この世にたやすい仕事はない の商品レビュー
情熱を傾けていた仕事に手ひどく裏切られた女性が、様々な仕事を体験しながら、自分のほんとうにやるべき仕事を感じ取ってゆくという、津村先生らしいシニカルさが利いたお仕事小説、です。 5つの仕事はどれもユニークながら、そこでの人間模様やエピソードはどこか身近で、ツッコミつつそれをいつ...
情熱を傾けていた仕事に手ひどく裏切られた女性が、様々な仕事を体験しながら、自分のほんとうにやるべき仕事を感じ取ってゆくという、津村先生らしいシニカルさが利いたお仕事小説、です。 5つの仕事はどれもユニークながら、そこでの人間模様やエピソードはどこか身近で、ツッコミつつそれをいつしか鮮やかにこなす主人公はどこか只者でなさを感じたりはします。 しかし仕事って結局どんなに機械化されようがかならず人間同士でやりとりしなくてはいけないから、どこかでそれを受け止めてやりくりしたりやり過ごしたりしてこなしていくしか、ないよなあ…などと思ったりしたのでした。 登場する人々がいい意味で庶民的で、良い人間・悪い人間とカテゴライズされていなくて血が通っている感じがします。そのおかげで余計に(仕事が独創的でありながら)地に足の着いた、良い意味で力の抜けたエンタメ小説として楽しめるのかな、と思います。
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かる~く読み始めたけど どううしてどうして奥が深い! お仕事大変なんてへこたれそうになった時 助けてくれる言葉がたくさんある。
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主人公が渡り歩く5つの仕事は、どれも風変わりなものばかり。 ちょっと不思議な連作お仕事小説です。 私的には、「おかきの袋のしごと」が面白そうでした。 とりあえず、次のおやつの時間から、お煎餅の袋の裏面を熟読してしまいそうです。
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アラフォーの女性が長年続けた仕事を辞め、仕事を転々とする物語。 その新たに就く仕事が、どれもこれも珍しいもので、本当にこんな仕事あるのかなぁと思いながら読んだ。 ハローワークでこんな仕事ないし、そもそもこんなに職を転々とさせてくれないよなぁ、とも。 一章につき、一度か二度、前職...
アラフォーの女性が長年続けた仕事を辞め、仕事を転々とする物語。 その新たに就く仕事が、どれもこれも珍しいもので、本当にこんな仕事あるのかなぁと思いながら読んだ。 ハローワークでこんな仕事ないし、そもそもこんなに職を転々とさせてくれないよなぁ、とも。 一章につき、一度か二度、前職について語られるのだけれど、『燃え尽き症候群』『前職での人間関係の悩み』『身体的にも精神的にも焼き尽くされた』などの文章や、善意の押し売りに敏感だったり、良い人を疑ってかかったり、主人公の性格や洞察力などから、もしかして前職は……とかなり高い確率で予想していたものが最終章で見事に当たり、辛くなった。 今の自分と酷似していて。 この物語は、まるで私の今後のようだと思った。 5つの短期労働を通して、主人公は元の仕事に戻ろうとする。 私が『もう二度と就きたくない』と思っている分野の仕事に。 普通に考えれば、再び天職に就こうとするポジティブな幕引きなのだろうけど、私には新たなる地獄の始まりなんじゃないかなと思えてならない。 確かに『たやすい』仕事なんてない。 でもあの分野の仕事は確実にそこで働く人間を食い物にする。 良い人ばかりを食い物にする。 この主人公、燃え尽きては休み、燃え尽きては休みを繰り返すんじゃないかな、と心配でならない。 架空の人物なのにw
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仕事はそれなりの時間と精力を捧げているゆえ、それに影響されずにはいられない。主人公が同じでも、仕事が変われば世界が変わった。 共通しているのは、主人公の希望で選ばれた退屈、単調そうだがありふれておらず、得体のしれない仕事だ。どの仕事にも、得体のしれないスリルが出てきて、惹きつけら...
仕事はそれなりの時間と精力を捧げているゆえ、それに影響されずにはいられない。主人公が同じでも、仕事が変われば世界が変わった。 共通しているのは、主人公の希望で選ばれた退屈、単調そうだがありふれておらず、得体のしれない仕事だ。どの仕事にも、得体のしれないスリルが出てきて、惹きつけられる。 主人公が仕事との不適切な関係を作り出す、好奇心か真面目なのか、働き過ぎてしまうというのもおかしいが、そういう所がうらやましかった。私はその気持ちをコントロールしなければ、心身ともに続かないと気づき、消したり押さえ込んだりした。仕事に人生を乗っ取られたくない気持ちがある。乗っ取られてしまえば誰でも、ぽっかりと口をあけたスキマに落ちてしまうかもしれない。それでも終われないから、バタバタとあがく。やはり、この世にたやすい仕事はない。
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うーん、、、新卒で就職した仕事をやめた女の人が色々とかわった仕事を経験していくストーリー。 印象に残ったのは主人公のテンションの低さ。読んでるこっちにまで伝染しそう。 仕事のやる気が引き出されるかなと思って読んだけど、 逆に仕事へのやる気が萎えてしまった。 色々出てくる変わっ...
