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捏造の科学者 STAP細胞事件 の商品レビュー

3.6

102件のお客様レビュー

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2015/06/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

読後まずは「科学者の世界ってそうなのか!」という驚きが大きかったですね。 私たちが通常考えている一般的な、あるいは常識的な「組織」というものには当てはまらない組織なのだなぁということがつくづく判ったように思います。 「そこはそういう審査をしているだろう」「ここは根拠があるのだろう」と当然のように一般の人が考えていることは、科学者の世界では「上司ではないから」とか「一科学者として尊重しているから踏み込まない(私たちの考える常識がその世界では、ない)」などという言わば「思い込み」でスルーされてきてしまうのだな、と恐ろしく感じました。 世界の有名科学雑誌に掲載される場合の素読者の話も興味深かった。 小保方さんの野心と、理研の金銭的な思惑や名誉などとが同調して増殖してこんなとんでもないことを生み出してしまったのだろうか、と思いましたね。 難しい科学の世界のことを、何も知らない一般人が読んでもわかるように、かなり丁寧に書かれていると思います。ただ何だろう、文体なのか、時々時系列が前後するせいなのか、文章は読みにくかった。 記者さんは文章のプロではありますが、本にするとなると文体がちょっとどうなのか、というのは思いました。私だけの意見かもしれませんが。 皮肉なことに、これを読むと山中先生のiPS細胞のすごさが一段と判る気がします。

Posted byブクログ

2017/09/26

小保方さんは、STAP細胞を発見していた。科学史に汚点を残した世紀の大発見の真相は?! STAP細胞は存在した。再生医療や果ては夢の若返りまで実現する大発見である。しかし、その事実を知った政府と某国はそれが社会に及ぼす結果を憂慮した。医療革新による高齢者の更なる増加、それに伴う医...

小保方さんは、STAP細胞を発見していた。科学史に汚点を残した世紀の大発見の真相は?! STAP細胞は存在した。再生医療や果ては夢の若返りまで実現する大発見である。しかし、その事実を知った政府と某国はそれが社会に及ぼす結果を憂慮した。医療革新による高齢者の更なる増加、それに伴う医療費及び年金の増加、雇用問題の悪化を危惧したからだ。政府と某国はこの発見を国家機密とすべく大胆な工作を実行に移すことにした。 発見者の小保方さんとその上司である笹井副センター長を抱き込み、あの派手な演出を伴った会見を行ったのである。その後、捏造問題が表面化することを知りながら・・・ 小保方さんは、社会影響を鑑み自己を捨て、世界からの非難を一身に受けることで、政府に協力することをを決意した。笹井氏も同様のはずだった・・・ 「STAP細胞はあります」釈明会見で述べたこの言葉は真実であると同時に、STAP細胞への非難を更に助長するための言葉であった。 捏造問題が拡大することで、世界の科学者はSTAP細胞から離れていき価値の無いものとして理解されるようになる。 一方、笹井氏は良心の呵責に苛まれていた。科学者として、人間としてこの発見を闇に葬ることに耐えられなくなってきた。科学を志し、社会のために役に立つ研究を行うことを責務と考え人生をかけた自身の心に背くことはできないと真実を発表することを決意した。これを察知した某国はエージェントを送り込みそうとは分からない方法により・・・ 斯くして、政府及び某国の思惑通り、この分野の研究は20年は遅れることになり、社会の暫定的な安定を継続すると共に、将来の国家基盤を築くべく極秘の開発に入った。小保方さんをチームリーダーとして・・・ というようなミステリー、誰が書いてくれないかな。そしたら読むんだけど。 で、内容の方はというと、理研の対応が悪すぎるのが目に付く。また、取材の限界だとは思うが小保方氏のコメントが少なすぎる点で真実には届いていない気がする。現時点で事件はうやむやのままになっているが、今後も取材を継続してもらい、もう少し静かになった時点で小保方氏の取材も含めて行って頂き真相を解明してもらいたいものだ。 科学の発展のためにも理研にはもっと議論して欲しい。

Posted byブクログ

2015/05/25

小保方さんは研究とか実験に対して非常に不真面目な人だったのだと思う.論文はすべてコピペで仕上げるような.小保方さんを擁護する向きもあるがそれは間違いだ.彼女が笹井さんを殺しCDBを解体したのだ.

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2015/05/25

テレビや新聞で騒ぎすぎた終わった祭りのような感があるが、科学者の姿勢や在り方に一石を投じた一冊。論文内容や疑義の詳細、論文撤回までの詳細な流れなど、丁寧に描かれていて分からないながらも図の掲載などもあって、かなりわかりやすく感じた。

Posted byブクログ

2016/05/07

発表の最初の記者会見から、疑義浮上、撤回呼びかけ、不正の報告、解析、撤回の経緯。過去の指摘、CDB解体、事件が遺したもの。 煽って大きな問題にしてしまったジャーナリズムだけれど、取材や文献や調査を丹念に行って、ネット記事とは次元の異なる信頼性がありました。

Posted byブクログ

2015/04/20

『論文捏造』で読んだシェーン事件とまったく同じで、論文掲載誌よりも何も、所属研究所の指導的な立場にある誰しもが世紀の大発見を実視しないまま大々的に発表されるシステムってなんなんだろう。小保方氏が個人的に種々の要因であそこまで注目されなければ、単に再現されない細胞として自然にフェー...

