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空白を満たしなさい(上巻) の商品レビュー

3.8

93件のお客様レビュー

  1. 5つ

    17

  2. 4つ

    36

  3. 3つ

    23

  4. 2つ

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2023/07/02

すごく面白かった!平野啓一郎先生の本はこの本が初めて。オーディオブックで完聴。 自分が死んだあとに生き返る(復生)するという有り得ない設定ながら、登場人物の動きや分人主義という考え方や先が気になって読み進めるのが止まらなかった。 自分が自殺したあとに蘇ったら、自分の夫が蘇ったら、...

すごく面白かった!平野啓一郎先生の本はこの本が初めて。オーディオブックで完聴。 自分が死んだあとに生き返る(復生)するという有り得ない設定ながら、登場人物の動きや分人主義という考え方や先が気になって読み進めるのが止まらなかった。 自分が自殺したあとに蘇ったら、自分の夫が蘇ったら、などと空想しながら読み進めたが、自分の立場と重ねて、夫の自殺という乗り越えるのが難しい壁をやっと乗り越えたところで夫が蘇えったら、嬉しい反面、この3年間は何だったんだろうと考えてしまうだろう。 途中出てくる佐伯という男の気味の悪さは印象的ではあるが、同意できる部分もあった。 命の価値って、重さって、何なんだろう。 自分の中に複数ある顔、分人。同じ生身の人間から発せられた分人同士なのに、その中の他者を消す。 自分自身でも、あまり好きじゃない自分の顔はある。それを消すのは殺人なのか、自殺なのか。 物語の途中、複生者たちが消えてしまう下りがあるが、私の理解不足たとは思うが、何故消えてしまったのかは私には分からなかった。

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2023/06/25

自殺をした主人公。 自分が自分を殺すとはどういうことか。 かつて誰かを守る部分だった自分が、表立っている自分を殺す。 少女革命ウテナでいう、アンシーがウテナを殺すみたいなことだね。あれってアンシーとウテナは実は同一人物だからね。 自殺について、よくわかってると思うよ。 私もかつ...

自殺をした主人公。 自分が自分を殺すとはどういうことか。 かつて誰かを守る部分だった自分が、表立っている自分を殺す。 少女革命ウテナでいう、アンシーがウテナを殺すみたいなことだね。あれってアンシーとウテナは実は同一人物だからね。 自殺について、よくわかってると思うよ。 私もかつて母を守る部分だった私が、彼を守ろうとし、表の自分と破綻を起こした。守るものは、守るべきモノでないと、やっぱり守りにくいね。信頼できる、守るべきモノじゃないと。裏切るものを守っていたら、自分の身が持たないよね。

Posted byブクログ

2023/06/15

3年前死んだはずの主人公がある日突然「復生者」として生き返った。 自分が死んでも回り続けていた世界に、自分の居場所はなくなっていて…… 生き直そうと必死にもがく主人公。 佐伯という人物がとにかく気持ち悪い。 後半、物語が動き出して続きが気になる。

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2023/08/24

死んで生き返った「復生者」の主人公と、彼をとりまく人々の話。死因は自殺と言われているが本当なのか?などミステリー要素も。 生き返ったらどうなる?というテーマひとつから膨大な思考や出来事が発生していて、それらはどれも納得のいく流れで、突飛な設定にもかかわらずリアリティがすごい。読み...

死んで生き返った「復生者」の主人公と、彼をとりまく人々の話。死因は自殺と言われているが本当なのか?などミステリー要素も。 生き返ったらどうなる?というテーマひとつから膨大な思考や出来事が発生していて、それらはどれも納得のいく流れで、突飛な設定にもかかわらずリアリティがすごい。読み応えがあって面白かった。 自殺について、ひいては死について、考えさせられた。 自殺とは、単純に「1人で自分の人生を終わらせること」ではなく「自分を殺す」ということであり、もししてしまったらその人は紛れもなく「自分を殺害した犯人」なのだ、と認識させられた。「殺される被害者」のつもりでいても実際には「殺す加害者」「殺人犯」になる。 自殺しようとする人がもし何らかの目的をもって死を選んだとしても、その目的は果たされない可能性が高いようにも感じた。たとえば自分が死ぬことで周りの人に後悔させたい苦しめたいとか、あるいは自分がこれほど苦しんでいたと知ってほしいとか思って死んでも、すべての人は複雑で、想像通りの受け止め方をしてくれるとは限らない。むしろ全く期待に添えない形になることが多いように見えた。せっかく自分の最高限度のアイテム「命」をベットしたとしても、その賭けは当人が思うよりずっと勝てる可能性が低そうだ。生きている間も他人を思い通りに動かすことなど基本的にできないのだから、死んでその場にいなくなったら更に難しくなるのは当然かもしれない。 また、この世には「人は死に、二度と生き返らない」ということを前提に成り立っていること・ものがこんなにもたくさんあるんだなと再認識した。意外と社会の全員が死を受け入れて生きているようだ。 この前提が崩れるだけで一気にバランスが崩れてしまう。単純に葬儀屋や保険屋の仕事が成り立たなくなるとかもそうだし、宗教とか、人の価値とか、色んなことがめちゃくちゃになる。死んだ人を美化したり、その人が今も心の中にいてくれると思ったり、そういう心の保護壁も砕かれる。 自分たちがこんなにも死に支えられて生きているなんて知らなかったし、逆に、他者の死に直面した人を支えるものがたくさんあることにも気付かされた。 登場する佐伯という人物があまりにも嫌すぎて、この人が出てくるとかなり読むのがきつかった。この世の「嫌」をかき集めて1人の人間を作ったような、嫌悪の擬人化みたいな存在。吐き気を催すレベルの気持ち悪さ。そんなやつが最低最悪なことをもっともらしく堂々と喋り、主人公らも読み手も「もしかしてこいつの言うとおりなのかな」と引っ張られそうになり、なんとか踏みとどまって抵抗する。 今後こいつとの絡みも含めて話がどう展開するのか気になる。でもできればもう出てこないでほしい…くらい本当に無理……でもこいつの言う通りだったらどうしよう……うう……

