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絶歌 の商品レビュー

2.9

157件のお客様レビュー

  1. 5つ

    12

  2. 4つ

    27

  3. 3つ

    34

  4. 2つ

    21

  5. 1つ

    21

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2015/06/25

善悪を教えられずに育ったために、または貧しさや環境ゆえに、あるいは人間らしい心を持って生まれなかったために罪を犯した子どもたちを、一から教育しなおす矯正教育の素晴らしさと、その限界について考えさせられた。 「自己陶酔してばかりで、全く反省していない」という批判が多いが、それは少...

善悪を教えられずに育ったために、または貧しさや環境ゆえに、あるいは人間らしい心を持って生まれなかったために罪を犯した子どもたちを、一から教育しなおす矯正教育の素晴らしさと、その限界について考えさせられた。 「自己陶酔してばかりで、全く反省していない」という批判が多いが、それは少し違う気がする。 そもそも相手の痛みを思いやる共感性が欠けていたからあんな惨い犯罪ができたのだ。発達障害だろうか、サイコパスだろうか、なんと呼ぶのが正しいかは分からないけれど、彼が心理的に異常であったことは確か。心理的障害を持っていた彼の言動を健常者のモノサシで測るのは違和感がある。 そんな彼を育て直し、罪悪感や感謝の気持ちを育んだのは少年院などでの矯正教育だ。 けれども、恐らく矯正教育にも限界がある。少年院にはハタチまでしか居られない。短期間で人間を根本から変えて行くことは難しいだろう。 特別手厚い教育を受けた元少年Aは、彼なりに人間らしい心を育み、自身の成長や罪の意識を形にしようとしたのだと思う。しかしこうして匿名のまま遺族の了承を得ずに出版することで、世間がどのような反応をするか、それを想像するために必要だった何かが、まだ欠けていた。 あくまでも憶測の域を出ないけれど、私はそんな風に感じた。 たくさんの批判や社会的文脈を脇において、単なる読み物として捉えると、また違った感想を持つ。決してつまらない文章じゃない。ただ全体的に、実年齢より幼い印象を受けた。20歳くらいの、イビツな文才を持った文学青年の作、というイメージ。 今回の出版について、ご遺族の心情を思うと買ってしまったことがうしろめたい。でも個人的に関わりのある分野であるし、中身を見ないでいろいろと言いたくなかった。

Posted byブクログ

2015/06/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

この本をすごく読みたくて仕方がなかったので、読めてよかったです。犯罪を犯した人間がずっと生きて生活していくには、並大抵な事ではないんだなと感じました。死ぬよりも辛く苦しむ運命が待っているとは思いもしませんでした。最大の罰を受けて生き抜いて行っているんだともわかりました。 事件当時、ただ単に死にたいとしか考えておらず、もっとも楽な道にいってしまうよりも、生かされて、大きな罪を背負って苦しんで生きている今、そんな中、人間にとってものすごく大切な事を学んだと思います。 被害者家族へを読んだ感想 神戸事件の犯人は、非常に苦しみ、もがき、打ちひしがれた人生を送っていたのだという事が被害者のご家族の皆様へを読んでわかりました。どうしょうもなく、苦しくて助けて欲しい程なのでしょうね。当然の報いだと思います。 更正プログラムを終え、出所し、普通の生活をしていく上で、やっと人間になれ、周囲の人の気持ち、かけがえのない大切な物を理解し自分が過去に大きな犠牲者を出してしまったのに対し、さらにもうどうしようもない程の後悔の念が沸いたんだろうと思います。どうしようもなくなり、助けを求める程苦しみを味わっているのがよくわかりました。もう、そこまで追い込まれているという事だとわかりました。  10代っていつの時代も非常に難しいと思います。そんな10代達にどうせっして行けばよいのか? どうすれば、悪の気持ちが芽生えた心の中を見つける事が出来るのか?また、表情、雰囲気からも伺える部分もありますが、声掛をしても、うまい事隠す子に対し、どこまで面倒を見るべきなのかと思わされたりします。本当に難しい問題だな~です。絶歌の中で、思った事は、ダフネ君みたいに口が軽く、その事を熟知していた彼が、それdもダフネ君に反抗をにおわせたのは、やはり、どこか心の奥底で、彼にかけるしかなく、助けを求めてた。自分をわかって欲しいんじゃないかな~と感じました。 また、少年Aが山地悠紀夫について書いていた部分がありました。 その中に、あれほど絶望した顔を見た事がないというような事が書かれていました(P230~235)この部分を読んで改めて思ったのは、犯罪者の心理を理解してやってからの死刑でないといけない!と思いました。そうする事で、犯罪者は、涙を流し、後悔する中で死んでゆく事になるだろうな~と思いました。 太田出版社が記載していた事ですが、 「彼のような犯罪を起こさないため、起こさせないため、そこで何があったのか、たとえそれが醜悪なものであったとしても見つめ考える必要があると思います。」 私もその通りだと思います。 また数年後にどう変わったのか報告みたいな形で、本を出すべきだと思います。 そして見つけた道を話してもらいたいものです。 もちろん、自分の進んだ道もそうだし、遺族への事もどういう気持ちが出てきたかとか。 絶歌というタイトルは、 最初から思ってたのですが、絶やしてはいけない、決して絶える事がない歌(感情を表すもの、伝達するもの)というように私は思います。

