「学力」の経済学 の商品レビュー
世間で言われる学習に与える影響を、経済学の側面から因果関係をはっきりさせる本。 インプットにご褒美を、持っている能力より努力をほめる。 よく言われて浸透しているところ。 友達からは成績より行動(悪い)を受けやすい。 褒美は小さいうちはお金じゃなくてもOK、金融教育をするのも一つ...
世間で言われる学習に与える影響を、経済学の側面から因果関係をはっきりさせる本。 インプットにご褒美を、持っている能力より努力をほめる。 よく言われて浸透しているところ。 友達からは成績より行動(悪い)を受けやすい。 褒美は小さいうちはお金じゃなくてもOK、金融教育をするのも一つの手。 因果関係がわかっているのか?という点は ・子どもが小さいうちのほうが教育に関する投資効果が高い。 →小さいうちに投資した子どもはその後どういう成長をしたのか。日本で実験は難しいだろうし、引用の説明がほしかった。(簡単に考えられるのは、その後もそういった教育をうける環境だと思うんだが・・・ ・少人数学級の是非 →学習効果だけで言えば効果は薄い。またより環境の悪い学級こそ。というのはよくわかるのだが、学習以外の面での効果は、本書にも触れているとおり、是非はつけ難い。と思う。 しかし、教育の「量」より「質」という話はとても同感した。
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教育分野において、どういう方法が教育によいか判断する際に、一部の教育専門家やカリスマ教育ママの個人的意見により、決められてしまう状況に対して、大規模や実験データに基づき判断すべきだと提唱した本です。医学分野にいる者にとっては当たり前すぎることで、個人的に完全に同意します。詳細は知...
教育分野において、どういう方法が教育によいか判断する際に、一部の教育専門家やカリスマ教育ママの個人的意見により、決められてしまう状況に対して、大規模や実験データに基づき判断すべきだと提唱した本です。医学分野にいる者にとっては当たり前すぎることで、個人的に完全に同意します。詳細は知りませんが、例えば、ゆとり教育を導入際には、一部の施設で、ランダム比較試験を実施し、今までの教育群とゆとり教育群を比較し、ゆとり群がいい場合に導入すべきです。全員にいきなりゆとり教育を導入するのは、全員への教育人体実験と思います。 ただ個人的意見よりはいいですが、実際の研究では、様々な結果が得られ、あいまいなことも多いと思われ、書いてあることがクリアカット過ぎて、自身の意見に合うデータが選択されていないかは気にかかりました。索引のRIETIが入っている文献は査読があるきちんとした論文なのかも気にかかりました。
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経済学の手法で教育を見ると、いままで常識と思っていたことが覆される。学力を決めるものは何か、学力を上げるためにすることは何か、教育政策の有効性、教師の質など、子どもに知らせるのは残酷であり、努力しない言い訳になりそうだが、大人は知っておかないとまずいだろう。でも、データを疑えとも...
経済学の手法で教育を見ると、いままで常識と思っていたことが覆される。学力を決めるものは何か、学力を上げるためにすることは何か、教育政策の有効性、教師の質など、子どもに知らせるのは残酷であり、努力しない言い訳になりそうだが、大人は知っておかないとまずいだろう。でも、データを疑えともいうし、この本が正解かはなんとも言えない。
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教育をデータで科学した本。 細かいところでは1つ2つ引っかかったところはあるものの、今まで抱いていたもやもやをデータで説明してすっきりさせてくれた印象。 特に教育だの人事だのという領域には なかなかデータ活用(収集含む)になかなか手が付いていないのが日本の現状だと思うが、 この...
教育をデータで科学した本。 細かいところでは1つ2つ引っかかったところはあるものの、今まで抱いていたもやもやをデータで説明してすっきりさせてくれた印象。 特に教育だの人事だのという領域には なかなかデータ活用(収集含む)になかなか手が付いていないのが日本の現状だと思うが、 このような本をきっかけに、今までの思い込みによる問題が解決され、 いい方向に向かうとよいと思う。 営業の訪問の際にも(話題が出たら)使いたいものがいくつもあった。
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データをもとに教育を経済学的に分析した本。 「どこかの誰かの成功体験や主観に基づく逸話ではなく、科学的根拠に基づく教育を」p26 というコンセプトで書かれています。 ◯子どもはほめて育てるべきなのか。 ◯「頭がいいのね」と「よくがんばったわね」どちらが効果的? ◯教育にはいつ...
