向田理髪店 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
財政破綻した北海道の架空の田舎町の物語。 構成としては連作短編で、時系列で物語が進行しているのですが、各短編間でのリンクは無いので、短編集として読んでもいいと思います。 苫沢町の変化に乏しい日常でのちょっとした出来事が描かれているのですが、ユーモアとペーソスにあふれていて、大変面白かったです。 変化を予感させる息子や東京からの役人が残っているので、奥田さんだと思い切り突き放して絶望させるエンディングもありえるのが怖いですが、できれば同じ調子での続編を期待したいですね。
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北海道の財政破綻した町の連作短編集。 特に盛り上がりもないし、ホロリとするところもない。 奥田英朗にしては、ちょっと中途半端な感じ。
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「赤い雪}R-15指定見てみたい。試写会が面白い。苫沢町行ってみたい、でも暮らすのは考える。田舎の暮らしもいいかもしれない。面白かった。
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北海道の寂れてしまった炭鉱町苫沢町。通りにひと気はないけれど、中ではみんな、侃々諤々。 心配性の理髪店主人が暮らす北の町は、隣との距離は離れていても、冬場は雪に閉ざされても、住んでいる人達の心の距離は近く、温かな人達が住む町。
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つい先日、荻原浩さんの短編集『海の見える理髪店』を読んだばかりだが、奥田英朗さんの新刊のタイトルは、『向田理髪店』という。 舞台は、北海道の中央にある架空の町・苫沢町。かつては炭鉱で栄えたが、ハコモノ行政で失敗を繰り返し、財政破綻。モデルは夕張市だろう。その苫沢町に2軒しか...
つい先日、荻原浩さんの短編集『海の見える理髪店』を読んだばかりだが、奥田英朗さんの新刊のタイトルは、『向田理髪店』という。 舞台は、北海道の中央にある架空の町・苫沢町。かつては炭鉱で栄えたが、ハコモノ行政で失敗を繰り返し、財政破綻。モデルは夕張市だろう。その苫沢町に2軒しかない理髪店の1つ、向田理髪店の主人・康彦の視点で語られる、過疎地の日常。 表題作「向田理髪店」。札幌で就職した長男の和昌が、店を継ぎたいという。手放しでは喜べない。苫沢に将来があるのか。「祭りのあと」。顔見知りの老人が倒れ、病院に運ばれた。ちょうど東京にいる長男の武司が帰省していた。無理して毎週のように帰省する武司。誰にでも起こり得る問題。残された母を、誰が責められる? 今時、「中国からの花嫁」は珍しくないが、人間は体裁を気にする生き物。しかし、この町には、世話焼きが多数いた。これで吹っ切れるかな。差別的内容ではないことは明言しておきたい。「小さなスナック」。一回り年下の早苗ちゃんが、帰郷して店を開いた。連日通い詰める男たちと、快く思わない妻たち。早苗の詳しい事情は描かれないまま終わるが、うまく共存できますように。 「赤い雪」。苫沢で映画のロケが行われることになり、有名女優がやって来る! おこぼれに与りたい自営業者や、女優を一目見たい町民たちの悲喜こもごも。完成した映画は、苫沢町民には難しかったか。「逃亡者」。町の出身者が詐欺容疑で追われる身に。実家には警視庁の刑事がやって来た。こういう裁定が許されるのは、田舎ならでは。故郷は見捨てない。康彦も、苫沢の温かさを実感する。 路線は「家」シリーズに近いので、そちらのファンなら楽しめるだろう。康彦の和昌への複雑な思いが、徐々に変わっていく点にも注目したい。今のところ、帰郷は考えていない僕だが、自然と心は故郷に向かっていた。
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内容紹介 次々起こるから騒ぎ。過疎の町は、一歩入れば案外にぎやか。北海道の寂れてしまった炭鉱町。息子の将来のこと。年老いた親のこと──。通りにひと気はないけれど、中ではみんな、侃々諤々。心配性の理髪店主人の住む北の町で起こる出来事は、他人事ではありません。可笑しくて身にしみて心...
内容紹介 次々起こるから騒ぎ。過疎の町は、一歩入れば案外にぎやか。北海道の寂れてしまった炭鉱町。息子の将来のこと。年老いた親のこと──。通りにひと気はないけれど、中ではみんな、侃々諤々。心配性の理髪店主人の住む北の町で起こる出来事は、他人事ではありません。可笑しくて身にしみて心がほぐれる物語。
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