暇と退屈の倫理学 増補新版 の商品レビュー
結論に関わるため、「浪費すること」と「消費すること」の明確な違いや、「思考すること」がなぜ他の行為と異なるのか、について、もう少し論じて欲しかった。 とはいえ、何かに関して、問い、論じ、答えを提示する行為では、常に、「なぜそう言えるのか?」と論理の道筋を鼻息荒い反駁と疑惑の目に晒...
結論に関わるため、「浪費すること」と「消費すること」の明確な違いや、「思考すること」がなぜ他の行為と異なるのか、について、もう少し論じて欲しかった。 とはいえ、何かに関して、問い、論じ、答えを提示する行為では、常に、「なぜそう言えるのか?」と論理の道筋を鼻息荒い反駁と疑惑の目に晒されるのだろう。重要なのは、単純に反例を示して否定しようとすることではなく、自分なりの解釈と理解をできれば言語化して人に説明できるようになることだと思う。
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「暇と退屈」の構造や対策が、主には哲学的ではありますが、人類学的、歴史的、経済学的など、いろいろな観点から考察されています。 結果的には現代人にフィットするような独善的な結論になっているかなぁと思いました。 現在の社会の価値観をベースにしているのでそりゃそうだろうと思いつつ、少...
「暇と退屈」の構造や対策が、主には哲学的ではありますが、人類学的、歴史的、経済学的など、いろいろな観点から考察されています。 結果的には現代人にフィットするような独善的な結論になっているかなぁと思いました。 現在の社会の価値観をベースにしているのでそりゃそうだろうと思いつつ、少し腑に落ちない点もありました。 また、議論の繋ぎ方が雑であったり、哲学者への批判が的外れな部分がある。 特にハイデガーの「第1形式=第3形式」の話しらへんは、イコールではないような気がします。 ハイデガーの言う第3形式は信念的なものや宗教的なものも含むと思うので、第1形式の気まぐれ的な暇つぶしとは、同種の強弱の問題ではないと思いました。(価値観が別世界のものなので) 初めからマイノリティーな価値観を否定的に捉えていて、考察の対象にすらしておらず、現代人的な自由意志や合理的な考えの価値を上位にしているような印象なのが残念でした。 あくまで現代人の、一般的で、普通の人の感覚で書かれた本という感じ。(だから売れるんだろうけど) とはいえ哲学を何も知らなくても、哲学的思考で社会や人間を再認識出来る、とても分かりやすい内容だと思いました。
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暇とは?退屈とは? なぜ退屈するのか? 消費社会における暇(つぶし)、趣味のありかた。 自分軸で退屈しない人生を歩むために 知っておくべき多くの人が抱えている暇と退屈の問題を 様々な哲学者の引用しながら考察し、分かりやすい例えで解説してくれた。 小説のように読めた哲学の本。
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タイトルからして読みづらい難解な本だと思っていたが、とても読みやすい。スルスル読めてしまう。例示を入れたり、ふとしたところで少し砕けた表現になるといった文章上の工夫が効いている気がする。 色んなところに話が散らかるが、最終的に整理されていくという過程が体験できた。また、マルクス...
タイトルからして読みづらい難解な本だと思っていたが、とても読みやすい。スルスル読めてしまう。例示を入れたり、ふとしたところで少し砕けた表現になるといった文章上の工夫が効いている気がする。 色んなところに話が散らかるが、最終的に整理されていくという過程が体験できた。また、マルクスの『資本論』、ハイデッガーの『形而上学の根本諸概念』、ユクスキュルの『生物から見た世界』といった名著のエッセンスを勉強することができてお得だと感じた。 この本について友人に話していて、気晴らしを享受するためには教養が必要であり、教養とは各分野の知識のことであるという解釈をしているという説明をした。そこで、知識を保有するということは記憶するということであり、人間の記憶能力には限界があるのではないか、どうすれば多くのことを記憶できるのか、アウトソーシングした記憶は記憶と呼べるのかという点が気になってきた。今度は人はどのように記憶しているのかについて考えてみたい。
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初めての思想、思索的な本でした。 哲学に明るくなくても読み進められるような構成や話の進め方になっていると思う。 途中引用される環世界論が印象に残った。 暇に動じず、自分が心踊るモノコトヒトを大切にしていきたい。
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主にハイデッガーを取りあげて考察。ルソーも出てくる。名前だけ知ってる哲学者が考えたことが少しだけでも理解できた。2024.1.14
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図書館で福袋を配っていた。司書の人が選んだ本が3冊入っているという。何が入っているかはお楽しみというので借りてきた、この本はその中の1冊。大人の男性向けの福袋だという(女性向けはもうなかったので男性向けをもらってきた)。 暇でも退屈でもないんだがな、しかも分厚いし…と思いながら...
