Aではない君と の商品レビュー

薬丸岳(著者)

2016/03/14

物事の良し悪しとは別に、子供がどうしてそんなことをしたのかを考えるのが親だ。

どのシーンもずっしりと重たいのに、どんどん読み進めずにいられない。
まだ中学生の息子かクラスメイトを殺した疑いで逮捕される。
面会にいっても何も話さない息子。
加害者の父の目線で進められる話だが、息子の辛さもジワジワと伝わってくる。無駄のない描写が素晴らしい。

子どものいない私が読んでこれだけ苦しいのだから、子どものいる人たちはどんな風に感じるのだろう…。

読んで良かった。

2016/03/13

１４歳の自分の息子が殺人により少年Aになった話。

とても重い話でしたが、最後まで読みました。
もしも自分の子供が加害者になったならば、と重ねて。
色んな年代の人に読んで欲しい一冊です。
子供目線、大人目線の感想も聞きたい、そんな本です。

2016/03/09

息子へ 君の声をお父さんは聞けてるかな？ お父さんは目の前のものしか見えなくて、後ろから見たり、なぜそこにあるのだろうと言う事も考えつかないんだ。進めなくなったら停まっても良いよ。風が強かったら前に立とう。雨が降ったら濡れないように服を広げよう。君が元気でいるだけでいいんだ。それが君が生れる前から望んだたった1つの事だから。

2016/03/09

読み終わった後しみじみタイトルを見ましたね｡
内容が重いのは最初からわかっているので、家族の関係性と少年の罪に対する意識、受刑後の少年や家族の関係性に変化があるか、という点について興味をもって読みました。

特に刑期を終えてからの描写は大変難しい状況を描いており、著者のチャレンジング精神というか、描きたいことへの強い想い（願いでもあるのでしょうか）が伝わりました。

吉川英治文学新人賞を受賞されました｡エンターテイメント枠のみに収めるには確かにもったいない社会派小説だと思います。

2016/03/03

勤務中の吉永のもとに警察がやってきた。元妻が引き取った息子の翼が死体遺棄容疑で逮捕されたという。しかし翼は弁護士に何も話さない。吉永は少年法十条に保護者自らが弁護士に代わって話を聞ける『付添人制度』があることを知る。生活が混乱を極めるなか真相を探る吉永に、刻一刻と少年審判の日が迫る。

重くて、途中どういう結末なのか全く見えず怖くて読むのをやめたくなった。なのに、どうしても読まずにいられない衝動のようなものにおそわれて読んでしまう、不思議な作品だった。真相が明らかになるにつれて、被害者と加害者のどちらかだけが問題なケースは私たちが考えるよりずっと少ないのだろう。メディアのつくりあげた加害者の像はいつも歪で私たちは流されるけれど、そこに何があって、どうしてこんな事件が起こったのかを考えなければ加害者の更生もないし裁判の意味もない。もしも自分の身近な人が事件になったら、そんな恐怖を考えながらも吉永の言葉や覚悟に救われる思いがした。名作。

2016/03/01

少年犯罪。加害者の親の視点で書かれた物語。もう、私の子たちは成人したけど、
それでも、身につまされる、辛すぎるシチュエーション。もし、そうなった時、最前の生き方なんてない。
おそろしくて、悲しくて、
でも、一気に読んでしまった。

2016/02/27

ほとんど吉永目線で話が進み、自分が同じ立場ならどうするのか見につまされて一気読み。被害者の父親、会社の同僚、美咲、純子、記者目線での見解がもう少しあればよかった。重たい内容で自分はこんな強い父親で入れるのだろうか？是非、中学生が読んで意見交換のディスカッションをして欲しいと思う。

2016/02/23

少年犯罪に関する小説といえば薬丸さんが浮かぶ。
最初から良い展開にならないのは分かっているから、気が重くなった。
しかし、吉永が翼の話を紀行と考え始めたあたりから一気に読んだ。
重い。

2016/02/16

14歳の息子が、同級生を殺害した容疑で逮捕されたら、親はどうすべきか。重いテーマを、離婚して別々に暮らしている父親の視点から描いている。

何が起こったのかを知りたくて、どんどん読み進めたけれど、後半で次々と明らかになる痛々しい真相には、ページをめくる手も重くなる。
私自身が親の立場であり、主人公と元妻の心の動きに感情移入していたため、息子の身に起きていた衝撃的な出来事には、主人公同様に愕然として胸が押し潰されそうだった。

ただ、母親の言動は理解できない点も多い。いくら後ろめたさがあるにせよ、面会を拒み、遠くに転居するなど、母性が感じられない。母親なら、まず息子に会いたいと思い、なりふりかまわず息子を信じるのではだろうか。主人公以外の人物像が雑に感じたので、もう少し丁寧に書き込んでほしかった。

とは言え、心を殺されたから体を殺すことは悪くない、と考える少年の気持ちが、変化していくまでを描いた点もよく、読みごたえのある力作だった。

2016/02/15

凄く考えさせられる内容でした。
よくテレビのニュースでいろんな事件を目にするけど、よその事と捉えてしまい深く考えたことがなかったけど。
万が一身内、まして子供が加害者になってしまったら。
参考になるといったらおかしいけど、事件後の流れが凄くよくわかる。
最後の方は本当に読むのが苦しい気持ちになる。切ない。