鹿の王(上) の商品レビュー
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「おれは長年、病んだ人を診てきたんだがよ、だんだん、人の身体ってのは森みたいなもんだと思うようになった」 上巻で最も印象に残ったのは、この一言。 この前後に語られる言葉が一番腑に落ちたように思う。 この物語の世界には全く異なる考えを基礎とする二種の医術が存在する。 それはその医術が生まれた国の宗教や文化をも反映していて、どちらの考えが正しいなんてことを語るのはとても難しい。 清心教医術の教えで救われる心もきっとあると思う。 でも医術として(人の病を治癒する術として)優れているのは、(宗教による)禁忌を犯すことを恐れずに命の秘密に迫っていくオタワル医術なのだろうと思う。 人間は命を脅かす病を克服するために治療法や薬を開発していくけれど、世界には次から次へと新たな病が誕生していく。 既知の病だって発病するリスクを下げるよう心がけることしか出来なかったりする。 確実な回避策はない。 ひどく恐ろしいことだ。 薬を飲むことによる副作用や、手術による身体への負荷のことを思うと、自然に治る症状でも薬を処方するような医療への疑問を感じることもある。 医師の診断も100%信頼することが出来るかと言えばそれは難しい。 もし重病になったらどうする? そんな不安を抱えながらも、そんなことは起こり得ないという顔をして日々を過ごしている。 けれど、それは起こり得るのだ。実際に。 この物語を読んでいて考えさせられるのは、発病した時の対処法ではなく、医療というものへの接し方だ。 恐ろしい病が登場するのだけど、その病の治療法が見つかればめでたしめでたしになるような話ではないと感じる。 病に対してどう向き合うか。 命についてどう考えていくか。 寿命をどうとらえるか。 適切な言葉が見つからないけれど、そういうもっと根源的なことを問いかけられているように思う。 そしてそこに正解はないのかもしれないと思う。 「ふだんは見るこたぁできねぇが、おれたちの中には無数の小さな命が暮らしてるんだ」 「でもよ、後から入って来るやつらもいて、そいつらが、木を食う虫みてぇに身体の内側で悪さをすると、人は病むんじゃねぇかと思ってるんだ」 私の身体は一つの命ではないという考え方にすんなり納得出来る。 身体と心は別物という言葉にも納得出来る。 この世界の人を脅かす病の物語が下巻でどんな結末をむかえるのかまだ分からないけど、命についての真実に誘ってくれるんじゃないかと期待してしまう。
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現代最高の物語作家の最新作。上下巻で1100ページ超。だいぶ前に購入したのだけれど冬休みの楽しみに取っておいて、昨日の午後から深夜まで11時間かけて読み通しました。期待を裏切らない、リアリティを感じる世界感と、日々の生活が見えるような登場人物。異世界にどっぷりと浸った至福の時間でした。
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おもしろい! 今年も面白い本にたくさん会えたけど、これはいいなあ~。 准看護師として働いているけど、医療関係の人にも読んでみてほしい♡
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「王様のブランチ」でも取り上げられていた話題作。けれど超分厚いルックス。それも上下巻なので尻込みしつつも、同作者の「精霊の守り人」シリーズにドハマりした経験を信じて着手。 舞台は異世界。致死率の高い病「黒狼熱」から生き残った戦士ヴァン。病と向かい合い、黒狼熱に抵抗しうる薬の製造を目指す医師ホッサル。 彼ら二人の主人公を描きつつ、医療や宗教、民族間の対立など、現世と変わらぬ課題・問題をはらんだ世界が湛然に描かれていきます。 全く新しく対面する世界だったので、戸惑いを覚えることも多々。他民族が暮らす世界で、民族ごとに文化・風習が異なるのですが、それを理解できるまでにやや時間が… また、ファンタジー小説によく見られる世界地図もないので、作中の文章から地理を想像するしか無いなど、作中世界を頭の中で構築するのに結構必死でした。 中盤まではそのような理由もあってなかなか入り込めませんでしたが、イメージがある程度築き上げられて行くと、そこからはのめり込むのは早かったように思います。 上巻では結局相見えることなかったヴァンとホッサルが、下巻でどのような形で邂逅するのか。一件平和に見えても、ふとした弾みで民族間の争いが激化する可能性のあるこの国の行方は?黒狼熱の治療法を確立できるのか?そして、黒狼熱は誰かが意図的に発生させているのか? まだ前半とはいえ、いろんな問題が解決されていなくて、それらが気になって気になってショーがない。 となるのを予想してたので、持ち運ぶのが大変でしたが常に上下巻セットで持ち歩き、本巻読了後すぐに下巻に着手しましたよ。そうしたくなるくらい惹き込まる作品です。
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始めは、名前•地名•民族とその歴史を把握するのが大変だった。でも、その世界に入り込めばそれぞれの活躍がとても楽しみになります しかし、狼、山犬、半仔の使い分けはなんとなくわかるのだが、馬、トナカイ、飛鹿には意味があるのか? 今後、飛鹿は大きな役割をするのか? そこが気になって仕方...
