桜ほうさら(上) の商品レビュー
「きたきた捕り物帖」を読む前に読んでも良かったかな。でも、この内容だったら続きものをいう感じでもないのでOKです。すんなり入れたし、いいなぁと読後感も満足。
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『孤宿の人』に続いて、宮部みゆきさんの江戸もの、読みました。 『桜ほうさら』の、ほうさらとは何?と気になったのですが、「ほうさら」という言葉はなさそうでした。 ささらほうさらなら、聞いたことがあります。 いろいろ煩雑で、とっ散らかって、どれもうまくいかないようなニュアンスで使う...
『孤宿の人』に続いて、宮部みゆきさんの江戸もの、読みました。 『桜ほうさら』の、ほうさらとは何?と気になったのですが、「ほうさら」という言葉はなさそうでした。 ささらほうさらなら、聞いたことがあります。 いろいろ煩雑で、とっ散らかって、どれもうまくいかないようなニュアンスで使うかと思います。 この言葉、山梨県を中心に、長野県や静岡県の一部などで使うとありました。 『桜ほうさら』は、上総国の話なので、ささらほうさらとは関係ないのか?どうでしょうね? 桜とささら、一文字ちがうだけです。 ところどころに挿絵があって、表紙と同じく、絵本の絵のようなイメージ。 お話は、父が汚名を着せられたまま自死し、家は廃絶、母や兄にはどこか疎まれ、自身は江戸であまり当てにもならぬ真相探しのための生活をする、という、けして明るいわけではないものです。 が、挿絵や桜のイメージのように、どこかほのぼのと、柔らかい感じがします。 それは、おっとりと人のよさげな主人公、笙之介と、長屋の人々やとりまく江戸の町人たちとの温かいやり取りによるようです。 上巻では、他藩の出来事に首を突っ込んだり、桜の精のような女性との関係におたおたしたり、と、江戸へやってきた目的とは違うことに気を取られっぱなしの主人公。 コレから、父の汚名返上はかなうのか、とすれば、どうやって?と気になる下巻へ続きます。
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キタキタ捕物帳を読んでこの「桜ほうさら」が同じ世界ということを知ったので読んでみた。世界で言えば「初ものがたり」の茂七親分から連綿と続く同じ世界だということに古い読者は嬉しくなると同時に「初ものがたり」のような時代小説は今の宮部みゆきは書かないんだと感じるかもしれない。よく言えば...
キタキタ捕物帳を読んでこの「桜ほうさら」が同じ世界ということを知ったので読んでみた。世界で言えば「初ものがたり」の茂七親分から連綿と続く同じ世界だということに古い読者は嬉しくなると同時に「初ものがたり」のような時代小説は今の宮部みゆきは書かないんだと感じるかもしれない。よく言えば気負わず読める悪く言えば軽い。三島屋の百物語のシリーズも最近はメッキリ軽い。軽いことが悪いとも思わないし面白いのは間違いないんだけど、長く読んでる者としては少し寂しさも感じる 宮部みゆき自身歳をとって長いモノを書くのが大変と言っているのでそれも含めて宮部みゆきの新作を待ちたい
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文庫本のカヴァーイラストに惹かれてのジャケット買いの一冊。 宮部みゆきさんなので心配はしてなかったけど、さすがの内容。 主人公の住む長屋にはいろんな人がいて、現代なら到底、相手にされない ような人でもそれなりにお付き合いしくれる富勘長屋。 きっと貧乏でも気持ちに余裕があるんだろう...
文庫本のカヴァーイラストに惹かれてのジャケット買いの一冊。 宮部みゆきさんなので心配はしてなかったけど、さすがの内容。 主人公の住む長屋にはいろんな人がいて、現代なら到底、相手にされない ような人でもそれなりにお付き合いしくれる富勘長屋。 きっと貧乏でも気持ちに余裕があるんだろうと思う。 私なら文句言うだろなと思うけど、そんな生き方はつまらんぞと 富勘長屋のみんなからワイワイと話されて、ついでにおにぎりもらってる ような気分になります。そのまま下巻へ突入です。
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仇討ちをストーリーの中心としながら、文章は軽快でユーモアがあり、美しい風景描写、主人公ののんびりした性格もあって、全体としてはほのぼのとした中でさらっと読めてしまう。 桜や水面といった景色の描写から、暖かい春の日差しや風を感じたり、その場で目で見るような臨場感を味わうことが出来...
仇討ちをストーリーの中心としながら、文章は軽快でユーモアがあり、美しい風景描写、主人公ののんびりした性格もあって、全体としてはほのぼのとした中でさらっと読めてしまう。 桜や水面といった景色の描写から、暖かい春の日差しや風を感じたり、その場で目で見るような臨場感を味わうことが出来た。 登場人物が着ている着物や、商い物、お店の中の景色を色彩豊かに描かれており、また登場人物同士の心のやり取りを丁寧に描かれていて、それぞれの生活や心の動きを感じることができる。
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仇討ち物語かと思って読み出すと、そうではない身近な事件が頻発して解決に奔走する感じが少し笑えました。下巻はいよいよ犯人を突き止めることができるのか…。
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2024.01.04 ★4.2 続けて下巻を読むので感想はまとめてそこに。 ↓↓↓内容↓↓↓ 父の無念を晴らしたい――そんな思いを胸に、上総国から江戸へ出てきた古橋笙之介は、深川の富勘長屋に住むことに。母に疎まれるほど頼りなく、世間知らずの若侍に対し、写本の仕事を世話す...
