何者 の商品レビュー
結構びっくりするようなエンディングだったが、言われてみれば最初からそうだったと、読者の意表を突く展開だった。 最後に主人公が改心した様子が描かれていたのが、とても好印象だった
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朝井リョウさんは「正欲」で初めて知り、読んだ時とても衝撃を受けたことが記憶に新しく、ずっと気になっていた「何者」を今回読んだ。これもすごかった。私はまだ2作しか読めていないが人の真髄というか、なんとなく思ってるけど改めて指摘されたくないような、柔らかい隠しておきたい場所を的確に刺してくるのが上手い(上手いなんて一読者が烏滸がましいが表現が他に出てこない)と感じた。また、人の生々しさがなかなかに残酷だけどこれがすごく面白い。 読んだ時の感想としては最初は就活の話であったので自身も数年前に就活生だったから分かるな〜こういう人いたな〜という共感が多かった。しかし途中から自身にも刺さる言葉が多くハッとさせられた。 内定が出たあとの居酒屋での飲み会の光太郎のセリフ「俺このまま何もしなかったら俺のままじゃん?〜〜」あたりは自分も考えたことがあったので印象に残った。就職したら自分で何かを起こさない限り勝手に起きるイベントは基本的にない。就職した今実感もしているし、だからこそ、何者かになりたいなら自分で何かを起こさないといけないんだな〜と再認識した。 終盤の展開は驚いたが、少し拓人と理香に似たことは私も思ってしまうなと感じた。自分より幸せになって欲しくないとか、心の中では応援できないとか……こういう仄暗い気持ちは誰にでもあるのかもなぁ。(というかあって欲しいとこういう気持ちを持ってしまう自分が思う) 自分は自分にしかなれない、だからカッコ悪くても足掻く。理香の就活中の行動は正直自分も痛いな〜こういうやついたな〜と思いながら嘲笑していたが、終盤の語りをみてそれが理香の足掻きだったと分かって自分が恥ずかしくなりました…… すごく好きな話だった。移動時間に読み始めたけど面白くて一日で読み終えてしまった。 朝井リョウさんの作品他にも読んでみたい。
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「こんな人いるよな、嫌だよな、わかるわかる」と主人公に共感しながら読んでいたけど、ラストではっとさせられた。
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初めて直木賞受賞作を読んだ。 物語の内容的に就活生じゃなくても心に刺さる部分はあった。 カッコ悪く足掻いて転職活動頑張ろうと思う。
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何者かになろうとするけど、何者にもなれず、「痛くてカッコ悪い姿で足掻き続ける」奴を批判することで足元を整える、人間の裏を描いた作品 登場人物は少ないけど、生きている誰もがこの悩みに引っかかると思う。共感できるし読みやすいからおすすめ
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⚫︎えらく登場人物に既視感があるなと思ったら、何様を既に読んでいた… ⚫︎前半は引き込まれるけど、だれるな〜とか思っていたけど、ラストの怒涛感がやばい… ⚫︎ドラマ化されてるっけ?光太郎の菅田将暉感がやばいなw ⚫︎うう…何者にもなれない虚しさを感じる年始や… ⚫︎ラスト、実は主...
⚫︎えらく登場人物に既視感があるなと思ったら、何様を既に読んでいた… ⚫︎前半は引き込まれるけど、だれるな〜とか思っていたけど、ラストの怒涛感がやばい… ⚫︎ドラマ化されてるっけ?光太郎の菅田将暉感がやばいなw ⚫︎うう…何者にもなれない虚しさを感じる年始や… ⚫︎ラスト、実は主人公は2年目の就活が判明してからの今までのTwitterツイート公開がキツい。まともに読んでいられないほどの共感性羞恥をビンビン感じたよ…
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朝井リョウは名前のない感情を言語化するのが本当にうまいなと思う。 もう就活生に共感出来るほど若くはないが、何者かになれるはず、自分は他の誰かと違うはず、という感覚は痛いほどわかる。 自分は何者でもないただの平凡な人間なのだ、と認めるのが怖くて、傷つきたくなくて、傍観者になって他人...
朝井リョウは名前のない感情を言語化するのが本当にうまいなと思う。 もう就活生に共感出来るほど若くはないが、何者かになれるはず、自分は他の誰かと違うはず、という感覚は痛いほどわかる。 自分は何者でもないただの平凡な人間なのだ、と認めるのが怖くて、傷つきたくなくて、傍観者になって他人を小馬鹿にしてしまうことも。 カッコ悪くてもあがいていくしかないと気付けるまでにどれくらいの時間がかかったのだろうか。 面白かったけど、朝井リョウの他の作品に比べるとテーマが就活だからか刺さる部分が少なかったから、星4つにしたがとても素晴らしい作品だと思う。
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映画を見てから読みました。 何者かになりたい…何者にもなれない。自分は自分として生きていくしかない。 みんなが憧れるあの人もこの人も、"何者"になっている、というわけではなく、 生きてきた結果、何者となったんだろう 何者のゲシュタルト崩壊…
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短く簡潔に自分を表現しなくちゃいけなくなったんだったら、そこに選ばれなかった言葉のほうが、圧倒的に多いわけだろ。 だから、選ばれなかった言葉のほうがきっと、よっぽどその人のことを表しているんだと思う。 ほんの少しの言葉の向こうにいる人間そのものを、想像してあげろよ、もっと。 グサグサ刺さる言葉が多かった
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正欲ぶりの朝井リョウさんの作品。 その時もそうだったけれど、上手く向き合いきれていない自分の弱い部分に気付かされるような感覚が随所であってチクっと心に刺さる。 タクトが隆良とギンジを重ねて、マイナスのフィルター越しに見てしまう描写、共感できるなと思った。新しく人に出会う時、つい『これまで出会ったきた人』の誰と似ているかを考え、その枠の中で人を判断してしまっているなと思った。目の前の相手と、これまで出会った人は違う人間だとわかっているのに。あと、会話の中で誰かの名前を出すときに、自分の辞書にある言葉だけで人を表現しようとしてしまうこともあるなと反省した。自分の知識の中で、人を語るなんて傲慢だ、とこの作品を読みながら考えたりした。 SNS上で何者かになろうとしてしまうこと、耳の痛い話だった。自分の中の嫌いな部分を隠して、自分の理想を画面の中で実現しようとしてしまうこと、よくある。でも、それで自分を保てている時もある。何者かになろうとしてしまうこともまた、カッコ悪いと思いつつも、それによって本当の自分を否定しすぎずにいられることもあるなと思った。 213ページの瑞月さんの線路の話、心に響いた。ここまで大人への変化を言語化してくれている文章に出会ったのはこれが初めて。線路を同じ高さで、同じ角度で、見つめてくれる人の人数が変わること、その変化が大人になっていくってことなのかと腑に落ちた。それと同時に、今の自分にはそんな存在はいなくて、自分の線路の続く先を考えられるのは自分だけだから、もっと向き合って決断をしていかなければならないんだな、と背中を押されるような感覚だった。 大きな感動こそないものの、色々と考えさせられる作品でした。今よりも、何か決断をせねばならない岐路に立たされたときに読むと、また響き方が変わるだろうなと思う。
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