「学力」の経済学 の商品レビュー
昔からの習わしではなく、データドリブンで教育を語ろうという一冊。 教育に限らず、子どもの成長というのは「実験」をしにくいがために確かなデータがなく(特に日本では)、結果的に個人の経験論や慣習が市民権を得ています。しかし、そういった経験論は一般的ではなく、慣習もときには間違ってい...
昔からの習わしではなく、データドリブンで教育を語ろうという一冊。 教育に限らず、子どもの成長というのは「実験」をしにくいがために確かなデータがなく(特に日本では)、結果的に個人の経験論や慣習が市民権を得ています。しかし、そういった経験論は一般的ではなく、慣習もときには間違っているということを欧米で実施された実験を論拠に解説しています。 とは言ってもこうした実験というのは言うまでもなく難しく(特に評価の点において)、実際に本書で参照されているデータも若干「ん?」と思ってしまうものもありますが、理系としてこういったデータドリヴンな内容が評価される時代というのは喜ばしいものです。 そういえば『小児科医ママの「育児の不安」解決BOOK』も育児をデータで説明するという内容でした。 個人的に参考にしたい内容。 ・アウトプットではなく、インプットに対する褒美 ・能力ではなく、努力や結果を褒める ・人的資本への投資は幼いときから ・非認知能力で特に重要な自制心とやり抜く力
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ものすごく説得力のある話だった。 日本は本当にデータを公開したがらない。国も会社も。自分たちの資産は自分だけで使うものという考え方。 データを上手く公開することで、更に良い結果が得られるというのに。 前半はとにかく、子育てに役立つ内容が盛り沢山だった。 これは絶対忘れないように...
ものすごく説得力のある話だった。 日本は本当にデータを公開したがらない。国も会社も。自分たちの資産は自分だけで使うものという考え方。 データを上手く公開することで、更に良い結果が得られるというのに。 前半はとにかく、子育てに役立つ内容が盛り沢山だった。 これは絶対忘れないようにして実践したい。 後半は国に読んでほしい内容。 日本の無駄な政策、早くなくならないかな。 素人でも無駄でしょ、って思うような政策ばかり。 どうか無駄に税金を使うのではなく、エビデンスに基づいて効果があり実践するべきである政策をやってほしい。
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「科学的な根拠」が「個人の体験記」を超える。 今の教育界はエビデンスによることなく一部の質の高い先生の経験を重視してることは昔は良かったかもしれませんが今はもう通じないのかもしれません。 「因果関係」(原因と結果)と「相関関係」(同時発生) 相関関係を鵜呑みにするのは危険です。...
「科学的な根拠」が「個人の体験記」を超える。 今の教育界はエビデンスによることなく一部の質の高い先生の経験を重視してることは昔は良かったかもしれませんが今はもう通じないのかもしれません。 「因果関係」(原因と結果)と「相関関係」(同時発生) 相関関係を鵜呑みにするのは危険です。 「学力高い=自尊心高い」(相関関係)があっても「自尊心高い→学力高い」という因果関係ではなく「学力高い→自尊心高い」となる因果関係が生じるので勘違いしやすいと言えます。 「インセンティブ」は方法が明確なものに与えることが重要だそうです。 自然に持っている「能力」ではなく人為的な行動の「努力」を「褒める」ことでインセンティブが働くというものです。 人的資本への投資は「就学前教育」が最も収益率が高いそうです。 「就学前教育」は非認知能力(自制心、やり抜く力、勤勉性)を高め将来年収等成果に直結するそうです。 ただ「学校教育」が役に立たないということではないようです。 では「学校教育」をどのように改善するか。 教員の量を増やすより質を高める方が経済効果が高いとのことです。 そりゃそうですよね。いくら少人数教室でもゆとりじゃあ… いかに質を高めるかが問題ですね。 それはこれから僕も含めて行政も考えていかないといけないことなんやと思います。 ドラエもんを例にコピーロボットが出てましたが、ちなみにコピーロボットはバードマンがパーマンにあげたアイテムやったかもσ^_^;
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遅ればせながら読了。「エビデンス・ベース」というキーワードが教育分野でも出てくるようになったが、日本で実際にエビデンス・ベースの教育政策は殆どやられていない。日本では限られた予算を教育に投資する際の対費用効果をきちんとデータで説明するための蓄積を今までやってきていない。 平易な文...