2024.01.04 ★4.2 続けて下巻を読むので感想はまとめてそこに。 ↓↓↓内容↓↓↓ 父の無念を晴らしたい――そんな思いを胸に、上総国から江戸へ出てきた古橋笙之介は、深川の富勘長屋に住むことに。母に疎まれるほど頼りなく、世間知らずの若侍に対し、写本の仕事を世話する貸本屋の治兵衛や、おせっかいだが優しい長屋の人々は、何かと気にかけ、手を差し伸べてくれる。 家族と心が通い合わないもどかしさを感じるなか、笙之介は「桜の精」のような少女・和香と出逢い…。 しみじみとした人情にほだされる、ミヤベワールド全開の時代小説。 タイトルの「桜ほうさら」は、甲州や南信州の「ささらほうさら」(いろいろなことがあって大変という意味)という言葉に桜をからめた言葉。桜の季節に始まる心温まる物語。
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「きたきた捕物帖」シリーズの北一が住んでいる富勘長屋の部屋の前の住人の話、みたいな事が書かれてたので読んでみた。思ってたとおり面白い。 訳あって主人公の古橋笙ノ介は、国許の搗根藩(とうがねはん)を出て今は江戸で暮らしている。重責を担っているんだけど、毒母と離れる事もできたし江戸...
「きたきた捕物帖」シリーズの北一が住んでいる富勘長屋の部屋の前の住人の話、みたいな事が書かれてたので読んでみた。思ってたとおり面白い。 訳あって主人公の古橋笙ノ介は、国許の搗根藩(とうがねはん)を出て今は江戸で暮らしている。重責を担っているんだけど、毒母と離れる事もできたし江戸で日常を送っている方が笙ノ介にとっては幸せかな。自分らしく生きている。 今回読んでて面白いと思ったのが、庶民の暮らしぶりを垣間見れたこと。特に娯楽の部分が上手に描かれてると思う。富勘長屋のみんなとお花見に出掛けたり、そこで行われた大食い大会、笙ノ介が貸本屋の治兵衛に頼まれた仕事の一つ、起こし絵(今で言うドールハウスみたいなものだと思う)など。読んでて私も楽しい気持ちになった。 これと同時に描かれてたのが、貧困の話。笙ノ介も江戸の華やかさに感激しつつ、後ろめたさを感じてた。国許の庶民の生活とあまりにも違ってた。貧しい藩だったので、自分ばかりこんな贅沢をしててもいいのか?と。笙ノ介の国許だけでなく江戸でも貧しい庶民たちが多い。その事に心を痛めてる笙ノ介は優しくて好き。最後の長堀金吾郎とのやり取りはジーンときた。笙ノ介も貧しいという事をもっと深く考えたと思う。 優しい笙ノ介の周りにはやっぱり優しい人たちが集まってくる。富勘長屋の住人たち、貸本屋の治兵衛、笙ノ介の主人の東谷などまだまだいっぱいいる。彼らのおかげで穏やかに暮らしているんだなと、ほっこりしてしまう。いい出会いもあり、このままこの生活が続けばいいんだけどな。 笙ノ介は父の問題、藩の問題を解決できるのか?話の続きが気になるんだけど、下巻は波乱がありそうなんだよなー。
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ヒロインが、かたくなで内弁慶で、だけど、理知的でおきゃんで、いかにも思春期で、同性から見るととてもかわいい。登場は幻想的で、血の通った登場人物なのかしら、と思わせるぐらいなのに、このギャップも楽しい。 第ニ章の三八野愛郷録がいい。まずいと有名でお客のこないウナギ屋の座敷の唐紙と...
ヒロインが、かたくなで内弁慶で、だけど、理知的でおきゃんで、いかにも思春期で、同性から見るととてもかわいい。登場は幻想的で、血の通った登場人物なのかしら、と思わせるぐらいなのに、このギャップも楽しい。 第ニ章の三八野愛郷録がいい。まずいと有名でお客のこないウナギ屋の座敷の唐紙と障子に、童心のままに、謎かけの文字をみんなで書くところなど、楽しい。もちろん、宮部さんのことだから、それだけでなく、しんみりとさせられるのだけど。
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本作の主人公、笙之介が名前だけ登場する「きたきた捕物帖」を読んだのが再読のきっかけ。再読でも十分に楽しめた。 表面的な格好よさとは無縁な笙之介だが、心優しく、人を見る目を持った魅力的な人物である。 ストーリーを追うというより、笙之介と和香、個性ある長屋の人々との交流をゆっく...
本作の主人公、笙之介が名前だけ登場する「きたきた捕物帖」を読んだのが再読のきっかけ。再読でも十分に楽しめた。 表面的な格好よさとは無縁な笙之介だが、心優しく、人を見る目を持った魅力的な人物である。 ストーリーを追うというより、笙之介と和香、個性ある長屋の人々との交流をゆっくり味わう作品だと思う。 ※上下巻通しての感想です。
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