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服従 の商品レビュー

3.7

70件のお客様レビュー

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2016/02/07

フランスでは特にシャルリ・エブド事件のその日に発売されたことで注目されたとのことであるが、むしろその後のパリ同時多発テロの方から、この本が予言的と言われたということで興味を持ち読んでみました。 文学的なあれこれを小難しく書き連ねていたり(作者がインテリであることを誇示したいだけ?...

フランスでは特にシャルリ・エブド事件のその日に発売されたことで注目されたとのことであるが、むしろその後のパリ同時多発テロの方から、この本が予言的と言われたということで興味を持ち読んでみました。 文学的なあれこれを小難しく書き連ねていたり(作者がインテリであることを誇示したいだけ?)、おそらくはフランス人またはフランス在住でないとわからないだろうと思う描写も多くて、そんなところがいかにもおフランス的で辟易したものです。 しかしながら、フランスにイスラム政権誕生!というこの小説を、予言的と簡単に言ってのけるにはあまりにもリアルな描写がところどころにあり、ぞっとしました。これはあくまでもフランスでの話ですが、多数の難民がなだれ込んでいるEU全体のどこの国で起きてもおかしくない内容だと思います。 難民が暴力的問題を起こさず、ひっそりとおとなしくしているのなら拒まず限りなく受け入れるのか?そしてその後は?国内の人種別人口比率が変わったらどうなるのでしょう。その点は日本だって他人事じゃありません。恐ろしい話です。人口が減っているからといって移民受け入れを解決策とするのは考えがあまりにも愚かすぎると思った本でした。

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2016/02/06

インテリ向けのサスペンスって感じ?(昨日が誕生日だった)ユイスマンスを知らないと半分も理解できないかも。(知りませんでした(-_-))十分起こり得そうなお話だし、こうやって社会はいつの間にか劇的に変わっていってしまうという暗示的な話。

Posted byブクログ

2016/01/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

2020年のフランス大統領選においてイスラーム政党が政権を握り、イスラームによる政治が始まる、とうこの小説が、まさにシャルリー・エブドのテロ当日に発売されるという偶然によって否が応でも世界の注目をあびることになる。現在のフランス社会の状況や、フランスの近代思想史、イスラームの影響力への実感といった知識がないとなかなかわかりにくい部分もあるので、佐藤優氏の解説がかなり理解を助けてくれた。ヨーロッパがギリシア危機などによってEU統合の夢から醒め始め、イスラーム系勢力に対して自信を失っているという指摘には肯首せざるを得ない。同じ一神教であるキリスト教がその求心力を弱めているのに対し、イスラームはますます強力かつ広汎にその勢力を伸ばしている。単純に世俗的な欲求が満たされると信仰を必要としなくなるということなのか、近代資本主義的な思想のもとに生きてきた主人公をはじめとする多くのフランス人達は、イスラームによる攻撃に対して悲しいほどに無力である。 神も家族も他人も信じないシニカルな現代人たる主人公は、この政変に伴い、イスラームに改宗してゆくが、その過程は暴力も神の啓示もなく、ただ彼の空虚な内面と、西欧文明の脆さだけがその理由であるように見える。それにしても女子学生や娼婦とのセックスの他にすることがないかのような主人公の虚無的なことといったらない。そんな凡庸な人間こそが、このように転向してしまいがちなのかもしれない。

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2016/01/18

内容自体はそれほど読みにくい小説ではないけれど、固有名詞が多すぎて(特にフランスに関する言葉)、広く一般の人に読まれようとは、つまり、世界中の地域においてリーダブルな読み物を作ろうとは、特に考えていないのかな、という印象。これ、みんなスラスラわかるのかしら。僕だけわからない・・・...

内容自体はそれほど読みにくい小説ではないけれど、固有名詞が多すぎて(特にフランスに関する言葉)、広く一般の人に読まれようとは、つまり、世界中の地域においてリーダブルな読み物を作ろうとは、特に考えていないのかな、という印象。これ、みんなスラスラわかるのかしら。僕だけわからない・・・? フランスでイスラーム政権が誕生する物語。ユイスマンス(そもそもこの人を僕は知らない)の研究者であるフランソワの生き方をたどる。インテリである彼が、ゆらゆらと国家の力に流されていく様子には、なんだかものさみしさと悲しさを感じた。 穏健なイスラーム党が政権を握った。イスラームについて、もっと知りたいなと思わされたのが、p251~の『O嬢の物語』のところである。 「とにかくわたしにとっては、『O嬢の物語』に描かれているように、女性が男性に完全に服従することと、イスラームが目的としているように、人間が神に服従することの間には関係があるのです。お分かりですか。イスラームは世界を受け入れた。」 人間の幸福が、服従にあり、その視線の先には、絶対的に超越する「神」の存在があるーこれはイスラームの考えの1つなのだろうか?

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2016/01/18

 数ヶ月積ん読しておいたものを眠れなかったので一気に消化してみたが、うーん、話題になった程の真価を感じることは難しかった。  そもそも自分の中が自分はウェルベックの作風(とされている)扇情的・快楽的なものに対して本心はどうあれ表向きは否定的な気持ちが先立ってしまい、あまり好感が持...

