物語のおわり の商品レビュー
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ある田舎町で、とある女性が小説家になる夢をつかみかけ、東京に出ようとするところを婚約者に待ちかまえられ…というところで終わる未完成の物語が書かれた原稿が、北海道を舞台に様々な人の手にバトンリレーされる。それを受け取った各登場人物も様々な思いを抱いており、その物語を自分の人生に照らし合わせたり、物語のおわりをそれぞれに想像したりするという連結短編小説。最終話でしっかりと物語は収束され、さわやかな読後感を与える。湊かなえといえば、毒気のあるイメージが強いが、こういう作品でも面白く読ませてくれる。とてもいい作品、さすがである。
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読み終わった後の嫌な気持ちが全くなく、いつものドロドロした感じもなく、新しい雰囲気の話で私は好きです。全体的に優しい内容でした。読んで損はないと思う。ありです
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湊かなえさんの作品をいくつか読んできたなかで、一番雰囲気が優しい作品に感じた。 ひとつの小説を通して、登場人物それぞれの背をそっと押す展開に、私自身もそっと背を押された気がする。 架空の人物であるけど、ハムさんと絵美さん夫婦の姿に憧れます。
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淡々と読み進めながら、どんどん評価が上がっていった。 夢の叶え方は人それぞれ。見守り方も。 これまでやこれからの生き方を見直させてくれる一冊。
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1作の未完とも思われる物語で繋がる連作短編。それぞれ悩みを抱えた人たちが未完の物語を受け取り、自分と重ね合わせながら、新しい一歩を踏み出していく。 終わり方が爽やかで、いつもの湊さんっぽい嫌な後味がなく読みやすかった。
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内容紹介 妊娠三ヶ月で癌が発覚した女性、 父親の死を機にプロカメラマンになる夢をあきらめようとする男性…… 様々な人生の岐路に立たされた人々が北海道へひとり旅をするなかで 受けとるのはひとつの紙の束。 それは、「空の彼方」という結末の書かれていない物語だった。 山間の田...
内容紹介 妊娠三ヶ月で癌が発覚した女性、 父親の死を機にプロカメラマンになる夢をあきらめようとする男性…… 様々な人生の岐路に立たされた人々が北海道へひとり旅をするなかで 受けとるのはひとつの紙の束。 それは、「空の彼方」という結末の書かれていない物語だった。 山間の田舎町にあるパン屋の娘、絵美は、 学生時代から小説を書くのが好きで周りからも実力を認められていた。 ある時、客としてきていた青年と付き合い婚約することになるのだが、 憧れていた作家の元で修業をしないかと誘いを受ける。 婚約を破棄して東京へ行くか、それとも作家の夢をあきらめるのか…… ここで途切れている「空の彼方」という物語を受け取った人々は、 その結末に思いを巡らせ、自分の人生の決断へと一歩を踏み出す。 湊かなえが描く、人生の救い。
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書きかけの物語をそれぞれの主人公らが「自分ならこう仕上げる」と複数のパターンの終わり方が提示される物語。 読了後、沈んだ気持ちになる作品が多いのが著者の魅力であるが、これだけは例外。 前向きに考えることで勇気付けられるシーンが少なくなかった。 また、各セクションに登場する人物がど...
書きかけの物語をそれぞれの主人公らが「自分ならこう仕上げる」と複数のパターンの終わり方が提示される物語。 読了後、沈んだ気持ちになる作品が多いのが著者の魅力であるが、これだけは例外。 前向きに考えることで勇気付けられるシーンが少なくなかった。 また、各セクションに登場する人物がどこかでつながっている、そんな人物の描き方は本作でも健在であり読み進めていく楽しみの1つである。
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タイトルから受ける印象とは違ってなかなか明るい物語。 とある少女のお話。 それが物語となって、次から次へと人の手をわたり、その人たちの人生にちょっも影響を与える。 という流れ。 とある物語が人々の背中を押していくお話でした。 2016.7.2
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ゆっくり時間をかけて読んだのは ただただ時間がなくてだなぁ(笑)。 でも時間をかけて読んでよかったです。 いい作品でした。 空想好きの少女が書いた原稿が 悩める人の手を渡って、渡って、辿り着く結末、です。 最後に渡ったのは少女の夫なのですが (少女、この時点で既におばあちゃん...
ゆっくり時間をかけて読んだのは ただただ時間がなくてだなぁ(笑)。 でも時間をかけて読んでよかったです。 いい作品でした。 空想好きの少女が書いた原稿が 悩める人の手を渡って、渡って、辿り着く結末、です。 最後に渡ったのは少女の夫なのですが (少女、この時点で既におばあちゃんになってます) このリレーの最後がどうして彼の手に渡ることになったのか、 なんで彼が『ハムさん』だと知り得たのかがわからない。 そこだけがちょっとなー、でした。 人の手から手に渡る原稿 それぞれの心情、どことなく皆絡んでるというのは この作家らしい作り方なんでしょうが ミステリーではない、という面が意外にも面白かったです。
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お、また循環する話か、と思いました。 始まりから終わりまで、読み終わってみればぐるりと繋がってしまう物語のことです。 循環する話にありがちな「それはちょっと出来すぎと言うか作りすぎだろう」とか「それは偶然と言うには苦しすぎないか」という設定や展開は(湊さんの他の話にも見られるように)この話にも結構出てきますが、それで「原稿」はどうなっていくのかという興味の方が募りどんどん読まされてしまいます。 そしてその「原稿」もきちんと落ちがつく。 まさに物語の終わりです。 湊さんの初期の頃の「嫌な感じ(それは面白さと言う意味での)」ではなく、白湊とでも呼びたいような暖かさを感じさせてくれる短編連作です。ダークな話のみならず、やっぱり本当に上手ですね。
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