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僕は、そして僕たちはどう生きるか の商品レビュー

4.2

56件のお客様レビュー

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2016/10/01

なぜこの表紙なのか、なぜこのタイトルなのか、と思いながら読み始めた。小説の文章はとても読みやすい現代文。主人公の少年コペル君の話し言葉だ。だが、読み進めていくにつれ話題が深化していく。小学校で不登校になった親友ユージンに何が起きたのか、そのときコペル君自身が何をしたのか。偶然出会...

なぜこの表紙なのか、なぜこのタイトルなのか、と思いながら読み始めた。小説の文章はとても読みやすい現代文。主人公の少年コペル君の話し言葉だ。だが、読み進めていくにつれ話題が深化していく。小学校で不登校になった親友ユージンに何が起きたのか、そのときコペル君自身が何をしたのか。偶然出会った傷心の少女インジャに何をしてあげられるのか。戦前に徴兵拒否した青年の話題と現代のコペルたちの悩みが重なっていく。この表紙とタイトルは時代を超えた守るべき共通の価値観を考える象徴だった。

Posted byブクログ

2016/02/28

相変わらず、何を書いているのか自分には深くは理解できてはいないと思うけど、それでいいと思う。 重要なのは、自分がこの人の書く本を好きで、この人が居る事を嬉しいと思う事。 引用しようとしたけど、一部分だけだと正確さに欠ける気がしたのでやめておいた。

Posted byブクログ

2015/11/29

群れ。鳥の群れ、魚の群れ、荒野を走る動物の群れ。 その流れを止めることは難しい。 勢いのある流れをせき止めるには、大きな力が必要だ。 しかしその力は、自分の感受性を高めることから発し、少しの違和感にも敏感に反応し思考することから始まる。 それは14歳でも30歳でも50歳でも同じだ...

群れ。鳥の群れ、魚の群れ、荒野を走る動物の群れ。 その流れを止めることは難しい。 勢いのある流れをせき止めるには、大きな力が必要だ。 しかしその力は、自分の感受性を高めることから発し、少しの違和感にも敏感に反応し思考することから始まる。 それは14歳でも30歳でも50歳でも同じだ。 最後の、14歳のコペル君の言葉が力強く、良かった。 梨木さんは単純に戦争反対を書きたかったわけではない。 忙しい子どもや疲れたオトナにも、お勧めしたい本です。

Posted byブクログ

2015/10/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

テーマとか問題意識とかいうものに、ここまで真っ正面から真剣に向き合った小説も珍しいのではないだろうか。 説教臭い「物語」は好きではないが、そんなえり好みや斜に構えた感覚がしぼんでしまうほど、あまりにもまっすぐに「どう生きるか?」提示されて、読み手も真剣に向き合わざるを得ない。 コペルとユージンとショウコみたいな中学生が同じ所にごろごろいたりするもんか、と思わないでもなかったけど、そういう些細なツッコミもどうでもよくなってしまった。 ユージンの事件のときのコペルの対応、意識できないだけできっと数限りなくそのように振る舞ってきたであろう、読み手である自分。 大抵の人は大抵の場面で善良であり、自らもその善良さを信じている。平凡に暮らしていれば、いうほど芯から嫌な奴、悪い奴なんて世の中でそうそうお目にかかることはない(ちょっと気に障るとか気が合わないとかはべつとして)。 問題は目立った極悪人ではなく「集団」である。一人一人は善良な「コペル」であっても、「集団」から距離を置いて自分の頭で深く考えることは(突然判断を迫られたらなおのこと)とても難しい。 (ちなみに大きな集団に対抗している小さな集団もまた集団であることを忘れてはならない、と私は思う) どんな人にすすめるべきか。中学生? でも中学生のころの自分が読んで、しっかり浸透しただろうか? 30過ぎた今だからこんなに身に染みるのではないか? 読み手の体験と心持ちによると言ってしまえばそれまでだけど。薦め方もなんだか難しいような内容だ。

Posted byブクログ

2015/09/27

(15.09.27) 主人公のコペルは、ペットのゴールデンレトリーバーのブラキ氏と叔父のノボちゃんとともに、染色の材料を取るため、親友で不登校のユージンの家に向かう。いとこのショウコと、その先輩で一人になりたくてユージンの家の庭の森に潜んでいるインジャ、そしてオーストラリアから...

