職業としての小説家 の商品レビュー
題名からすると 「生きていくために小説を書く」 のニュアンスがあるように思う。 しかし実際はその逆であると感じられる内容。 世の中に存在するもののほぼ全てにビジネス臭を感じる中、本物の追求が支持や富を呼ぶということを村上春樹がそれを証明してくれている。 お金や支持獲得のために...
題名からすると 「生きていくために小説を書く」 のニュアンスがあるように思う。 しかし実際はその逆であると感じられる内容。 世の中に存在するもののほぼ全てにビジネス臭を感じる中、本物の追求が支持や富を呼ぶということを村上春樹がそれを証明してくれている。 お金や支持獲得のために自身の書く力を利用するのでなく、書く力がお金や支持を呼び寄せると。 学校が嫌いだと言ったり、賞についてとれないんじゃなくてとらないんだとでもいうような、すこし反抗的な面もある村上春樹だが、それが生涯一貫していること、ブレる気配すらないこと。そこにも一流を感じる。 村上春樹はなるべくして世界に名を馳せる人物となったのだな。
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P63 「かまわないんですよ、とくに取らなくても」の言ったところで、誰も額面通りには受け取ってくれないだろうし、かえって場が白けそうだし。 P67 そんなものはあくまで社会的な、あるいは文壇的な形式上の追認に過ぎません。 「何より大事なのは良き読者です。どのような文学賞も、勲章...
P63 「かまわないんですよ、とくに取らなくても」の言ったところで、誰も額面通りには受け取ってくれないだろうし、かえって場が白けそうだし。 P67 そんなものはあくまで社会的な、あるいは文壇的な形式上の追認に過ぎません。 「何より大事なのは良き読者です。どのような文学賞も、勲章も、好意的な書評も、僕の本を身銭を切って買ってくれる読者に比べれば、実質的な意味を持ちません。」 P102 「何かを求めていない自分」というのは蝶のように軽く、ふわふわと自由なものです。考えてみれば、とくに自己表現なんかしなくたって人は普通に、当たり前に生きていけます。しかし、にもかかわらず、あなたは何かを表現したいと願う。そういう「にもかかわらず」という自然な文脈の中でわ、僕らは意外に自分の本来の姿を目にするかもしれません。 P148 読んだ人がある部分について何かを指摘するとき、指摘の方向性はともかく、そこには何かしらの問題が含まれていることが多いようです。
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村上春樹の Work ethic を学べる良い本だった。特に、「第六回 時間を味方につける——長編小説を書くこと」という章は、共感の嵐。また別の章では、日本の学校について比較的強めの言葉で語っている。これは新鮮だった。こういう意見はしない方だと思っていた。
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小説家・村上春樹が生い立ちがら作家になるまでと、小説家としての生き方や考え方について語る。要点を列挙すると、 ・小説家になるには読書することが大前提 ・著者は読書の他に音楽や海外生活を好む ・自分の事は自分で決める。独立心が旺盛で他人に頼らない。熱中せず、集中するタイプ ・店を持...
小説家・村上春樹が生い立ちがら作家になるまでと、小説家としての生き方や考え方について語る。要点を列挙すると、 ・小説家になるには読書することが大前提 ・著者は読書の他に音楽や海外生活を好む ・自分の事は自分で決める。独立心が旺盛で他人に頼らない。熱中せず、集中するタイプ ・店を持ったことが、人間観察の場になった ・小説の新しいジャンルを開拓したと見做されているが、賛否両論があることも知っている ・作家が相手にするのは、熱心な読者である。これは一貫したポリシー ・小説家は、努力も才能も必要。精神的にタフでないと務まらない ・外部への発信は少ない。必要最小限に留める。同じ名字の村上龍とは対称的。 この本は、小説家になるにはという本ではない。著者の本音が随所に出ていて面白かった。
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誰の依頼でもなく今現在の小説家としての考えをまとめた文章をテーマ別に書いており、その半分が雑誌に掲載されたのち単行本としてまとめられた作品。 村上春樹さんの書いた本はほぼすべて読んでいるので、知っているエピソードも多かったけど、新しいものもあったしさらに深く書いてあるものもあっ...
誰の依頼でもなく今現在の小説家としての考えをまとめた文章をテーマ別に書いており、その半分が雑誌に掲載されたのち単行本としてまとめられた作品。 村上春樹さんの書いた本はほぼすべて読んでいるので、知っているエピソードも多かったけど、新しいものもあったしさらに深く書いてあるものもあってとても興味深く読めた。 小説を書くという事にどこまでも真剣に取り組んでいるし、それを35年に渡って続けているところに深い尊敬の念を抱いた。 今では新刊を出すとアメリカでもベストセラーランキングの一位になるそう。 今までもぼくの最も尊敬する作家でありアーティストだったけど、その思いをさらに強くした本でした。
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村上春樹の不思議な物語の構成がどのようにして生まれているのか詳しく語られていて面白かった。 日本文学らしくない文体だと思っていたが英語訳に直してから書き直すことによって独自の文体が生まれていたこと大きな驚きだった。 学校教育論やヒット作家としての地位を捨て海外進出した時の話が著者...