うーん、、、新卒で就職した仕事をやめた女の人が色々とかわった仕事を経験していくストーリー。 印象に残ったのは主人公のテンションの低さ。読んでるこっちにまで伝染しそう。 仕事のやる気が引き出されるかなと思って読んだけど、 逆に仕事へのやる気が萎えてしまった。 色々出てくる変わった仕事の内容は面白いけど、どの話も結構謎が多くて不気味な感じ。
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読後感がとてもさわやかな小説だった。また、がんばろうと単純に思えた。何があっても、これが人生なんだと思おうと。 ちょっと安っぽい感想になってる⁉︎ お仕事小説とでも言えばいいのか。仕事で燃え尽き、逃げるようにやめ、失業保険がきれ、短期の仕事をいくつかこなしていく。そのうちに、元...
読後感がとてもさわやかな小説だった。また、がんばろうと単純に思えた。何があっても、これが人生なんだと思おうと。 ちょっと安っぽい感想になってる⁉︎ お仕事小説とでも言えばいいのか。仕事で燃え尽き、逃げるようにやめ、失業保険がきれ、短期の仕事をいくつかこなしていく。そのうちに、元の仕事に戻る元気を取り戻していく話。 ちょっと現実離れした仕事が続くのだが、主人公の気持ちや職場の人間関係などが、ものすごくリアリティがあって、ずんずん読み進める。 大した仕事もしたことのない私が思うことだからわからないけど、仕事をしてる人みんなが共感できる小説ではないか。 津村さんの小説は、芥川賞受賞作の「ポストスライムの舟」と「ウエストウイング」しか読んだことがないかもしれないけど、津村さんにしか書けないお仕事小説の味があって、それがおそらく実体験に基づくものであろうという確かな感じがして、わかってくれてありがとうと感謝したい気がする。決して派手ではなく大変だけどやりがいもある、だけどやっぱり大変な仕事に、日々頑張る人たちの味方、理解者だと思える。大した仕事をしてない私だけど。 「この世にたやすい仕事はない」。タイトルが読み終わって、ますます心にしみる。 "私もまた、帰宅してからの貴重な時間を、えんえんとどうでもいい検索に費やすことがある。" 17ページ "親切なのかそっけないのかわからない人なのだけれども、元は親切なものの、相手が自分の弊害になりそうだとそっけなくなるというだけのことだろう。普通だ。" 19ページ "そんなつらい思いを抱えた夜にも、もちろん朝は来て、前職の末期の出社時と同じように、履き古した靴の裏のような表情で、私は実家の前の道路を渡り、監視の仕事に戻った。" 26ページ "起き抜けに何か書けるんだ、と拡大してみると、「仕事したくない」と打ち込んであった。まあな、と思う。" 36ページ "いや、さびしくない人はいないんだ。それをそういうものだと思えるかどうかだ、と。みんながみんなさびしいとして、そのさびしさを誰とのどの深さの関わりで埋めるか、もしくは埋めないのかは、本人の自由なのだ。" 239ページ
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結局、仕事相手については、仕事の場でのインターフェイスさえちゃんとしてれば、裏ではどんな人間であってもいい、ということには、外で給料をもらうようになって二年もしたら気付く。(p236)
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よい本を読んだとき、わたしは側頭辺りがジーンとしびれる(比喩でなく、マジで)のだけど、この本もそうなった。 主人公の前職がずっとあまり明かされないまま進み、最後の章でようやく明かされるという展開に小さく おおっ と思った。
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新卒から14年続けた仕事を、燃え尽き症候群で退職した「私」。相談員の正門さんから紹介され、契約社員として様々な仕事に就く…。 みはりのしごと バスのアナウンスのしごと おかきの袋のしごと 路地を訪ねるしごと 大きな森の小屋での簡単なしごと 現実にある、地味な仕事の様子を書いてる...
新卒から14年続けた仕事を、燃え尽き症候群で退職した「私」。相談員の正門さんから紹介され、契約社員として様々な仕事に就く…。 みはりのしごと バスのアナウンスのしごと おかきの袋のしごと 路地を訪ねるしごと 大きな森の小屋での簡単なしごと 現実にある、地味な仕事の様子を書いてるようで、どの職場も少し不思議な世界につっこんでる感じ。その不思議な出来事にあまり焦らずに対応したりしなかったりする主人公が好きだった。14年社会人を経験した人らしくて、どろどろした仕事に関する感情を隠しながら、図々しかったりすれてておもしろかった 。
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