七十歳死亡法案、可決 の商品レビュー
七十歳、自分のこととして考えたら充分だけど、もう七十を越えてる親のことを思うとやっぱり嫌かな。それも今、両親共に健康だから言える事なんだろうけど。 夫の考えは本当に最悪だったけど、一緒に旅行に行った藤田さんは、イイコト言ってくれた。まぁそんな藤田さんも奥さんが居なくなってから気...
七十歳、自分のこととして考えたら充分だけど、もう七十を越えてる親のことを思うとやっぱり嫌かな。それも今、両親共に健康だから言える事なんだろうけど。 夫の考えは本当に最悪だったけど、一緒に旅行に行った藤田さんは、イイコト言ってくれた。まぁそんな藤田さんも奥さんが居なくなってから気付いたってとこがなんとも残念。 現実的ではないかもしれないけど、斬新で面白い話だった。
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第一章 早く死んでほしい 第二章 家族ってなんなの? 第三章 出口なし 第四章 能天気な男ども 第五章 生きててどうもすみません 第六章 立ち向かう明日 七十歳死亡法案が可決され、施行は2年後。 寝たきりの我儘な姑の自宅介護を長年続けていた東洋子はこの法案に賛成していた。ーが、 仕事人間の夫は早期退職して友人と長期の海外旅行へ エリート街道まっしぐらと思われた息子は勤め始めた会社を退職してから引きこもり生活数年 介護を分担してほしかった娘も一人暮らしで出て行ってしまった 夫の他にも姉妹がいるのに、一度も介護を手伝ってくれない どうして私だけがー。 遂に東洋子が家出したもんだから、見て見ぬふりをしていた家族と姑本人は大騒動。 それぞれが少しずつ自分にできることを実行し、姑自身も動ける範囲を広げ始める。 そしてなんの宛もなく家出した東洋子も、友人に助けてもらいながら住む部屋や仕事を見つけた。 相変わらず強烈なタイトルの垣谷作品が2023年小説1冊目。章題もパンチあるw 年末から読み始めていたけど、なかなか時間が取れずに年をまたいでしまった。 今の日本が抱えている問題がこれでもか、と色々と詰め込まれていて、前半は自分勝手な登場人物たちと東洋子にイライラしていても…やっぱり家出した後から俄然面白くなった! これ現実の日本でも一石投じてみたらいいんじゃないかなぁ。 70歳が近づいて来た母が買ったのに「ちょっと先に読んでみて」と託された一冊(笑)
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書題を差し置き 編集が付けたと思わしき売り文句の方が 表紙に大書されているとても珍しい作品 著者の鷹揚さと編集の適当さが察せられる 題名の法案はあまり重要ではなく 姑介護に疲弊する主婦の主人公と 周囲の無理解を描くところが主題 登場人物たちは現実的に酷薄ではなく 軽妙戯画的に描か...
書題を差し置き 編集が付けたと思わしき売り文句の方が 表紙に大書されているとても珍しい作品 著者の鷹揚さと編集の適当さが察せられる 題名の法案はあまり重要ではなく 姑介護に疲弊する主婦の主人公と 周囲の無理解を描くところが主題 登場人物たちは現実的に酷薄ではなく 軽妙戯画的に描かれているものの ゆえに読者の周囲にも在り得る 当たり前さを表現できている 彼らに相応しくお話はそれなりの地点へ着地するが 作品の外であるこちら側ではとくになにも解決しない 読者にきちんと訴えるべきは 知らないことの恐ろしさ 知ろうとしない状態状況に陥ることの怖さ そして相互理解へ踏み出す大切さだろう こういう当然欠くべからざる点に抜かりがあるのは 読者はわかっているからか わからせられないからなのか それとも知っても意味ないからなのか
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タイトルからこの本の内容は想像出来ませんでした。 想定外に良い内容です。理想の形にラストは描かれています。
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七十歳死亡法案が可決された。 これにより日本国籍を有する者は誰しも七十歳の誕生日から30日以内に死ななければならなくなった。 例外は皇族だけである。 主人公の宝田東洋子は、この法律が可決されて密かに喜びを感じていた。 というのも55歳の東洋子は、義母の介護に一人で奮闘するも、夫、...
