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空白を満たしなさい(上巻) の商品レビュー

3.8

93件のお客様レビュー

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  2. 4つ

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  3. 3つ

    23

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2022/01/04

面白かった!!一巡目は重たくて苦しくて心臓のドキドキだった。何かが気になってもう一度佐伯の言葉を読み返してみた。(もし仮に自分が徹生だったとしたら、佐伯の言葉を思い返す時点で本当に擬態してる感じがする!)読んでいる最中は徹生のようにパニックでこいつは何を言ってるんだ…と感じた。イ...

面白かった!!一巡目は重たくて苦しくて心臓のドキドキだった。何かが気になってもう一度佐伯の言葉を読み返してみた。(もし仮に自分が徹生だったとしたら、佐伯の言葉を思い返す時点で本当に擬態してる感じがする!)読んでいる最中は徹生のようにパニックでこいつは何を言ってるんだ…と感じた。イライラもした気持ち悪くも感じだ。でも読み終わって再度佐伯と千佳の会話を読み返してびっくりした。 自分は佐伯派だった。むしろ言い得ていて確信をつきすぎて言い返せず受け入れることもできなかったのかもしれない。 相手を受け入れ理解することは自分に余裕がある時だけだと思う。それに気づけれた。私生活でもきっとそうだとおもう。イライラして反発して言い返したくなる時もあるけど相手を否定して何になるんだろう。それが全てな訳でもないし場合によっては立場と口論の場所が違えば認めざるおえない時だってくる。自分をコントロールできるようになればすごい楽になれるのにとおもった。 幸福を言葉で表現している部分に作者に感動した。自分の価値観と自分自身とが合致すること素晴らしいと思った。ちなみに私は現時点ではお風呂に対して1番の幸福と感じとメモしておく。見返す時の幸福と違っていたら、またそれはそれでおもしろいな笑。社会に植え付けられた価値観と自分自身がが合致ひないのは当たり前だとおもった。本当に徹生は自殺したかったから自殺した。自分の死を選択することそれを周りが止めることは周りのエゴなんじゃないかとおもった。

Posted byブクログ

2022/01/01
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

分人の概念が、一番わかりやすく説明されていた 人格の切り替えではなくて、mixture、他者との交流によってその割合は変わる 自殺の説明として、分人概念を持たず、ある分人を消そうとして自分全体を消してしまう ゴッホの例

Posted byブクログ

2021/11/15

3年前に死んだ主人公が生き返った (復生) ところから物語が始まる。現実感のない設定にもかかわらず、人々の感情や行動の描写がものすごい克明であり、著者は復生者なのではないかと思ってしまった。 自分が死んだときに各コミュニティに空く穴のことや、その穴の埋められ方について、考えるだけ...

3年前に死んだ主人公が生き返った (復生) ところから物語が始まる。現実感のない設定にもかかわらず、人々の感情や行動の描写がものすごい克明であり、著者は復生者なのではないかと思ってしまった。 自分が死んだときに各コミュニティに空く穴のことや、その穴の埋められ方について、考えるだけで寒気がする。だからずっと目を背けていたのだが、これだけ克明に描かれると否が応でも考えてしまう。 一刻も早く下巻を読み、結末を迎えたい。

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2021/11/12

分人をテーマにした小説。 私とは何か  という別本で連載されている分人主義という考え方を小説で表現している。

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2021/10/15

まず、思ったのは 生き返るって まあ何かのかげんで息を吹き返したとしても 肉体はどーすんの? 灰になってるでしょ? しかもそういう現象が増えてきている世界設定 でもね 読んでいるうちに そんなことよりいろいろ考えちゃうんだよね とくにあの佐伯という男の言葉には 胸が悪くなるよ...

まず、思ったのは 生き返るって まあ何かのかげんで息を吹き返したとしても 肉体はどーすんの? 灰になってるでしょ? しかもそういう現象が増えてきている世界設定 でもね 読んでいるうちに そんなことよりいろいろ考えちゃうんだよね とくにあの佐伯という男の言葉には 胸が悪くなるような嫌悪感を覚えるんだけど 読んでいるうちに 主人公の徹生と一緒になって 精神をかき回される感じになるんだよね そのほかにも 誰かが死んだらそこに穴が空いて 残った者たちは穴が空いたままだとつまずいて進めないから必死で穴を埋めようとする やっと穴が塞がったところへ帰って来られても 戻る場所はないって 辛い 奇跡が起きたとしても現実は厳しい このあとどうなるのか全くわからない すぐに下巻を読む

Posted byブクログ

2021/07/29

人には裏と表があるというが、一人でいる時も他人といる時も、好きな人といる時も全部含めてあなたなのよ、空白も愛するの そして、この小説終わり良かったなぁ、光

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2021/06/29

物語調の哲学書のような本でした。 消したい自分の分人があって、いずれ無くなれば生きやすいのになぁなんて思うこともあるけど、 「好きな自分でいられる人と多くの時間を過ごす」というシンプルな答えがあり、優しい本だなと思いました。 確固たる自分なんて無くて良いし、24時間完璧で...

