営繕かるかや怪異譚 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
2巻を読むにあたり面白かったという印象はあるもののけっこう内容を忘れていたので再読。 やはり面白かった。謎は残るのに清々しいような爽やかな怖さ。清々しいのは営繕屋の彼のキャラクターと怪異解決を具体的な方法でするからかな。毎度なるほど、と楽しい。楽しくて怖い。 表題「雨の鈴」が好き。幽霊の動きが面白い。
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とある城下町を舞台に、住居にまつわる怪異を「営繕かるかや」の尾端が修繕していく短編集。六話が収録されています。 古い町、古い家ならではの“陰”な雰囲気が良く出ていて、じわじわとくるものがあります。 営繕屋の尾端さんは、あくまで修繕をする人で、霊能者のように怪異を“解決”するのと...
とある城下町を舞台に、住居にまつわる怪異を「営繕かるかや」の尾端が修繕していく短編集。六話が収録されています。 古い町、古い家ならではの“陰”な雰囲気が良く出ていて、じわじわとくるものがあります。 営繕屋の尾端さんは、あくまで修繕をする人で、霊能者のように怪異を“解決”するのとは少し違うのですね。 “繕う”ことによって、常世と現世のバランスをとって調整するような感じかなという印象を受けました。 第一話「奥庭より」第四話「異形のひと」第六話「檻の外」は、怪異の背景にあったとされる出来事が結構残酷で、胸が痛みました。 そして個人的には第三話「雨の鈴」に出てきた“喪服の女”にゾワっとしました。一見佇んでいるだけのようですが、実はとても禍々しくて、しかも彼女があらわれる理由がわからんというのが、めっちゃ怖くないですか。マジで来ないでほしいです。 そんな中で尾端さんが登場するとホッとするのですが、各話ちょっとずつしか出番がないので、彼も謎といえば謎の人かもしれません。 続編も一緒に借りてきたので、これからまた異世界の入り口を覗きにいこうと思います。
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営繕職人の青年で繋がる連作短篇六作品。生きている者も死んでいる者もよくわからないものも、共存できるならそれに越したことはないと思う。最初に正体不明の気味悪さが押し寄せ、事情がわかると、怪異にこそ同情を禁じ得ない話が多かった。中にはよくわからないまま、そういう存在として不幸を招く類...
営繕職人の青年で繋がる連作短篇六作品。生きている者も死んでいる者もよくわからないものも、共存できるならそれに越したことはないと思う。最初に正体不明の気味悪さが押し寄せ、事情がわかると、怪異にこそ同情を禁じ得ない話が多かった。中にはよくわからないまま、そういう存在として不幸を招く類もいたが。個人的には、越した家に井戸や祠があったとして、それをためらいもなくDIYする所業のほうに背筋が冷えた。
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小野不由美さんの短編集。 とある城下町の旧市街、古い家々に起こる怖くて不可思議な出来事。 営繕屋の尾端が、それに悩む人たちを、霊?を、それぞれが居心地良い空間へと直していく。 ちょっと怖いけど、そこに至る過程を読み解いていくと、古き物に宿る何かに惹かれるのだ。
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家に関する怪異と、それを解決するための改装をしてくれる営繕業者さんの話。 本来心休まる場所であるはずの『家』が恐怖の対象になってしまうところがもう怖い。 そして霊能者ではないけど家に憑いた霊のことまで考えた営繕をしてくれる『かるかや』の尾端さんの登場で救われる…! ホラーではあ...
家に関する怪異と、それを解決するための改装をしてくれる営繕業者さんの話。 本来心休まる場所であるはずの『家』が恐怖の対象になってしまうところがもう怖い。 そして霊能者ではないけど家に憑いた霊のことまで考えた営繕をしてくれる『かるかや』の尾端さんの登場で救われる…! ホラーではあるけれど、ちょっと心が温まる短編集でした。 最後の『檻の外』はちょっと泣きそうになった…
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怪談をこういう切り口で解決するのは面白いです。 話も一話一話怖いし、でもほっこり解決するし、大好きな本です。
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家にまつわる怪異を営繕屋・尾端が修復する短編集。 快刀乱麻を断つという感じではなく、怪異をあるがままに受け入れて、家を修繕することによってそれを解き放ったり共存したりして問題を解決するという手法が面白い。怖いというよりしんみりした読後感。 一番怖かったのは、喪服の女が近づいてくる...
家にまつわる怪異を営繕屋・尾端が修復する短編集。 快刀乱麻を断つという感じではなく、怪異をあるがままに受け入れて、家を修繕することによってそれを解き放ったり共存したりして問題を解決するという手法が面白い。怖いというよりしんみりした読後感。 一番怖かったのは、喪服の女が近づいてくる「雨の鈴」。
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雰囲気も物語自体は大好きだが、何かが足りない…つないでくれる何かが。 長く考えることも必要なく、足りないものは営繕屋の存在感だと思う。表紙に描かれているわりには「申し訳なさそうに微笑んで、「分かりません」と言いながらサッと解決してくれる青年」ぐらいしか中身がなく、さらにセリフさえ...
雰囲気も物語自体は大好きだが、何かが足りない…つないでくれる何かが。 長く考えることも必要なく、足りないものは営繕屋の存在感だと思う。表紙に描かれているわりには「申し訳なさそうに微笑んで、「分かりません」と言いながらサッと解決してくれる青年」ぐらいしか中身がなく、さらにセリフさえもない章もある。 それぞれの物語がそれぞれの視点から描かれている点は素晴らしいですが(リアリティがあって、それぞれ違う空気と背景がある)、やはり「定着剤」になるはずの営繕屋の存在感が足りない…もうすこし「サブスタンス」が欲しかった。
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6つの短編。おもしろく一気に読みました。 それぞれ、気味が悪かったり、ぞっとしたり、怖い話なのですが、営繕によって解決され、読み終わったあとはすっきりした気持ちになります。 亡くなった人の思いや気持ちが、家や土地に残り怪奇現象を起こす…。それに対して、お払いする、封印する、という...
6つの短編。おもしろく一気に読みました。 それぞれ、気味が悪かったり、ぞっとしたり、怖い話なのですが、営繕によって解決され、読み終わったあとはすっきりした気持ちになります。 亡くなった人の思いや気持ちが、家や土地に残り怪奇現象を起こす…。それに対して、お払いする、封印する、という考え方の他に、その方を思いやって、生前の思いを遂げさせる、共存する、という考え方もあるということが意外な感じがしました。
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河口に近い城下町の古い家々で起こる怪異譚。 怯える人と、助けとなる営繕屋の連作短編集。 読みやすく、ちょっと怖く、面白かったです。自分の想像力が落ちていて、路地の様子や家の間取りが描かれている通りにイメージできてないのが残念でしたが、十分楽しめました。 旅先の列車の中や、カフェの...
河口に近い城下町の古い家々で起こる怪異譚。 怯える人と、助けとなる営繕屋の連作短編集。 読みやすく、ちょっと怖く、面白かったです。自分の想像力が落ちていて、路地の様子や家の間取りが描かれている通りにイメージできてないのが残念でしたが、十分楽しめました。 旅先の列車の中や、カフェの共によさげな一冊でした。 それにしても小野不由美さんの才能たるや。
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