暇と退屈の倫理学 増補新版 の商品レビュー
人は何もしていないと退屈する。 人は本能的に退屈を不快と捉え、退屈から逃れようとする。 そこで人は退屈から逃れるため何事かを成すが、ここに問題が生じる。 その問題は、その「何事か」が人にとって幸福でも不幸でも構わないということである。 人にとっては行為の結果が幸か不幸か判断するよ...
人は何もしていないと退屈する。 人は本能的に退屈を不快と捉え、退屈から逃れようとする。 そこで人は退屈から逃れるため何事かを成すが、ここに問題が生じる。 その問題は、その「何事か」が人にとって幸福でも不幸でも構わないということである。 人にとっては行為の結果が幸か不幸か判断するより、退屈から逃れることの方が重要なのである。 しかも本人は「何事か」が達成されれば自分は幸福になれると思い込んでいる。 「何事か」が達成されれば、退屈の不快に戻るだけなのに。
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退屈ということに人生で初めて向き合ったかもしれない。 特に印象的だったのは映画「ファイトクラブ」を題材にしたくだり。浪費と消費の部分だっただろうか。あらためて映画を見直し、タイラーダーデンの考えに魅了された。 第二形式で退屈を埋めようとするけれど、浪費ではなく消費しているから...
退屈ということに人生で初めて向き合ったかもしれない。 特に印象的だったのは映画「ファイトクラブ」を題材にしたくだり。浪費と消費の部分だっただろうか。あらためて映画を見直し、タイラーダーデンの考えに魅了された。 第二形式で退屈を埋めようとするけれど、浪費ではなく消費しているから、満足は得られることはなく、延々と消費を繰り返してはまた退屈に陥ってしまう。 楽しみ、思考し、満足することがそこから逃れる一歩だということを強く実感した。 といいながら、今もスマホに続々と流れ込んでくる消費を促す広告やダイレクトメールに目を通し、消費へ消費へと意識を持っていかれてしまう自分がいる。 読む前と違うのは、スマホを見ながら「ああ、自分はまた消費しようとしている。これは違うぞ」と思うことができるようになってきたことか。 少しずつ、消費の世界から浪費の世界へ、楽しみと満足の世界へと移行できるようになれたらいい。 ファイトクラブを観るたびに、本著のことは思い出すだろう。実に名著である。
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人間らしく生きるために暇を大切にしようと思います。 哲学にとどまらない幅広い分野から、人はどう退屈と向き合えばいいのかということが素人の自分にもわかりやすく書かれている本でした。面白かったです。 人間の性質上、退屈することは避けられないので、気晴らしをしつつ、時折自分が引き込...
人間らしく生きるために暇を大切にしようと思います。 哲学にとどまらない幅広い分野から、人はどう退屈と向き合えばいいのかということが素人の自分にもわかりやすく書かれている本でした。面白かったです。 人間の性質上、退屈することは避けられないので、気晴らしをしつつ、時折自分が引き込まれるものについて考えたり、行動することが人間らしい生き方だそうです。 そして、思考のためのアンテナをはるためには、 なにかに追われている状態であってはいけない、 モノの観念を消費するのではなく、モノを「受け取る」必要がある ということでした。 このあたりのニュアンスは読んで初めて理解できると思います。 印象的だったのが、この本の主張のベースになっているハイデッカーというドイツの哲学者の退屈に対する考察です。 「時間を失いたくないという強迫観念に取り憑かれた狂気」の結果としてある退屈の例が紹介されていたのですが、現代社会の我々は、それ以上の狂気の中に生きていることを自覚しました。 とりあえず、スマホからもう少し距離を置きたいと思いました。
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めちゃめちゃおもしろかった。読みやすく書いてくれてるのでオススメです。 無意識に消費社会の奴隷になることなく、"自分らしく生きる"を考えたい人に道筋を示してくれる本だと思います
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結局現代人は退屈からは逃れられないんだなぁ 日々の生活を豊かにしたいとは何となく思うが、結局時間に追われファストフードで腹を満たし、SNSのくだらない投稿で隙間時間を潰してしまう たまに贅沢するにしても結局インフルエンサーや広告によって提案された情報に操作されているに過ぎない 死...
結局現代人は退屈からは逃れられないんだなぁ 日々の生活を豊かにしたいとは何となく思うが、結局時間に追われファストフードで腹を満たし、SNSのくだらない投稿で隙間時間を潰してしまう たまに贅沢するにしても結局インフルエンサーや広告によって提案された情報に操作されているに過ぎない 死ぬ直前にスマホ世代を生きた人たちは何を感じるのだろうか ベーシックインカムが実現すれば、何か変わるのかな
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ハイデガー、ルソー、ドゥルーズ、ヘーゲル(コジェーヴ)、ボードリヤール、ユクスキュルなど、多くの哲学者や思想家の思考をまとめ上げて暇・退屈を論じた著作。 さまざまな思想を軽快な語り口で批判しつつ、それらを乗り越えた暇と退屈の倫理学を提示する叙述の明快さは哲学書とは思えないほどに本...
ハイデガー、ルソー、ドゥルーズ、ヘーゲル(コジェーヴ)、ボードリヤール、ユクスキュルなど、多くの哲学者や思想家の思考をまとめ上げて暇・退屈を論じた著作。 さまざまな思想を軽快な語り口で批判しつつ、それらを乗り越えた暇と退屈の倫理学を提示する叙述の明快さは哲学書とは思えないほどに本作品を読みやすくしている。 自分が退屈さをあまり感じることが無くなってからかなりの時間がたった気がするが、それは自分がある種の「楽しみ方の訓練」を日々の生活の中で意識して行い始めたからかもしれないと感じた。 哲学入門としても非常に良著だと思う
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哲学の巨匠たちの暇や退屈にまつわる思考のいざないを平易な文体や身近な例えで解説していて、身構えていた位置からみるみる引きずり込まれる。最後まで読んだからこそわかる、記憶が痛むということ。その表現は知識としてよりも、すっと身体に馴染んだ。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ヒトは退屈シノギのために、楽しいものではなく興奮するものを求める。今日と明日を区別する何かを求めてる(他人ないしは自分にとってマイナスな出来事ですら、心の何処かで求めてる) 消費と浪費の違い、さらには近代経済における消費がもたらす悪循環は興味深かった。 →私自身、消費がもらたす際限ない欲望の渦に持ってくわ飲まれてるうちの1人だと客観視。 引用されてた映画ファイトクラブは見てみたいね。
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暇と闘い、退屈に抗う。 哲学書最高峰にして最適な哲学入門書。 …とみなさんに薦めております。 大人向け夏の課題図書ですかね。 軽快でポップはそれ自身が哲学だと思うよ。 (あまり自信はありません)
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再読。 初めて読んだ時よりも理解できて、面白く読めた。これからも何度も読み返したい本。 パンだけでなくバラももとめよう。素敵な言葉。まだ自分の中では、分かったつもりになっている感じがします。
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