物語調の哲学書のような本でした。 消したい自分の分人があって、いずれ無くなれば生きやすいのになぁなんて思うこともあるけど、 「好きな自分でいられる人と多くの時間を過ごす」というシンプルな答えがあり、優しい本だなと思いました。 確固たる自分なんて無くて良いし、24時間完璧で同じ自分でなくても良いと思えて楽になりました。

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2021/03/15

「空白を満たしなさい」 図書館の予約待ち、だいぶかかりましたが、やっと回ってきたので読みました。 平野啓一郎の自信作みたいですね。 3年前に死んだ男が生き返った、という話。 もちろん、遺体も焼かれ、骨も墓に入っているのに生き返っている。 そのあたりの矛盾は説明一切なし。 そんな点...

「空白を満たしなさい」 図書館の予約待ち、だいぶかかりましたが、やっと回ってきたので読みました。 平野啓一郎の自信作みたいですね。 3年前に死んだ男が生き返った、という話。 もちろん、遺体も焼かれ、骨も墓に入っているのに生き返っている。 そのあたりの矛盾は説明一切なし。 そんな点はP.K.ディックのSFに似ているが、これはSFではない。 自分の死因が自殺か他殺かを調べていくところからスタート。 シチュエーションはとてもうまく、どう回していくのかが難しい作品だけど、 行き着くところは、平野氏が唱える「分人」。 個人ではなく、個人の中に存在する分人。 分人は多重人格とも違う。 この概念、どうなんだろう。 これから彼は持論として展開していくようだけど、概念としてのこるのか、 それとも空振りに終わるのか。 「日蝕」を読んだトラウマがあるので(そういう人が多いかも)、 平野作品というと腰が引けるが、 この作品は読みづらい漢字や意味が分からない言葉は出てきませんのでご安心を。

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2021/03/05

一度死んだ後生き返った1人の男の話。 単なるSFではなく、生きることの尊さを教えてくれる作品。 個人を複数の人間に分割する「分人」という考え方はすごく論理的で目から鱗だった。現代社会における人間関係はこの考え方で全て説明できると確信した。

Posted byブクログ

2021/02/04

私とは何か。 平野啓一郎さんのこの作品を読んでから、すっかり「分人」という捉え方の虜になっている。 この作品の中で、平野さんは対人関係ごとの様々な自分のことを「分人」と定義づけている。(「私とは何か、P7」)つまり、人間を「分けられる」存在とみなし、恋人との分人、両親との分人、職...

私とは何か。 平野啓一郎さんのこの作品を読んでから、すっかり「分人」という捉え方の虜になっている。 この作品の中で、平野さんは対人関係ごとの様々な自分のことを「分人」と定義づけている。(「私とは何か、P7」)つまり、人間を「分けられる」存在とみなし、恋人との分人、両親との分人、職場での分人など、人は必ずしも関わる人全員の前で同じ顔をしているわけではなく、対人関係ごとに複数の顔があるという考え方である。 当時のレビューを参考にしながら、書く。 「本当の自分」が一人しかいない、という考え方は、人を苦しめる。平野さんは、リストカットや自殺を「分人」の視点から解説する。 (P59)もし、たった一つの「本当の自分」しかないとするなら、自己イメージの否定は自己そのものの否定に繋がってしまう。先の話になるが、私は、『空白を満たしなさい』という小説で、この主題を日本の自殺者問題と併せて更に深く考えることにした。 そして、自殺については、以下のように解説する。 (P125)人間が抱えきれる分人の数は限られている。学校で孤独だとしても、何も級友全員から好かれなければならない理由はない。友達が三人しかいないと思うか、好きな分人が三つもあると思うかは考え方次第だ。(中略)そうして好きな分人が一つずつ増えていくなら、私たちは、その分、自分に肯定的になれる。否定したい自己があったとしても、自分の全体を自殺というかたちで消滅させることを考えずに済むからだ。 つまり、本作品「空白を満たしなさい」は、「分人主義」と「自殺問題」という二つを主題として描かれているのだ。上巻では、亡くなったはずの主人公が生き返る場面から始まる。そして、なぜ亡くなったかについては「自殺」だということを知らされる。その衝撃的な事実を前に、主人公が真相を確かめようとする、というストーリーである。設定がSFのような世界観にも関わらず、読者を現実世界にいるかのように伝える筆致は素晴らしく、ミステリーのように、謎を解いているような面白さがある。また、文体が美しく軽やかな中に、平野さんの知的さが横溢している。辞書で漢字を調べながら本を読んだのは久々の体験だった。 (P115)「私は多分、あなたが羨ましいんでしょう。妬んでるんですかね。…家族を養うことが幸せだって!違います。そう思い込めること自体が幸せなんです。」 (P206)「人間の幸福というのは、つまり、自分の価値観と自分自身とが合致してる実感じゃないですか?」 (P235)過去の不幸に現在を奪われないためには、未来の幸福へと駆け込む以外にない。 上巻では「幸福」がキーワードだったように思います。いや、今自分が幸福について考えているから、ちょうど重なっただけかもしれないけれど。 今後、分人がどう関わってくるのか。下巻へとつづきます。

Posted byブクログ