Posted byブクログ

2015/06/22

どのような感想を持つかは、人によって異なると思います。 ただ一つ思うことは、「読みもせずに批判しないでほしい」ということ。 できるだけニュートラルな立場で読もうと思っていましたが、途中から泣きっぱなしでした。 正直、メディアから受けた印象と、実際に読んだ印象は大きく異なりまし...

どのような感想を持つかは、人によって異なると思います。 ただ一つ思うことは、「読みもせずに批判しないでほしい」ということ。 できるだけニュートラルな立場で読もうと思っていましたが、途中から泣きっぱなしでした。 正直、メディアから受けた印象と、実際に読んだ印象は大きく異なりました。 この本について、メディアで取り上げられているだけの情報がすべてではありません。 ほんの一部で、かつ、著者の心証を悪くするような部分だけを取り上げている感が否めません。 読んだ上で、信じるか信じないかは自由。 人の苦しみなんて、他人には本当の意味では分からないはずなのに、第三者が安易に批判や評論をするべきではないと思います。

Posted byブクログ

2015/06/22

大変興味深く読んだ。少年Aの正直な語りの内容には一読の価値はあると思う。草薙厚子の内容とは異なる部分もある。しかし、自分では抗いきれない欲望に操られて殺人を犯してしまうことの不条理を感じる。殺人そのものは許さない事だが、どうしたら抗えるのか。

Posted byブクログ

2015/06/22

まず、どこまでが本心なのか。 「病気だったから」と一言で片付けてしまうのではなく、こうならないためにはどうしておけば良かったか、気持ち(考え)をもっと知りたかった。 少しわかったのは人の気持ちを考える、思いやりをもつことの大切さ。自分の子供たちに教えていきたいと思う。

Posted byブクログ

2015/06/22

自己陶酔のようなとても比喩の多い文章が読みづらかった。 自ら手をかけて殺してしまった淳君、彩花ちゃんの当時の殺害状況についてはスコンとそこだけ抜けているようにほとんどそれについては書かれていない。 わざとなのか、それとも編集段階で削除されたのか..

Posted byブクログ

2015/06/21

騒がれていた本なので興味本位で購入してみた。更生してるとかしてないとか、それは本人にしか分からない事・・・現在もこれからも一生更生しながら生きていくんだろう。でもこの本、読んで良かったと思う。後半の文章が本当に本人の気持ちだと信じたいです。