『論文捏造』で読んだシェーン事件とまったく同じで、論文掲載誌よりも何も、所属研究所の指導的な立場にある誰しもが世紀の大発見を実視しないまま大々的に発表されるシステムってなんなんだろう。小保方氏が個人的に種々の要因であそこまで注目されなければ、単に再現されない細胞として自然にフェードアウトしていったのかもしれないし。それにしても無惨というか無様な結末だった。各章の中の小見出しの付け方はいかにも記者だ。断定的な表現にそそられるが、本文は遠慮がちな言い回しだったりする。

Posted byブクログ

2015/04/16

STAP細胞の最初から2014年秋頃までの記事。 中心となった小保方さん、笹井さん、若山さん、CDBの事などが細かに書かれている。 毎日新聞科学環境部の著者が、渦中の人物やSTAP細胞事件における他の科学者の見解や意見のインタビューしたこと、メールのやり取り。 時系列に沿っている...

STAP細胞の最初から2014年秋頃までの記事。 中心となった小保方さん、笹井さん、若山さん、CDBの事などが細かに書かれている。 毎日新聞科学環境部の著者が、渦中の人物やSTAP細胞事件における他の科学者の見解や意見のインタビューしたこと、メールのやり取り。 時系列に沿っているため追いやすい。 世間で騒がれているレベルで知っていたが詳細を知ると驚きが多かった。 そして、研究者として生きていくことの恐怖も少し感じた。 もちろん丁寧に実験を進め、正しいデータを提示すること、発表までの段階で研究についてなるべく多くのdiscussionをすることは当たり前だが、、、 読んでいく中でSTAP細胞の不正が解明されていく中で若山教授の態度は一番、真摯だったように感じる。 それでも撤回された論文に名前が載っていたことに変わりはない。 一度やってしまったことは元には戻せない。 ちょうど研究計画書を書きながらこの本を読んでいた。 自分のしていることを、これからすることをちゃんと見つめ直しながら研究を進めたい。

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2015/04/05

2014年で一番不可解な事件でした。鳴り物入りの発表を、コロンブスの卵を絵に描いたような大発見、やってみたら出来てしまたんだろうなあと受け止めましたが、その後すぐにネット上で様々な疑惑が次々と浮上、指摘された事柄のあまりの杜撰さに唖然としました。何度か行われた記者会見は、更に混迷...

2014年で一番不可解な事件でした。鳴り物入りの発表を、コロンブスの卵を絵に描いたような大発見、やってみたら出来てしまたんだろうなあと受け止めましたが、その後すぐにネット上で様々な疑惑が次々と浮上、指摘された事柄のあまりの杜撰さに唖然としました。何度か行われた記者会見は、更に混迷を深めるもので、論文の取り下げ、笹井さんの自殺、検証実験の失敗と事態は推移していきましたが、釈然としないものが残りました。この一連の動きの経緯を取材してきた著者が、不正の再発防止の願いを込めてまとめています。本書発刊後に理研の最終報告がありました。

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2015/03/31

昨年1年のSTAP騒動の記録。昨年末の理研報告で、ES細胞との断定や、OBKさんが生き別れ息子との再会実験失敗確定の前まで。科学記事担当の毎日新聞記者の方が、故・笹井さんとのメールのやりとりなども含めて一連の取材の過程を淡々と時系列で示してくれているので、当時の様子を追体験できた...

昨年1年のSTAP騒動の記録。昨年末の理研報告で、ES細胞との断定や、OBKさんが生き別れ息子との再会実験失敗確定の前まで。科学記事担当の毎日新聞記者の方が、故・笹井さんとのメールのやりとりなども含めて一連の取材の過程を淡々と時系列で示してくれているので、当時の様子を追体験できた。しかし、これはある意味集団催眠のようなものだったのじゃないか、と感じた。OBKさんは思い込みが激しい人間なんじゃないか。STAPはあります!と信じて実験してるから、見るものは全てSTAPの証拠に見え、頭の中には証拠がいっぱいあるけど記録やらはほとんど取ってないから、頭の中の画像の代わりに適当な”概念的な”画像を結果として見せてしまう。それがいつしか実験結果にすり替わる。論文にこんなデータが欲しい、と言われたら、頭の中のデータでグラフを作ってしまう。それを見た関係者も喜ぶだけで疑いはしない。それを捏造と言われても、本人は証拠を沢山見ている(と信じている)ので、本物はある!と。偉い人たちがそういう人間の言動に飛びついてしまって、しかも同じように思い込んでしまう。関係者の中ではそれが事実であるという既成事実ができあがってしまい、どんな証拠を見せられても、”事実”を前提にしか物事が判断できなくなる。誰が犯人というような問題でなく、集団催眠状態。ではなかったのか。

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2015/03/30

毎日新聞社に所属する環境部の記者による、一連のSTAP細胞現象に関する記事の連載の経緯とその詳細な内容について纏めた一冊です。専門的な用語についてはわかり易く丁寧に記されているので、一般人にも理解しやすい内容になっています。小保方氏の研究不正に関する当時の関係者の証言などを読んで...

毎日新聞社に所属する環境部の記者による、一連のSTAP細胞現象に関する記事の連載の経緯とその詳細な内容について纏めた一冊です。専門的な用語についてはわかり易く丁寧に記されているので、一般人にも理解しやすい内容になっています。小保方氏の研究不正に関する当時の関係者の証言などを読んでいると、若山氏や笹井氏など信頼に足る人物がサポートしていたことで、起こってしまった皮肉な事象だという印象を受けました。そもそも小保方氏の博士号取得までの経緯が杜撰で信用に値しない研究者で、もともと彼女が博士号を獲ったこと自体が問題で、根が深いことだと思いました。

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