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あとかた の商品レビュー

3.9

74件のお客様レビュー

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2020/07/29

傷だらけの登場人物たち。 この本は恐らく出会うべき時というものがある本なのだろうと思う。 どれもこれも痛々しく生々しい物語であって、なかなか感想が湧きにくい。 傷だらけであるからこそ、愛してくれる他者を深く激しく求めてしまうのだろう。 そのあり様は極めて暴力的であって、本...

傷だらけの登場人物たち。 この本は恐らく出会うべき時というものがある本なのだろうと思う。 どれもこれも痛々しく生々しい物語であって、なかなか感想が湧きにくい。 傷だらけであるからこそ、愛してくれる他者を深く激しく求めてしまうのだろう。 そのあり様は極めて暴力的であって、本来欲しいはずの共感や理解、愛情とは正反対にも映る。 他者と交流すること、会話をすること、愛することはひょっとしたらどこか互いに傷を付け合うことなのかもしれない。 この痛々しい、生々しい物語に言葉がなかなか出てこない。 ひょっとしたら、出会うべき時に出会わなかった本だったのかもしれない。 こういう本は恐らく、出会うべきタイミングがあるのだろう。 時間を置いてまた再読したいし、出会うべき人もきっといる本だと思う。

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2020/07/06

著者の恋愛観は一貫している。果たしてそれが愛と呼べるのか不確かなものの中にこそ本質が潜んでおり、暴力すらも愛との境界は曖昧だということを。

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2020/02/17

千早茜さんは最初に読んだ「魚神」が何とも不思議な味わいだったが、2冊目に読んだ本作は、現実にありそうな設定の連作短編で、こっちの方が好きかもしれない。 最初の「ほむら」に出てくる飄々とした「男」がとても魅力的だった。次の「てがた」では語り手の上司である黒崎として登場したので、こ...

千早茜さんは最初に読んだ「魚神」が何とも不思議な味わいだったが、2冊目に読んだ本作は、現実にありそうな設定の連作短編で、こっちの方が好きかもしれない。 最初の「ほむら」に出てくる飄々とした「男」がとても魅力的だった。次の「てがた」では語り手の上司である黒崎として登場したので、この時点でこの短編集はこの男を取りまく人物たちが、だんだんと男の輪郭を作っていく構成なのかなと思った。川上弘美の「ニシノユキヒコ」みたいな。 が、全然違って、「ゆびわ」「やけど」「うろこ」と話の中心は別の人物たちに移っていき、結局、このかなり特異な存在の黒崎については、それ以上のことは語られないまま終わる。 何だか釈然としない。 「ゆびわ」以降も悪くはなかったけど、今風のふつうの恋愛短編になってしまった。一人だけ異世界に住んでいるような黒崎の話をもっと読みたかった。

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2020/08/19

低温火傷。 そんな言葉がしっくりくる温度。 千早さんの綴る世界はそんな感じ。 ふわふわと漂っているように見えて 時にとても冷たく、時に燃えるように熱い。 現代人の微妙にアンバランスな心理の表裏を巧みに描く人だ。 短編集だが、終始 人との繋がりに形を持たせたいのに形にしてしまう...

低温火傷。 そんな言葉がしっくりくる温度。 千早さんの綴る世界はそんな感じ。 ふわふわと漂っているように見えて 時にとても冷たく、時に燃えるように熱い。 現代人の微妙にアンバランスな心理の表裏を巧みに描く人だ。 短編集だが、終始 人との繋がりに形を持たせたいのに形にしてしまうのが怖かったり、はたまたどう遺せば最善なのか、曖昧な形ないものに翻弄されながら日々を送る主人公たちの話。 ゆらゆら不安定な心情描写がどこかリアル。なんだよなぁ。 収録タイトル ほむら / てがた / ゆびわ / やけど / うろこ / ねいろ

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2019/07/03

再読でも面白かったです。 自分の恋愛観にしっくりくる恋愛小説は川上弘美さんのものだな、と思っていたのですが、千早茜さんのものもかなりしっくりくることに気付きました。 千早さんの恋愛小説は、表面は冷淡なくらい淡泊なのに、底の方では温度の高い青い炎が揺らめいている印象です。 空虚感を...

再読でも面白かったです。 自分の恋愛観にしっくりくる恋愛小説は川上弘美さんのものだな、と思っていたのですが、千早茜さんのものもかなりしっくりくることに気付きました。 千早さんの恋愛小説は、表面は冷淡なくらい淡泊なのに、底の方では温度の高い青い炎が揺らめいている印象です。 空虚感を持っていても、それでも、誰かと一緒に生きていこうとか、傷付いても人と関わっていこう、という思いも抱きます。 それでもいいよ、という赦しというか、こんな自分でも生きていてもいいかも、と思います。 お話は「やけど」「うろこ」が好きです。藤森と松本のこれからは明るい気がして。 千影さんも好き。皆さん幸せになれたらいいなと思いました。

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2019/05/18

1行目からすっと引き込まれました。 日常をつつがなく生きるために言いたいことに蓋をしたり、本心から目を背けたり、欲しいものを欲しがることをやめているのかもしれない。 人の決して表に出さない部分や自分でも気づいていない本心や欲望が、生々しくて読んでいてヒリヒリしました。 サキちゃ...

1行目からすっと引き込まれました。 日常をつつがなく生きるために言いたいことに蓋をしたり、本心から目を背けたり、欲しいものを欲しがることをやめているのかもしれない。 人の決して表に出さない部分や自分でも気づいていない本心や欲望が、生々しくて読んでいてヒリヒリしました。 サキちゃんと松本くんの話がとてもよかった。 それぞれの人物のことをあまり描き過ぎず曖昧なままで、その後どうなったかも描かれていない。 個人的にはストレスになる種類の短編集なのですが、だからこそぬるぬるとした余韻が残る1冊でした。

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2019/05/16

あとかた 千早茜さん。 第二十回島清恋愛文学賞受賞 登場人物が次々に物語の主役になる短編集。 それぞれの気持ちが、伝わった 。 おもしろかった。

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2019/02/14

恋愛において人それぞれの内面的な視点が描かれていて面白かった。私が実際に出会ったことがなくても、励まされることばが確かにある

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2018/06/30

 結婚を前にしながら浮気をしている女性たちの短編集。若干いびつな心情が丁寧に語られていて、共感しながら読み進めることができました。特に『ほむら』が好きです。 またそれぞれの作品から他の作品の後日談的なものが語られ、不意に嬉しくなったり悲しくなったり、単純に読みきれない本作に翻弄を...

 結婚を前にしながら浮気をしている女性たちの短編集。若干いびつな心情が丁寧に語られていて、共感しながら読み進めることができました。特に『ほむら』が好きです。 またそれぞれの作品から他の作品の後日談的なものが語られ、不意に嬉しくなったり悲しくなったり、単純に読みきれない本作に翻弄をされてしまいました。ふとしたときに読み返したくなるような、複雑な読後感でした。

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2017/12/13

ほむら・てがた・ゆびわ・やけど・うろこ・ねいろ 少しずつ絡まるそれぞれの物語が心地よい。 とてもよかった。

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