水やりはいつも深夜だけど の商品レビュー
短編小説。 ①ちらめくポーチュラカ 承認欲求と、承認されてはいけない環境の中にあるジレンマをものすごく細かく繊細に表現していて、まずこんなコアな部分に着目して物語が書かれていることに腰を抜かした。まるで、名もなき家事に「名もなき家事」という名前がついたかのようなひらめきがあった。...
短編小説。 ①ちらめくポーチュラカ 承認欲求と、承認されてはいけない環境の中にあるジレンマをものすごく細かく繊細に表現していて、まずこんなコアな部分に着目して物語が書かれていることに腰を抜かした。まるで、名もなき家事に「名もなき家事」という名前がついたかのようなひらめきがあった。 ②サボテンの咆哮 よく聞く「俺だって一生懸命やってるんだ!」のセリフは、「って言いつつなんもやってないじゃん」と言われがち、思われがちだけど、本当に「一生懸命やって」いたら?自分の忙しいさ、必死さにカマかけていたのは私の方だった?と考えさせられた。 ③ゲンノショウコ 出生前診断について。普通じゃない子を産むのでは、産んだのではと不安になる気持ちは理解できた。けど現代は、昔に比べて何にでも病名がつく時代。「普通の子」なんて全くいないのでは。 ④砂のないテラリウム 出産後、妻のことを「人が変わってしまった」と表現する人が多いが、まさにそれ。けど、変わってしまったのは妻だけ?夫も置いてけぼりの中で、少しずつ変わってしまったのでは? ⑤かそけきサンカヨウ 連れ子って家族か?そもそも家族とは?と考えさせられる。私が思うに、家族に定義などなくて私を守ってくれる、私が守りたいと思う居場所は家族なんじゃないだろうか。
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5篇の短編集。 子供を育てる家庭の話が続く。 「ゲンノショウコ」が印象的だった。 知的障害のある妹を持つ美幸が、自身の娘風花も知的障害があるんじゃないかと心配して心のバランスを崩しそう。 知的障害のある家族が他人から向けられる不躾な視線、態度、言葉。よく分かってるはずなのに同じ...
5篇の短編集。 子供を育てる家庭の話が続く。 「ゲンノショウコ」が印象的だった。 知的障害のある妹を持つ美幸が、自身の娘風花も知的障害があるんじゃないかと心配して心のバランスを崩しそう。 知的障害のある家族が他人から向けられる不躾な視線、態度、言葉。よく分かってるはずなのに同じ態度を風花の同級生で知的障害を持つ良樹君のお母さんに取ってしまい自己嫌悪に陥る美幸。 「ねーね、ねーね」と美幸の事を大好きな妹を、美幸も好きなのに同時に疎ましくも思ってしまう。その罪悪感が最悪の形で強制的に固定化されてしまう。 苦しいだろうなと想像する。 いい思い出だけを残して、少しでも罪悪感が消えればいいなと祈る
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周りで風邪流行ってる…… ってな事で、窪美澄の『水やりはいつも深夜だけど』 ちらめくポーチュラカ サボテンの咆哮 ゲンノショウコ 砂のないテラリウム かそけきサンカヨウ の5つの短編集。 過去にイジメにあった気弱な主婦 家事、育児を根詰める妻を助ける夫 障害を持つ妹をひ...