Posted byブクログ

2023/04/25

ドラマが面白く、先が待ちきれずに原作を読んだ。 自分が死んでから(自死)3年後に自分としてまた生きる。そして自分が死んだ理由を探すという設定があり得ないはずなのに妙にリアルで。旦那を亡くして3年をとにかく生きた妻、自分との記憶がほとんどない息子、確執のあった義理の親との関係など、...

ドラマが面白く、先が待ちきれずに原作を読んだ。 自分が死んでから(自死)3年後に自分としてまた生きる。そして自分が死んだ理由を探すという設定があり得ないはずなのに妙にリアルで。旦那を亡くして3年をとにかく生きた妻、自分との記憶がほとんどない息子、確執のあった義理の親との関係など、再構築する様は、ただ生きているだけではなかなか踏み出せないものばかりだった。

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2023/03/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

平野啓一郎さんの本はやはり読みやすい…情景が簡単に思い浮かべられるというのが読んでいて嬉しい事だなと思う。 自分の身内が亡くなってから3年後に生き返ってきたらどんな気分だろう。1年とかなら嬉しいと思うが3年となると微妙な気がする。もう亡くなったことを受け入れていたのに…という感じで。こんなことが現実世界になくて良かったな…嬉しい人も居ると思うが自分はそれよりも生き返ってからの辛いことの方が多そうだと感じた。 徹生結局自殺だったのか… でもまだ何かどんでん返しがありそうで楽しみだ。

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2023/03/04

前半は、死んだ人が世界中で次々と生き返るって話でありえない設定だったのでなかなか物語に入り込めなかった。感想は下巻に続く→

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2023/01/27

死んだはずなのに3年ぶりに生き返った徹生。しかしその死因は「自殺」。愛する妻と子供を置いて本当に自殺していたのか。 上巻読んで、続きがめちゃめちゃ気になる… 徹生は果たして自殺なのか殺されたのか。殺されたのなら誰が犯人なのか気になるし、怪しい人々も。

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2022/10/31

三年ぶりに生き返った(復生した)徹生。 復生した事で苦しみ感謝し、さらに怯えながら周囲を慈しむ。 なんだかずっと気味が悪い… さて下巻でどのような着地点が待っているのか楽しみ。

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2022/09/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

死や死後の世界が一つのテーマ。死者が大勢蘇って社会が混乱する、という設定は、星新一っぽい。星新一の長編版のような雰囲気もある。 主人公の父は36歳で亡くなっていて、主人公は自分がその年齢に近づくことに、特別な思いを持っている。それは著者本人の経験だと、ラジオのインタビューで聞いた気がする。主人公の造形に、著者自身が強く反映されているのだろうか。 タイトルの「空白」には、様々な意味がある。1歳で父が亡くなったので、主人公の父の思い出は空白。想像し、信じるしかない。主人公は、自分も父のように突然早死にするかもしれず、だからこそ、生きている間に生の充実を実感したいと願う。生という空白を満たそうとする。空白はまた、主人公の死の直前の記憶がないことも意味する。 死がテーマなので、宗教・信仰に通じるようなことが出てくるのが面白い。主人公は、死後の世界を否定しているが、生前の父に思いをはせるところは信仰的だと思った。また、たくさんの事例があるので、死者の復活を「暫定的に」受け入れる安西は、宗教に対する一つの態度を表していると思った。 上巻は、物語にのめり込んで一気に読み進めたくなるという感じではなかったが、文章を読む楽しさを感じられた。「、」がかなり多い文体。時々難しい言葉が出てくる。「到頭」「跫音」「罅割れ」など。

Posted byブクログ