Posted byブクログ

2015/06/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

酒鬼薔薇聖斗の手記。 まず、彼が犯した罪がやはり許されるものでは無いという大前提の上で以下のコメントを記そうと思います。私が小学生だった頃、わずか十四歳の少年による常軌を逸した連続殺人事件が起こりました。あまりにもセンセーショナルなその事件は日々生まれては消えていく一事件ではなく、日本中の人々の記憶に長く残ることになる事件として私の記憶にも刻まれました。猟奇殺人犯が十八年の歳月を経て、どのような変化を持ったのか、また持たなかったのか。文中にこんな記述がある。―「謝罪したい」「更生したい」と思うこと自体が、傲慢極まりないことなのかもしれない…「贖罪」について思い迷い、混乱した…沈黙が僕の言葉ーそう考え続けてきた彼が本を出版するに至った。この上梓に関しては「出版を差し止めてほしい」という遺族の方々の意見が全てであると思います。それでも、加害者として謝罪の意思は言葉にせずにはいられなかったのだろうと私は思いました。どのように謝罪していいのか、また謝罪すらも許されない罪を犯し、それでも謝罪の意思を伝えるために少年Aはこの本を出版するに至ったのだと私は思うことにします。犯した罪は被害者と加害者、両者の中では一生消えることがないものであると改めて感じました。

Posted byブクログ

2015/06/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

チェック項目14箇所。今思うと、この時の父親の顔を見ておけばよかった、母親を呼んで、その顔を見ておけばよかった、二人が僕のことを、「殺人者」でも「化け物」でもなく、デキの悪い「自分たちの息子」として見てくれる最後の瞬間を、この眼に焼き付けておきたかった。「死刑? 何言うとんねん。お前はまだガキや。死刑にはならん。その歳であれだけのことやったんや。頭もええし度胸もあるやろ。ぎょうさん勉強してイチから出直せや。明日から本格的な事情聴取や。なんもかんもしゃべって楽になってまえ。ワシがおまえを救ったる」。「少年A」といえば、無口で友達もなく、だいたい家に籠ってひとりで過ごす”ヒッキー”なイメージが定着しているかもしれないが、実際の僕は家でゲームや読書をするより、外で友達と遊ぶほうが好きな子供だった。生きているということは、痛みを感じるということ、痛みを与えるということは、命に触れるということ、命に触れること、死を手懐けること、あの頃の僕にとってそれに勝るエクスタシーなどなかった。僕は、ダフネ君を傷つけたことを何とも思っていなかった、あんなふうに殴られた人がどんな気持ちになるのか、微塵も想像できなかった、僕は、他人の痛みをこれっぽっちも感じられない、最低な欠陥人間だった。島じゅうの人たちが顔見知りのような、プライバシーなどあってないような環境で暮らす人たちにとって、たとえ遠い親戚でも身内から犯罪者が出るというのは、社会的な死刑宣告に等しい。「父さん、今まで生きてきて、いちばん幸せやったことって何?」「おまえが生まれた時や。あの日のことは一生忘れへん。初めての子供で、生まれた瞬間、父さん嬉しくて泣いてもぉた」。「自分の息子だから」と、ただそれだけの理由で、僕を愛さなくてはならないのだと自分自身に言い聞かせるように、僕の写真を肌身離さず持ち歩く、罪なほど生真面目な父親が、悲しかった。「矯正教育を六年半受けたことで、それで罪が償えたわけではないと思います。一生、心に重い十字架を背負って生きていってほしいと思います」。僕の過去を知ったら、あの二人はどう思うだろう? それでも”仲間”だと思うだろうか? 僕が「謝罪したい」と思うこと自体、傲慢なのかもしれない、どうすればいいのだろう、これほどの苦悩を、これほどの憎しみを、僕はどうやって受け止めればいいのだろう、僕は思考停止状態に陥り、途方に暮れてしまった。他人に用意された籠の中では、本当の意味で償うことも、生きることもできないのではないか。僕はふたつの動機から被害者に手紙を書き続けた、まずひとつは、純粋に贖罪の気持ちを伝えるためだ、もうひとつは、「この一年間は、手を抜かずにしっかり生き切ることができただろうか?」と、自分に問いかけ、一年分の自分の生き方を棚卸しするために、被害者の方への手紙を書く側面もある。

Posted byブクログ

2015/06/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

出版するにあたっては、ちゃんと筋を通すべきだったと思う。苦労したのは分かる。しかしそれだけのことをしてきたから。出版の意義を見つけるとすれば、元少年がどのようにして闇の側に堕ちたのかが説明されてしかるべきだが、きっかけは、祖母の死だけだったのか。そこが分からない。

Posted byブクログ