七十歳死亡法案が可決された。 これにより日本国籍を有する者は誰しも七十歳の誕生日から30日以内に死ななければならなくなった。 例外は皇族だけである。 主人公の宝田東洋子は、この法律が可決されて密かに喜びを感じていた。 というのも55歳の東洋子は、義母の介護に一人で奮闘するも、夫、その姉妹、娘と息子達の手助けは全く受けることができない。 義母は我儘三昧となり、24時間近所にも響く大声で東洋子を呼び、夜中にもブザーで呼び起こされる日々を送っており、孤独感に苛まれるのだが役割はしっかりと努めていた。 夫は58歳で余命12年となり、残りの人生を楽しもうと勝手に早期退職をし、友人と世界旅行へ旅立ってしまう。 夫の姉妹は忙しさを口実に、相続には強い関心を示しながらも、実母の介護には無関心を続けている。 東洋子の娘は自宅を出て一人で暮らし始め、息子は30歳を前にして引き篭もりの日常だ。 流石に東洋子は家族の我儘な考え生き方に不満を抱き、遂には堪忍袋の緒が切れて僅かな現金を持って家を出てしまう。 さて、東洋子とその家族はどのようにして『七十歳死亡法』を迎えるのか⋯。
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高齢化社会となりひさしく、介護が主に主婦など女性に負担がかかっているのも事実。ひとりだけで取り組むのは無理があります。家族で分担したり施設などを頼って解決しなくてはいけません。 そんな重いテーマなのに読みやすくて読後感も穏やかだったのがお勧めです。
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母が爆発するまでが長い!周りの人たちの無責任さ。何でひとこと言えないんだ? そこら辺がイラついた。 義母の意地悪さにうんざり。 先が無いと諦めちゃうの分かるけど、諦めるなら周りを犠牲にしないでほしい。 楽しいお話だった。 でも、最後の無理矢理感がどうも。。 あんな引きこもり息子と...
母が爆発するまでが長い!周りの人たちの無責任さ。何でひとこと言えないんだ? そこら辺がイラついた。 義母の意地悪さにうんざり。 先が無いと諦めちゃうの分かるけど、諦めるなら周りを犠牲にしないでほしい。 楽しいお話だった。 でも、最後の無理矢理感がどうも。。 あんな引きこもり息子と何もしない旦那、絶対に変わらないんじゃない? それがお話だから変わっちゃうんだな。
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70歳で人生終わり? 面白そうなんで、ブックオフで、買ってきた〜 「え〜!書き込みあるやん(T . T)」 介護とか、同居の苦労の辺りに線引いてある… 「もちろん自分は、同居の煩わしさを考えて二の足を踏んだ。しかし、家を買わなくて済むのなら、教育費に回せるお金が多くなる。それを考...
70歳で人生終わり? 面白そうなんで、ブックオフで、買ってきた〜 「え〜!書き込みあるやん(T . T)」 介護とか、同居の苦労の辺りに線引いてある… 「もちろん自分は、同居の煩わしさを考えて二の足を踏んだ。しかし、家を買わなくて済むのなら、教育費に回せるお金が多くなる。それを考えて決断したのだ。」(線部分)「まさしくこれだ」と書き込みも…何か書き込み笑ける! …だから、まぁええか… 何か介護とか嫁姑問題で苦労してそうで真実味がある! …けど、書き込みしたの売るな!とは思うけど… 現実には、こんな法案通らんと思うけど、老後の事、考えさせられる。 うちは、もう両親共、天に召されたんで、介護とかの苦労はもうないけど。 でも、自分の時を考えると、家族に介護を強いるのはやめておこうと思う。今は、五体満足なんで、理解ある人のつもりやけど、自由が効かんようになれば、どう自身の考えが狂うか分からんし。 その為にも、高福祉国家にしてもらわないと!既得権益なんて、潰して、国を転換しないとアカン… 私も老害と言われないように精進します! 働くのも苦でなく、自身が楽しめてイキイキできるのが良い。 …ハードルは高い…
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おもしろかった。 かなり乱暴なストーリーだけど、世界のどこかの狭いコミュニティでは現実なんじゃないだろうか。 長寿の老人が介護する人たちの人生や組織の大きな負担と邪魔になるからルールで排除する。昔の日本の姥捨も同じでしょう。 処刑とは違う、違法でないけど殺人に違いはない。 むづか...
