目の見えない人は世界をどう見ているのか の商品レビュー
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【背景】 ①なぜ読むか いわゆる“障害”をもつ人が見る世界を知りたいと思ったから。 ②何を得たいか 視覚障害者がどのような世界を見ているか感覚的に得る ③読後の目標 二元論的な優/劣を克服するための一助とする 【著者】伊藤亜紗 【出版社】光文社新書 【感想】 特支での経験から、人...
【背景】 ①なぜ読むか いわゆる“障害”をもつ人が見る世界を知りたいと思ったから。 ②何を得たいか 視覚障害者がどのような世界を見ているか感覚的に得る ③読後の目標 二元論的な優/劣を克服するための一助とする 【著者】伊藤亜紗 【出版社】光文社新書 【感想】 特支での経験から、人の優劣などを疑うようになった。周囲からは、特支の生徒を通常級の生徒と同様に扱う姿勢を指摘されたが、私は正しかったと思う。 本書では、視覚障害者のエピソードを筆者が読みやすくまとめている。彼女の本に共通することだが、出演者が皆「かわいそう」でないところが痛快だ。 その点で、某お涙頂戴番組とは一線を画す。 真の意味での平等・対等に近いのは、著者の姿勢だと私は思う。 話は脱線するが、人は様々なモノサシを使って人を評価する。特に現行の日本の学校制度は、まさにそれそのものである。また、社会全体が学校化する昨今において、その傾向は強化されている。ミシェル・フーコーも指摘しているが、監視の主体が内在化されつつある。それが生み出す閉塞感を打破する契機のひとつを、障害者が担っていると思う。 社会包摂が加速的に進んでいるが、一方で支援学級への“隔離”など、排除も同様に加速している。だからこそ、社会を外側から見ることが出来るのではないのだろうか。我々が失った視点をもつ(意図的ではないかもしれないが)人々を、もう少し大切にしたい。
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これは新しい視点。確かに障害と言う字の如く、健常者からすればハンデがあると言うイメージが植え付けられている。本書はそうではなく、捉え方によっては自由な事なんだよ、と。 確かに視覚情報はかなり比重があり、他の感覚がなくてもかなりの物事を理解出来る反面、他の感覚でないとわからない事が...
これは新しい視点。確かに障害と言う字の如く、健常者からすればハンデがあると言うイメージが植え付けられている。本書はそうではなく、捉え方によっては自由な事なんだよ、と。 確かに視覚情報はかなり比重があり、他の感覚がなくてもかなりの物事を理解出来る反面、他の感覚でないとわからない事が見えなくなる。これは視覚に限らず全ての事に言えると感じた。大人のイメージで子供の想像力を壊さないように気を付けないと…。 あとは障害者に変な距離感を感じる事も指摘されていたが、これは長く付き合っていく中で打ち解けないと難しいな。
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目が見えない人がどのように世界を捉えているのか、目の見える人がいかに視覚の情報に頼っているのかという本 目が見えない人全員が点字が読めるわけではない
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自分の凝り固まった考え方を丁寧にとこほぐしてくれる1冊。優劣があるわけではなく、椅子の支え方が違うだけ、という言葉にすごく納得感があった。 筆者がとても丁寧にインタビューや観察をしていることが伝わってくるのもとても良い。
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「利他とは何か」を読んだ際、伊藤さんが書いたところが興味深かったので読んでみました。情報と意味を対立させて「見えない人」がどのように世界を認識しているか書かれた本。ただ、具体であって抽象や一般ではないことが記されている。非常に面白かった。障害というのは近代以降に生まれた概念で産業...
「利他とは何か」を読んだ際、伊藤さんが書いたところが興味深かったので読んでみました。情報と意味を対立させて「見えない人」がどのように世界を認識しているか書かれた本。ただ、具体であって抽象や一般ではないことが記されている。非常に面白かった。障害というのは近代以降に生まれた概念で産業の発展に伴い、労働内容の均一化が起こった。それに伴って、かつてはみえなくてもできる仕事があったのに、みえないから均一化された労働ができないことに焦点があたるようになったというのが興味深かった。
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読まないで聴くはじめてのオーディオブック。東工大リベラルアーツ伊藤亜紗教授著。目の見えない人との絵画鑑賞法とは?健常者の優しさ押し付けではなくその人になった想像力こそが大事なのかも、いろんなことが目に入りすぎて五感の衰えを日々感じる今日この頃。
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感想 目の見えない人と見える人の境界を揺らす。価値観を流動的にすることで多くの人は不安に苛まれる。不安を手懐け、事実を直視すれば差別も緩和する。
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視覚に制限があることから見える人から引き算的な世界を生きていると想像しがちだけど、実態は全然違う。 健常者は見えるが故に、物の見方が拘束させていることがある。 視覚障がい者は見えないが故に、物事の見方に自由度がある、身体・器官の使い方に自由度がある。 見ると観るは違う。 そう...
視覚に制限があることから見える人から引き算的な世界を生きていると想像しがちだけど、実態は全然違う。 健常者は見えるが故に、物の見方が拘束させていることがある。 視覚障がい者は見えないが故に、物事の見方に自由度がある、身体・器官の使い方に自由度がある。 見ると観るは違う。 そういう人たちと接することで自分の中にあった絶対的な観念を相対化してくれる。障がいを持つ人と生きる社会を拒絶したらこのような体験・気づきは得られないんだろうなと思わせてくれた本。 ーーーーーーーー 象の時間、ネズミの時間 →時間感覚は生物の大きさによって違う 動物と人間世界認識 情報としての記号 意味としての記号 環世 (視力が弱い人ならではの能力を見て )違いを認めることと特別視することは違う。 →劣っているという前提があるのではないか。 →見えない人のイメージを固定化する 展示は読む時と打つときで左右反転するから大変 点字理解能力=触覚能力ではない。 →点字を読める人といって、敏感な触覚があらゆる場面で見受けられるとは限らない(モノの触り分け ) →目が見える人と同様、点字を"理解"している 視覚障害者は足が重要なセンサー →足は移動手段、と、この器官はこの役割と決め打ちすると世界の認識方法が紋切り型・狭くなる 自立とは依存先を増やすことである (美術 )鑑賞とは、自分で作品を再構築すること 言葉による美術鑑賞 →見えない人へ美術作品を説明する過程で見えている人も見えているが故の誤りに気づくきっかけに。 障害って何? →健常者・障がいの観点は大量生産時代に生まれた。 →産業社会は画一的な大量生産ができるかどうかで人間に区別をつける。 昔は障がい者と括られる人にも何かしら役割があった。 老化も障がいの一つ→障がいは他人事じゃない。
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自分の頭をぐいっと働かせて視点の変更を促すのにとても役立つ内容ばかり。面白い。 環世界、情報と意味、大岡「山」駅、 点字は「読む」こと(使っている器官は違うけどやってる仕事は「読む」、つまり触って「読める」し聞いて「眺める」こともできる。器官と能力を切り離す)、 ソーシャル・ビ...
自分の頭をぐいっと働かせて視点の変更を促すのにとても役立つ内容ばかり。面白い。 環世界、情報と意味、大岡「山」駅、 点字は「読む」こと(使っている器官は違うけどやってる仕事は「読む」、つまり触って「読める」し聞いて「眺める」こともできる。器官と能力を切り離す)、 ソーシャル・ビュー(美術館鑑賞方法)、運試しとしてのパスタソース選び
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