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僕は、そして僕たちはどう生きるか の商品レビュー

4.2

56件のお客様レビュー

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2022/08/24

社会のなかで生きている限り、大衆のなかのひとりからは抜け出せない。その中で何を大事にしてどんな価値観で生きていくか、誰しもが考える(?)ことだからこそ、響く言葉が多かった。

Posted byブクログ

2022/02/07

世のなかを離れ隠棲しているかのようなユージンとインジャ。そして戦時中に徴兵を逃れ洞窟暮らしをしていた人。世のなかからドロップアウトしているように見られる彼らだが、実は彼らは自分自身に、そしてまた国家や法や世間といったちっぽけなもんを凌駕する大きなものに対して誠実なのだ。 そんな彼...

世のなかを離れ隠棲しているかのようなユージンとインジャ。そして戦時中に徴兵を逃れ洞窟暮らしをしていた人。世のなかからドロップアウトしているように見られる彼らだが、実は彼らは自分自身に、そしてまた国家や法や世間といったちっぽけなもんを凌駕する大きなものに対して誠実なのだ。 そんな彼らと比べ自分のことを「僕は軍隊でも生きていけるだろう。それは「鈍い」からでも「健康的」だからでもない。自分の意識すら誤魔化すほど、ずる賢いからだ。」という主人公のコペル。コペルだって十分上質な人間なのだが、この思いのところが自分にも翻ってくる。誠実に生きている正義を大切にする人のつもりだが、いろんな場面でいろんな言い訳をしながらずる賢く弱い人間だ。

Posted byブクログ

2021/11/14

人には怒らないといけない時があって怒らず流してあげる方が大人だとか偉い気がするけどそうすると大切なものを失っていく。

Posted byブクログ

2021/08/17

問題提起てんこ盛り。私が分かっただけでも、 自然破壊、戦争、徴兵制、命の授業、全体主義、フェミニズム、AV問題… 私が気付かなくて読み飛ばしてるものも、もっと他にあったかもしれない。 それでも、とげとげしい感じでは全然なくて、梨木さんワールド特有のやさしさと許しの空気がいっ...

問題提起てんこ盛り。私が分かっただけでも、 自然破壊、戦争、徴兵制、命の授業、全体主義、フェミニズム、AV問題… 私が気付かなくて読み飛ばしてるものも、もっと他にあったかもしれない。 それでも、とげとげしい感じでは全然なくて、梨木さんワールド特有のやさしさと許しの空気がいっぱいだった、と思う。

Posted byブクログ

2021/10/24

個人的には使われている言葉も内容も少し難しく感じました。でもだからこそ学ぶことが沢山ありました。 そして話の流れだったり、内容にかなり引き込まれ、中盤からラストまで思わずノンストップで読んでしまいました。 「しばらくみんな、黙った。」 という文の「しばらくみんな」の後に「、」が...

個人的には使われている言葉も内容も少し難しく感じました。でもだからこそ学ぶことが沢山ありました。 そして話の流れだったり、内容にかなり引き込まれ、中盤からラストまで思わずノンストップで読んでしまいました。 「しばらくみんな、黙った。」 という文の「しばらくみんな」の後に「、」が入ることによって、その場の雰囲気だったり、本当に全員が黙った瞬間が頭の中で一気にイメージすることが出来て、句読点の入れ方次第でこんなに浮かぶ情景が鮮明になるんだと読んでいてすごく面白かったです。 また5年後、10年後になにか壁にぶつかった時読みたいと思いました。

Posted byブクログ

2021/07/26

奥さんが持っていて、娘にぽんと渡していた本。 僕は読んだことがなかったので、後から読んだのだったが、これまたすごい本だった。 どう生きるのか、娘が受け止めてくれるといい。

Posted byブクログ

2021/07/17

・「僕、覚えてる」 って、低い声で言った。そして、 「ずっと一つのことを考えてたんだって、言ったんだ」 「そうそう」 ノボちゃんが言った。 「何か、哲学的なことだったよな。何だっけ」 ユージンは、ゆっくりと静かに呟いた。 「僕は、そして僕たちは、どう生きるかについて」 ・「だっ...

