桜ほうさら(上) の商品レビュー
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目次 ・富勘長屋 ・三八野愛郷録 まず最初の「富勘長屋」で主人公の過去と現在、そして主たる登場人物の紹介がされる。 上総国(千葉県)の搗根(とうがね・今の東金か?)藩の小納戸役・古橋宗左右衛門の次男・笙之介は、気弱だが正直一遍の父が身に覚えのない罪を着せられ腹を召した(切腹)事件の真相を探るべく、江戸へとやって来る。 世間知らずで頼りのない笙之介を長屋の面々はそれぞれのやり方で面倒を見、笙之介もまた自分の出来ることで困っている人を助けたりする。 そのやり取りそのものが、ある意味笙之介の修行なのだけど、自身の弱さを認めることの出来る強さ、というのが笙之介にはある。 だから、コンプレックスは抱えつつも、卑屈になることなく、素直な目と心を失うことがない。 気弱な父に比べて、気の強い上昇志向の強い母と舞芸達者な兄。 家族と言ってもウマが合ったり合わなかったりするが、笙之介は母も兄も大切に思っている。 父と「母上の勘気にも困ったものだ」と首をすくめながら笑い合う、そんな生活が出来ればよかったのだろうが、父の死によってそれはもう叶わない。 笙之介は父の汚名をそそがねばならないのだ。 とはいえ淡い恋心あり、日々の糧のために働かなくてもならないため、探索は遅々として進まない。 上巻を読み終えた感じでは、下巻だけで解決するのか?っていうくらい進んでいない。 さて、笙之介、どうする。
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求めるもの!に大きな違いがある時、家族への親愛などは何処かへ追いやられてしまうらしい。それどころか身近にあるがゆえ憎しみに変わる。笙之介君頑張れ!!
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笙之介の背負うモノが悲しすぎる。 敬愛する父が非業の死をとげ、兄も母も寄り添ってはくれない。 それでも、江戸に出て富勘長屋で出会う人々が温かい。 子供たちに手習いをおしえる武部先生がかっこいい。 食えない親父感満載の東谷の言動についにやり。 笙之介が父の死の真相を求めて探す偽文書...
笙之介の背負うモノが悲しすぎる。 敬愛する父が非業の死をとげ、兄も母も寄り添ってはくれない。 それでも、江戸に出て富勘長屋で出会う人々が温かい。 子供たちに手習いをおしえる武部先生がかっこいい。 食えない親父感満載の東谷の言動についにやり。 笙之介が父の死の真相を求めて探す偽文書作りの犯人はいずこ。 和香との関係はどうなっていくのか。 下巻へ続く。
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宮部さんは大好き。こんな有名な作品を読み残してたといそいそ読んだ。が、確かに外れてはないと思うが、江戸人情物は西條さんが好きなので、宮部さんにはミステリーを強く期待します。
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父がある咎により引っ立てられたことを苦に自殺、一家の離散というとんでもない状況に主人公は置かれているのだが、主人公の性格ゆえか、物語はゆっくりとしたスピードで進む。読み進めていくと、そのような状況下に置かれていることすら忘れてしまうくらいほのぼのした印象を受ける。根本には父の死...
父がある咎により引っ立てられたことを苦に自殺、一家の離散というとんでもない状況に主人公は置かれているのだが、主人公の性格ゆえか、物語はゆっくりとしたスピードで進む。読み進めていくと、そのような状況下に置かれていることすら忘れてしまうくらいほのぼのした印象を受ける。根本には父の死の真相を探るというテーマはあるが、物語はそこに固執することなく、主人公は他からやってきた人の相談に乗ったりしており、スピード感をそれほど感じない。いい意味で疾走感のないミステリーといった感じ。 主人公もさることながら、周囲の人々もいい人揃い。心の内がチラホラ書かれており、江戸深川の人情味溢れる内容が全面的に展開されている。この上巻はミステリーというよりは、人情ものとしての感触が強い。 印象が強い。
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上下巻の上。 久しぶりの宮部みゆきだったが、安定の面白さ。 読んでる途中ですかさず下巻も購入。 あれこれとした過去と少々きな臭い使命を帯びた若侍の人となりと、愛すべき人の良さが存分に描かれた上巻だった。"事情"を抱えた少女とのほのかな恋模様からも、目が離せな...
