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服従 の商品レビュー

3.7

70件のお客様レビュー

  1. 5つ

    8

  2. 4つ

    30

  3. 3つ

    14

  4. 2つ

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  5. 1つ

    1

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2024/04/05

島国の日本には関係の無い話なんだろうか? 少子化、人口減少、外国人労働者の増加、グローバル化の日本社会の未来は大丈夫か?  日本だって、敗戦当初のインテリゲンチャーの掌を返したような「宗旨替え」を経験している。

Posted byブクログ

2023/08/30

「服従」(ミシェル・ウェルベック : 大塚 桃 訳)を読んだ。 
うーん、これはまいったな。 
フランス大統領選挙において、ファシストかイスラーム主義者かの選択を迫られるというところから始まる。 
それだけでなはないさまざまな問題を提起する衝撃的な物語となっている。 
主人公が...

「服従」(ミシェル・ウェルベック : 大塚 桃 訳)を読んだ。 
うーん、これはまいったな。 
フランス大統領選挙において、ファシストかイスラーム主義者かの選択を迫られるというところから始まる。 
それだけでなはないさまざまな問題を提起する衝撃的な物語となっている。 
主人公がユイスマンス(あの『さかしま』のユイスマンス!)の研究者であるというところもミソなんだよな。 
本書が問いかけるこれらの重苦しい問題に私は私の中に確たる答えが存在しないことを認めざるを得ない。 
ある登場人物が語るこの部分が印象に残る。(肯定的な意味では決してない)
「『O嬢の物語』にあるのは、服従です。人間の絶対的な幸福が服従にあるということは、それ以前にこれだけの力を持って表明されたことがなかった。それがすべてを反転させる思想なのです。」(本文より) 
「アベンジャーズ」の中でロキが同じようなこと言ってたな。
『ひざまずけ』って。 
《表紙の翻訳者名大塚 桃 より解説者名佐藤 優の方が活字が大きいってなんだ?》

Posted byブクログ

2022/06/12

欧米のインテリ社会に精通しているわけではないので印象論でしかないのだが、著者の小説はどれも著者自身を含めた西欧のインテリの自虐、もしくは壮大な嫌味が芯になっているのではないかと感じる。本書の結末などは普通に読めばディストピアめいたものにしか思えないが、そこに福音を感じるらしい主人...

欧米のインテリ社会に精通しているわけではないので印象論でしかないのだが、著者の小説はどれも著者自身を含めた西欧のインテリの自虐、もしくは壮大な嫌味が芯になっているのではないかと感じる。本書の結末などは普通に読めばディストピアめいたものにしか思えないが、そこに福音を感じるらしい主人公の存在が描かれており、これはフランスにおけるイスラム政権誕生のリアリティ等とは全く別の次元で、インテリに対する顔面パイ投げ的な諧謔のように受け止めてしまう。

Posted byブクログ

2022/03/04

この世界のリアリティについては男性目線がほとんどだったので難しかったですが、自由や民主主義の行き詰まり感、信仰の強さを背景に家族単位で広げていける力などはリアルに感じました。 虚しさを感じながらも謳歌していた男性が、社会の価値観が激変するとともに自分には愛がないと切に感じる。 改...

この世界のリアリティについては男性目線がほとんどだったので難しかったですが、自由や民主主義の行き詰まり感、信仰の強さを背景に家族単位で広げていける力などはリアルに感じました。 虚しさを感じながらも謳歌していた男性が、社会の価値観が激変するとともに自分には愛がないと切に感じる。 改宗によりしっくりくる価値観に行き着いたのでしょうが、一夫多妻制への食いつき。

