闇に香る嘘 の商品レビュー
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中国残留孤児の「血縁と絆の対立」をテーマにしたミステリーだった。中国残留孤児の主人公の和久が自分の兄が本当の兄なのかを疑問に思う。和久は全盲の視覚障害者であり、真実を知るために動く。和久に対して母・兄は調べるな!と伝えられる。また、満州で一緒だった知人等に会っても真相にたどり着けない。和久の危険な時に必ず現れる「無言の影」、なぜ影が助けたのか?この奥深い真相には、戦争によって人生を狂わされたこの時代の不条理に落胆する。自分がこれまで知らなかった戦争の史実、兄弟愛、生体腎移植の問題を含む壮絶な内容だった。
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全体的に、疑心暗鬼が過剰すぎて読むのに疲れる。ドラえもんの道具『ギシンアンキ』を思い出した。まず主人公が盲目である。そして飛躍的な思考回路、自分本位な性格、いつも精神安定剤を酒で流しこむという描写により、ストーリーの語り部として信用できない。いくらでもミスリードできるのでは......
全体的に、疑心暗鬼が過剰すぎて読むのに疲れる。ドラえもんの道具『ギシンアンキ』を思い出した。まず主人公が盲目である。そして飛躍的な思考回路、自分本位な性格、いつも精神安定剤を酒で流しこむという描写により、ストーリーの語り部として信用できない。いくらでもミスリードできるのでは...と疑ってしまう。そして終盤の展開も途中で何となく予想がついたので、驚きも特になく。これはちょっと私には合わなかった。今まであまり意識していなかった、中国残留孤児問題を考えるきっかけを与えてくれたのはよかった。
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2020/07/14読了 #このミス作品34冊目 満州で生き別れとなり残留孤児として 帰国した兄に対する偽物疑惑。 全盲の主人公が正に手探りで捜査する。 とても骨太なストーリーに加え 親子兄弟の強い絆に感動する。
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下村敦史先生の作品を読むのは9冊目で、やっと本作を読了しました。 主人公が全盲で日常生活や"兄"の謎に迫る際のトラブル等に緊迫感を共有できました。 結末もまさか…でした。
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全盲の主人公・村上和久は、 DNA検査を拒む中国残留孤児の兄は偽者なのでは、と疑い、調査を始める。 しかし自身の記憶力にも不安な部分があり、 「嘘」の根源は兄なのか?自分なのか? はたまた謎の組織なのか? 暗闇でもがきながら真相に近づいていく。 視覚がないことで謎に包まれた数...
全盲の主人公・村上和久は、 DNA検査を拒む中国残留孤児の兄は偽者なのでは、と疑い、調査を始める。 しかし自身の記憶力にも不安な部分があり、 「嘘」の根源は兄なのか?自分なのか? はたまた謎の組織なのか? 暗闇でもがきながら真相に近づいていく。 視覚がないことで謎に包まれた数々の違和感・伏線が、 終盤に一気に回収され、世界が反転するのが痛快だ。 謎の俳句、密航船、孫の透析や誘拐などミステリー要素はやや過剰なほどモリモリだが、 「中国残留孤児」という歴史が それらの要素を現実にしっかり繫ぎ止め、 真相を一層効果的に映し出している。
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ちょっと無理がないか?? と思ったけれど主人公が盲人ということで世界が手さぐり。何もかもが疑心にまみれているところがリアルだった。 終わり方がご都合主義だったけれど中国残留日本人孤児と言う扱いづらいテーマを絡んで最後まで考えせられつつドキドキハラハラした。
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長く積んでいましたが積んでいた事を猛烈に後悔しました。主人公は中国引揚者である盲目の老人。中途盲目の彼の世界と苛立ちは手に取るように伝わり、確執を生んでしまった腎移植が必要な彼の孫と娘の気持ちも痛いほどわかります。更に彼の兄は中国残留孤児でありそれが抱える問題や違法入国の話も出て...
