Aではない君と の商品レビュー
著者得意の少年犯罪を扱った小説である。 子供は未熟だ。だからこそかわいらしくもあり、だからこそ時に残酷にもなる。 そんな子供を、社会でまっとうに生きていける大人に導くのが親のつとめだ。人との関わりなしでは生きていけないが、他人同士が関わりあえば、何かしら誤解やひずみ、齟齬が生ま...
著者得意の少年犯罪を扱った小説である。 子供は未熟だ。だからこそかわいらしくもあり、だからこそ時に残酷にもなる。 そんな子供を、社会でまっとうに生きていける大人に導くのが親のつとめだ。人との関わりなしでは生きていけないが、他人同士が関わりあえば、何かしら誤解やひずみ、齟齬が生まれてくるのは避けられない。何かあったとき、どう考えるべきか、どう解決していくのか、その方法を学んでいくのが育つということだろうと思う。 その働きがうまくいかなかったとき、起こりやすいのが少年犯罪ではないかと私自身は思っている。彼らは、何かが起きた時の相応しい解決方法を知らないのだ。 だから本作でも、悲劇が悲劇を呼んだわけだが…。 作品は一気読みしたし、人物の苦しい思いに泣けてきたりもした。少年犯罪については考えるべきことが多々あり、その問題提起としても良しと思うのだけど、なんとなく本作が私の中でしっくりこないのは、被害者とその家族があまり描かれていないせいなのかなとも思う。 被害者の行為にはそれなりの理由があったはずで、少年犯罪を描くならそこも描かないと問題の掘り下げとしては中途半端な気がするんだけど…そこまでやったらごちゃごちゃしすぎちゃうのかな、単に小説としては。 作中に出てくる「ものごとの良し悪しとは別に、子供がどうしてそんなことをしたのか考えるのが親だ」という言葉は、ある意味少年犯罪のすべてを語っている気がする。
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少年法第十条の「付添人制度」に着目したストーリー展開であるが、それよりも話のテーマが非常に重くて、本当に親として出来ることは何かを考えさせられた。今そこにある「いじめ」問題を、取り上げ、掘り下げた作品だった。
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少年犯罪の話。友人を殺してしまった息子の父親からの目線で物語は語られていく。離婚して母親のもとで暮らしていた中学生の息子から電話があった。仕事の打ち上げでその電話に出ることをせず、後になってその電話を掛けた後に友人を殺したことが判明した。電話で何を伝えたかったのか。電話に出れば...
少年犯罪の話。友人を殺してしまった息子の父親からの目線で物語は語られていく。離婚して母親のもとで暮らしていた中学生の息子から電話があった。仕事の打ち上げでその電話に出ることをせず、後になってその電話を掛けた後に友人を殺したことが判明した。電話で何を伝えたかったのか。電話に出れば殺すことにはならなかったのではないか。事件を犯した息子以上に父親の苦悩が伝わってくる。 なぜ、そのようなことが起こったのか。口を閉ざし、真相を語らない息子であったが、次第にいじめに遭っていたことを明かしていく。しかし、殺したことを反省できないでいた。やがて時が経ち、少年院を出所した少年は心から罪を反省することができるのだろうか。 薬丸岳の小説は心の中を抉り取るようだ。自分の子どもが同じような事件に関わらないことを願って止まない。
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離婚後離れて暮らす十四歳の息子が死体遺棄容疑で逮捕された。その父親の目線で書かれた少年犯罪。 事件発覚後の母親には自分勝手な印象を受けたが、父親の行動は、自分の子供のしたことに恐れながらも、なぜ、そんなことに至ったのかを知ろうとし、できる限りの手の尽くしているように感じた。また、被害者側の心情を考えることができていた。 どんな親でもすべて子供のことをわかっている親なんていない。でも、どこかで子供のSOSに気付けたら、こんな事件は起こらなかったのだろう。 文中の言葉で「物事の良し悪しとは別に、子供がどうしてそんなことをしたのか考えるのが親だ」と「心とからだとどちらを殺した方が悪いの?」というのが印象に残った。
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子供が殺人を犯してしまったらなんて ゾッとして想像もしたくないお話だが 自分のことと置き換えながら読んだのだけど 父親目線だからなのか もうひとつ入り込めなかった。 自分の家族のことばかりで 被害者に対しての贖罪が感じられず 違和感があった。 でも正直なとこ 保身でいっぱいになっ...
子供が殺人を犯してしまったらなんて ゾッとして想像もしたくないお話だが 自分のことと置き換えながら読んだのだけど 父親目線だからなのか もうひとつ入り込めなかった。 自分の家族のことばかりで 被害者に対しての贖罪が感じられず 違和感があった。 でも正直なとこ 保身でいっぱいになってしまうのかな 当事者になれば。
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+++ 殺人者は極刑に処すべきだ。親は子の罪の責任を負うべきだ。周囲は変調に気づくべきだ。自分の子供が人を殺してしまってもそう言えるのだろうか。読み進めるのが怖い。だけど読まずにはいられない。この小説が現実になる前に読んでほしい。デビューから10年間、少年事件を描き続けてきた薬丸...