村上春樹の不思議な物語の構成がどのようにして生まれているのか詳しく語られていて面白かった。 日本文学らしくない文体だと思っていたが英語訳に直してから書き直すことによって独自の文体が生まれていたこと大きな驚きだった。 学校教育論やヒット作家としての地位を捨て海外進出した時の話が著者の芯の強さを物語っていて好感が持てた。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
【小説家という職業に村上春樹が感じることを述べる】 「小説家なんて誰でもなれる。ペンとノートと想像力さえあれば良いのだから。しかし、小説家を続けることは非常に難しい。 小説家として才能があるかどうかを知る最もよい方法は、水の中に飛び込んで浮かび上がってこられるかどうかである。しかし、浮かび上がり続けられるかどうかである。 自分は何かしらの特別な力によって、小説を書くチャンスを与えられたのだという認識を大切にしている」 本の中の文章をかいつまんで並べてみただけだが、この本で最も面白かった箇所だった。 小説家として40年以上やってきている村上春樹の言葉は、イチローや孫正義のように重い。 彼らに共通しているのは、長い間その土俵にとどまり続けている(続けていた)ということだ。 そしてとどまり続けるために常に努力をしているということも忘れてはいけない。 「自分がそれをやっていて、本当に楽しいかどうか、好きかどうかを大切にせよ」というのが村上春樹のメッセージだが、好きなことを突き詰められている人っていうのは飛びぬけるんだろうなと思う。
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柴田元幸編集の "MONKEY" に連載した評論を一冊にまとめた本だが、村上春樹の自叙伝と言ってもいいだろう。なぜ人は小説を書くのか、なぜ村上春樹は小説を書くのか、書き続けるのか、日本文壇から否定され続けた男が全てを語った、と言っても過言ではないだろう。村上春...
柴田元幸編集の "MONKEY" に連載した評論を一冊にまとめた本だが、村上春樹の自叙伝と言ってもいいだろう。なぜ人は小説を書くのか、なぜ村上春樹は小説を書くのか、書き続けるのか、日本文壇から否定され続けた男が全てを語った、と言っても過言ではないだろう。村上春樹が嫌いな全ての人に読んで欲しいし、物語が好きな全ての人に送りたい。
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村上春樹の小説が好きでよく読んでいるが、村上春樹がどんな人か知らなかったので読んでみた。 小説と同じでとても読みやすく、一気に読み終わった。 内容は、小説を書き始めたきっかけ、小説の書き方、村上春樹が考える小説の在り方などが書いてある。 自分の勝手な想像では、高慢で読者の意...
村上春樹の小説が好きでよく読んでいるが、村上春樹がどんな人か知らなかったので読んでみた。 小説と同じでとても読みやすく、一気に読み終わった。 内容は、小説を書き始めたきっかけ、小説の書き方、村上春樹が考える小説の在り方などが書いてある。 自分の勝手な想像では、高慢で読者の意見など全くきかない人と思っていたが、実際はとても謙虚で読者のことを考えてくれているということがわかった。 今まで、自分のような教養のない人間が小説を読むことに後ろめたさを感じていたが、本書を読んで、村上春樹から小説を読むことを許可された気がした。 これからは堂々と小説を読むことができると思う。
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まるで継承のための本のようにも読めてしまう本です(本人はあくまで自分のために書いているようではあるのですが)。継承しに来る者は拒まず、でも、バトンを取りに来たからには全力が前提条件、みたいな感じです。賞の選考委員をこれまでやらずにきたことに後ろめたさを感じることもあるという村上春...
まるで継承のための本のようにも読めてしまう本です(本人はあくまで自分のために書いているようではあるのですが)。継承しに来る者は拒まず、でも、バトンを取りに来たからには全力が前提条件、みたいな感じです。賞の選考委員をこれまでやらずにきたことに後ろめたさを感じることもあるという村上春樹さんの、選考委員をやることではないかたちでの社会的責任としての態度かもしれません。村上春樹さんご自身をお手本としたり、彼の考える小説家像について、いろいろと「小説家」について見ていく本です。村上春樹さんはかなりの読書家でもあるので、その小説家像には言外にですら含蓄を感じるくらいです。
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