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ある小さなスズメの記録 の商品レビュー

4.2

52件のお客様レビュー

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2024/07/01

私がプロフィール画像を小鳥(ジョウビタキ)にしているのは小鳥が好きだから。 そして、小鳥たちの中でも一番好きなのが、スズメ。 野鳥は普通飼えないのだが、このスズメは生まれてすぐに巣から落下し、脚と翅に障碍を持っていた。 自然に返せるような肢体を持っていなかったので、保護するかた...

私がプロフィール画像を小鳥(ジョウビタキ)にしているのは小鳥が好きだから。 そして、小鳥たちの中でも一番好きなのが、スズメ。 野鳥は普通飼えないのだが、このスズメは生まれてすぐに巣から落下し、脚と翅に障碍を持っていた。 自然に返せるような肢体を持っていなかったので、保護するかたちで12年も一緒に暮らすことになった。 生まれてから老衰で死ぬまでのスズメの記録なんて今後出会うことはないだろう。 本編は150ページと短い。 本編が終わって原書の解説がある。 さらに梨木果歩さんの訳者あとがきに続いて、小川洋子さんの解説があった。 これらの解説だけで40頁もあり、本書の要約にもなっている。 人間にはイヌやネコと出会い一緒に暮らす人生と、出会わない人生がある。 小鳥と暮らす人生もあるだろうが、スズメと暮らす人生はほぼない。 動物は、成長し、成熟し、充実した時期を迎えると、自分がリーダーになりたがる性質が現れる。 これは、言葉を理解し人とコミュニケーションができた有名なヨウムの"アレックス"も同じだった。 ほとんどのペットは、飼い主が「主人」だ、と思い知らされる「しつけ」を受けてリーダーにはなれない。 いつの間にかリーダーの座を獲得しているのはネコくらいだ。 このスズメの"クラレンス"は、リーダー気分を味わえた。 キップス夫人がたくましくなった"クラレンス"を「立派な一人前の男になった」と喜び、余裕しゃくしゃくで彼の要求に答えたからである。 だが主従関係を感じることはなくて、お互いに信頼し合っている関係が伝わって来る。 ヨウムの"アレックス"は気持ちを人の言葉で伝えることができたが、スズメの"クラレンス"は人との共通言語を持たなくても理解し合えている。

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2024/04/23

歴史に名を残した方の伝記本は沢山読んできたつもりですが、誇り高きすずめの生涯を記した本があったとは… 人を慰め、支え、時に人を愛し 嫌なことがあれば、人を叱り。 まるで人間のような表情を見せたとあるクラレンス。 命に対しての考え方見方が変わった本でした。

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2024/04/16

梨木香歩さんの訳にひかれて読み始める 英訳だし時代もいまとは異なり、ところどころ理解できないところもあった 動物とこんなにも密な関係を築き12年もの間ともに行きたクレアさんが素晴らしく、また彼が逝ったあとの喪失感を思うと胸がえぐられるような痛みを感じた 戦時下の日常が描かれており...

梨木香歩さんの訳にひかれて読み始める 英訳だし時代もいまとは異なり、ところどころ理解できないところもあった 動物とこんなにも密な関係を築き12年もの間ともに行きたクレアさんが素晴らしく、また彼が逝ったあとの喪失感を思うと胸がえぐられるような痛みを感じた 戦時下の日常が描かれており興味深かった 青森旅行✈のお伴に

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2023/12/05

kuma0504さんのレビュー拝見して図書館予約 イギリスのピアニストの老婦人と スズメの細やかな暮らしの記録 単なるペットを超えた存在 誇り高きクラレンスは幸せに逝った きっと こんな小さな存在に胸を打たれる 梨木果歩さんの訳とあとがきもよかった 小川洋子さんの解説も ...

kuma0504さんのレビュー拝見して図書館予約 イギリスのピアニストの老婦人と スズメの細やかな暮らしの記録 単なるペットを超えた存在 誇り高きクラレンスは幸せに逝った きっと こんな小さな存在に胸を打たれる 梨木果歩さんの訳とあとがきもよかった 小川洋子さんの解説も それにしても最近スズメを見ないのです どうしたのでしょう ≪ 大戦の 暗闇の中 ともしびに ≫

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2023/03/05

表紙絵に一目惚れして購入。第二次世界大戦頃の話だが、全く耳にしたことがない作者、作品であった。日本でも早くから出版され、根強い人気だったようだ。いくつかの書評にあるように、楽しく、幸せを感じさせてくれる素晴らしい作品だ。 「秘密の花園」のバーネットが書いた「私のコマドリ」と似てい...

