闇に香る嘘 の商品レビュー
長い時間をかけて読了。 視覚障がいを持っている主人公が、兄への疑惑からその謎を解こうと奔走する 全盲の世界を細かく描写していて、日常の不自由が細部まで伝わってくる。また、見えないことによる本人の思い違いも盛り込まれていて、その要素が本作をより魅力的にしているように感じた。 終...
長い時間をかけて読了。 視覚障がいを持っている主人公が、兄への疑惑からその謎を解こうと奔走する 全盲の世界を細かく描写していて、日常の不自由が細部まで伝わってくる。また、見えないことによる本人の思い違いも盛り込まれていて、その要素が本作をより魅力的にしているように感じた。 終わり方も大団円で、読み終わりもスッキリしているので、小説を読んだという感触でした。 ただ、綺麗に纏まっている分、謎解きに伴うハラハラ、ドキドキは物足りなくて、のめり込むという感覚はなかったかな。 手に汗握る!!ような展開が個人的には欲しかった!!
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目の見えない和久の視点から語られる物語。視覚以外の情報で物語が進むのが斬新。戦争と家族について考えさせられる。
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久し振りに続きが気になり早々に読了。 中国残留孤児の事は小さな頃にテレビで政見放送のようなのを見てうろ覚えで知っていましたが、よりリアルに当時の状況の一面が分かった気がする。 最後のオチが分かった後の展開が色々と『それは無理でしょ!?』ってなったがまぁ楽しめたと思います。
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最後の真相明かしはよく考えられているが、そこから逆算してすべてが構築されていることが透けて見えてしまう。 しかも文章が硬いというか、「描写」じゃなくって「説明」になっている。 これじゃあ、とてもページを繰る手が止まらない、という感じにはならない。 人物造形もイマイチ真に迫るもの...
最後の真相明かしはよく考えられているが、そこから逆算してすべてが構築されていることが透けて見えてしまう。 しかも文章が硬いというか、「描写」じゃなくって「説明」になっている。 これじゃあ、とてもページを繰る手が止まらない、という感じにはならない。 人物造形もイマイチ真に迫るものがなく、特に主人公が70歳近い老人であるという印象が全く伝わってこない。 まあ、映画やドラマなど映像作品では描くことが難しい、「常闇」という主観に文章作品でチャレンジした意欲は買うが。 この程度で江戸川乱歩賞受賞と。 ちょっと信じられんなあ。
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92:60代後半の全盲の男性が主人公。というだけで感情移入のハードルは高いのに、視力を失ったときの自暴自棄な振舞い(によって傷つけられた妻と娘)を知ると、中途失明の辛さに思いをはせる以上に心理的な距離を感じてしまって、そういう意味でもチャレンジングな作品でした。 ですが、これらの...
92:60代後半の全盲の男性が主人公。というだけで感情移入のハードルは高いのに、視力を失ったときの自暴自棄な振舞い(によって傷つけられた妻と娘)を知ると、中途失明の辛さに思いをはせる以上に心理的な距離を感じてしまって、そういう意味でもチャレンジングな作品でした。 ですが、これらの過去が巡り巡って主人公が活躍する動機になるんだからすごい。 また、「お酒で精神安定剤を飲むことで記憶が混濁する」という記述があり、記憶が混濁する人物を主人公に据えてのミステリはアンフェアじゃね? とも思っていたのですが、これが見事なフェイク(というかトリックというか)で、もうホント色々騙されました。 主人公には最後まで心情的に寄り添えなかったけど、ミステリ部分と全盲の人物の「視点」という斬新さには完全にしてやられました。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
見えない、という恐怖と苦労が読み手である私にも伝わってくる作品でした。ミステリーでもあり、家族再生の物語でもあり、そして中国残留孤児の問題と様々な要素が合わさって重みのある内容でした。最後のオチは私としては少し不満。それで医者を欺けるのかもちょっと疑問。希望の持てるラストであった事は確か。当時の悲惨な事態、密入国をめぐる裏の世界、コンテナの中での悲劇。読むのが辛くなる所も多くあったけれど読みきった、という達成感はありました。それにしてもまぁ、腎臓不適合となった父にかける娘の言葉は結構ひどかった・・・。
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視覚障害を活かしたトリックがふんだんに。視覚を奪われる恐ろしさを追体験。中国残留孤児についても認識を改められ、最後にはきちんと感動されられる、さすが乱歩賞受賞作。それにしても、主人公は中々のクズ。
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巻末の膨大な参考文献からもわかる通り、物語の背景が丁寧に描かれているため、中国残留孤児についての知識を深めることができた。おそらくそれもこの作品の目的の一つとも思われる。 主人公が盲目であるがゆえに、周りに起きる一つ一つの現象がまるで超常的なものとして描かれており、新鮮なスリルを...
巻末の膨大な参考文献からもわかる通り、物語の背景が丁寧に描かれているため、中国残留孤児についての知識を深めることができた。おそらくそれもこの作品の目的の一つとも思われる。 主人公が盲目であるがゆえに、周りに起きる一つ一つの現象がまるで超常的なものとして描かれており、新鮮なスリルを感じることができた。 作中では主人公は盲目のせいで疑心暗鬼になってしまったと描かれている。それは逆に疑心暗鬼になると盲目になるとも捉えられる。人を疑い始めると晴眼者であるにも関わらず大切なものが見えなくなってしまう。そんな当たり前だけど気付きづらいことを考えさせられた。
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めちゃくちゃ取材したんだろうなー資料読み漁ったんだろうなーって思うくらい濃ゆく感じた。 自分の祖父が全盲だったから、その苦労の細かい描写が辛かった。リアルで。 好きな系統のミステリではなかったけど、さすが江戸川乱歩賞だなって圧倒された。 好みだけで星を減らすのは気がひけるくらい、...
めちゃくちゃ取材したんだろうなー資料読み漁ったんだろうなーって思うくらい濃ゆく感じた。 自分の祖父が全盲だったから、その苦労の細かい描写が辛かった。リアルで。 好きな系統のミステリではなかったけど、さすが江戸川乱歩賞だなって圧倒された。 好みだけで星を減らすのは気がひけるくらい、ど素人が言うのもなんだけど「上手い」って思える作品でした。
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主人公・村上和久は孫のために自分が適さなかった腎臓移植を兄・竜彦に頼むが、検査さえも頑なに拒む兄の態度に違和感を覚えていた。中国残留孤児の兄が永住帰国をした際、既に失明していた和久は兄の顔を確認していないことで兄だと信じていた男は偽者なのではないかと疑い真相を追い始める。 全盲の...
主人公・村上和久は孫のために自分が適さなかった腎臓移植を兄・竜彦に頼むが、検査さえも頑なに拒む兄の態度に違和感を覚えていた。中国残留孤児の兄が永住帰国をした際、既に失明していた和久は兄の顔を確認していないことで兄だと信じていた男は偽者なのではないかと疑い真相を追い始める。 全盲の主人公の日常などが分かりやすく描かれていて 想像でしかないけれど暗闇の世界とは不安の連続なのだなぁと感じました。 どのように締め括るのかと思いながら読み進めると いろんな伏線を見事に回収し みんなの幸せな結末を思わせるようなラストで読後感はとても良かった。 主人公が一方的に感じていた家族との距離は勝手に自分で作っていた壁や障害だと気づき これは障碍があるなしに関わらずみんなに言えることなのかなぁと感じました。
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