始めは、名前•地名•民族とその歴史を把握するのが大変だった。でも、その世界に入り込めばそれぞれの活躍がとても楽しみになります しかし、狼、山犬、半仔の使い分けはなんとなくわかるのだが、馬、トナカイ、飛鹿には意味があるのか? 今後、飛鹿は大きな役割をするのか? そこが気になって仕方ない
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久々の上橋さんの新刊、心待ちにしてました。変わらない緻密な描写で、物語の世界へすぐに入れました。下巻が楽しみ。
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ブログに掲載しました。 http://boketen.seesaa.net/article/409365758.html 人体と細菌・ウイルス。よくもファンタジーでこんなテーマを。 熱烈な上橋ファンタジーのファンである年下の友人が「鹿の王、読みます?」と貸してくれた。 この人にす...
ブログに掲載しました。 http://boketen.seesaa.net/article/409365758.html 人体と細菌・ウイルス。よくもファンタジーでこんなテーマを。 熱烈な上橋ファンタジーのファンである年下の友人が「鹿の王、読みます?」と貸してくれた。 この人にすすめられて読んだ『守り人シリーズ』にすっかりはまった身としては、やれうれしやと借りて読みました。 読みはじめて広がる困惑。 なんだこれは? 『守り人シリーズ』の、女主人公バルサに寄り添っていれば、目くるめくような活劇・冒険・異世界に連れていってくれたあの展開は、どこにもない。 魅力的な中年の主人公<欠け角のヴァン>は、身もこころも、深く傷ついている。 もうひとりの主人公、天才的な医術師ホッサルは、まじめだが面白みに欠ける人柄。 ヴァンが助ける幼な子ユナのかわいらしさが、物語全体に救いを与える。「ユナはどうなる、大丈夫か」という関心が、読者を最後までひっぱる動因のひとつになっている。
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独特の固有名詞に悩まされながらも、すっかり上橋ワールドに引き込まれました。小学校の図書館には難しいですね。言葉も内容も。 いくつかの思い込みに惑わされました。上巻を読み終えて漠然とした私なりの仮説が浮かんでいます。狼ではなくて鹿なのかもしれないということ。敵だと思う相手は敵ではないかもしれないということ。それを確かめる為に下巻が気になります。
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大帝国に抗するゲリラ活動の頭目だった四十男が、虜囚となり鉱山で謎の奇病に倒れるも一命をとりとめ、そこで拾った幼女と、とある村で暮らしながら、特殊なトナカイ飼育に情熱をかける、子連れ狼の「表」。 その大帝国で人望を集める医師の天才児の孫が、奇病の治療にあたりつつ、その裏に犬使いとある氏族の陰謀の匂いをかぎつける、ブラックジャック的な「裏」。 この二本立ててで交互に進む、村上春樹っぽい構成。 上下巻通して読んだほうがわかりやすかったのかもしれないが。地名や個人名、固有名詞がごちゃごちゃ乱立していて、わかりにくい。 アイデアはすごいと思うし、たまに光るような名言もあるのだが、「守り人」シリーズに比べるとあまり、ときめきが薄い。タイトルとヴァンに生ずる現象から、なんとなく「転生」(自己犠牲的な?)がテーマの話なのかな、と察せられるのだが、最終的に『狐笛のかなた』みたいなオチになるのかな。 ファンタジーのクオリティとしては悪くないできばえで、さすが上橋先生なのだが、いかんせんキャラクターのどれにも共感が持てない。頭数が多すぎて、人の描き方が雑な感じ。追跡者だった女狩人はあっさり退場するわ、肩透かしの展開で、のめり込めなかった。ヴァンの章は一定しているが、ホッスルのパートでは視点がかってに移動してしまうせいだと思う。 あえておもしろいのは孫医師の従者だろうか。たぶん、ベルバラのアンドレみたいなポジションでキーパーソンになるのかも。 後半読む頃にはぜったい中身を忘れているぐらいインパクトあるエピソードが少なかった。アイデアは面白いし、奇抜な発想である天は評価したいが再読したい面白さはない。 ワタリガラスと谺王なる者の話で、荻原規子の勾玉シリーズに出てくるキャラっぽいなと思ったの自分だけだろうか。
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地名や部族の名前が頭に入ってこなくて混乱しました。部族の勢力図や地図が欲しかった。 前半はなかなか進まない感じ。盛り上がりかけた所で、下巻へGO
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