(15.09.27) 主人公のコペルは、ペットのゴールデンレトリーバーのブラキ氏と叔父のノボちゃんとともに、染色の材料を取るため、親友で不登校のユージンの家に向かう。いとこのショウコと、その先輩で一人になりたくてユージンの家の庭の森に潜んでいるインジャ、そしてオーストラリアからのマークが登場する。 タイトルがそのままテーマで、戦争のこと、動植物のことなどが細かく書かれている。テーマへの一つの答えは、文中に出てくる「人間は、群れの中でしか生きていけない」というものか… 物語としては、いい訳でも面白い訳でもない。とりあえず読み切ったな、という感じの一冊。

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2015/08/15

平成のコペル君のくだりが気になり、購読。 日常がただただ紡がれていくのかと思うと、 中盤から急に投げかけが深くなってくる。 前作を知った上での読書となると物足りなくなるかもしれないけれど、 小説として読み進める中でこうしたトピックがあると深いかも。 小説をただただ読むだけでは...

平成のコペル君のくだりが気になり、購読。 日常がただただ紡がれていくのかと思うと、 中盤から急に投げかけが深くなってくる。 前作を知った上での読書となると物足りなくなるかもしれないけれど、 小説として読み進める中でこうしたトピックがあると深いかも。 小説をただただ読むだけでは物足りない方にお勧めの一冊。

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2015/08/04

この本には、とても大切なことが書いてある。 作者の強い思いが伝わってくる。 それを押し付けがましいとか、誘導的だとか感じる人も中にいるかもしれないけれど、そここそ大切なところで「ひとりになって考える」べきことなのだと思う。 力を持った人がつくる流れを感じとり、自分はどのようにした...

この本には、とても大切なことが書いてある。 作者の強い思いが伝わってくる。 それを押し付けがましいとか、誘導的だとか感じる人も中にいるかもしれないけれど、そここそ大切なところで「ひとりになって考える」べきことなのだと思う。 力を持った人がつくる流れを感じとり、自分はどのようにしたいかするべきかを考えることが必要だと気づかせてくれた本。 それにしても解説は本当に澤地久枝さんが書いたの?

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2015/07/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

辛い。 もちろん「文章の質が低くて」という意味ではない。 良い本だと思うし、好きでもあるけれど、ただ、辛い。 特に(というかむしろそこのみだったかも知れないが)主人公コペルの友人のユージンが学校に来なくなった「理由を作った出来事」のシーンが辛すぎる。 「ユージン、それは辛かったね」という意味での辛さと共に、「自分にそういう出来事が迫ってきたらどうしよう」と想像してしまっての辛さ(恐怖のような)、 そしてこれは特異な感じ方かもしれないけれど、その出来事の『主役にされた子』が「いったいどう感じただろうか」「どう思っていたろうか」「どれほどの混乱『なぜ? なぜ?なぜ?』に襲われただろうか」とも私は考えてしまって、それも辛い。 その出来事における自分の行動の意味を知ったコペル(ユージンがコペルにそう伝えたわけではないから「気付いた」が近いか。だがそれも正しい表現ではない)の受けた衝撃もわかる。それも辛い。 私(私達の多く)はコペルに近いタイプの人間だから、わかるし、辛い。 こう書くと、全然人に薦めるべきでない本のようになってしまう。そういう風には思っていないのだけれど。 ただ、友人や同僚に薦めたいか、と言ったらそういう種類の本ではないように思う。 では誰に? 薦めるとすれば……  子供に。子供たちに。教え子(いないけど)に。 若い人に。 コペルに近い性質を持つ、私のような大人たちに。 帯の「今、この時代」という表現の意味が、読み終わった今よく分かる。 ユージンのおばあちゃんの「いつ何時、何がどうなるか全くわからない、気づいたときは遅かった、ってことが、本当に起こるんですよ」という言葉が、読み終わってから心に重く響く。

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2015/07/04

今の自分にズシリと響く本。 よくも悪くも、自分がコペル的人間であることを痛感。 繰り返し読み返しては、ああここに書いてあったことはこういうことか、とか、これはこう解釈しよう、とか、読むたびにいろいろなことを考えさせられる。 今年の上半期、いやむしろ一生、繰り返し読む本だと思う。

Posted byブクログ

2015/06/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

初読。私に子供がいたらぜひ一度読んでほしいと思う。梨木さんのこんな話を読むのは初めてだと思うのだが、「そうそう、梨木さんってこういう考え方の人なんだよなあ」と違和感なく受け止められた。繰り返して読んで、大切なことを忘れないようにしたい、味方になる一冊です。

Posted byブクログ