傘をもたない蟻たちは の商品レビュー

加藤シゲアキ(著者)

2016/12/22

彼の小説は読んだことがなかったので、まずは短編集で、彼のカラーを知ろうとこの作品を手に取ってみた。素直な気持ちは「本田孝好みたいで好き」本田孝好の書く自然で繊細な表現が好きで、加藤シゲアキにも同じような印象を受けた。正直予想以上と言わざるを得ない。私のお薦めは「Undress」なんか切なくなった。一番心を揺さぶられた。うまいな。

2016/11/12

痛みや苦しみ、切なさを感じさせるお話ばかりの短編集だった。「Undress」の結末 はとても残酷で衝撃的だった。不快感でいっぱいだったのが「イガヌの雨」。昔からある食材を使った、人工的な調味料を使わない素朴な味の良さに回帰するべきだとの、現代人の食生活への風刺なのかな、とも思った。イガヌの容姿、とそれを貪る人々、想像しただけで気分が悪くなる。一番好きで、かつこの作品で唯一救いのあるお話が「にべもなく、よるべもなく」。純とケイスケが、差異を乗り越えて友情を取り戻す瞬間は素晴らしい。

2016/11/05

作者初の短編集。

「Undress」と「インターセプト」が面白かった。

言葉の選び方が好みだと思っていたけれど、
今回の作品だと、
ちょっと優し過ぎる感じがした。

もっと、エグくてもいいのになぁと思ったり。
それがこの作家の良さなんだけど。

次！が読みたくなった。
同じ人が書いたとは思えない！みたいな裏切りを期待してます。

次回作はいつでるのかなぁ。

2016/10/06

得意のサブカル固有名詞を封印し、「ゴーストライターが書いたのではないか？」と疑ってしまうくらい筆致も内容も大幅に変化させた短編集。ファンタジー、ホラー、サスペンス、SFにリアルなエロ描写を散りばめ、いよいよ小説家としての実力を見せ始めたという感じ。とはいえ、無理してる感じは毛頭なく、単純におもしろい話が並ぶ。特に脱サラに憧れた男の悲劇を描いた「Undress」と一見普通の恋愛話……という「インターセプト」が驚くほどに傑作。わけわからん生物を喰らいつくす「イガヌの雨」も筒井康隆が書きそうな感じで印象深い。

2016/07/13

短編集。
「イガヌの雨」が印象的。

ジャニーズの人でも性描写を書くのだな、と意外に思う。期待せずに読んだため面白かった。
全く違うタイプの内容６編でなかなか魅力のある本だった。長編も読んでみたい。
すべて人間の内面を描いた作品。書けそうで書けないものだから、この人は才能があるのだろうな。

2016/06/25

著者初読み。6編を収録。
染色 / Undress / 恋愛小説（仮）/ イガヌの雨 / インターセプト / にべもなく、よるべもなく

ジャニーズ「NEWS」のメンバーの本という意識は不要。
若干28歳、意外性のある話から、SFちっくな話、純文学的なものまで、まだまだ引き出しがありそうで、才能に脱帽。一人の作家として十分に面白かった。

特に、意気揚々と脱サラした男の話「Undress」、高嶺の花の女性を落とそうとする男性の話「インターセプト」は、どちらも皮肉な結末でとても面白かった。

2016/05/29

人の欲を嫌な感じで書いてるので面白いけど好きではない。イガヌは意外。まだまだ引き出したくさんありそう。

2016/04/29

「染色」と「イガヌの雨」は欲望に抗いきれない人間の哀愁、「Undress」は主人公へのあんまりな仕打ちが笑える、「恋愛小説（仮）」は映像じゃなくて文章だからこそできる実験みたい、「インターセプト」はしてやったりなおもしろさ、「にべもなく、よるべもなく」を筆頭に全編を通して、決して他人とは同化できないという諦めと、だからこそ一瞬の交わりは尊く輝くという印象。

2016/04/21

１年間本棚で寝かせた短編集をやっと読んだ。
よかった！良すぎてびっくりした！寝かせてた自分バカだと思った。

男性ならではの青春感を繊細に表現していてなんだこの甘酸っぱさやら切なさやら歯がゆさは。
とにかく素晴らしい本でした！

シゲアキ本物だよ。

2016/04/13

短編集。「イガヌの雨」が意外。「Undress」のような世界が反転する話は好き。

もしかしてあの作家さんの本を読んできていて、この辺りに影響を受けているのかな、と思う時がチラホラ。文章は苦手、というかこの表現がいい！というような引っかかりがあまりなかった。

でも話はどれも面白かったです。長編も読みたくなりました。