上下巻の上。 久しぶりの宮部みゆきだったが、安定の面白さ。 読んでる途中ですかさず下巻も購入。 あれこれとした過去と少々きな臭い使命を帯びた若侍の人となりと、愛すべき人の良さが存分に描かれた上巻だった。"事情"を抱えた少女とのほのかな恋模様からも、目が離せない。すかさず下巻へgo♪ ★4つ、9ポイント。 20190.05.14.新。 ※古橋が抱えた事情を鑑みると、下巻はおそらくきな臭さが増すのだろうなという確信と、下巻裏表紙のあらすじ書きに"悲しい事実を知り決断を下す"というくだりから、ハッピーエンドとはならないのだろうという不安が……(苦笑)。 ※話は全く変わって・・・(普段は小説を読み返すことなどほとんど無いのだけど)『ぼんくら』のシリーズを再読したくなった。
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貸本屋、江戸屋敷、長屋暮らし、花見、起こし絵、料理屋 どんくさい田舎侍の目を通して江戸暮らしが生き生きと描写される。不必要なものがない、研ぎ澄まされた文章はいつもスッキリした読了感に繋がっている。さすがです。
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宮部 みゆきの時代小説、たまに読むのもいいね。 甲州や南信州の「ささらほうさら」(いろいろなことがあって大変という意味)という言葉に 桜をからめたタイトル 「桜ほうさら」 上を読み終えたら、すぐに下を読もう! 2016/01/02 家族から読み終わったのをもらい、読み始める...
宮部 みゆきの時代小説、たまに読むのもいいね。 甲州や南信州の「ささらほうさら」(いろいろなことがあって大変という意味)という言葉に 桜をからめたタイトル 「桜ほうさら」 上を読み終えたら、すぐに下を読もう! 2016/01/02 家族から読み終わったのをもらい、読み始める。2/11 読み終わる。 内容と著者は → [more] 桜ほうさら(上) (PHP文芸文庫) 内容 : 人生の切なさ、ほろ苦さ、人々の温かさが心に沁みる、宮部時代小説の真骨頂! 父の無念を晴らしたい――そんな思いを胸に、上総国から江戸へ出てきた古橋笙之介は、深川の富勘長屋に住むことに。 母に疎まれるほど頼りなく、世間知らずの若侍に対し、写本の仕事を世話する貸本屋の治兵衛や、おせっかいだが優しい長屋の人々は、何かと気にかけ、手を差し伸べてくれる。 家族と心が通い合わないもどかしさを感じるなか、笙之介は「桜の精」のような少女・和香と出逢い…。 しみじみとした人情にほだされる、ミヤベワールド全開の時代小説。 タイトルの「桜ほうさら」は、甲州や南信州の「ささらほうさら」(いろいろなことがあって大変という意味)という言葉に桜をからめた言葉。 桜の季節に始まる心温まる物語。 著者 : 宮部 みゆき
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父の無念を晴らしたいという思いを秘め、江戸深川の貧乏長屋に暮らす若侍・笙之介。心優しい周囲の人々との交流や桜の精のような少女・和香との出逢いを描く時代小説。 きれいごとだけでは生きていけない人間社会は、古今東西何時でも同じ。そんな中でも、信じあい、助けあい、愛しあうことも出来るの...
父の無念を晴らしたいという思いを秘め、江戸深川の貧乏長屋に暮らす若侍・笙之介。心優しい周囲の人々との交流や桜の精のような少女・和香との出逢いを描く時代小説。 きれいごとだけでは生きていけない人間社会は、古今東西何時でも同じ。そんな中でも、信じあい、助けあい、愛しあうことも出来るのが人間の力である。宮部さんの時代小説には、いつも人間の可能性を無限大に感じることができる。
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文学とミステリーを織り交ぜた時代物。これはとっても面白い。ぜっんぜん武士らしくないんだけれど矜持の高さは感じられて、主人公の笙之助にとても好感が持てました。家族との折り合いが悪い、というのが辛い所ですが、今の彼を支える面々はみなとても良い人で魅力的。和香が外見にコンプレックスを抱えながらも、きちんと気の強い女の子なのも素敵でした。事件の真相に一歩迫れたような気配を見せて上巻は終わり。下巻も楽しみです。
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