職業としての小説家 の商品レビュー
職業的小説家としての村上春樹さんの30年の作家人生を振り返りながら、村上春樹さんが考えるプロ小説家とは?みたいなことが語られているエッセイでした。全12回で章分けされていて、繋がりはないので、つまみ読みもできます。 タイトルからだと、小説家を志す、あるいは現役の小説家や、なにか...
職業的小説家としての村上春樹さんの30年の作家人生を振り返りながら、村上春樹さんが考えるプロ小説家とは?みたいなことが語られているエッセイでした。全12回で章分けされていて、繋がりはないので、つまみ読みもできます。 タイトルからだと、小説家を志す、あるいは現役の小説家や、なにかしらの創作活動をしている人とかが手に取りたくなるような本かもしれませんが、個人的には誰が読んでも楽しめて、何か学べる類の本だと思います。 1番面白かった章は、第4回の「オリジナリティーについて」 村上春樹さんの小説がそうであるように、その人のオリジナルだなあと感じる作品は、その人の表現だと瞬時に判別できるような独自のスタイルがあります。また、そのスタイルが作者の手を離れて、多くの人が真似て、時間の経過とともに進化していきます。さらにそれが、いつの日か様々な作品を解釈する際に、無意識にリファレンスとして機能するようになります。その段階まで進化して、初めてその作品なり、スタイルがオリジナルと呼ぶに値するか判断できる、と村上春樹さんは言っていました。 他にも色々、ああなるほどって面白い話が多かったんですが、自分が要約すると台無しになるので、まだ読んでない方にはぜひ読んで欲しいです。 あと、村上春樹さんの長編をいくつか読んでる人にも読んで欲しいです。それぞれの長編を書ききることで、作家として具体的な成長があったんだなあ、という背景を知れたりします。 わかりやすい話で言うと、昔は一人称でしか小説を書けなかったらしいのですが、少しづつ自己からキャラクターを分岐させることができるようになって来て、描けるキャラクターの幅が増えたらしいです。 プロ意識が高くて、常に作家として成長しようしているのが伺えて、今後出てくる作品がより一層楽しみになりました。
Posted by
(2016/2/16) 村上春樹私的講演録、だそうな。 彼の「小説家」に対する考え、「文学賞」に対する考え、 「学校」に対する考えなどが何となく綴られている。 気軽に読める。 悪くない。 特に学校に対する考えは共感する。 遅刻防止で閉じられる塀に挟まれて死んだ子の話、、、 教師が...
(2016/2/16) 村上春樹私的講演録、だそうな。 彼の「小説家」に対する考え、「文学賞」に対する考え、 「学校」に対する考えなどが何となく綴られている。 気軽に読める。 悪くない。 特に学校に対する考えは共感する。 遅刻防止で閉じられる塀に挟まれて死んだ子の話、、、 教師が何を考えていたか、何を大切にしているのか、、 何ともやりきれない。 目次 第一回 小説家は寛容な人種なのか 第二回 小説家になった頃 第三回 文学賞について 第四回 オリジナリティーについて 第五回 さて、何を書けばいいのか? 第六回 時間を味方につける──長編小説を書くこと 第七回 どこまでも個人的でフィジカルな営み 第八回 学校について 第九回 どんな人物を登場させようか? 第十回 誰のために書くのか? 第十一回 海外へ出て行く。新しいフロンティア 第十二回 物語があるところ・河合隼雄先生の思い出 あとがき
Posted by
本を読んで村上春樹の個人的、魅力的な個性に魅了された。一旦決めたことを気が済むまでやり続ける。不理解されても、批判されても、構わない。 ところが、現実の自分もそろそろ30歳になっており、いろいろなことに遭遇して心が乱されている。まさに、将来に迷って苦境に陥ってしまった。自分が...