長く積んでいましたが積んでいた事を猛烈に後悔しました。主人公は中国引揚者である盲目の老人。中途盲目の彼の世界と苛立ちは手に取るように伝わり、確執を生んでしまった腎移植が必要な彼の孫と娘の気持ちも痛いほどわかります。更に彼の兄は中国残留孤児でありそれが抱える問題や違法入国の話も出てきます。これだけ多くの重いテーマをいい加減ではなく扱いながら、物語は帰国した兄は本物なのかというきちっとしたミステリで仕上がっていて、彼と一緒に手探りで進んだ物語のラスト、すべてが繋がった時はため息がでました。とても良かったです。
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中国残留孤児、視覚障碍者の主人公という設定を土台に据えたかなり骨太なストーリー。文章はシンプルかつ、伏線の張り方に回収、終盤の畳みかけ、どれを取っても高水準な作品である。トリックの肝の一つである、いつも側に寄り添っていた兄、というのはやや出来過ぎな気はしたが、兄の出自や、孫娘の顛...
中国残留孤児、視覚障碍者の主人公という設定を土台に据えたかなり骨太なストーリー。文章はシンプルかつ、伏線の張り方に回収、終盤の畳みかけ、どれを取っても高水準な作品である。トリックの肝の一つである、いつも側に寄り添っていた兄、というのはやや出来過ぎな気はしたが、兄の出自や、孫娘の顛末など、最後まで気を抜けない作品で、一気に読まされるだけの筆力は感じた。ただ、非常に残念な点が二つある。まず一つは致命的なタイトルセンスの無さで、古風でありつつ、「見える」でも「聴こえる」でもなく、判別つき難い嗅覚、しかも「匂う」ではなく「香る」としたのはいいとして、あまり想像を掻き立てられないタイトルだった。もう一つは、主人公の年齢設定だろう。孫娘のいる60歳の還暦を迎えた主人公の一人称にしてはかなり違和感があり、40歳ぐらいに感じられる。語る言葉の端々からは老齢による「老い」を全く感じず、視覚障碍者としてのバックボーンとの兼ね合いに引きずられるあまり、今一練り込み不足だったように感じた。共感を得難い頑固さや我儘は確かに老人のそれではあるが、その部分が単なる性格にしか感じなかったのも、主人公の年齢設定に違和感を覚えた次第である。この辺りのリアリティは少し致命的かつ、中国残留孤児という設定に合わせただけのように捉えてしまったのが残念だった。総じて、伏線回収、設定などは魅力的であったものの、作為性でややリアリティが損なわれた部分があったのが非常に惜しい。
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途中、中国残留の歴史のややこしさに中だるみさしたものの、終盤次々に伏線の回収がなされ、予想外の展開に最後の最後まで楽しめた。視覚障害者の主人公と言う設定が、感謝や思いやりまで見えなくなっていたとは、と心情面での変化も気持ちよかった。
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長い時間をかけて読了。 視覚障がいを持っている主人公が、兄への疑惑からその謎を解こうと奔走する 全盲の世界を細かく描写していて、日常の不自由が細部まで伝わってくる。また、見えないことによる本人の思い違いも盛り込まれていて、その要素が本作をより魅力的にしているように感じた。 終...
長い時間をかけて読了。 視覚障がいを持っている主人公が、兄への疑惑からその謎を解こうと奔走する 全盲の世界を細かく描写していて、日常の不自由が細部まで伝わってくる。また、見えないことによる本人の思い違いも盛り込まれていて、その要素が本作をより魅力的にしているように感じた。 終わり方も大団円で、読み終わりもスッキリしているので、小説を読んだという感触でした。 ただ、綺麗に纏まっている分、謎解きに伴うハラハラ、ドキドキは物足りなくて、のめり込むという感覚はなかったかな。 手に汗握る!!ような展開が個人的には欲しかった!!
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