周りで風邪流行ってる…… ってな事で、窪美澄の『水やりはいつも深夜だけど』 ちらめくポーチュラカ サボテンの咆哮 ゲンノショウコ 砂のないテラリウム かそけきサンカヨウ の5つの短編集。 過去にイジメにあった気弱な主婦 家事、育児を根詰める妻を助ける夫 障害を持つ妹をひた隠し、自分の子に障害が有るんじゃないかと不安に生きる母親 家事育児に追われる妻、仕事に追われる夫。そんな二人のすれ違いから起こる危機。寂しかったのはあなただけだと思う? 幼い時から父親と二人で暮らす高校生の娘。そこに父親の再婚で母親と3歳の妹が新たな家族となり、新しい生活に戸惑いながら成長と我慢してた幼心との葛藤。 それぞれの生活からのそれぞれの視線と感情が、そうなんじゃ~って分かる様なお話。 嫁、夫、父親、母親、兄弟姉妹、子供それぞれの思いがヒシヒシと伝わる凄い作品じゃと思いますw あなたの身近な相手の思いが書いてあるかの様にw 2017年51冊目
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「ちらめくポーチュラカ」 取り繕って造り出された。 周囲と合わせるために必死になるのもいいが、無理に背伸びをしていたら疲れるだろうし辛いことが多いだろうな。 「サボテンの咆哮」 頑張っているはずなのに。 何もかも一人で完璧にこなそうとしても無理なのだから、二人で話し合いながら家...
「ちらめくポーチュラカ」 取り繕って造り出された。 周囲と合わせるために必死になるのもいいが、無理に背伸びをしていたら疲れるだろうし辛いことが多いだろうな。 「サボテンの咆哮」 頑張っているはずなのに。 何もかも一人で完璧にこなそうとしても無理なのだから、二人で話し合いながら家庭を築いていくのが大切だろう。 「ゲンノショウコ」 何をしていても気になる。 実際に世話をし一緒に暮らしていたからこそ、どれだけ大変で普通には絶対になれない苦しさをしっているのだろ。 「砂のないテラリウム」 いつからか減った会話に。 何を思っているのか言葉にして伝えなければ、一方通行のように感じる気持ちは消化されずに胸の中に留まるだろ。 「かそけきサンカヨウ」 新しい家族との暮らしは。 別れを選択しなければいけない理由があったとしても、それを全て理解出来るようになるには時間が必要だろうな。
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同じ幼稚園に子どもを通わせるそれぞれの家族の問題を描いた5つの独立した短編です。 女性に人気の作家さんなのだろうな~と思います。 「人(>女)を描く」というより「女(>人)を描く」作家さんという気がします。たとえ男性が主人公の物語でも、周りの女性の方が際立ってしまう。...
同じ幼稚園に子どもを通わせるそれぞれの家族の問題を描いた5つの独立した短編です。 女性に人気の作家さんなのだろうな~と思います。 「人(>女)を描く」というより「女(>人)を描く」作家さんという気がします。たとえ男性が主人公の物語でも、周りの女性の方が際立ってしまう。その分、どうも私はやや苦手です。 そういえばタイトルの深夜の水遣りシーンって有ったかな? 全ての短編のタイトルに植物の名前を含むこの短編集は全体に暗鬱なストーリーです。しかし、例え深夜の水遣りシーンは無くても「だけど」の言葉が示すように、決して明るくは無いけれど、少し前向きに終わる物語でした。 その中で、最後の「かそけきサンカヨウ」は良かった。主人公が流行の言い方ではヤングケアラー風だけど素直な女子高校生だし、その義母も表裏の無さも相まって、爽やかな物語でした。
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子育て真っ最中の、家族のお話。 育児って誰も教えてくれない部分が多くて、自分のしてることが正しいのか間違ってるのかもわからないまま、子供は成長していく。その不安感を思い出した。 それぞれが乗り越えていく様子が、とてもリアル。 最後のサンカヨウのお話は、特にジーンとしたなぁ。 ...
子育て真っ最中の、家族のお話。 育児って誰も教えてくれない部分が多くて、自分のしてることが正しいのか間違ってるのかもわからないまま、子供は成長していく。その不安感を思い出した。 それぞれが乗り越えていく様子が、とてもリアル。 最後のサンカヨウのお話は、特にジーンとしたなぁ。 とても良い本に会えで嬉しく思います。
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幼稚園に通う子どもを持つ家族の5つの短編集。 産後鬱のお母さんの話しとかジーンときてしまいました。 最後のサンカヨウの話も良かったかな お母さんが背負子に子供背負って山登りしてサンカヨウ見に行くなんてとてもパワフルなお母さん、てか普通はお父さんが背負うと思うのですがここら辺に...
