水やりはいつも深夜だけど の商品レビュー
植物の名が入った5つの話の短編集。 みんな心のどこかに人には言えない何かを抱え苦しんでいる。 題材的にはよくある内容で出尽くした感はあるものの窪美澄さんが上手く心を揺さぶってくる。 悩むうちに急勾配を転げ落ちてしまうのはあっという間だが、何かをきっかけにふと救われることもある。 ...
植物の名が入った5つの話の短編集。 みんな心のどこかに人には言えない何かを抱え苦しんでいる。 題材的にはよくある内容で出尽くした感はあるものの窪美澄さんが上手く心を揺さぶってくる。 悩むうちに急勾配を転げ落ちてしまうのはあっという間だが、何かをきっかけにふと救われることもある。 そのきっかけを与えてくれる家族が近くにいてくれるのは幸せなことであり、それを忘れないようにしたいと思った。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
◆きっかけ ・図書館で見かけて ◆感想 ・今の自分に重なる心情が描かれていてドキリとした。 ◆引用 ・塩だけを振った揚げ餅は口のなかでさくさくと香ばしい。 ーP47 きらめくポーチュラカ →揚げ餅を作りたくなった ・テーブルいっぱいの天ぷらや煮物、漬け物。気取りも、誰かにほめてもらおうという虚栄心もない、ごく普通の食事。 ーP47 きらめくポーチュラカ ・「すごいね。もうできるね。パパが上手にリードしてくれるから」………早紀の言葉におれのどこかがくすぐったくなったのも事実だ。 ーP81 サボテンの咆哮 ・ほんとうは、そんなこと突き詰めないで、ぼんやりとさせたまま、二人の関係を、家族を続けていけばよかったのかもしれない。けれど、どちらが、どれだけ悪いか、ということを、ぼくたちははっきりさせすぎた。夫婦で、家族で、どちらが、どれだけ悪いか、なんて、今になって思えばだけれど、そんな追求に答えはないんだ。 ーP231 かそけきサンカヨウ ・もっともっと、透明になりたいと、私は強く思った。美子さんのように。もっともっと透明で、強い女の人に。 ーP236 かそけきサンカヨウ
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他者との関わりの中で人は生きています。 一人になりたいと思っても、それは他者がいることが前提です。 人と人が、不器用に指を絡ませ、時に痛がりながらも、それでも手を繋ごうとする。そんな物語です。
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同じ幼稚園に通う子供がいる家庭を描いた短編集。特に物語自体のつながりはなく、それぞれの家庭をこの作家さんらしい、静かな語りで描かれている。
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最近、本のタイトルというのは著者が決めるものではないと知りました。 編集者などが「タイトル会議」なるものを開いて決めることがほとんどのよう。もちろん、著者が決める場合がないわけではないけれど。 一目見て表紙の写真と、このタイトルに惹かれました。 読み終わった後だからこそわかる、...
最近、本のタイトルというのは著者が決めるものではないと知りました。 編集者などが「タイトル会議」なるものを開いて決めることがほとんどのよう。もちろん、著者が決める場合がないわけではないけれど。 一目見て表紙の写真と、このタイトルに惹かれました。 読み終わった後だからこそわかる、ぴったりと本書の空気感を表している魅力的なタイトル。秀逸ですね。 これはすこしハイソな町に暮らす、子どものいる家庭を切り取った5つの物語です。 どこにでもありそうで、だからこそとてもリアルな親と子の関係、夫婦の在り方、家族の形。 幼い子どもがいる家庭というのは、結婚して長すぎず短すぎない期間を経ています。恋は感情のままにできるけど、何かを維持するというのは意志がないとできない。というのは、誰もが同じなんだと感じさせてくれます。ただ、その根底には揺るぎない愛情があって、ああ家族っていいなあと温かい気持ちにもなります。 窪さんの描く町並みはなんだかとても現実味があって、不思議なほどありありとその町を思い描けます。 それから人物像も、とても親近感がわくくらい、みんな一生懸命で器用じゃない。でも、きっと人間そんなもので完璧になんて生きれないから、迷ったり揺れたりするんでしょうね。 どの章もよかったですが、「砂のないテラリウム」がお気に入りです。日常を切り抜いた物語、いいですね。
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同じ幼稚園児を持ついくつかの家庭の物語。自分が見ないようにしていた感情が透けて見えて心がざわざわした。
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これけっこう好きだな。 どこのにでもいる家族、それぞれの日常のすぐ横にある悩みを切り取った感じ。 すごい共感できるし、自分もこういう悩みを持つかもしれないなって思える距離感がとても良かった。どの作品も最後には少し明るい兆しが見えて、読んでいて心地よかった。
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2015/12/13 幼稚園児をもつ家庭の短編集。子どもとの距離、夫婦の関係、義家やママ友...たくさんの悩みが息がつまるくらいにリアル。身近にこんな悩みを抱えている人がいたらどう声をかけるだろう、どうやって状況を打破したらいいんだろう。わからなくて苦しい。
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いろんな事情を抱えるそれぞれの人。傍らにそっと出てくる植物たちの描き方が上品で好きでした。 サボテンの咆哮ではつい涙が。。。 おじいちゃんの言葉に目頭があつくなってしまいました。あと一番終わり方がほっこりというか。そう思いました。 窪美澄さんの書くお話はいつもおわり方が絶妙で...
いろんな事情を抱えるそれぞれの人。傍らにそっと出てくる植物たちの描き方が上品で好きでした。 サボテンの咆哮ではつい涙が。。。 おじいちゃんの言葉に目頭があつくなってしまいました。あと一番終わり方がほっこりというか。そう思いました。 窪美澄さんの書くお話はいつもおわり方が絶妙で、このお話のなかの人たちは物語のなかを生きていくんだと感じます。生み出した物語をめでたしめでたしで断絶せずに、ゆるやかな余韻を残すものばかり。もっと窪さんの本を読みたいと思います。
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家族にも他人にも、ずっと隠し続けた知られたくない過去。仲間はずれにされたくなくて自分を偽ったり、自分と比べて他人を羨ましく思ったり、何かに常にビクビクする主人公たち。それが暴かれる瞬間には…?時には身につまされたりしながら、どの話も最後にはちょっと驚かされたり、肩の力が抜けたり…...
家族にも他人にも、ずっと隠し続けた知られたくない過去。仲間はずれにされたくなくて自分を偽ったり、自分と比べて他人を羨ましく思ったり、何かに常にビクビクする主人公たち。それが暴かれる瞬間には…?時には身につまされたりしながら、どの話も最後にはちょっと驚かされたり、肩の力が抜けたり…派手さこそないものの、ページをめくる手が止まらず、そして心にしみる短編集でした。
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