 数ヶ月積ん読しておいたものを眠れなかったので一気に消化してみたが、うーん、話題になった程の真価を感じることは難しかった。  そもそも自分の中が自分はウェルベックの作風(とされている)扇情的・快楽的なものに対して本心はどうあれ表向きは否定的な気持ちが先立ってしまい、あまり好感が持てないままだった。  前半のifストーリーはシャルリーエブドや昨年末の事件のこともあり非常にリアリティがあって楽しく読めた。だけど結局は主人公が改宗した理由、世間が迎合した理由も作中でイスラムが真に戦うべきとしている物質主義の極みみたいなところにあるあたり、結局展開に無理があるように思えてしまった。  物質主義は物語の中でも克服されないままであり、一部のインテリジェンス層を除き作中の庶民や欧州は真に服従したとは言えないのではという疑問は最後まで解消されなかった。これ絶対、今後数年で新しい格差に対する不満が出てきて同じ瓦解が生まれるやつや。  ただまぁ、ifストーリーとしてこれが欧州でとてもウケているという事実込で読むこと自体はとても面白かった。「半島を出よ」みたいなノリで捉えるのが正解だと自分の中で落とし所をつけることはできたのでそれで良いかな。

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2016/01/15

文学だけが死者の魂と最も完全な、直接的で深遠なコンタクトを許してくれる。友人との会話においても全くありえない性質のもの。 自分に似合った本とは何よりもその著者に親近感を抱いている本。その著者に何度でもあって一緒に時間を過ごしたいと思う本。ユイスマンスのユーモア。懐の深い独特なも...

文学だけが死者の魂と最も完全な、直接的で深遠なコンタクトを許してくれる。友人との会話においても全くありえない性質のもの。 自分に似合った本とは何よりもその著者に親近感を抱いている本。その著者に何度でもあって一緒に時間を過ごしたいと思う本。ユイスマンスのユーモア。懐の深い独特なもの。読者が著者をからかうことで成り立っている。 家庭教師のバイト。知性の伝達はほとんどの場合不可能。 イデオロギー対立なのだろうな。。。この退廃的空気、不快である。なぜある人はこのように人をもののように扱って書くことができるのだろうか....ぞっとするな。そしてこのようなタイプの人とかかわらないためにはどうすれば良いのだろうか、と考えずにはいられない。退廃、無意味感、そしてうっすらそこにある経済的貧困....、と同性愛差別。なんだろうな、この恋愛依存症系の文章。とても具合が悪くなるから読みたくない。テーマ選択は途中までよかったのに。いい歳して精神的に自立しろ、と思ってしまう。

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2016/01/10

イスラムの政権ができる 軽犯罪が減る 失業率が現象(女性の退場) 家族手当上昇 教育費を当てる 義務教育は12歳まで 職業教育が奨励 中等高等教育は私立へ 2番目の妻を娶る

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2016/01/10

このディストピアはあまりにも唐突すぎる。イスラームとこのディストピアを結びつける説明がまったくない。 この部分がこの小説のトゲ。 以下引用 チェスタートンとベロックが導入していた政治哲学の根本的な要素のひとつは「補完性原理」だった。その原理によれば、どんな実体(社会的、経済的...

このディストピアはあまりにも唐突すぎる。イスラームとこのディストピアを結びつける説明がまったくない。 この部分がこの小説のトゲ。 以下引用 チェスタートンとベロックが導入していた政治哲学の根本的な要素のひとつは「補完性原理」だった。その原理によれば、どんな実体(社会的、経済的、政治的)も、それより小さい単位の機関に任せうる機能を担ってはならない。教皇ピウス十一世は、回勅「クアドラゲシモ・アンノ」にて、この原理に次のような定義を与えている。「個人企業や工場が達成しうることを個人から取り上げて共同体に与えるのが良くないことであるように、より上位で大きな組織が、より下位の小さい単位によって効率よく実現されうる機能を剥奪することは、不公平で、真剣な悪であり、あるべき秩序を妨げる」。ベン・アッベスが思いついた新しい機能とは、この場合「あるべき秩序を妨げる」のは、国という大きすぎる単位による割り当て、つまり社会保障そのものであるという内容だった。p202

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2015/12/30

近い将来、この本に書かれている展開は全世界で、とりわけ閉塞感で息詰まる寸前の日本でも起こるかもしれないと肌で感じさせる小説だ。日本人の一部はそれを恐怖と思い、他の一部は期待に胸を震わせるのなら、すでに日本社会は、また価値観は断絶しているのである。金属疲労したすべての資本主義社会へ...

近い将来、この本に書かれている展開は全世界で、とりわけ閉塞感で息詰まる寸前の日本でも起こるかもしれないと肌で感じさせる小説だ。日本人の一部はそれを恐怖と思い、他の一部は期待に胸を震わせるのなら、すでに日本社会は、また価値観は断絶しているのである。金属疲労したすべての資本主義社会への警鐘か。

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2015/12/25

フランスを舞台にした近未来小説。本当にあり得るかもと思わせる設定、流れの緻密さと、そこで生きる主人公の大学教授の生き方に対するなんとも言い尽くせぬ皮肉感。最後の選択の理由はそれなのか?!となるけども、実際そうなのかもな…と思う自分もいたり。この帰結がウェルベックのヨーロッパ的なも...

フランスを舞台にした近未来小説。本当にあり得るかもと思わせる設定、流れの緻密さと、そこで生きる主人公の大学教授の生き方に対するなんとも言い尽くせぬ皮肉感。最後の選択の理由はそれなのか?!となるけども、実際そうなのかもな…と思う自分もいたり。この帰結がウェルベックのヨーロッパ的なもの、自由主義的なものに対する正直な印象なのかも。それがいいとか、わるいとかでなく。

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