Posted byブクログ

2021/08/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

フランスの、ヨーロッパの、いや世界的な政治の流れについてほとんど何も知らないし、フランス文学についても、教育制度についても、イスラム教の社会制度についても知らないことがほとんどなので、理解できたとは言えないが、読みやすくはあった。 読みやすいと言っても、10ページ読んでは意味を推しはかり、10ページ読んでは知識の片りんを探し、などしていたのでずいぶんと時間がかかってしまったけれど。 でも、こういう本にしては不思議なほど文章が上滑りしていくことはなかった。 2022年、フランスの大統領にイスラム政党の党首が選ばれ、フランスの国が徐々にイスラム化していく話といえば、大規模なテロの流血のシーンを思い浮かべるかもしれないけれど、この作品はあくまでも徐々に変わっていく社会を書いているので、そこがまた怖いところでもある。 主人公は家族の愛情を知らずに育ち、結婚することもなく、毎年新しい女子大生を恋人にしながら孤独な日を送っているパリ大学の教員。 日ごろ政治に興味を持ったこともない。 けれどイスラム政党の党首が大統領になるかもしれないと聞いて、パリから逃げ出すことにする。 恋人は家族と一緒にイスラエルに脱出したので、つられて…と言ってもいいかもしれない。 主人公はあまり主体性がない。 イスラム政党は与党となっても利権には興味ない。 彼らにとって大事なのは、イスラム教に乗っ取った生活、イスラム教を主体とする国造りなので、重要なのは福祉と教育である。 主人公は大学の教員なので、この作品はもっぱら教育方面からのアプローチとなる。 大学は一度閉鎖され、再び開いた時は教員の選別がなされている。 教員に必要な資格。 それはイスラム教徒であるかどうか。 主人公は解雇される。 ほかの大学で教鞭をとらないのなら(つまりそれは反国家に立脚した大学である)、月に50万円相当の、しかも物価スライド制の年金が生涯保障される。 主人公はあっさりそれを受け入れる。 高等遊民となった主人公は、町を散策し、小さな違和を感じる。 街中からスカートが消えた。 主人公は修道院で修行生活を試みる。 しかし彼にはキリスト教が絶対だったことはないし、この先もないと思われた。 一度主人公を切り捨てた大学は、再び彼に接触をしてくる。 なぜなら教員が不足しているから。 教員として大学に迎え入れたい。 そしてそれは、イスラム教への入信を意味する。 中世のイスラム教は、他宗教に寛容だった。 そして今回も、学食にハラルはあるが、今までの伝統的メニューも残されている。 キリスト教の学生ももちろんいる。 けれど、教員は全てイスラム教徒。 多分数年後に、イスラム教とは爆発的に、しかし静かに人数を増やしてゆくのだろう。 教育と福祉を抑えるということは、そういうことだ。 ちなみに独身の教員は、希望があれば奥さんも斡旋してもらえる。 仲人の専門家が、収入に応じて適切な妻の数を割り出し、用途に応じて必要な女性を紹介してくれる。 主人公は年金の3倍の給与で教員に復帰する。 さて、イスラム政党の政策が実行されるにあたっての金銭的支援はサウジアラビアが行っている。 しかし、教育と福祉は金がかかる。 いつまでその資金援助が続くのか。 そして、女性たちはどう考えているのか。 いちおうタイトルの『服従』は人間が神に服従する世界という意味のようだが、女性が男性に『服従』することも含まれているだろう。 その上で、物質文明が行き詰まり閉塞感を増している西欧(日本も含む)から解放されるための手段としての『服従』でもあるのかもしれない。 余談であるが、イスラム政党の目標は、イスラムによるローマ帝国の再興。 地中海沿岸の国と同盟を組んで、ゆくゆくはヨーロッパ制圧をもくろんでいる。 アウグステゥスの統治が目標。

Posted byブクログ

2021/07/19

帯の内田樹の言葉「フランスの政治的・思想的・霊的な劣化という現実を自虐的なまでに鮮やかに摘抉」が、本書の特徴を最もうまく言い当てている。「フランスの」というのは「フランスの知識層の」と言う方がより正確ではあるが。イスラームの浸透に抵抗を覚えながら、イスラームに対抗する価値観を保ち...

帯の内田樹の言葉「フランスの政治的・思想的・霊的な劣化という現実を自虐的なまでに鮮やかに摘抉」が、本書の特徴を最もうまく言い当てている。「フランスの」というのは「フランスの知識層の」と言う方がより正確ではあるが。イスラームの浸透に抵抗を覚えながら、イスラームに対抗する価値観を保ち得なくなっているヨーロッパ。権威主義に圧倒される民主主義の現実を戯画的に、しかし肌感覚であり得るものとして描き出している。

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2020/07/26

2022年、イスラーム政権が誕生するif世界のフランスが描かれている。小説だけどルポルタージュのようでもあった。揺れ動くフランスで失職する大学教授の主人公フランソワ。イスラームに屈しない人々や、反対に迎合するインテリたちが子細に描かれていて面白かった。

Posted byブクログ

2020/06/16

現実に、フランス大統領選挙があったために、話題になった本。 すごく時間がかかって、やっと読み終わったが、よく解らなかった。ヨーロッパがイスラーム化したらどうなるか? という話か。

Posted byブクログ

2020/02/12

欧州的価値観が手詰まりになり、右傾化とイスラム化は避けられないとの立場から書かれた問題作。相当反発を買ったらしいが、一つの回答としてはありうるものかもしれない。もちろん個人的には賛成できないが、現実を見極めるためにはこのような精神風土があることの理解も必要か。

Posted byブクログ

2019/12/24

途中までは退屈ですが、その退屈さはエンディングの畳み込むような展開に繋がる伏線となっています。 時代の空気は、一つ転がり始めると、恐ろしいほど、人の心を巻き込んでどんどんと膨らんでいくのでしょう。 時代には、誰も抗えない…いえ、抗うということさえ思いつかないほど、どっぷりとつかっ...

途中までは退屈ですが、その退屈さはエンディングの畳み込むような展開に繋がる伏線となっています。 時代の空気は、一つ転がり始めると、恐ろしいほど、人の心を巻き込んでどんどんと膨らんでいくのでしょう。 時代には、誰も抗えない…いえ、抗うということさえ思いつかないほど、どっぷりとつかっていく…とても怖い作品です。 今私たちも知らない間に、この時代の常識という名の元に、何かに洗脳されているのかもしれません。

Posted byブクログ