遅ればせながら読了。「エビデンス・ベース」というキーワードが教育分野でも出てくるようになったが、日本で実際にエビデンス・ベースの教育政策は殆どやられていない。日本では限られた予算を教育に投資する際の対費用効果をきちんとデータで説明するための蓄積を今までやってきていない。 平易な文章の中に、示唆に富むデータ分析結果がたくさん。教育関係者は一読すべきだろう。
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教育について、データを使ってすっきりとわかりやすく紹介している一冊。 思わず一気読みでした。 ご褒美の使い方 褒め方 ゲームとの付き合い方 ばっさり、さっくりの結論が爽快でした。 教育生産関数、この本で初めて知りました。 これは今後活用していきたいです。 同級生の影響、...
教育について、データを使ってすっきりとわかりやすく紹介している一冊。 思わず一気読みでした。 ご褒美の使い方 褒め方 ゲームとの付き合い方 ばっさり、さっくりの結論が爽快でした。 教育生産関数、この本で初めて知りました。 これは今後活用していきたいです。 同級生の影響、非認知能力の重要性、遺伝の影響など、「言われてみればそうだ」ということも多く、読み応えがありました。 読んでよかったと思える内容の本でした。 教育関係者の方、子育て中の方にオススメです。
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林先生がすごいというのだから、きっとすごいのだろう。 確かにすごかったです。 生徒への声掛け、 ちょっと気を付けなくてはと思うこともありました。 また、教師の「質」の話は恐いところです。 質の高い教師と質の低い教師では、 1年分の教育内容の差が出るらしい。 なんか、それ、わかる...
林先生がすごいというのだから、きっとすごいのだろう。 確かにすごかったです。 生徒への声掛け、 ちょっと気を付けなくてはと思うこともありました。 また、教師の「質」の話は恐いところです。 質の高い教師と質の低い教師では、 1年分の教育内容の差が出るらしい。 なんか、それ、わかる・・・わかるだけに恐ろしい。 できれば質の低い教師にならないように また精進していこうと思います。 生徒のためにも、自分のためにも。
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「教育経済学」という学問は初めて聞いた。内容は目から鱗の驚きが多かった。 我われの年代には、教育とは聖職であるかのような認識がなんとなく付きまとう。だから限られた資源をどう投資するのかという経済学の視点で教育を評価することには躊躇する気持ちも付きまとうのだが、本書の圧倒的な論理性...
「教育経済学」という学問は初めて聞いた。内容は目から鱗の驚きが多かった。 我われの年代には、教育とは聖職であるかのような認識がなんとなく付きまとう。だから限られた資源をどう投資するのかという経済学の視点で教育を評価することには躊躇する気持ちも付きまとうのだが、本書の圧倒的な論理性と説得力は圧感である。 著者は竹中平蔵氏の弟子だそうである。竹中平蔵氏といえば小泉政権の下で政治にのめり込んだ経済学者であり、小生は嫌いな学者であるが、その弟子である本書の著者は、先生と違って「親の年収と子どもの学歴」や「子どもの貧困」を冷静、公正に指摘していると言えるのではないかと思った。
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気になった点 ○学力テストの結果がよくなったのは、「テストでよい点を取る」というアウトプットではなく、インプットにご褒美を与えられた子どもたちだった。 特に、数あるインプットの中でも、本を読むことにご褒美を与えられた子どもたちの学力の上昇は顕著であった。 「インプット」にご褒美...