本を読んで村上春樹の個人的、魅力的な個性に魅了された。一旦決めたことを気が済むまでやり続ける。不理解されても、批判されても、構わない。 ところが、現実の自分もそろそろ30歳になっており、いろいろなことに遭遇して心が乱されている。まさに、将来に迷って苦境に陥ってしまった。自分が一体何か心配している。何かを恐れている。何かに縛られてなかなか前に進められない。 ちょうどこの時期、この『職業としての小説家』に出会った。村上春樹のような立派で成功した作家にしても、苦痛な経歴が少なくないとわかっていた。 「もし今、あなたが何らかの苦境の中にあってそのことでずいぶんきつい思いをなさっているのだとしたら、僕としては「今はまあ大変でしょうが、先になってそれが実を結ぶことになるかもしれませんよ」と言いたいです。」このパラグラフを読んで、正直に言って慰めてもらった。 これ以外も、たくさんの名言があり、読み進めていると、乱された心が癒されていった。 小説家、小説に関して書かれた書籍なのに、不思議なことは、精神的に癒されて、苦境を越える勇気ももらった。 本当に、村上春樹に感謝いたします。
Posted by
村上春樹の作品は大体が苦手なのだが、恋人がこの『職業としての小説家』を読みたがっていたので先に読んだ。 そしたら面白くて、他にも村上春樹のエッセイがあるなら読みたいと思った。
Posted by
これは要するに、彼の自伝なのだが、著作を読むにあたり、道標のような役割を果たしているように思う。村上春樹の著作を、ランダムに読んできたのだが、この本を読んだら、デビュー作「風の歌を聴け」から、順番に読んでみようと思い立った。書店で購入。ブクログの「いま読んでいる」に登録しようとし...
これは要するに、彼の自伝なのだが、著作を読むにあたり、道標のような役割を果たしているように思う。村上春樹の著作を、ランダムに読んできたのだが、この本を読んだら、デビュー作「風の歌を聴け」から、順番に読んでみようと思い立った。書店で購入。ブクログの「いま読んでいる」に登録しようとしたら、2023年1月1日に読んでいた。だが、いいのだ。ここから、村上春樹ジャーニーを始めていこう。
Posted by
「職業としての小説家」村上春樹さん著 読了。 ・日本を代表する世界的な小説家の村上春樹さんによる、「小説を書くこと」に関するエッセイ集。 ・まず、そもそも「小説家」とは何者なのか、どういう人間なのか、という考察から始まります。 ・小説家は頭の良い人には向いていない仕事だと述べ...
「職業としての小説家」村上春樹さん著 読了。 ・日本を代表する世界的な小説家の村上春樹さんによる、「小説を書くこと」に関するエッセイ集。 ・まず、そもそも「小説家」とは何者なのか、どういう人間なのか、という考察から始まります。 ・小説家は頭の良い人には向いていない仕事だと述べています。(私は春樹さんはとても頭の良い人だと思いますが…) ・なぜかというと、頭の良い人ならわざわざ物語というような回りくどい形式を使わなくても物事を表現できるからだとか。 ・小説家とは不必要なことをあえて必要とする人種であり、そういった不必要なところや回りくどいところにこそ真実や真理が潜んでおり、それを書くのが小説家の仕事だと。 ・ところで春樹さんは「文章を書いている」というよりは「音楽を演奏している」という感覚で小説を書いているそうです。 ・確かに、春樹さんの独特でシンプルな文章を読んでいると、音楽を聴いているような気になりませんか? ・文学賞については、何より大事なのは良き読者であり、どのような文学賞も、勲章も、好意的な書評も、実際に本を買ってくれる読者に比べれば、実質的な意味を持たない、と。 ・オリジナリティーについても深い考察をされているのですが、長くなってしまうので簡潔に説明します。 ・同時代のオリジナルな表現を現在進行形で評価するのは難しい。 ・なぜなら、同時代の人の目にはそれが不愉快に見えることも少なくない。 ・多くの人々は自分に理解できないものを憎む。 ・特に、既成の表現に浸かり、その中で地歩を築いてきたエスタブリッシュメントにとっては唾棄すべき対象になり得る。