データをもとに教育を経済学的に分析した本。 「どこかの誰かの成功体験や主観に基づく逸話ではなく、科学的根拠に基づく教育を」p26 というコンセプトで書かれています。 ◯子どもはほめて育てるべきなのか。 ◯「頭がいいのね」と「よくがんばったわね」どちらが効果的? ◯教育にはいつ投資すべきか。 ◯少人数学級には効果があるのか? ◯教員研修に効果はあるのか。 ◯なぜ日本で研究が進まないのか。 などの問いについて、データに基づいて説明しています。キャロル・S・ドゥエックのマインドセットの研究についても触れています。 また、IQや学力テストで計測される認知能力とは違い、「忍耐力がある」「社会性がある」「意欲的である」などの非認知能力と呼ばれる能力の大切さについても述べられており、その中でもとりわけ「自制心」と「やり抜く力」の重要性を指摘しています。それらを鍛えることが可能であることも。 人生の長い期間にわたって計り知れない価値をもつ「非認知能力」を過小評価してはいけない、とのことでした。 家庭におけるしつけの大切さや、部活動や社会奉仕活動の在り方についても考えさせられる本です。
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教育に関する事柄、例えば「子供をご褒美でつるのは良くない?」などを、エビデンスに基づいた教育経済学の観点から読み解いた本。 子育てに関する本はあまたあれど、この種の本は初めて。 なぜ教育にはエビデンスが重視されていないのか。 今まで見落としていた観点。 再読したい。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ほめるときは能力をほめないで具体的な達成をほめる。 日認知能力は鍛えることで伸ばせる。細かく計画を立て、記録し、達成度を自分で管理することが自制心を鍛える。 所得の少ない子供には少人数学級などの支援が有効。 ランダム化試験の話はちょっと端折ってあるがいい説明。
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教育という一般化しにくいテーマを分かりやすく教育経済学の視点で述べられている。 エビデンスを元に合理的、論理的に考えることにこそ意味があるが情理と合理の狭間にある教育はそれをタブー視するきらいがあり難しい。だからこそ意味のある内容。
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教育に費用対効果の考え方を!政策にエビデンスを!という主張は一理あると思う。教育で実証実験することは倫理的に難しいとされるが、それが長い目で教育のためになるというのも納得。しかしながら、具体的な施策はデータに基づくだけでロジックが弱いと感じた。
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「あとがき」を読んでもわかるように、この本は、「教育経済学」とそのための「実験」「統計調査」の市民権を獲得するための宣伝本といっていい。主にアメリカの教育経済学による実験を多数、カタログ的に紹介している。ここでは、そのデータ(著者が言うところの”エビデンス”)を示すことが重要で、...
「あとがき」を読んでもわかるように、この本は、「教育経済学」とそのための「実験」「統計調査」の市民権を獲得するための宣伝本といっていい。主にアメリカの教育経済学による実験を多数、カタログ的に紹介している。ここでは、そのデータ(著者が言うところの”エビデンス”)を示すことが重要で、それをどのように解釈するのかはさして重要ではない、というかこの本の主眼ではない、ということなのかもしれないが、それにしても、それぞれのデータに添えられた著者のコメント(解釈?)はお粗末なものが多い。教育問題は、データでなくその人個人の経験にもとづいて語られやすいと著者は言うが、データがあってもそれを解釈する際、結局その人個人の経験が解釈の方向づけをしてしまう。また、実験や調査の設計自体、実験者・調査者個人の経験が色濃く反映しているだろう。このことについて著者は無邪気に無自覚である。教育という社会事象について、ひとつの実験、ひとつのデータ(エビデンス)だけで語れることはない。それも、データのきちんとした解釈してみせることで示すべきではないか。
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