水やりはいつも深夜だけど の商品レビュー
家庭を持ったことはないのに、どのストーリーも主人公の気持ちが分かる気がした。 子どもを持つとパートナーとの関係も変わってしまうものなのだ。 「サボテンの咆哮」での父親と夫しての葛藤と、実父との男同士の関係がムズムズしてよかった。
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様々な家庭がある。 その様々な家庭におけるリアルと家族の成長を自省を中心に描いた短編集。 「ちらめくポーチェラカ」では女性同士の付き合い方に悪戦苦闘するママブロガーの姿が、イヤに自分ごととして迫ってくる。陰口を叩かれないように、下に見られないように、程よくオシャレに見てもらえる...
様々な家庭がある。 その様々な家庭におけるリアルと家族の成長を自省を中心に描いた短編集。 「ちらめくポーチェラカ」では女性同士の付き合い方に悪戦苦闘するママブロガーの姿が、イヤに自分ごととして迫ってくる。陰口を叩かれないように、下に見られないように、程よくオシャレに見てもらえるように、、ありのままを見せることの難しさと葛藤を、様々な「女性」、「ママ友」たちの姿とともに追いかける。 「サボテンの咆哮」は男性が主人公の作品だ。自らの父親との憂鬱な関係性と息子との関係性を重ねながら、「父親」の理想像と現実とのギャップに思い悩む。育児ノイローゼ気味の妻をしっかりと支えきれていない不甲斐なさも、目に見えない不安感を煽っていく。父として、夫として、息子として、再生していく物語。 「ゲンノショウコ」は亡くなった知的障害を持った妹との思い出が、呪縛のように目の前の子育てに影響を与えていることに戸惑う主人公の物語。無理解な恋人の一言から妹の存在を消して生活してきた主人公にとって、同様の障害がある子どもを育てるママ友の姿を見ることは苦痛だった。娘の無垢な成長から教えられるように、過去の自分や妹と再度向き合っていく。 「砂のないテラリウム」は寂しさから浮気に走りそうになる男性の話。娘が産まれて以来、親密さが薄まり気まづさが漂うようになった妻との夫婦関係を憂い、独身女性との関係を深めようとしてしまう。周りの夫婦がどれも幸福そうに見え、妻との結婚を選んだことを後悔してしまいそうになる。完璧な家族なんてどこにもないが、修復不能なほど壊さずにいたいと願う、優しい男の話。 「かそけきサンカヨウ」は父親の再婚相手とその連れ児との新しい家族の形を懸命に創ろうとする女子高生の生活が描かれている。登場人物は皆魅力的で、再婚相手の美子さんや義妹のひなた、実の父親も出て行った画家の母親に至るまで、皆愛情深く真面目だ。でも誰よりも思慮深く根気強いのはきっと主人公だろう。がんばれ、幸せになって、ときっと声を掛けたくなる。 「ノーチェ・ブエナのポインセチア」は心臓に疾患が見つかり自らの生き方や周囲との付き合い方について迷い悩む男子高生が主人公だ。何でもできると思っていた自分に、出来ないことがあると突きつけられて感傷的になったり、自分への愛情ゆえに衝突する母親と祖母の姿に辟易したりする等身大の姿が描かれる。他人の家族のように上手くはいかない、だけど誰かにその責任を取って欲しいわけではない。自分が馴染んでいくしかない、と言葉で理解するまでの成長の物語。
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家族にまつわる短編集。 自分が母親になったってこともあって、かなり深く共感したし、感情移入もできたと思う。 みんな悩みながら母になり父になるんだし、最初から完璧になんてできないし、試行錯誤の連続なんだよなあと。 主人公たちは、いろいろなしがらみに囚われながらも、最後はちゃ...
家族にまつわる短編集。 自分が母親になったってこともあって、かなり深く共感したし、感情移入もできたと思う。 みんな悩みながら母になり父になるんだし、最初から完璧になんてできないし、試行錯誤の連続なんだよなあと。 主人公たちは、いろいろなしがらみに囚われながらも、最後はちゃんと正しいと思われる選択をしたり、ちょっと強くなるから、読んでいて清々しい気持ちになった。
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幼稚園児のいる家族のさまざまなストーリーが描かれてる短編集。各話植物が織り交ぜてある。 サンカヨウが気に入った。陽さんの生活に美子さんがきてくれてよかった。
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短編集。いろんな家族の話。家族ってなんだろう。一緒に暮らしているのに、どうしてすれ違ったり、ぶつかったりするんだろう。
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女の人の集団が怖くて理系に進んだのに、 子供が生まれて、マジでママ友が怖いから、共感した。 でも世の中の捉え方の問題でもあって、私は、子育てはもっと楽しいものだと思いたい。
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*思い通りにならない毎日、言葉にできない本音。 それでも、一緒に歩んでいく――だって、家族だから。 同じ幼稚園に子どもを通わせる家々の、もがきながらも前を向いて生きる姿を描いた、魂ゆさぶる5つの物語* そこそこの暮らしだけど、おおむね恵まれているけれど、何かが欠けていて、それをどう補えばいいのかわからず、じわりじわりと暗い何かに圧迫されていく・・・どのお話も、すぐそこで起きているかのようなリアリティと痛みが見事なまでに表現されています。あまりにも現実的で、もどかしさとやるせなさで胸が締め付けられる場面も。それでも、「家族」を逃げずに日々を生きていく主人公たちに、思わずエールを送りたくなる。そんな素敵な短編集でした。
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傍から見れば、普通の家族の五つの短編集。 そんな家族の中での孤独な人たちの不器用さが伝わってくる。 「かそけきサンカヨウ」より “夫婦で、家族で、どちらが、どれだけ悪いか、なんて、今になって思えばだけれど、そんな追及に答えはないんた。” この話は泣いた。 小さな時から家事もこなしてきた、大人びた高校生が主人公。その女の子の離れ離れになった実の母への複雑な想いの描写が秀逸だった。 他4つの話は、主人公の心情が割とはっきり書かれているのに対し、最後の話は、女の子の行動や出来事の中に、彼女の幼さや迷いが表現されている。
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同じ幼稚園に通う、5つの家族の物語。 どこにでもありうる家庭内の問題… 人間の’ちょっとした陰’の部分を書くのが上手いな~と感じました。
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全体として、家族の物語の短編集。 男女間の暗めの物語と思っていたので、意外だったけれどこれはこれでとても良かった。 なんて言葉にしていいのか分からないけれど、そう、これなの、この気持ちが私にもあった!って所がたくさんあった。 家族の形も問題も関わりも様々。凄い感動とか凄い衝撃とか...
全体として、家族の物語の短編集。 男女間の暗めの物語と思っていたので、意外だったけれどこれはこれでとても良かった。 なんて言葉にしていいのか分からないけれど、そう、これなの、この気持ちが私にもあった!って所がたくさんあった。 家族の形も問題も関わりも様々。凄い感動とか凄い衝撃とかはないのに、一編一編読み終わる時必ず涙ぐむ。悲しい涙ではないもので。 ママ友、祖父と父、障がい者の妹がいた母、夫と妻、母親が変わった娘。色々だったなー。 何が凄い!とかはないんだけど、とても良かった。またいつか読みたい。
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