江戸しぐさの正体 の商品レビュー
(2014/12/18) 数年前、江戸ブームと相まって「江戸しぐさ」という概念を知ったとき、 これはいい風習だ、と感心したものだ。 傘かしげ、こぶしこしうかせ。。。 現代に失われつつある相手を思いやる気持ちが江戸時代には定着していた。そう信じた。 しかしこの本を読んで、それが創...
(2014/12/18) 数年前、江戸ブームと相まって「江戸しぐさ」という概念を知ったとき、 これはいい風習だ、と感心したものだ。 傘かしげ、こぶしこしうかせ。。。 現代に失われつつある相手を思いやる気持ちが江戸時代には定着していた。そう信じた。 しかしこの本を読んで、それが創作であることを知った。 いや、江戸しぐさの考え方はいいと思う。 しかし、しかしだ。 それを江戸時代の事実として教育するのはあまりにずさんだということに今にして気づかされた。この本で。 確かに、今思えば、なんでそんな江戸時代の風習がつい数年前まで知られていなかったか、 考えても見なかった。 文献が残っていない。それも明治政府が江戸っ子狩りをしたから、、、そんな風に歌っていたとは。 勝海舟が江戸っ子を逃がした、、、ばからしい。 だったら落語も残ってない理屈じゃないか。そもそも落語は江戸しぐさっぽくない。 こんなサイトもある。 http://www.edoshigusa.org/ このNPOがありもしない江戸しぐさをどんどんねつ造して広めていったということだ。 いや、マナー啓もうはいいのだ。どんどんやれば。 電車のモラル低下は甚だしい。 それはそれでやってもらいたいが、 江戸時代の事実としてそれをやってはいけない。教科書に採用されてはいけない。 歴史認識を誤ることになる。 嫌な気分だ。 はじめに 「江戸しぐさ」を読み解く三つの視点 第1章 「江戸しぐさ」を概観する 第2章 検証「江戸しぐさ」―パラレルワールドの中の「江戸」 第3章 「江戸しぐさ」の展開―越川禮子と桐山勝 第4章 「江戸しぐさ」の誕生―創始者・芝三光と反骨の生涯 第5章 オカルトとしての「江戸しぐさ」―偽史が教育をむしばむ 第6章 「江戸しぐさ」教育を弾劾する―歴史教育、そして歴史学の敗北 おわりに 「江戸しぐさ」は最後の歴史捏造ではない
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文科省はじめ、企業研修などにも採用され、古き良き日本の慣習とされている「江戸しぐさ」が、歴史捏造であったことを論じている。 「江戸しぐさ」推進者は、江戸っ子狩りなど、史実として存在しないものを、お上の圧力で、隠蔽されていた歴史だと主張するなど、調べてみると、すぐに虚偽であると露...
文科省はじめ、企業研修などにも採用され、古き良き日本の慣習とされている「江戸しぐさ」が、歴史捏造であったことを論じている。 「江戸しぐさ」推進者は、江戸っ子狩りなど、史実として存在しないものを、お上の圧力で、隠蔽されていた歴史だと主張するなど、調べてみると、すぐに虚偽であると露見する事例が多々、紹介されている。 なぜ、テレビ、新聞などで、「江戸しぐさ」がもてはやされるのか疑問が湧いたが、ちょっといい話や、日本も、まだまだ捨てたものではないという小話は、大衆にウケがよい上、あまりに壮大な嘘は、真実であると誤認しやすいのかもしれない。 「江戸しぐさ」とは、創作者が現実を憂い、想像上のユートピアを作り上げたと著者は主張するが、そのファンタジーに世間が、振り回されているなんて、馬鹿馬鹿しいことだと感じた。
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気分良く前向きになれれば、嘘偽りがあって良いのだろうか? 小説や創作に心動かされるのなら理解できる。しかし江戸しぐさは歴史の改ざんとなってしまっている。創造と捏造ははっきりと分けなければいけない。 人間の「モチベーションとは?」「心の拠り所とは何か?」を考えさせられる。
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巧妙に入り込む嘘歴史や誰かに都合の良い史実には注意しなければならない。江戸っ子狩りってなんだ(笑) 自分たちが都合よく人にいうこと聞かせたいからってありもしないことを捻じ曲げたりでっち上げてさも本当のことのように語るのは完全に害悪だなということが良く理解できました。 こういったう...
巧妙に入り込む嘘歴史や誰かに都合の良い史実には注意しなければならない。江戸っ子狩りってなんだ(笑) 自分たちが都合よく人にいうこと聞かせたいからってありもしないことを捻じ曲げたりでっち上げてさも本当のことのように語るのは完全に害悪だなということが良く理解できました。 こういったうそっこをしたり顔で子供に話している大人がいるんだなと思うと読めば読むほど嫌になってきます。 こっそり本棚においておこうと思います。
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「傘かしげ」「肩引き」「こぶし腰浮かせ」など、江戸時代の太平を支えた町人哲学として、道徳教育などでも取り上げられている「江戸しぐさ」。本書は、その「江戸しぐさ」を徹底的に検証し、それが偽史であり、オカルトであり、現実逃避の産物として生み出された架空の伝統であることを明らかにしてい...
「傘かしげ」「肩引き」「こぶし腰浮かせ」など、江戸時代の太平を支えた町人哲学として、道徳教育などでも取り上げられている「江戸しぐさ」。本書は、その「江戸しぐさ」を徹底的に検証し、それが偽史であり、オカルトであり、現実逃避の産物として生み出された架空の伝統であることを明らかにしている。具体的には、「江戸しぐさ」とされるマナーの多くが実際の江戸時代の風俗からはかけ離れたものであることを指摘し、それが1980年代に芝三明という人物により生み出され、越川禮子を中心とする普及活動により広まっていったことを解明している。 ネット上で「江戸しぐさ」はインチキという指摘は見たことはあったが、詳しくはよくわかっていなかったので、本書を読んで、「江戸しぐさ」がトンデモであり、教育上むしろ有害であるということをよく理解することができた。 「江戸しぐさ」のようなトンデモがはびこる背景として、世間に広まっている荒唐無稽な話に対して、その分野の専門家が概ね冷淡であり、社会的責任を果たしていないことがあるとの指摘には頷いた。(在野の研究者ではあるが)著者のように、トンデモに対しては専門家が実証的にコツコツ批判することが重要だと感じた。 また、「江戸しぐさがフィクションだとしても、道徳を教えるのには有用だ」というような意見に対する「虚偽を根拠に道徳が説けるわけはない」という著者の主張は、まさにそのとおりだと思った。
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江戸しぐさがとんでもない捏造だということを解説してる。 その事実には目からウロコなのだが、読み物としては正直面白くなかったのが残念。
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「江戸しぐさの正体」原田実 著 読了 「江戸しぐさ」のデタラメぶりを把握するのに適した本。それにしてもここまでひどかったとは驚き。「親学」との親和性が高いことがかねてから疑問であったが、要因がTOSSであることもわかった。
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江戸しぐさは完全なる作り話。 そう知ってから読むと、滑稽すぎてニヤニヤしてしまった。 それにしても、善意や親切を装ったものってほんとに怖いな。簡単に人は思考停止して鵜呑みにしてしまうという典型例。
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歴史研究家としての責務を、全うしまくった一冊。全くの嘘であると、完膚なきまで叩きのめしてます。 江戸しぐさ、ぼくは嫌いではなかったのです。が、まさか、こんな事になってるの?とか、発明者が可愛そう!、とかそういう事実を知って、もう好きではない、苦笑。読んで良かった。
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