気になった点 ○学力テストの結果がよくなったのは、「テストでよい点を取る」というアウトプットではなく、インプットにご褒美を与えられた子どもたちだった。 特に、数あるインプットの中でも、本を読むことにご褒美を与えられた子どもたちの学力の上昇は顕著であった。 「インプット」にご褒美が与えられた場合、本を読み、宿題を終えればよいわけで、子どもにとって、何をすべきかは明確だが、「アウトプット」にご褒美が与えられた場合、何をすべきか、具体的な方法は示されないので、どうすれば学力を上げられるのかが、わからないため。 ○テレビやゲームが子どもの肥満や問題行動、学習時間に与える影響は小さい。 1時間テレビやゲームをやめさせたとしても、男子は最大1.86分、女子は最大2.70分、学習時間が増加するにすぎない。 1日2時間を超えると、子どもの発達や学習時間への負の影響が飛躍的に大きくなる。 ○もっとも収益率が高いのは、子どもが小学校に入学する前の就学前教育(幼児教育)である。 「学力」だけではなく、「忍耐力」や「社会性」「意欲的である」というような「非認知能力」を小さい頃に身につけているかどうかが、その後の人生を大きく左右してくる。 ○「勉強するように」という声かけの効果は低く、ときには逆効果になる。エネルギーの無駄遣いなので、やめた方がいい。 逆に、「勉強を見ている」または、「勉強する時間を決めて守らせている」という、親の時間を犠牲にせざるを得ないような関わりは、かなり効果が高い。 ○「あなたはやればできるのよ」など、むやみやたらに子どもをほめると、実力の伴わないナルシストを育てることになりかねない。特に、子供の成績がよくないときはなおさらである。 子どもをほめるときには、「今日は1時間も勉強できたんだね」、「今月は遅刻や欠席が一度もなかったね」と具体的に子どもが達成した内容を挙げることが重要である。 そうすることによって、さらなる努力を引きだし、難しいことでも挑戦しようとする子どもに育つ。
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TBSテレビ「林先生の初耳学」で、林先生が”信頼に足る教育書”と絶賛されていたことで、初めて知り即購入。 お決まりの教育論を覆し、データをもとに科学的根拠でもって理論が展開されている点は非常に興味深い。 教育の世界に限らず、我々の日常の中で”因果関係”と”相関関係”が混同されて理...
TBSテレビ「林先生の初耳学」で、林先生が”信頼に足る教育書”と絶賛されていたことで、初めて知り即購入。 お決まりの教育論を覆し、データをもとに科学的根拠でもって理論が展開されている点は非常に興味深い。 教育の世界に限らず、我々の日常の中で”因果関係”と”相関関係”が混同されて理解されていることにも気づかされる。 最終章「”いい先生”とはどんな先生なのか」が気になり、実は先に最終章を読んでしまった。教育の質を高めることが重要だとはわかっていても、その方法をめぐっては、まだまだ議論の余地があるということで…。是非、続編を期待したい。
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経済書は苦手だし、教育学は仕事で少し触れたことはあったけど、なんかキレイごとが多かったなあ…まあだまされて読んでみるか、と思ってたらあららら一気読み。だまされたのか。いや、すべて裏付けがあって、曖昧なものは、分かっていない、と断言し、でもそこはこうなれば分かるはず、と展望を示して...
経済書は苦手だし、教育学は仕事で少し触れたことはあったけど、なんかキレイごとが多かったなあ…まあだまされて読んでみるか、と思ってたらあららら一気読み。だまされたのか。いや、すべて裏付けがあって、曖昧なものは、分かっていない、と断言し、でもそこはこうなれば分かるはず、と展望を示してる。ああ、何事もこうでなくちゃ、と思うと同時に、教育はものすごく大事なもので、だからこそ教育の情報は開示されねばならんなあ、絶対に、と思いました。お役所まかせではいけません。
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