表紙絵に一目惚れして購入。第二次世界大戦頃の話だが、全く耳にしたことがない作者、作品であった。日本でも早くから出版され、根強い人気だったようだ。いくつかの書評にあるように、楽しく、幸せを感じさせてくれる素晴らしい作品だ。 「秘密の花園」のバーネットが書いた「私のコマドリ」と似ているが、鳥と作者との長い共同生活の結果であるため、類い希なる鳥類の研究記録となった。また擬人化表現(と言うか、このスズメの中身は本当にヒトなのかも 笑)によるユーモア溢れる文章でクスクスと読み手を笑わせてくれ、またこの小さき者が如何に人間に「教え」を示すかが語られていく。 どんな生き物にも、感情はもちろん、知性や個性があると信じさせてくれる。そして、生を受け、精一杯生き、生の尽きることを受け入れ、やがて静かに眠りに帰るという生き物の務めと至福を考えさせてくれる良書である。 以下、クラレンス様(スズメ)が読んでいたマタイ伝の箇所⭐「スズメは二羽まとめて一銭で売っているほどのものである。しかしそういうスズメの一羽ですら、主の許しなしでは、地に落ちることもかなわないではないか」 それが、単なる偶然か神様のいたずらだったのかは分からないが、生きるチャンスを得たクラレンスは、スズメの持つ可能性を最大限に発揮してみせたのだ。何の気負いもなく、ただ明るく前向きに・・・。彼の最後を、作者は「ぼろぼろになった羽毛の、ほんとうにちっぽけな一塊」と書いているが、生を謳歌した、なんて偉大な羽毛の塊! 今回の装丁の酒井駒子さんの絵も大好き。以前、本屋で手を伸ばした「ビロードのうさぎ」も彼女の作画と知り、納得。素敵なお話に導いていただけた。

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2023/01/30

イギリスのピアニスト、クレア・キップス(1890-1976)は、対ドイツ戦で灯火管制の続いていた1940年、玄関先で障がいを負ったスズメの雛を拾う。その日から12年間、スズメのクラレンスが老衰で亡くなるまで母子とも友愛関係とも取れる2人の交友が始まる。 マッチ棒の先のミルクを頼...

イギリスのピアニスト、クレア・キップス(1890-1976)は、対ドイツ戦で灯火管制の続いていた1940年、玄関先で障がいを負ったスズメの雛を拾う。その日から12年間、スズメのクラレンスが老衰で亡くなるまで母子とも友愛関係とも取れる2人の交友が始まる。 マッチ棒の先のミルクを頼りに生命を繋いだ幼少期から、俳優のように地域の人気者になり、奇跡の歌声をむつみ出した青年期、卒中で倒れたあとシャンパンの「薬」によって奇跡の復活を果たし、眠るようにクレアの手のひらで亡くなった老年期。その一生は、本にされるや英国のみならず、世界中のペット愛好家から愛された。 私はつい最近、同じく英国で拾われたホームレスでビッグイシュー売り子の飼い猫が、瞬く間にロンドン子の人気者になって、映画出演まで(しかも2回)果たしたエピソードを思い出した。古今東西愛されペットの話は多いが、英国の愛され方は質が違うように思える。売るためにプロデュースされたペットは、時代を跨がない。僥倖にも拾われたペットが、その存在だけで、人に希望を与えるのである。思えば、ペルーからやってきて途方に暮れていた熊のパディントンも「拾われた」のでした。 その存在だけで? いや、今回の相棒、2年前に夫を亡くしたばかりのクレアにとっては、唯一無二の個性と才能と愛らしさを持ったクラレンスは、彼女の冷静かつ詩的な文章によって普遍性のある人格まで(鳥格?)高められている。梨木香歩さんの訳も素晴らしい。むかし手乗り文鳥の飼育に失敗して可哀想なこともし、後悔の檻がずっと溜まっている私にとっても、とても癒しになる読書だった。 正月、ねおさんのレビューにより、本の存在を知った。ありがとうございます。

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2022/11/11

『もしも物思いに耽りやすい夏の宵闇に、どこかで報われない恋の涙が落ちたとしたら、窓硝子の遥か彼方で彼女か流したものだったに違いない。』 第二次世界大戦下のイギリス。夫に先立たれた一人の老ピアニストが出会ったのは、一羽の傷ついた小雀だった。愛情深く育てられた雀のクラレンスは、敵...

