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あとかた の商品レビュー

3.9

71件のお客様レビュー

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2020/08/19

低温火傷。 そんな言葉がしっくりくる温度。 千早さんの綴る世界はそんな感じ。 ふわふわと漂っているように見えて 時にとても冷たく、時に燃えるように熱い。 現代人の微妙にアンバランスな心理の表裏を巧みに描く人だ。 短編集だが、終始 人との繋がりに形を持たせたいのに形にしてしまう...

低温火傷。 そんな言葉がしっくりくる温度。 千早さんの綴る世界はそんな感じ。 ふわふわと漂っているように見えて 時にとても冷たく、時に燃えるように熱い。 現代人の微妙にアンバランスな心理の表裏を巧みに描く人だ。 短編集だが、終始 人との繋がりに形を持たせたいのに形にしてしまうのが怖かったり、はたまたどう遺せば最善なのか、曖昧な形ないものに翻弄されながら日々を送る主人公たちの話。 ゆらゆら不安定な心情描写がどこかリアル。なんだよなぁ。 収録タイトル ほむら / てがた / ゆびわ / やけど / うろこ / ねいろ

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2019/07/03

再読でも面白かったです。 自分の恋愛観にしっくりくる恋愛小説は川上弘美さんのものだな、と思っていたのですが、千早茜さんのものもかなりしっくりくることに気付きました。 千早さんの恋愛小説は、表面は冷淡なくらい淡泊なのに、底の方では温度の高い青い炎が揺らめいている印象です。 空虚感を...

再読でも面白かったです。 自分の恋愛観にしっくりくる恋愛小説は川上弘美さんのものだな、と思っていたのですが、千早茜さんのものもかなりしっくりくることに気付きました。 千早さんの恋愛小説は、表面は冷淡なくらい淡泊なのに、底の方では温度の高い青い炎が揺らめいている印象です。 空虚感を持っていても、それでも、誰かと一緒に生きていこうとか、傷付いても人と関わっていこう、という思いも抱きます。 それでもいいよ、という赦しというか、こんな自分でも生きていてもいいかも、と思います。 お話は「やけど」「うろこ」が好きです。藤森と松本のこれからは明るい気がして。 千影さんも好き。皆さん幸せになれたらいいなと思いました。

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2019/05/18

1行目からすっと引き込まれました。 日常をつつがなく生きるために言いたいことに蓋をしたり、本心から目を背けたり、欲しいものを欲しがることをやめているのかもしれない。 人の決して表に出さない部分や自分でも気づいていない本心や欲望が、生々しくて読んでいてヒリヒリしました。 サキちゃ...

1行目からすっと引き込まれました。 日常をつつがなく生きるために言いたいことに蓋をしたり、本心から目を背けたり、欲しいものを欲しがることをやめているのかもしれない。 人の決して表に出さない部分や自分でも気づいていない本心や欲望が、生々しくて読んでいてヒリヒリしました。 サキちゃんと松本くんの話がとてもよかった。 それぞれの人物のことをあまり描き過ぎず曖昧なままで、その後どうなったかも描かれていない。 個人的にはストレスになる種類の短編集なのですが、だからこそぬるぬるとした余韻が残る1冊でした。

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2019/05/16

あとかた 千早茜さん。 第二十回島清恋愛文学賞受賞 登場人物が次々に物語の主役になる短編集。 それぞれの気持ちが、伝わった 。 おもしろかった。

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2019/02/14

恋愛において人それぞれの内面的な視点が描かれていて面白かった。私が実際に出会ったことがなくても、励まされることばが確かにある

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2018/06/30

 結婚を前にしながら浮気をしている女性たちの短編集。若干いびつな心情が丁寧に語られていて、共感しながら読み進めることができました。特に『ほむら』が好きです。 またそれぞれの作品から他の作品の後日談的なものが語られ、不意に嬉しくなったり悲しくなったり、単純に読みきれない本作に翻弄を...

 結婚を前にしながら浮気をしている女性たちの短編集。若干いびつな心情が丁寧に語られていて、共感しながら読み進めることができました。特に『ほむら』が好きです。 またそれぞれの作品から他の作品の後日談的なものが語られ、不意に嬉しくなったり悲しくなったり、単純に読みきれない本作に翻弄をされてしまいました。ふとしたときに読み返したくなるような、複雑な読後感でした。

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2017/12/13

ほむら・てがた・ゆびわ・やけど・うろこ・ねいろ 少しずつ絡まるそれぞれの物語が心地よい。 とてもよかった。

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2017/08/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

現代の恋愛模様を描いた連作短編集。 6つの短編が静かにしっとりと絡み繋がり、各々の登場人物の秘かな想いが徐々に明るみになっていく様が見事に描かれている。 千早さんと言えば、摩訶不思議な妖しい世界観の物語しか読んだことがなかったのでとても新鮮で、男女間の微妙な気持ちのズレ等の描写に説得力があり共感が持てた。 また各章のタイトルが全てひらがな3文字で統一され、その付け方が絶妙で的を得ているものだった。 人は「かたち」あるものをつい求めてしまい、それ故孤独感や虚しさが一層深まっていく。 それでも誰かを好きになるってやっぱり凄いことなんだよね。 ラストの彼の何気ない一言は彼女の頑なな心を溶かしてくれた気がする。

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2017/06/21

千早茜さんはたまに読むと、がっつり引きずりこまれる作家さん。 今回は初めての短編連作集。 正直、なんだかこなれてしまった感が。 鶴の恩返し、よろしく、自ら血を流しながら描いている印象を勝手に抱いていたので。うん。 一番響いたのは「ねいろ」。 「ゆびわ」も終わりに近づくにつれハ...

千早茜さんはたまに読むと、がっつり引きずりこまれる作家さん。 今回は初めての短編連作集。 正直、なんだかこなれてしまった感が。 鶴の恩返し、よろしく、自ら血を流しながら描いている印象を勝手に抱いていたので。うん。 一番響いたのは「ねいろ」。 「ゆびわ」も終わりに近づくにつれハマった。 でもなんかもやもやと輪郭のない不穏な感じが、千早茜さんぽかったかも。

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2017/03/06

読んでいくとすべての登場人物がどこかでつながっていて、読みながらそれに気づいていく 『よるのふくらみ』のような、語り部が変わっていくスタイルの話 私は最後の「ねいろ」で泣きました

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