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服従 の商品レビュー

3.7

70件のお客様レビュー

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  2. 4つ

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2016/05/24

ウエルベックの過去の著作を読み返してみるとこの最新作の「服従」への道筋がより鮮明になる。モテ、非モテのセックス格差、高度のグローバリズム下における”心の満ち足り”、分断された個々人の癒えない孤独、西欧をはじめとした先進各国の地盤沈下、それらの国々の人々が抱える不安、宗教への回帰e...

ウエルベックの過去の著作を読み返してみるとこの最新作の「服従」への道筋がより鮮明になる。モテ、非モテのセックス格差、高度のグローバリズム下における”心の満ち足り”、分断された個々人の癒えない孤独、西欧をはじめとした先進各国の地盤沈下、それらの国々の人々が抱える不安、宗教への回帰etc・・・。 闘争領域の拡大や素粒子ではあった露悪さ、あからさまな性的描写は近年の著作では影を潜めた代わりにこの作品では主人公は”服従”を行い満足を得るであろうことが示唆されている。 水面に石を投げ波動を発生させることにかなり成功したのではあるまいか。

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2016/05/22

フランスを思い、ムスリムの友人を思い、知識階級にいる人たちを思う。 ありえないと思っていた現実に侵食されていく、それに安堵を感じるようになる。

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2016/04/28

話題だったので。70ページぐらいまでよくわかんなかった。 てっきりディストピアの話かと思いきや、そうでもないというか、有り得るんだろうか。

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2016/04/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

面白かった。以下概略の説明。 ・・・人間至上主義、自由競争主義に陥った現代社会が人間たちをどこへ運んだかというと、終わりなき欲望の絶海、機能不全に陥った家族制度、つまり文明退廃への道筋であった。人は何処まで行っても自然に隷属していて、逃れることはできない。自然から切り離されることは死を意味する。それを自覚させる最良のシステムが宗教、それも一神教の長、イスラームである。現代自由民主主義、宗教改革以降のキリスト教、共産主義、資本主義、ニヒリズム、無神論…地上にはいくつもの、人々を救うための様々な思想や実践的な手法が開発されたが、それらは結局人々を救う最良の方法ではなかったことを作中のムスリム知識人たちは論理的に説得する。キリスト教社会の中心地フランスで、イスラームがなぜ勃興したか。なぜ民主的占拠手続きを経てイスラーム政党が与党となったか。彼らはそれらの理由を極めて平和的に訴える。 これは最終的に、一人の無神論者がイスラームへと改宗するに至る物語なのだが、世俗的な描写が多くて、男がイスラームに転向する理由もひどく物質的である。しかし、それがかえって男の精神世界の向上を助けるのだから、面白い。結局私たちはどこへ向かえばいいのか?という問題に対して極めてリアリティのある回答を提示している点で、この小説はわたしたちの心へ強く訴えかける説得力を孕んでいる。

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2016/04/16

あ〜ぁ、だっせ 自分はまだいける、と思いたいのに 実は人生たそがれてきて焦ったオヤジが 若い子と結婚できるよ〜とそそのかされて 鼻の下を伸ばしてイスラム教に改宗する話 これイスラム教徒の人は読んで激怒しなかったのかな? それともこれがイスラム教の真実? ヨーロピアンのアイデン...

あ〜ぁ、だっせ 自分はまだいける、と思いたいのに 実は人生たそがれてきて焦ったオヤジが 若い子と結婚できるよ〜とそそのかされて 鼻の下を伸ばしてイスラム教に改宗する話 これイスラム教徒の人は読んで激怒しなかったのかな? それともこれがイスラム教の真実? ヨーロピアンのアイデンティティー崩壊が〜 とかなんとか前宣伝を聞いて読んだのだけど どうなのこれ 行き詰まった知識階級の苦悩っぽい書き方をしてもだめ 要はそういう話しだ

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2016/04/13

人間の想像力は繋がっている。世界に内も外も無い。余りに近視的な文化圏の中にいる我々は、異国や異文化を外だと思い違うが、全ては想像力の中にある。人権も宗教も、ミニスカートもブルカも、同じ人間の欲望から生まれた。その見た目の差など、取るに足らない、本当は。主人公はそれを理解している。...

