夜の国のクーパー の商品レビュー
久し振りの出張で、往復の新幹線や3日往復したりんかい線の中で読み進む。 のんびりとした猫の独白からいきなり始まる戦争に負けた村でのショッキングな出来事、続いて始まる絡め取られた私と猫との会話、その中で語られる村の人々が口にする“クーパー”についての不思議な伝承、過去に遡って語られ...
久し振りの出張で、往復の新幹線や3日往復したりんかい線の中で読み進む。 のんびりとした猫の独白からいきなり始まる戦争に負けた村でのショッキングな出来事、続いて始まる絡め取られた私と猫との会話、その中で語られる村の人々が口にする“クーパー”についての不思議な伝承、過去に遡って語られる“クーパー”退治に選ばれた若者のお話。 派手な出来事は無いけど、じわじわと語られるお話の展開に引き込まれ、物語が語り終えられた時、全てがスッキリと腑に落ちる。 お伽話法螺話の加減、ユーモア、秘められた寓意…、どれを取ってもこの作者らしさが一杯詰まった作品。
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人と動物の違い,それは知性だろうか.だとするなら知性の中に悪魔が潜んでいるのかも.遠い異国の物語でありながら,現在を暗示させる何かがある.とても興味深い一冊でした. 以下あらすじ(裏表紙より) 目を覚ますと見覚えのない土地の草叢で、蔓で縛られ、身動きが取れなくなっていた。仰向けの...
人と動物の違い,それは知性だろうか.だとするなら知性の中に悪魔が潜んでいるのかも.遠い異国の物語でありながら,現在を暗示させる何かがある.とても興味深い一冊でした. 以下あらすじ(裏表紙より) 目を覚ますと見覚えのない土地の草叢で、蔓で縛られ、身動きが取れなくなっていた。仰向けの胸には灰色の猫が座っていて、「ちょっと話を聞いてほしいんだけど」と声を出すものだから、驚きが頭を突き抜けた。「僕の住む国では、ばたばたといろんなことが起きた。戦争が終わったんだ」猫は摩訶不思議な物語を語り始める―これは猫と戦争、そして世界の秘密についてのおはなし。
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『オーデュボンの祈り』よりもさらにファンタスティック。 創元推理文庫から出版されているわけで、当然ミステリーでもある。 クーパーの兵士、かっこいいな。 猫はかわいすぎる。 物語にも登場人物にも、おおいに癒される一冊でした。
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伊坂作品の最高傑作、とまでは思わなかったけど、これはこれで十分に楽しめた。”近作は…”みたいな話を耳にしてたけど、これなら全然問題なしす。で、トムとジェリーやらガリバー旅行記やらの要素を盛り込みながら、二転三転物語は進みます。どんでん返しも鮮やかで、かといってトリッキーに過ぎるこ...
伊坂作品の最高傑作、とまでは思わなかったけど、これはこれで十分に楽しめた。”近作は…”みたいな話を耳にしてたけど、これなら全然問題なしす。で、トムとジェリーやらガリバー旅行記やらの要素を盛り込みながら、二転三転物語は進みます。どんでん返しも鮮やかで、かといってトリッキーに過ぎることもなく、一気に読み通せる内容でした。
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やはり伊坂さんは面白い。「私」の正体?が分かると、冒頭の拘束されている場面もオマージュだったのか、とわかる。結局色々なことが不確定のまま終わるが、明るい気配が漂うので、それもまたよし。 解説にも書かれていた通り、途中までピンチに現れる透明のクーパーの兵士なんて…と思っていたが、思...
やはり伊坂さんは面白い。「私」の正体?が分かると、冒頭の拘束されている場面もオマージュだったのか、とわかる。結局色々なことが不確定のまま終わるが、明るい気配が漂うので、それもまたよし。 解説にも書かれていた通り、途中までピンチに現れる透明のクーパーの兵士なんて…と思っていたが、思いもよらないところで見つかった際にはすかっとした。
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妻に浮気され趣味に逃避していた『私』が、 人間のできた鼠に団体交渉を持ちかけられた 猫と、ひたすら対話して その後行動するお話。 同じシチュエーションを目撃しても、 先入観が入るだけで全く逆の出来事に見えてしまう。 また、ある場所では無力に感じていても 別の場所では大きな力に...
妻に浮気され趣味に逃避していた『私』が、 人間のできた鼠に団体交渉を持ちかけられた 猫と、ひたすら対話して その後行動するお話。 同じシチュエーションを目撃しても、 先入観が入るだけで全く逆の出来事に見えてしまう。 また、ある場所では無力に感じていても 別の場所では大きな力になりうる。 『私』が勇気を奮って実行に移すハードルが 存外低かったのにもきちんとタネがあった。 猫好きには多分楽しい一冊。
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伊坂幸太郎の文庫新刊が出るとついつい手にとってしまう。そしてあらすじも読まずにレジへ、という定番の流れ。今回もそうでした。読みはじめると意外や意外、ファンタジー?戸惑いながらも読み進めると、ミステリー要素もある冒険活劇でした。(出版元もミステリ文庫)初めは戸惑ったものの、中盤から...
伊坂幸太郎の文庫新刊が出るとついつい手にとってしまう。そしてあらすじも読まずにレジへ、という定番の流れ。今回もそうでした。読みはじめると意外や意外、ファンタジー?戸惑いながらも読み進めると、ミステリー要素もある冒険活劇でした。(出版元もミステリ文庫)初めは戸惑ったものの、中盤からラストにかけては夢中でページを繰っていました。伊坂幸太郎らしいトリックに、うんうんと納得。あー、面白かった。20150325読了
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どこかうちひしがれた主人公、異世界のようでありながら現実と地続きの舞台、猫を語り手に用いることで生み出される異化作用、哲学的でありながらユーモラスな言葉の数々などなど。 伊坂作品の醍醐味みたいなのを、一通り楽しむことができる作品なのかなと。 しかしその中でも、既往の作品には見ら...
どこかうちひしがれた主人公、異世界のようでありながら現実と地続きの舞台、猫を語り手に用いることで生み出される異化作用、哲学的でありながらユーモラスな言葉の数々などなど。 伊坂作品の醍醐味みたいなのを、一通り楽しむことができる作品なのかなと。 しかしその中でも、既往の作品には見られなかった世界平和(言葉にするとチープだな)のようなテーマも扱われていて、全く虚構の世界ではあるのだけれど、現代社会に対する警鐘とも受け取れる部分も多々見られた。 特に猫と鼠のやり取りから、自分たちにとっての平和が、他者にとっての平和とは限らないことを痛感。 色々と思うところもあるけれど、読後の爽快感はさすがの伊坂作品。 単純に楽しめる一冊だと思う。
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目を覚ますと見覚えのない土地の草叢で、蔓で縛られ、身動きが取れなくなっていた。仰向けの胸には灰色の猫が座っていて、「ちょっと話を聞いてほしいんだけど」と声を出すものだから、驚きが頭を突き抜けた。「僕の住む国では、ばたばたといろんなことが起きた。戦争が終わったんだ」猫は摩訶不思議な...
目を覚ますと見覚えのない土地の草叢で、蔓で縛られ、身動きが取れなくなっていた。仰向けの胸には灰色の猫が座っていて、「ちょっと話を聞いてほしいんだけど」と声を出すものだから、驚きが頭を突き抜けた。「僕の住む国では、ばたばたといろんなことが起きた。戦争が終わったんだ」猫は摩訶不思議な物語を語り始める―― これは猫と戦争、そして世界の秘密についてのおはなし。 著者あとがき=伊坂幸太郎/解説=松浦正人
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