『もしも物思いに耽りやすい夏の宵闇に、どこかで報われない恋の涙が落ちたとしたら、窓硝子の遥か彼方で彼女か流したものだったに違いない。』 第二次世界大戦下のイギリス。夫に先立たれた一人の老ピアニストが出会ったのは、一羽の傷ついた小雀だった。愛情深く育てられた雀のクラレンスは、敵機の襲来に怯える人々の希望の灯となっていく―。特異な才能を開花させたクラレンスとキップス夫人が共に暮らした12年間の実録。 わたしが好きな作家の梨木香歩さん訳、解説が小川洋子さんの作品だったので手に取った一冊。 戦争の描写は少なめで、雀との生活にフォーカスしているので楽しく読んだ。 雀のクラセンスには足に障碍があり、そのせいで巣から落とされてしまったらしいのだが、もし夫人と出会わなければ自然淘汰されていたであろう彼はとても個性的で、知的で、優しい音楽家だった。 なぜ彼が音楽家と呼ばれていたのかは是非読んでみて欲しい。 中でも好きなエピソードとして、近所に住んでいる野生の雌雀たちやアオガラから熱烈な崇拝を受ける様子が記されているのだが、その恋物語がなんとも微笑ましい。 本書には当時の写真も収録されているのも嬉しい。 そのおかげで想像を膨らませて読むことができた。 私たちの生活に当たり前に存在し、身近にいる生き物の雀がこんなにも愛らしく興味深い生き物だったとは思わなかった。 一羽の小さな雀を通して生き方を学べる一冊だ。 こんなひとにおすすめ.ᐟ.ᐟ ・動物が好きなひと ・梨木香歩が好きなひと ・小川洋子が好きなひと ・心あたたまる作品が好きなひと ・鳥が好きなひと

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2022/11/10

文春文庫のフェア「戦火の記憶を未来へつなぐ」で平積みになっていたのをたまたま手に取り呼んだ。“言葉を解さない”動物たるスズメと、これほどに感情を汲み交わし寄り添いあった事実があったのだ。 読み終えて、というより読み進めるうちから、自らの傍らにあるものとの関係を(それが人であれ動物...

文春文庫のフェア「戦火の記憶を未来へつなぐ」で平積みになっていたのをたまたま手に取り呼んだ。“言葉を解さない”動物たるスズメと、これほどに感情を汲み交わし寄り添いあった事実があったのだ。 読み終えて、というより読み進めるうちから、自らの傍らにあるものとの関係を(それが人であれ動物であれ、自然であれ)疎かにせず慈しもうと、そう思えてくる本だった。

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2022/09/25

読みたかった本の一冊。 いやー、冒頭から何かしら良い雰囲気を感じてましたが…、綺麗、興味が湧く、ドキュメンタリー、 良かった!! 実話なんですね。余計に凄い。 鳥を飼ったことがある人ならば、必ず頭に画が浮かびます。そして顔がニヤけます。 読んで良かった✨

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2022/08/21

原題 SOLD FOR A FARTHING CLARENCE THE FAMOUS AND BELOVED SPARROW BORN JULY 1ST 1940 DIED AUGUST 23TH 1952 クレア・キップスとクラレンスのハートフルな12年。人を慰め、愛し、叱...

原題 SOLD FOR A FARTHING CLARENCE THE FAMOUS AND BELOVED SPARROW BORN JULY 1ST 1940 DIED AUGUST 23TH 1952 クレア・キップスとクラレンスのハートフルな12年。人を慰め、愛し、叱った、誇り高きクラレンスの生涯。ほんとに、副題の通り。もう奇跡ですね。 クラレンスが小さな本を見ている写真が好きです。 開いたページが「二羽のスズメ」(マタイ伝)という偶然も。 シジュウカラが会話することは日本の動物行動学者が解明しています。 チリリリリ(おなかがすいたよ) ツピー(そばにいるよ) きっと心を通わせれば、みんなクラレンスになれるんでしょうね。…話してみたい。 家スズメ(クラレンス)も森スズメ(日本とか)も、近年世界的に極端に数を減らしてます。シナントロープの代表とも言える隣人ですので、原因は人、なんでしょう…朝はチュンチュンという声で起きたい。名前の由来はスズ(鳴き声)メ(群れ)らしいですが…スズ? ツピー

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