生きる人々の姿が頭に浮かび あの人たちは今頃どうしているのだろうかと。 どんな町おこしをし...
読み終わって本を閉じたとたんに 何が書いてあったか忘れてしまうような本がある中で この物語は時間が経つにつれ、 ジワリジワリと心に効いてきました。 読み終えてからも、ふと北海道の過疎の町で生きる人々の姿が頭に浮かび あの人たちは今頃どうしているのだろうかと。 どんな町おこしをしてみたところで人口は減り 年寄りばかりが増えていく。 それでも住人たちはそこで人と繋がり助け合い生きて行くしかないのだ。 過去にたくさんの諦めがあっても、未来は諦めない。 不満があっても折り合いをつけてやり過ごしていく、 日本全国、地方に行けばきっとどこにでもいるに違いない そんな暮らしを送る人々にそっとエールを送りたいと思う。
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北海道の過疎すすむの町の話。 相変わらず視点が面白い。 小さな町だけど、未来に少し希望がみえて良かった。 日本全体がそうなったら暮らしやすいだろうな。
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著者らしさのある作品なのだけど、ややユーモアが不足しているような。意外性もなく期待外れだった。 向田理髪店…過疎は地方の問題ではなく人口減少期に入った日本全体の問題。 祭りの後…寝たきりになる人は増える一方なのだろう。 中国からの花嫁…香蘭(こうらん)ていい名前だな。冴えない地方...
著者らしさのある作品なのだけど、ややユーモアが不足しているような。意外性もなく期待外れだった。 向田理髪店…過疎は地方の問題ではなく人口減少期に入った日本全体の問題。 祭りの後…寝たきりになる人は増える一方なのだろう。 中国からの花嫁…香蘭(こうらん)ていい名前だな。冴えない地方にパッと花が咲くみたい。 小さなスナック…運命の悪戯でもしかしたらということを期待しているオヤジどもの醜態と悲哀。 赤い雪…撮影で町が活性化するよりは場末感が増したみたい。 逃亡者…何も事件のない町のちょっとしたスパイスかな。
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財政破綻した田舎町に住む人々に起こるあれこれ。田舎といえば人間関係が面倒くさそうだなと思ってしまうが、一歩ひいてみればやんわりとした絆で結ばれていて微笑ましかった。未来は明るいとまではいかないが、相変わらずな日常が続けばいいなと思う。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
夕張がモデルなのかな? 北海道の過疎化した街の理髪店の店主を視点にしたお話。 財政厳しさや、過疎化の問題点など、ちょっとユーモアあるけれど でも奥田さんにしては、おとなしいな、と思いながら淡々と読了。 関係ないのだが、スマホ電子書籍に『海の見える理髪店』を入れていて 手もとに本がなくて時間があるときにちびちび読んでいるところ。 こっちは短編集なので理髪店の話はもうとっくに読んでしまった。 理髪店の小説、流行っているのかな?
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財政破綻した田舎町で暮らす人びと。連帯意識が強いぶん、人間関係が煩わしい。理髪店ならば、年齢や職種を問わず多くの人とつながり、定期的にじっくりと話す機会をもつから、居ながらにして地域の事情通だ。隣人、知人のプライベートな部分に踏み込み、悪口も少なからず。自分をそこに置くなら疲れる...
財政破綻した田舎町で暮らす人びと。連帯意識が強いぶん、人間関係が煩わしい。理髪店ならば、年齢や職種を問わず多くの人とつながり、定期的にじっくりと話す機会をもつから、居ながらにして地域の事情通だ。隣人、知人のプライベートな部分に踏み込み、悪口も少なからず。自分をそこに置くなら疲れる。衰退する我が町に閉塞感と諦念を抱く中高年と、未熟ながら若さゆえの純真さで活性化に挑もうとする二世たち。特効薬も即効薬もないのだけれど、心が通っているだけに窮地に陥り光明が見える。地方消滅なんて言われても、道路や交通の事情がよくなって都市部との時間距離は縮まってるし、宅配もあるし、医療とか心配もあるけど、人の心も少しずつ変わって楽天的に考えてもいいのかも。そんな結末。
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過疎化の進む北海道の町で、理髪店を営む店主の周辺の出来事を、短編形式でつなげた1冊。 あえて架空の地名にはしているが、かつては炭鉱で栄えたものの、財政破綻して…とくれば、舞台は夕張。 息子があとを継ぐことを宣言するが、先行きの見えない町に縛り付けることには否定的な主人公は、悲観...
過疎化の進む北海道の町で、理髪店を営む店主の周辺の出来事を、短編形式でつなげた1冊。 あえて架空の地名にはしているが、かつては炭鉱で栄えたものの、財政破綻して…とくれば、舞台は夕張。 息子があとを継ぐことを宣言するが、先行きの見えない町に縛り付けることには否定的な主人公は、悲観的で石橋を叩いて渡るタイプ。トラブルが起これば何かと頼りにされるものの、どちらかと言えば控えめで、決して濃いキャラではない。そのため、じつは深刻な問題を数多く抱えている物語だが、穏やかなトーンに包み込まれている。そこが魅力でもあり、ややインパクトに欠ける部分でもあるのだが。 町のおじさんたちが集う話なので、作者お得意のオヤジギャグ的な笑いを期待したのだが、そこはほとんどなくて残念。 余談だが、たまたま少し前に荻原浩の『海の見える理髪店』を読んだばかり。理髪店がタイトルに付くのは珍しいのに、同時期に、しかも似たタイプの作者の本が出たことに驚いた。
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過疎化の進む町(夕張がモデル?)のありそげなお話なんだけれど、リアルなだけに薄ら暗い感じが否めず、特に楽しめなかった。
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北海道の元炭鉱の町に起きる小さな事件。ほのぼのとした中に厳しい過疎の現実が描かれます。まだまだ続編が出そうです。
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