・「僕、覚えてる」 って、低い声で言った。そして、 「ずっと一つのことを考えてたんだって、言ったんだ」 「そうそう」 ノボちゃんが言った。 「何か、哲学的なことだったよな。何だっけ」 ユージンは、ゆっくりと静かに呟いた。 「僕は、そして僕たちは、どう生きるかについて」 ・「だって、まだそっちの山には手をつけない、って約束だったのが、ちょっと留守して帰ってくると、もう根こそぎやられていて、一株も見つけられなくなった植物もある、って新聞のインタビューで答えていたからね」 ユージンも、そうそう、と応じ、 「そんなこと、言ってた。そしたら米谷さんが―――その爺さんだけど―――、それが国のやり方だ。国が本気でこうしたいと思ったら、もう、あれよあれよという間の出来事なんだ、って。直接戦争のことを言ったわけじゃなかったけど、でも、彼の頭の中には戦争のことがあるんだって分かった」 戦争か。 ・「でも、米谷さんは、おばあちゃんの言うことはよく分かるから、全部は無理でもとりあえず数株ずつでも持って行ってもらおう、保険みたいなもんだ、無駄になったらそれに越したことはない、って言ってくれて、一緒に山を歩いたんだ。でも、まだ冬だった。春にならないと、草ってみんな出てこない。カタクリやマイヅルソウの芽生えとかは見つかったんだけど。春になるまで待ってくれ、って言われた。春になったらもう一度行こう、と思っているうちに、ばあちゃんが死んだ」 皆、何も言わずに聞いていた。あの頃そんなことがあったのか、って僕はちょっとショックだった。 そうか。 人生って、そういうことなのか。 ・ユージンがそう言ったとき、僕は自分でも意外なほど、実は嬉しかった。「悲観的な結果」が出たとしても、一人で愕然とするよりは、友だちと愕然とする方が、まだましだって気がした。 けれど、こんなこと、以前は考えもしなかった。友だちとやろうが、一人でやろうが、結局同じ結果が出るんだったら関係ない、って思ってたんだ。密かにやることに意味があるって思ってたしね。それが「嬉しい」だなんて、正直、僕はちょっと戸惑った。 なぜだろう。 ・「群れから離れて生きる、って決心した以上こんなことぐらいでビビってはいられない」 と付け足した。 これだ、と僕は思った。 やっぱり、ユージンはそんなことを考えていたんだ。 「・・・・・・なんでそういうこと、行ってくれなかったんだ」 つい責めるような口調になった。 「僕にくらい、わけを聞かせてくれたってよかったじゃないか」 信じられないことに、最後の方で声が震えた。喉の奥が熱くなって、泣きそうになったのをこらえた。 そうなんだ。 傷ついていたのは僕なんだ。 ・なんでこんなことになったのか。 僕は集団の圧力に負けたんだ。 ばあちゃんじゃないけど、「あれよあれよという間に事が決まっていく」その勢いに流されたんだ。 ・「黙ってた方が、何か、プライドが保てる気がするんだ。こんなことに傷ついていない、なんとも思っていないっていう方が、人間の器が大きいような気がするんだ。でも、それは違う。大事なことがとりこぼれていく。人間は傷つきやすくて壊れやすいものだってことが。傷ついていないふりをしているのはかっこいいことでも強いことでもないよ。あんたが踏んでんのは私の足で、痛いんだ、早く外してくれ、って言わなきゃ」

Posted byブクログ

2021/06/11

コペルやユージンの年の頃に自分はこんなに物事を深く考えてたかなぁ?と思い返してみた。程度の差はあれど、やはりこの頃は「気づき」「諦め」「開き直り」「可能性の限界」を知る時期だった。ただ諦めのその先に新たな目標を据えることができる人は強いのだと思う。これからの未来を担う若者にはこの...

コペルやユージンの年の頃に自分はこんなに物事を深く考えてたかなぁ?と思い返してみた。程度の差はあれど、やはりこの頃は「気づき」「諦め」「開き直り」「可能性の限界」を知る時期だった。ただ諦めのその先に新たな目標を据えることができる人は強いのだと思う。これからの未来を担う若者にはこの本を読み終えてから、閉ざされた道のその先に新しい広場を見つける努力ができる人であって欲しいと願う。

Posted byブクログ

2021/05/16

梨木さんの豊かな自然の表現と反対に、取り扱うテーマが重くて読み進めるたびしんどくなってしまった。が、この話を「重い、見たくない」と受け取ってしまうだけではいけないと強く思う。痛かったら声をあげる。ドアを閉ざされたと思ったら、ノックをしてドアを開けてみる。そういうことが大事なんだと...

梨木さんの豊かな自然の表現と反対に、取り扱うテーマが重くて読み進めるたびしんどくなってしまった。が、この話を「重い、見たくない」と受け取ってしまうだけではいけないと強く思う。痛かったら声をあげる。ドアを閉ざされたと思ったら、ノックをしてドアを開けてみる。そういうことが大事なんだと分かる。人生における教訓がたくさん詰まった本だった。

Posted byブクログ

2021/04/01

吉野源三郎著『君たちはどう生きるか』と同じく主人公の名前はコペル、14歳。 『君たちは‥‥』では、叔父さんに導いてもらっていた感があるが、こちらの作品は少年少女たちが、周りの大人たちの影響を受けながらではあるが、自らの力で前へ進もうとしている印象を受けた。 集団の中でどう生きるべ...

吉野源三郎著『君たちはどう生きるか』と同じく主人公の名前はコペル、14歳。 『君たちは‥‥』では、叔父さんに導いてもらっていた感があるが、こちらの作品は少年少女たちが、周りの大人たちの影響を受けながらではあるが、自らの力で前へ進もうとしている印象を受けた。 集団の中でどう生きるべきなのか。痛い思いをしながら模索する少年少女たち。 「なんで自分を当然のようにあの勇気のある人たちのあとを辿る一人だと思えていたのか。あの人たちの勇気は実際その場に立ったものしか分からない類のものだったんだ」 涙が止まらない少年に 「泣いたら、だめだ。考え続けられなくなるから」 と少女は言う。 「傷ついていないふりをしているのはかっこいいことでも強いことでもないよ。あんたが踏んでんのは私の足で、痛いんだ、早く外してくれ、って言わなきゃ」 自分は小心者で裏切り者のどうしようもない人間だと気付くコペル。そんな自分自身を受け入れる。そして、これが“謙虚“ってことなんじゃないか?と推測するようになる。 集団の圧力に負けることもある。それが許せなくて一人を選ぶこともある。だけどやっぱり人間には“群れ“が必要なんだ、と思えたコペル。 いやー、素晴らしかった。大満足の一冊です。

Posted byブクログ