+++ 殺人者は極刑に処すべきだ。親は子の罪の責任を負うべきだ。周囲は変調に気づくべきだ。自分の子供が人を殺してしまってもそう言えるのだろうか。読み進めるのが怖い。だけど読まずにはいられない。この小説が現実になる前に読んでほしい。デビューから10年間、少年事件を描き続けてきた薬丸岳があなたの代わりに悩み、苦しみ、書いた。この小説が、答えだ! 勤務中の吉永のもとに警察がやってきた。元妻が引き取った息子の翼が死体遺棄容疑で逮捕されたという。しかし翼は弁護士に何も話さない。吉永は少年法十条に保護者自らが弁護士に代わって話を聞ける『付添人制度』があることを知る。生活が混乱を極めるなか真相を探る吉永に、刻一刻と少年審判の日が迫る。 +++ 人を殺してはいけない。これは大前提である。だが、そこに至る過程に何があったのか。そこをないがしろにしては、ことは何も解決しないし、被害者家族も加害者もその家族も前へは進めないのである。別れた妻の元にいる我が子が同級生を殺して逮捕される、という寝耳に水の事態に接した吉永の動揺、驚愕、そしてまさかという思い、さらには我が子に対する恐怖。さまざまな反応が生々しくて胸を塞がれる。親として、いままで我が子との一瞬一瞬を大切にしてきただろうかと、振り返ると、自信はない。子どもとの関係だけでなく、さまざまなことを考えさせられる一冊である。
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14歳の息子が死体遺棄容疑で逮捕された。 本当に同級生を殺めてしまったのか。 息子は何も話さない。 なぜ、こんなことになってしまったのか。 息子のことは離婚した妻に任せっきりだった。 そのことが今更ながら悔やまれる。 親として何ができるだろう。 父親として、加害者となった息子を守...
14歳の息子が死体遺棄容疑で逮捕された。 本当に同級生を殺めてしまったのか。 息子は何も話さない。 なぜ、こんなことになってしまったのか。 息子のことは離婚した妻に任せっきりだった。 そのことが今更ながら悔やまれる。 親として何ができるだろう。 父親として、加害者となった息子を守りたい。 償いきれない罪と向かい合いこれからを生きていく。 それでも息子は毎日を生きて行ける。 何年か後に、本当に更正した姿を見ることはできるのか・・。
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実は、虐めをうけていた友人を最初から殺そうと思っていた。弁護士の息子の裁判ゲーム。有罪になるとハムスターを殺さなければならない。自分のペットの猫も殺さねばならず。こんな酷い奴を殺して何が悪い。この事実を明らかにしないことを条件で遺族から賠償金請求しない条件をのんだ
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大好きな薬丸岳作品 今回は非常に重い作品であります 自分の子が人を殺めてしまったら・・・・・ というお話 事件を起こした理由・・・・・・ もちろん殺人はやってはいけないこと どんな理由があろうとも だけど・・・・・・と・・・・・・とても考えさせられる 親と子の微妙...
大好きな薬丸岳作品 今回は非常に重い作品であります 自分の子が人を殺めてしまったら・・・・・ というお話 事件を起こした理由・・・・・・ もちろん殺人はやってはいけないこと どんな理由があろうとも だけど・・・・・・と・・・・・・とても考えさせられる 親と子の微妙な関係も現代の家族が抱える問題を象徴していて、こちらも大好きな作家さんである重松清氏の作品を読んでいるかのようにも感じられた とても印象深い作品 他人ごとではない 『心とからだと、どっちを殺したほうが悪いの?』 どう思いますか?
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奇しくも「境遇」「プラージュ」に続き、犯罪、更生、被害者、被疑者、双方の家族…といったテーマの作品が続きました。 これも一気読みでした。 正直自分ごととしては捉えられなくて小説の中の話だと思ってしまうのですが、母親という立場になったらまた違う視点で読むことになるんだろうなと思い...
奇しくも「境遇」「プラージュ」に続き、犯罪、更生、被害者、被疑者、双方の家族…といったテーマの作品が続きました。 これも一気読みでした。 正直自分ごととしては捉えられなくて小説の中の話だと思ってしまうのですが、母親という立場になったらまた違う視点で読むことになるんだろうなと思いました。 親子の絆に限りませんが、子供であれ、友人であれ、家族であれ、ちゃんと関わり合ってる人たちに関心を持ちたいなって思いました。 よく好きの反対は無関心なんて言いますが、関心を持ってくれてる人がいるだけで救われることもたくさんあるのかなと。
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