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江戸しぐさの正体 の商品レビュー

3.8

55件のお客様レビュー

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2014/09/08

「江戸しぐさ」なるものが、現実逃避型のでっちあげられた代物であることを、本書はきちんと論証・論破している。 さて、そんな歴史を改竄した偽物を、道徳教材として子供たちに教えている文部科学省は、いったいどう責任をとるつもりなんでしょ? まさか「ウソも何万回繰り返せば真実になる」式なん...

「江戸しぐさ」なるものが、現実逃避型のでっちあげられた代物であることを、本書はきちんと論証・論破している。 さて、そんな歴史を改竄した偽物を、道徳教材として子供たちに教えている文部科学省は、いったいどう責任をとるつもりなんでしょ? まさか「ウソも何万回繰り返せば真実になる」式なんじゃないでしょうね。

Posted byブクログ

2014/09/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 普段目にするものを無自覚に実在のものと思い込んではいないだろうか。もし、それが全くのでっち上げであっても、気づかない。  江戸しぐさ、この言葉を初めて見たのは東京メトロの広告だった。  傘かしげ、片引き、こぶし腰浮かせ、ふ~ん、こんなの江戸しぐさっていうんだ。へぇ。  という印象でおしまいだった。  この本を読み始めたときに筆者は徹底的に江戸しぐさを批判する。なにもそこまで批判しなくても、そんなに悪いことじゃないじゃん、と思って読み進めた。  読み進めるにつれ、江戸しぐさを広めようとする団体がオカルトだということが暴かれていく。  江戸しぐさを身に着けていた江戸っ子は明治政府に抹殺された、とか  その歴史は闇に葬り去られた、だとか  欧米化させたい明治政府の陰謀、なんてものとか  そこまでくると完全なオカルト団体であることは明白だ。  そして、江戸しぐさなんてものは江戸時代には存在せず、1980年代に作られた創始者の創作であることが証明していく。  現在、この江戸しぐさは道徳の教科書に載っていることを筆者は批判している。  なぜならそこには、江戸時代の日本人特有の行動思想があったという偽の歴史をもとに書かれているからだ。  この本から読み取るべきは、物事を素直に受け取るだけではない、疑ってみて自ら考えるということが必要だということだ。  道徳的には正しいもの。そして愛国主義民族主義に訴えるもの、そういった人の心の琴線に触れるものにオカルトが入りこむとだまされやすい。  人は自分が見たいものを見ようとする。物事は自分が見たいもののように見えてくる。  そういった見方を、ふと立ち止まって疑ってみることが、考えるということではないだろうか。

Posted byブクログ

2014/09/05

これは必読。歴史教育がファシズムに敗北してしまったが、狂人の戯言と笑い捨てていた俺にも責任の一端はある。耳が痛い。

Posted byブクログ

2014/09/03

「江戸しぐさ」そのものがある程度歴史、というより江戸時代の風俗を知っていれば失笑ものだけに、「常識をくつがえされる」感覚を味わえないのがこの本の最大の欠点かもしれない。

Posted byブクログ

2014/08/28

「江戸しぐさ」と称されているものが、実際の江戸時代の風俗とは異なることを種々の史料から検証した労作。さらに「江戸しぐさ」の誤りのみならず、それを”創作”したり、広めたりした人たちの経歴に着目し、どのような背景で生まれたのか、そしてなぜ受け入れられているのかまで踏み込んで考察してお...

「江戸しぐさ」と称されているものが、実際の江戸時代の風俗とは異なることを種々の史料から検証した労作。さらに「江戸しぐさ」の誤りのみならず、それを”創作”したり、広めたりした人たちの経歴に着目し、どのような背景で生まれたのか、そしてなぜ受け入れられているのかまで踏み込んで考察しており、今まで著者含めて断片的に語られていた「江戸しぐさ」批判の初めての体系的な著作と言える。 著者も挙げているとおり、完全に虚偽の産物である「江戸しぐさ」が受け入れられる背景として「道徳教育の教材としてならいい」「モラルが低下・崩壊しているのだから必要だ」というものがある。しかしそのような認識もまた怪しい。社会や若い世代などが”劣化”しているのだから、ということで虚偽が黙認されてきたというのもあるが、まずは「道徳的にいい話」それ自体の虚偽を虚心坦懐に見つめるためにも、本書は広く読まれるべきである。

Posted byブクログ