おもしろかった。 かなり乱暴なストーリーだけど、世界のどこかの狭いコミュニティでは現実なんじゃないだろうか。 長寿の老人が介護する人たちの人生や組織の大きな負担と邪魔になるからルールで排除する。昔の日本の姥捨も同じでしょう。 処刑とは違う、違法でないけど殺人に違いはない。 むづかしいところですな。 尊厳死の宣言書はそのまま使える。これは実際に書いておこう。 俺はピンピンコロリで行きたい方だから、70歳はちょうどいい歳だと思ってしまいました。それでもあと10年以上ある。それまでどう地面に近づいてうまく着陸するか…がこれからの人生なんだろう。
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題材が刺激的。成田悠輔が言っている「老人は集団自決せよ」を物語化したようだ。 2020年2月に「70歳死亡法案」が可決された。これにより、日本国籍を有する者は誰しも70歳の誕生日から30日以内に死ななければならなくなった。例外は皇族だけ。政府は安楽死の方法を用意する。 この...
題材が刺激的。成田悠輔が言っている「老人は集団自決せよ」を物語化したようだ。 2020年2月に「70歳死亡法案」が可決された。これにより、日本国籍を有する者は誰しも70歳の誕生日から30日以内に死ななければならなくなった。例外は皇族だけ。政府は安楽死の方法を用意する。 この法律が施行されれば、高齢者による国家財政の行き詰まりがたちまち解消される。2022年4月1日から施行される。すでに70歳を超えているものを含め約2200万人で、次年度以降は毎年150万人前後で推移する。年金制度の崩壊を防ぎ、医療のパンク状態を解決する。だけど、火葬場が足りないのが問題だ。 長寿は、人類に幸福をもたらすものでない。長寿は、国の財政を圧迫する原因となっただけでなく、介護する家族の負担を解決する。 これだけ基本的人権を破壊する法律は、小説の中でしかできないが、本来小説でも嫌われるだろう。 55歳の宝田東洋子は喜びを嚙み締めていた。わがまま放題、ねたきりの84歳の義母の介護に追われた十五年間。夜中にも何度も呼ばれ、排泄物の処理なども重労働なのだ。58歳の能天気な夫、30歳の無関心な娘、29歳の引きこもりの息子と家族はみな勝手ばかり。 「やっとお義母さんが死んでくれる」面倒な介護が、あと2年で終わると思うと内心うれしいのだ。 「70歳死亡法」によって義母がなくなれば、あと13年は自由に人生を謳歌できる。息子は、いい大学に入り、大手銀行に入ったが、3年で人間関係のためにやめて、就職浪人をして引きこもりしている。 大手新聞の世論調査、賛成28%、反対68%、わからない4%。反対が圧倒的に多い。 20代から30代の世論調査は、賛成87%、反対10%、わからない3%。 結局、年寄りの方が多いので、反対が多いのだ。 引きこもりの息子は、中学の同級生のブログを見て、関心を持っていたが、「死にたい」というブログを見て、自転車で彼の家を探すのだった。中学生の時に片思いをしていたリフォーム会社の社長の峰千鶴も、その同級生を一緒に探し、その同級生を立ち直らせる。 結局、東洋子は家出する。それで、義母の介護は誰がやるかという話になる。 そして、「70歳死亡法案」への反対運動が盛り上がっていく。宝田家は、どう変化していくのか。なるほど、うまい落とし具合である。 高齢化社会へのブラックユーモアになっている。大きな話と一つの家族の小さな話がうまく進んでいる。面白い。集団自決より、法律で決めちゃえばいいのだ。「70歳以上のみなさん。日本のために死んでください」!
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