それらが自分たちの立っている地盤を突き崩しかねないから。 ・端的に言うと、オリジナリティーとは、「新鮮で、エネルギーに満ちて、そして間違いなくその人自身のものであること」で、同時代に理解されるとは限らず、時の経過を経て理解され輝く表現も多数ある、と。 ・小説家を目指す人に対して春樹さんのアドバイスも書いてあります。 ①本をたくさん読むこと。 ②目にする事物や事象を子細に観察。 ③すぐにはものごとの結論を出さず、時間をかけて考える。 ④健全な野心を失わない。 ⑤世界はつまらなそうに見えて、多くの魅力的な謎めいた原石に満ちている。それを見出す目を持ち合わせているのが小説家。 ・もっとご紹介したかったのですが、長くなりすぎてしまうので、そろそろ終わりにします。 ・この本は、いわば春樹さんの小説を作っている秘伝のレシピを公開している本で、ここまで公開してもいいのかと戸惑うことも多数ありました。 ・小説家を志す多くの人たちにとって長い間バイブルになることでしょう。
Posted by
村上春樹の作品が好き。 その小説を書くに至った経緯や、彼の書き進め方、生き方、様々な価値観が集約されていた。 彼の紡ぐ言葉が好きで好きで堪らない。 彼の自由な生き方も! 興味深くて自分が生きていく上で学ぶ要素もあり、村上春樹ファンには是非とも読んで頂きたい。
Posted by
収入の安定していたお店を売却して専業作家になったりアメリカでの出版のために動いたり、村上春樹も要所で大胆な決断してきたのだと知ることが出来た。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
⚫︎受け取ったメッセージ 基本の大切さを知っていても、 徹底的にできている人は少ないのだろう ⚫︎あらすじ(本概要より転載) いま、世界が渇望する稀有な作家── 村上春樹が考える、すべてのテーマが、ここにある。 自伝的なエピソードも豊かに、待望の長編エッセイが、遂に発刊! 目次 第一回 小説家は寛容な人種なのか 第二回 小説家になった頃 第三回 文学賞について 第四回 オリジナリティーについて 第五回 さて、何を書けばいいのか? 第六回 時間を味方につける──長編小説を書くこと 第七回 どこまでも個人的でフィジカルな営み 第八回 学校について 第九回 どんな人物を登場させようか? 第十回 誰のために書くのか? 第十一回 海外へ出て行く。新しいフロンティア 第十二回 物語があるところ・河合隼雄先生の思い出 あとがき ⚫︎感想 村上氏が、作品を書くことを愛し、全力を尽くしている姿を知ることができる。 「書くことは孤独な作業である。」 「時間を味方につけるには、ある程度自分の意志でコントロールできるようにならなくてはいけない」 「持続力を身につけるためには、基礎体力を身につけること」 「肉体的な節制は、小説家であり続けるために不可欠」 これらを読むと、基本的なことを、とても重要視し、本当に大切にされていることがわかった。 書かれた本を親子世代に渡って読んでもらえること、その著作を話題にしてくれることの喜びも書かれていた。書くことをご自身が楽しみ、また多くの読者を虜にする村上氏の著作。村上氏の仕事に向かう姿勢、やり方、感情を垣間見ることができる。
Posted by
小説は読むだけで、畏れ多くも書こうと思ったことはないので、小説の見方が新鮮だった。書く技術とか、一体どういった技術なのか不思議だった。一人称から三人称へと視点が広がることで出る物語の広がりとかなるほどなぁ。 元気がでないときに何度と読み返した。こんなに繰り返し、またいろんな作品を...
小説は読むだけで、畏れ多くも書こうと思ったことはないので、小説の見方が新鮮だった。書く技術とか、一体どういった技術なのか不思議だった。一人称から三人称へと視点が広がることで出る物語の広がりとかなるほどなぁ。 元気がでないときに何度と読み返した。こんなに繰り返し、またいろんな作品を読んでいる作家は気づけば村上春樹さんだけです。感謝の気持ちです。 それにしてもキャラクターが勝手に動き出す、ってどういう感覚なんだろう? 2023.10.13
Posted by