人間の想像力は繋がっている。世界に内も外も無い。余りに近視的な文化圏の中にいる我々は、異国や異文化を外だと思い違うが、全ては想像力の中にある。人権も宗教も、ミニスカートもブルカも、同じ人間の欲望から生まれた。その見た目の差など、取るに足らない、本当は。主人公はそれを理解している。昨日まで信じていたことなんてさして重要ではない。価値はコンテキストに依存し、ならばコンテキストに従順な人間が評価されるのもまた当然だ。しかし私には勇気がない。本書のような思想的な危機に陥れば、古いアイデアにしがみついてしまう気がする。そもそも、なぜそんなふうに考えたかさえ思い出せないのに。どう生きるか、と問われ続ける読書体験。

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2016/03/23

価値観は、一夜にして崩れることがある。日本が戦争に負けた途端、大人たちは豹変し、アメリカ流の民主主義を礼賛した。もしその当時、自分が大人だったら、どのように軍国主義と民主主義に折り合いをつけただろうか? そんなことを、思ってしまう本だった。

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2016/03/05

近未来を扱ったフィクションだけど、とてもリアルな感じがする作品。 この本にあるように本当にイスラーム政権がフランスで近未来に登場するとは思えないです。ですが、次のような点で本当に起こりうる未来の描写であるように個人的には思われます。 昨今、アメリカでのトランプ氏の台頭や、ヨーロ...

近未来を扱ったフィクションだけど、とてもリアルな感じがする作品。 この本にあるように本当にイスラーム政権がフランスで近未来に登場するとは思えないです。ですが、次のような点で本当に起こりうる未来の描写であるように個人的には思われます。 昨今、アメリカでのトランプ氏の台頭や、ヨーロッパでの反移民・極右勢力の躍進など、これまで欧米諸国が自らを誇ってきた自由や平等、人道主義的な価値観はかなり崩壊しつつあるように端からみていると思います。そしてそういった価値観を信じ守り続けている人たちにとっても、本書の極右代表と(穏健だが)イスラーム代表の決選投票というような、まさにどうしようもない選択をせまられる未来と言うのは間近に迫っているような気がします。そのような選択を迫られたとき、民主主義というこれまで絶対的であった価値観にも崩壊が起きたと感じそうな気がします。 自由や平等、人道主義、そして民主主義など、これまで誇りに思ってきた価値観が次々に崩壊したときに、欧米の人たちはどのような気持ちになるのでしょうか。その一つの大きな可能性として、まさに「服従」、従う・信じることによる心の安寧、を著者は提示しているように思われました。 また、自分にも通じますが、現代社会に生きる人間がふとした瞬間に感じる虚無感もうまく描いた作品だなぁと思いました。

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2016/02/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

フランスにイスラム政権が誕生したら ー これって一種のディサトピアもの? ごく出だしは、国民戦線vsイスラム同胞党に、UMPと社会党がどう絡むよ、みたいな展開も期待できた。けど結局、かなりの部分が主人公周辺の些事に終始する話なので、世界観/国家観をどうこう言うには客観性を欠くけど。。。少なくとも、陸続きの隣国がガッツリありぃ、EUの存在もありぃの現代フランスで(正確には設定2027年、近未来)、もう少し国外からの介入があると思うなあ、現実的には。 個人的には、20年振りに訪ねた修道院で修道士が自分を覚えていたことに修道院の生活にはいかに「出来事」が少ないかが偲ばれるシーン、が印象的だった。

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2016/02/18

もしもフランスにイスラーム政権ができたとしたら。 本書が発売されたのは、パリで起きた大きなテロの記憶も生々しい頃で、リアリティがあり過ぎて「凄い」「怖い」「予言のようだ」と評判になった。 信じるもの、普通だと思っていた価値観が根底から覆される感覚。 正直、私自身はその価値観を受け...

もしもフランスにイスラーム政権ができたとしたら。 本書が発売されたのは、パリで起きた大きなテロの記憶も生々しい頃で、リアリティがあり過ぎて「凄い」「怖い」「予言のようだ」と評判になった。 信じるもの、普通だと思っていた価値観が根底から覆される感覚。 正直、私自身はその価値観を受け入れることに直感的な抵抗を覚える。文章に注釈が多く言い回しが独特。佐藤優さんの解説を先に読み、ようやく読了。

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