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夜の国のクーパー の商品レビュー

3.5

238件のお客様レビュー

  1. 5つ

    26

  2. 4つ

    81

  3. 3つ

    82

  4. 2つ

    17

  5. 1つ

    4

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2024/05/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

伊坂氏の作品をこれまで大分読み進めてきました。初期のものから22作読み進め、これで23作目。 本作は2012年の作品。2000年の「オーデュボンの祈り」はじめ初期の疾走感に満ちた雰囲気から考えると、大分落ち着いた筆致かなと感じました。 とはいえ、洒脱さや奇想天外感は今回も健在で、十分堪能させていただきました。 ・・・ 本作、いい意味で切れ目がありません。 目次も章立てもなく、途中途中で猫のマークで節のストップがあるだけ。トム君がメインキャストですからね。 ・・・ また構成も、三つの場面を行き来します。 一つは猫のトムが語る、彼がいた国が鉄国に占領される状況。一つは猫のトムと、仙台の公務員の「僕」とが会話する場面。そしてもう一つはクーパーの兵士が遠征に行く場面。 状況がかなり異なる上、断片的な情報のみが与えられるため、欠けた部分を埋めるべく初めは読み進めました。そして、その埋まる部分が増えていくにつれ、今度は三つの場面の繋がりが分かってくると、物語の全体像が見えてきて、これまた気持ちよくて止まらなくなる。ミッシング・パーツをもっと埋めたくて、展開を知りたくて、更にページを手繰る手を止められなくなる。 この読ませるテクニックも伊坂マジックと言えましょう。 ・・・ もう一つ。 伊坂作品では、何というか、人間の良き部分に信念のある性善説的なキャラづくりが物語を方向づけている部分があると思います。 今回でいうと、猫のトム。 本能から鼠に飛びかかってしまうのですが、おのが国を占領される最中に<中心の鼠>から、今後鼠を狩ることをやめてほしい旨、団交を申し出される。 鼠たちは狩られるリスクを冒して猫のトムに賭けたわけですが、その態度はトムをして 「疑うのをやめて、信じてみるのも一つのやり方だ」(P.300) と語らしめます。 この信じることの可能性は、パッとしない仙台の公務員「僕」が、浮気した妻を今後信じてゆくかどうかという事で一つの道を示しているように思います。 難しいことではあるのでしょうが、そこを敢えて信じてみるのは、文字通り一つのやり方であり、そういう生き方もあっていいんだと思います。 また猫のトムが、本能から鼠にとびかかりたいのを少しづつ押さえていく様。これもまた理性の可能性を寓意的に示しているようにも思えました。 ああ、うまく表現できないのですが、伊坂氏はこういう「人の力」みたいなのを本当に上手にストーリーに練りこんでくるのですよ。で、私はこういうのが好きなんです。 ちなみにトムは猫ですが、まあ喋って考えることができるという時点で既に人と同等ですよね。 ・・・ ということで伊坂作品を堪能しました。 未知なるクーパーと戦う+国中を塀で巡らす、という当初の描写で、すわ進撃の巨人か、と思わせましたが、全きツイストに私の予想は見事外れ、思っても見ない結末となりました。あっぱれな結末。 戦争敗北・政治(王族)腐敗というひんやりした設定は、「魔王」や「モダンタイムス」などにみられるファシズム的ネガティブエッセンスと通底しますが、本作はそうしたひんやり風味を残しつつ、どこか明るいユーモラスさが漂うエンターテイメント小説に仕上がっていると感じました。

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2024/05/18

大きい杉を倒すために兵士を駆り出すけど、倒すと透明になるから戻って来れないという言い伝えがある国が戦争に負けて、戦勝国に支配されちゃう!どうしよう!という話。 意味を重ね合わせたりするところは面白かったが、おとぎ話感が強かった。

Posted byブクログ

2024/04/02

どうせ創作なので何でも有りなのだろうが、何でも有りじゃないぞ。 という感想。 大男なのだとしたら、ちんこも大男なのだろうから そこは勇気を出して、全員の注目を浴びながら排便するべきだったのだ。 英雄とはそういうものだ。 まあ、 「クーパーの兵士」と聞いてすぐに 「カウパーの精...

どうせ創作なので何でも有りなのだろうが、何でも有りじゃないぞ。 という感想。 大男なのだとしたら、ちんこも大男なのだろうから そこは勇気を出して、全員の注目を浴びながら排便するべきだったのだ。 英雄とはそういうものだ。 まあ、 「クーパーの兵士」と聞いてすぐに 「カウパーの精子」で踏んでしまう私は、やはり向いていない。

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2024/03/10

メルヘン 途中で馬で来たのに、どうしてこんなに早く戻れたんだろって思ったけど、はっきり書かれるまで気づかなかった

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2024/02/10

猫視点と人間視点から話される物語。 自分の住む国で戦争が終わったという猫が「ちょっと話を聞いて欲しいんだけど」といって話しかけてくるところから、異世界に引き込まれた。 猫の視点から話される街の描写が活き活きしていて面白かった。

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2023/12/14

読み終えるのに、物凄く時間がかかりました。メルヘンというか現実味がない本は苦手だったということでしょう。オチも想定していた中でも結構ありきたりなものだったので、読後もモヤモヤ。ま、こんなこともありますか。

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2023/11/24

伊坂幸太郎作品では珍しくファンタジー物。 どこか抜けた空気感のあるキャラクター、時間軸が異なる話の繋げ方、さすが伊坂作品だなぁと感じました。 主観で見えてみる物事と実際に起きている物事はちがう。

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2023/11/18

伊坂幸太郎らしくないファンタジー。何をしたいのかわからないまま進んでいって、終わった感じ。正直これだったら読まなくていいやと思った記憶がある。

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2023/08/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

小さな国の戦争のお話。 国単位の決め事、ルールを覆そうとする複眼の隊長。なかなか1人の力では変わらなかったが、いろいろな協力を得て解決。 ネズミと猫の関係と同じなんかなって思ったけどまたそれとも少し違う。 不死語な世界感で、不思議な話。

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2023/07/11

 最初は少しとっつきにくい感が強いが、慣れるといつもの伊坂ワールド。ただ、読む人は選ぶだろうな。本能に抗ってちゃんと鼠の訴えに耳を貸すトム君はとても知的でジェントルな猫。猫たちをはじめ、例外2人を除いてどのキャラクターも魅力的。目に見えることだけを信じてはいけない。聞いたことをそ...

 最初は少しとっつきにくい感が強いが、慣れるといつもの伊坂ワールド。ただ、読む人は選ぶだろうな。本能に抗ってちゃんと鼠の訴えに耳を貸すトム君はとても知的でジェントルな猫。猫たちをはじめ、例外2人を除いてどのキャラクターも魅力的。目に見えることだけを信じてはいけない。聞いたことをそのまま鵜呑みにしてはいけない。爽やかな読後感だった。

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