幼稚園に通う子どもを持つ家族の5つの短編集。 産後鬱のお母さんの話しとかジーンときてしまいました。 最後のサンカヨウの話も良かったかな お母さんが背負子に子供背負って山登りしてサンカヨウ見に行くなんてとてもパワフルなお母さん、てか普通はお父さんが背負うと思うのですがここら辺にも離婚の原因があるような気がしてしまいましたっw 水やり忘れると萎んでしまう植物が、 シャキンとしていくようなそんなお話が綴られてました。 最後の話は前に映画で見たような高校生ぐらいになった娘が母の個展をこそっと観に行くところがデジャブ なんだったけかな?? 桃井かおりが老婆役で浮かんでくるんですが・・・
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窪 美澄さんの作品は本作が初読みでした。 『水やりはいつも深夜だけど』 本作は、様々な家族の5つの短編集 ちらめくポーチュラカ サボテンの咆哮 ゲンノショウコ 砂のないテラリウム かそけきサンカヨウ どの家族にも家族にしか分からない事情がある。 同じ家族なんて一つも...
窪 美澄さんの作品は本作が初読みでした。 『水やりはいつも深夜だけど』 本作は、様々な家族の5つの短編集 ちらめくポーチュラカ サボテンの咆哮 ゲンノショウコ 砂のないテラリウム かそけきサンカヨウ どの家族にも家族にしか分からない事情がある。 同じ家族なんて一つもないけど、もしかしたら似た様なことで躓いたり悩んだり苦悩しているのかもしれない… 其々の家族を少しずつ垣間みることで、自分の家族に置き換えてみたり、自分の考え方に照らし合わせたりしながら読み進めた。 特に『かそけきサンカヨウ』は、急いで大人にならざるを得なかった少女の葛藤が描かれていて目頭が熱くなった。 正解なんてこだわらなくてもいい。 家族である限りいつでもやり直せるし、気づく事で変われることもある。 歩く歩幅もスピードも、其々の家族の心地良いスタイルがあって、ゆっくり自分たちで築いていけばいいんだと背中を押してくれるような作品だった。 家族の在り方で行き詰まったり悩んでいる方にオススメしたい。
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どこにでもある家族の形態、幼稚園生くらいの子供のいる家族の5編に及ぶ短編集…。それぞれのストーリーは独立しています。自身のブログを持ちながらママ友からどんな風に自分が見えているのかが気になって仕方ない主婦、仕事のため育児に参加できないことを妻や義理の両親に批判される夫、自身の娘の...
どこにでもある家族の形態、幼稚園生くらいの子供のいる家族の5編に及ぶ短編集…。それぞれのストーリーは独立しています。自身のブログを持ちながらママ友からどんな風に自分が見えているのかが気になって仕方ない主婦、仕事のため育児に参加できないことを妻や義理の両親に批判される夫、自身の娘の発達障害を疑わずにいられない主婦、出産後の主婦の変化に新たな刺激を求める夫、父の再婚で一緒に暮らすことになった義母とその娘に対して戸惑う女子高生…。 なんか読んでいて、共感できるなぁ~ってことも多くありました。一番心に残っているのは「ゲンノショウコ」で、 自身の娘の発達障害を疑わずにいられない主婦のお話…泣きそうになりました。様々な家族の形があってそれぞれに家庭の事情もあるけれど、それを乗り越えることで一層家族の絆って強くなるんだろうなって感じました。 ポーチュラカ、サボテン、ゲンノショウコ、テラリウム、サンカヨウ…それぞれのストーリーに込められた植物、なじみのあるのはサボテンくらい??でも、以前辛4さんにこの作品の存在とサンカヨウの美しさを教えてもらいました♪それからずっと読みたいと思っていた作品です。辛4さん、よい作品を紹介して頂きありがとうございました。
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全ての話が全部綺麗に終わるわけではないけれど 主人公1人1人の煮え切らない思いと、 曖昧さが伝わって涙してしまう。 ハッピーエンドではないけれど、 それが逆にリアルな生活を表している
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