図書館で福袋を配っていた。司書の人が選んだ本が3冊入っているという。何が入っているかはお楽しみというので借りてきた、この本はその中の1冊。大人の男性向けの福袋だという(女性向けはもうなかったので男性向けをもらってきた)。 暇でも退屈でもないんだがな、しかも分厚いし…と思いながら読み始めた。哲学なんてものは所詮頭の体操みたいなもので読む間ぐるっと一巡りして結局読み終わったらなにも残らないし、と思ったし、ある意味それは当たっていたけれど、でも面白かった。 読み終えても世の中は何も変わりなく平常運転だ。私の頭の中が少し変わったのかどうか…。 様々な哲学者や考え方を縦横無尽に駆使した論考は面白く勉強になった。
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一部少しついて行けない部分があったので★4としたが、大部分の理解出来る部分では、目から鱗とは、こう言うことを言うのだろう、大変興味深い論理展開で、★5に相応しい。これが哲学の面白いところなのかな。 「暇」と「退屈」という二つの語は、しばしば混同して使われる。「暇だな」とだれかが...
一部少しついて行けない部分があったので★4としたが、大部分の理解出来る部分では、目から鱗とは、こう言うことを言うのだろう、大変興味深い論理展開で、★5に相応しい。これが哲学の面白いところなのかな。 「暇」と「退屈」という二つの語は、しばしば混同して使われる。「暇だな」とだれかが口にしたとき、その言葉は「退屈だな」と言い換えられる場合が多い。そして、「あなた暇人ね」とか「退屈な人」なんて言われると、超落ち込んでしまうくらい、ネガティブな言い回しに使われる。 しかし読み進めると、暇と退屈は同じものではないらしい。 暇とは、何もすることのない、する必要のない時間を指している。暇は、暇のなかにいる人のあり方とか感じ方とは無関係に存在する。つまり暇は客観的な条件に関わっている。 それに対し退屈とは、何かをしたいのにできないという感情や気分を指している。それは人のあり方や感じ方に関わっている。つまり退屈は主観的な状態のこと。 しかし、暇があるとは余裕があるということだ。余裕があるとは裕福であるということだ。すなわち、あくせく働いたりしなくても生きていける、そのような経済的条件を手に入れているということだ。 逆に、暇のない人たちとは自由にできる時間がない人、つまり、自らの時間の大半を労働に費やさねば生きていけない人のこと。暇のない人とは、経済的な余裕がなく、社会的には下層階級に属する。いわゆる「貧乏暇なし」のこと。 ここで膝を打つことになる。 かのハイデッガーも、この退屈に関して、かなり深く追及しており、3つの形式があると言う。 何かしら深淵な様相を呈することになるが、退屈を紛らすために気晴らしを行う中にも、何やらぼんやりとした退屈さが現れる。これこそが、人間の生ではないかと言う。 暇や退屈について考えたことも無かったが、古くから哲学者が、定義付けを考えるほど深いテーマだと言うことが分かった。 退屈を大切にしなければ。
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2023年に読んだ小説以外の本で1番面白かった。 人間にとって暇や退屈はなんなのか。どこから来るのか。どうやってそれに立ち向かえばいいのか。 哲学の本なんだけどほんとに読みやすい。 生きづらさの理由の一因が理解できて、少し心が軽くなる。 後、環世界の考え方が興味深くて、色んな...
2023年に読んだ小説以外の本で1番面白かった。 人間にとって暇や退屈はなんなのか。どこから来るのか。どうやってそれに立ち向かえばいいのか。 哲学の本なんだけどほんとに読みやすい。 生きづらさの理由の一因が理解できて、少し心が軽くなる。 後、環世界の考え方が興味深くて、色んな学問でも応用できるんじゃないかと思った。既に応用してるものも含めて探してみたい。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
読後すぐに感想を書くべきだった… 人類学、労働史、哲学と色々な分野から「暇と退屈」を読み解く。最後のまとめにも記載されていたが、結論だけ読んでも納得感がないと思う。分厚い本だが、丁寧に論理展開されており迷子になることなく読み切れた。
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