すべて真夜中の恋人たち の商品レビュー
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そう言ってしまうとしたまぶたと目のすきまが膨らむようにみるみるうちに涙があふれ、頬を流れてあごにたまり、それからたくさんの粒になって夜のなかへ落ちていった。瞬きもせず、何かから逃れるように、わたしから逃れるように、涙は夜を目指す生きもののようにわたしの頬を這い、あとからあとから流れていった。 読み終わってから冒頭の「真夜中は、なぜこんなにもきれいなんだろうと思う。それは、きっと、真夜中には世界が半分になるからですよと、いつか三束さんが言ったことを、わたしは真夜中を歩きながら思いだしている」を読み返して、じんわりしてしまう。
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共感するのは難しかった。 三束さんは何者だったのか、なんで高校教師だと嘘をついていたのか、どうして誕生日に会いに来なかったのか、全然わからなかった。 究極の恋愛とは。
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冬子が自分の気持ちを自覚していくまでの流れを自分のことのように、また時々は静かに見守る親目線で読んだ。 「光をみるのがすき」と切り出す、冬子にとっては精一杯の告白シーンが特にお気に入り。 「好き」を「すき」と開いたり、 校閲がひとつの要素でもあるから、そのあたりのこだわりも気になった。 「校閲の仕事は何度見直しても間違いは有る」という。 この本にはどんな間違いが残されているのだろう。
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内容自体は嫌いじゃない感じなんだけど、どうしても出てくる女性たちにたまにイラッとさせられたり、ラストもなんだかなぁって思ってしまった。私も三束さん、好きだなぁ。主人公の好きって気持ちを確信するところと告白するところがいちばん好き。恋ってそうそう、そうだよね…って私も胸がギュッとなった。好きな人に頭ポンされたら、その感覚ってきっと一緒忘れないと思う。
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明るい光があふれ人々の活動が活発になる日中の世界がとげとげしい表面に覆われているようなものだとすれば、真夜中の世界はそのとげがひっこんで、ようやく自分でも安心してそれに触れることができる。世の中や他人との関わりが苦手で、そんなふうにずっと静かな真夜中を生きてきた主人公が、他者と出...
明るい光があふれ人々の活動が活発になる日中の世界がとげとげしい表面に覆われているようなものだとすれば、真夜中の世界はそのとげがひっこんで、ようやく自分でも安心してそれに触れることができる。世の中や他人との関わりが苦手で、そんなふうにずっと静かな真夜中を生きてきた主人公が、他者と出会い他者と関わりを持つ世界を生きるようになるまでを描いた物語のように思った。人々が活動を停止し昼の半分の明かりだけが灯る真夜中の静謐な世界に浸かる主人公の行為は、主人公が校閲という仕事を通して触れる文字の世界との関わり方にどこか似ていて、その相対する世界の中身がまるで自分には入ってこない。ひょんなことから知り合った男性をすきになったことをきっかけに、主人公はその世界との関わり方を変えていく。それは今までは真夜中にしかしなかった散歩を昼もするようになり、昼に散歩をしながら真夜中の人たち(かつての自分)を客観的な目でみるように考えられるようになり、この小説のタイトルになった一見不思議フレーズを書き留めることからもわかる。世界との関わりを避け、自分だけの世界に浸かる生き方を作者は強く否定するわけではないが、他者との関わりの中にこそ「本当の自分」はいるかも知れないよ、と問いかけているような気がする。本当の自分はあくまで自分の中にいるのだとしても、他者と関わり、他者の生を受け入れる生き方は、その自分を根底から変えてしまうのだから。
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序盤主人公のはっきりしないところにもやもやし、冬子の三束さんへの想いが高校生のような恋で大人の恋愛には思えず不思議に感じていた。 話に変化があまりないなと思っていたけれど最終章で全てが現れた気がする。 最終章で聖、冬子、三束さんそれぞれが大人になってしまったからこそ、葛藤する自分...
序盤主人公のはっきりしないところにもやもやし、冬子の三束さんへの想いが高校生のような恋で大人の恋愛には思えず不思議に感じていた。 話に変化があまりないなと思っていたけれど最終章で全てが現れた気がする。 最終章で聖、冬子、三束さんそれぞれが大人になってしまったからこそ、葛藤する自分の性格・考え・行動が現れて、世の中の生きづらさを感じた。 自分もこれからこんな生きづらさを感じる時がくるのかもしれない。
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私は冬子ほど繊細ではないけれど、読みながら気持ちが分かるなあと思う場面がいくつかあった。 三束さんと冬子のお互いに踏み込み過ぎず、でも放っておいたら離れていきそうな2人の世界が読んでいて心をくすぐられた。冬子には幸せになってほしいな。
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私にはまだ少し難しかった。 傷つくのが怖くて相手に感情を汲み取ってもらって〜っていう箇所が今の自分によく当てはまってた。相手には汲み取ってもらおうとするのに相手の感情を汲み取ろうとしない。言ってくれなきゃわからないという自分勝手な自分がよく現れていた。1人でいることは選んだものか、人と関わることから逃げたことか。なんとも難しい
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誰しもが通って来た(通るであろう)日々。大きな小さな傷や悲しみやドキリとしたこと。 それでも今ここにいる。 主人公の一部分を見せてもらったんだな、と思う。 みんな大丈夫だよ。いて良いんだよ。
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聖の信頼の話はなんとなく分かるし、毎日コツコツと生きている冬子に好感を持ちつつ、淡々としてるなぁと思っていたら、突然始まるお酒生活は普通に肝臓が心配になってしまった。 人と関わるのは大変で、だから友情も恋愛も生まれるんやなぁと思った。でもずっとそのまま同じ形ではなくちょっとずつ変化している。切なくも思うけどキラキラしてるなとも思う。
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