物語のおわり の商品レビュー

湊かなえ(著者)

2016/02/19

【妊娠三ヶ月で癌が発覚した女性、
父親の死を機にプロカメラマンになる夢をあきらめようとする男性……
様々な人生の岐路に立たされた人々が北海道へひとり旅をするなかで
受けとるのはひとつの紙の束。
それは、「空の彼方」という結末の書かれていない物語だった。
山間の田舎町にあるパン屋の娘、絵美は、
学生時代から小説を書くのが好きで周りからも実力を認められていた。
ある時、客としてきていた青年と付き合い婚約することになるのだが、
憧れていた作家の元で修業をしないかと誘いを受ける。
婚約を破棄して東京へ行くか、それとも作家の夢をあきらめるのか……
ここで途切れている「空の彼方」という物語を受け取った人々は、
その結末に思いを巡らせ、自分の人生の決断へと一歩を踏み出す。
湊かなえが描く、人生の救い。
】

2016/02/16

短編集のような連続もののもの語り。
ある女性が四方を山に囲まれた小さな田舎に生まれそこで小説かを夢見ながらも好きな男性が出来婚約までしたが、小説家になるチャンスがあり東京の作家の所に来ないかと言われ反対を押し切って東京へ行こうとしたがその駅で婚約者に会いという小説の最後が未完成のものを巡ってそのミカンの小説が次々とバトンタッチのように北海道旅行の先々で色々な人たちに渡っていくという設定。

その話のが未完なのでそれぞれの人が受け取り読み、自分なりの結末を今のその人物の人生や状況に合わせて考え作っていくという物語。

結末がない物語を読むことによってそれぞれの人生によってそれぞれの思い出結末が変わったり思ったりして、そしてそれは人生に繋がって行き、バトンタッチされていく。

そのスタートから最後の最後に届くその物語の終着駅は？ただ、最後のバトンタッチが私には？な部分があったが、物語も人生もまた繋がって行くその未来も過去も小説という中で生きていき、それはそれぞれの生きていく先に繋がっているという構成。

相変わらずあっという間に読み切れる湊かなえ作品。

2016/02/14

　ある女性の自伝的小説が、人から人へと手渡され、それを読んだ人々が自分の人生と照らし合わせてそれぞれの答えを見つけていくという連作短編集。
　登場人物がクロスして、同じ物語に全く別の解釈を持つという構成はおもしろかった。でも、脚本を読んでいるような印象で後半は少しだるく感じてしまった。湊さんの作品を読むのは『告白』以来だけど、この本は最後まで温かくて希望がある。

2016/02/10

様々な思いを胸に北海道を旅する人達の手に渡った未完の小説。
その結末を自分なりに考えることで
それぞれの一歩が踏み出される。

リレー形式の短編がきちんとループされて終わる。
結末も人それぞれだが
その人によってあらすじの捉え方も違うのがまた興味深かった。

有川浩さんがブログで絶賛してたのも頷ける。

【図書館・初読・2/10読了】

2019/03/11

＊妊娠三ヶ月で癌が発覚した女性、父親の死を機にプロカメラマンになる夢をあきらめようとする男性……様々な人生の岐路に立たされた人々が北海道へひとり旅をするなかで受けとるのはひとつの紙の束。それは、「空の彼方」という結末の書かれていない物語だった････湊かなえが描く、人生の救い＊

再読。初読時はさらっと読んで終わったのですが、改めて読み返してみると、どの章にも人生の機微が詰まっていて、共感したり反発したりと読み応えもたっぷり、ひと歳取ると感じ方も変わるんだなあと我ながらびっくり。挫折や困難があるからこそ、その先がある。通りすがりの人からさりげなく示される、救いのようなもの。そういう目に見えない何かを書くのが本当に上手いと思うし、そういうものに心を動かされる人間でありたいと思う。
架空の人物だと思っていたハムさんが実は…とわかった途端、物語が一気に動きます。結末もハムさんらしくて良かった。結局、どの人の人生も物語なのですね。

2016/02/05

小説の中で小説を読んでるみたい、と思ったら小説だった（笑）
パズルがのピースがはめ込まれるように物語が進む。

2016/02/03

とてもいい話。
湊かなえさんの作品だから、最後の最後で何かくるんじゃないかとビクビクしちゃいましたが(笑)

一人一人が、同じ物語を別々のオチとして考えるのが面白いです。
それがその人の救いとなるのも感動。

絵美さんとハムさんの関係が素敵すぎてじんわりしました。

2016/01/30

http://walking-diary.cocolog-nifty.com/honyomi_nikki/2016/01/post-4b92.html

2016/01/23

「物語のおわり」を書き記さず、読み手の想像にお任せします、が各編の結末ながら
第一編の小説を繋ながら進む物語だとおもいきや、その物語自体が作中のノンフィクションで、なおかつきちんと「物語のおわり」で結ばれているとは。
湊かなえさんらしく人間のいやらしい部分もしっかりと描かれているが、登場人物たちがそれぞれに自分と関わる人たちの生き様に向かい、答えをだしているのが清々しい。
物語のおわりは希望を感した。

2016/01/11

　湊さんは大人気の作家さんですが、読後感が悪いと言われる作品が多いと聞いていて、その中で読後感が良いという作品として薦められたのが本作でした。
　読後感は大満足でした。
湊さん初読みだったので、最初の章「空の彼方」を読み終わった時には、この章自体は良いけど、こんな感じの短編が続くのなら、尻切れとんぼで淋しいなって思いました。
しかし、次の章を読んで、萌えが「空の彼方」の原稿を、旅先であった、妊婦さんの智子さんに渡してから、ガラっとイメージが変わりました。
もう、続きが気になって仕方がなくなりました。
次々と次の人に手渡されていく原稿と、それを読んで「空の彼方」にその人が今抱えている問題を客観的に考えられ、問題解決の糸口が出来る。
　そして最後にとうとうハムさんに原稿が渡る。
そこで終わりか？とおもったけど、その次の章「旅路の果て」ですべてが明らかになり、希望のある、素晴らしい結末に大感動した。
　後味が悪いって言われている、この作家さんの他の本も読んでみたくなりました。