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闇に香る嘘 の商品レビュー

3.8

160件のお客様レビュー

  1. 5つ

    29

  2. 4つ

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  3. 3つ

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2023/11/21

中国残留孤児の問題、満州に渡った日本人の過酷な生活。盲目の主人公は、残留孤児の兄が実は偽物ではないかと疑問を持ち真実を捜し始める。盲目であるがゆえの歯がゆさなどもどかしくてハラハラした。サスペンス感たっぷりで意外な真実が待ち受けていた。

Posted byブクログ

2023/09/13

私にとって、初の下村敦史さんの作品。 ミステリーであり、家族の話であり、視覚障碍者の話でもあり、中国残留孤児の話でもあり、大変勉強になった気がします。視覚障碍者の方や中国残留孤児の方、また帰国できても満洲へ行ってた方、大変なご苦労をされたんだなーと思いました。語り手の記憶があやふ...

私にとって、初の下村敦史さんの作品。 ミステリーであり、家族の話であり、視覚障碍者の話でもあり、中国残留孤児の話でもあり、大変勉強になった気がします。視覚障碍者の方や中国残留孤児の方、また帰国できても満洲へ行ってた方、大変なご苦労をされたんだなーと思いました。語り手の記憶があやふやなのはミステリーとしては、どうかしら?と思いましたが、私自身はいっくら何でもそんなに記憶が飛んだりしないのでは?と思いながら読みました。最後の方は、寝る時間になっても、ついつい読んでしまいました。良いお話でした。

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2023/09/11

横浜港でのコンテナ船から現れた不法移民とみられる人々。彼らは窒息死していた。そこから逃れた人影。 孫の生体腎臓移植に不適合だと言われた69歳にならんとする中途失明者の祖父・村上和久。一縷ののぞみをかけ実家の兄に頼みに行くと検査も拒否。そこから生まれる、兄は本当の兄なのか? 検査...

横浜港でのコンテナ船から現れた不法移民とみられる人々。彼らは窒息死していた。そこから逃れた人影。 孫の生体腎臓移植に不適合だと言われた69歳にならんとする中途失明者の祖父・村上和久。一縷ののぞみをかけ実家の兄に頼みに行くと検査も拒否。そこから生まれる、兄は本当の兄なのか? 検査で事実が顕わになるのを恐れているのでは? むくむく大きくなる疑惑。 和久は満州で生まれ命からがら母子二人で帰ってきた。途中兄とははぐれ、兄は残留孤児としてようやく帰ってきて岩手の実家で母と暮らしていたのだった。兄は財産めあてで日本に来た中国人なのではないか? 疑惑を明かそうといろいろ調べ始める和久の周りで不穏な空気と事件が起きる。 冒頭のコンテナ船といい、和久の周りで起きる不穏な空気といい、読んでいると目の見えないだけに疑惑が膨らんでしまう和久の焦燥感がじりじりと高まってゆくのを感じる。ページをめくる手が止まらない感じだ。人物描写が上滑気味で、ちょっといろいろな事件が都合よく収まる感じはあるが、満州開拓のひずみをからめて、疑心暗鬼の心理がよく描かれていると思う。最後のどんでん返しがう~む。 下村敦史氏は初めて読んだ。 第60回(2014年度)江戸川乱歩省受賞作。 2014.8.5第1刷 図書館

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2023/08/16

かつて満州へ渡り、辛い経験を経て帰国した後、残留孤児となった兄と再会を果たした主人公。 残留孤児のための訴訟に取り憑かれていた彼とは距離を取っていたが、孫娘の肝臓移植を頼むために久しぶりに会うことにするが、適合するかの検査すら拒否されてしまう。 それはもしかすると血縁関係も証明さ...

かつて満州へ渡り、辛い経験を経て帰国した後、残留孤児となった兄と再会を果たした主人公。 残留孤児のための訴訟に取り憑かれていた彼とは距離を取っていたが、孫娘の肝臓移植を頼むために久しぶりに会うことにするが、適合するかの検査すら拒否されてしまう。 それはもしかすると血縁関係も証明されることになるからではと疑念を持った主人公は、兄が別人の成りすましなのではないかと調査を開始する。 読者は文字から想像するしかないその読書体験を、主人公が盲目であるということから文字からも想像ができにくいという特殊な状況へおかれる。 対面していてもどんな顔立ちなのかわからない。場面が描かれてもそこに実際には誰がいて、何人いるのかすらわからない。 そこもうまく使ったミステリで面白くて一気読みでした。

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2023/08/13

27年間兄だと信じていた男は何者なのか?中国残留日本人で永住帰国した兄の顔を盲目になった主人公は確認していない… 初めてのタイプのミステリ。主人公が盲目の為に視覚からの情報が全く無い。真実がわかった時は思わず息を呑んだ。

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2023/06/17

緊迫感溢れる導入部から盲目の主人公にタッチするまでの展開が実にスリリングで身を乗り出して読んだ。 少々話が急展開過ぎるのでは、とも思ったがその心配は筆者の思い過ごしだった。 盲目の人が抱える恐怖や緊張感はひしひしと伝わってくるし、戦争によるフラッシュバックも実に強烈でまるで戦場に...

緊迫感溢れる導入部から盲目の主人公にタッチするまでの展開が実にスリリングで身を乗り出して読んだ。 少々話が急展開過ぎるのでは、とも思ったがその心配は筆者の思い過ごしだった。 盲目の人が抱える恐怖や緊張感はひしひしと伝わってくるし、戦争によるフラッシュバックも実に強烈でまるで戦場に放り込まれたかのような恐怖や緊張がある。 中国残留孤児や兄弟、母親、父と子といった切っても切れない家族の絆を描いた本作は間違いなく傑作と言っていい。第60回乱歩賞受賞も頷ける。

Posted byブクログ

2023/05/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

中国残留孤児を題材にする点は平行して読んでいる山崎豊子の「大地の子」と重なる部分があり、盲目の主人公を採用している点では現在、日曜劇場で放送されている「LASTMAN」とも重なる部分があり興味深く読み進めることができた。孫への腎移植を頑なに拒む兄の素性を怪しく思うことからスタートするが、それぞれの登場人物の深い思いやりを知ることとなる最終章で一気に伏線が回収される。しかしこの本の題名と内容がどうも一致しない感覚が強く、後半を読み進めながら何度も表紙を見返し、題名を確認した。

Posted byブクログ

2023/01/19

下村さんのデビュー作であり、苦節9年目に江戸川乱歩賞を受賞した作品。 気合いの入った作品だった。 満州開拓団、中国残留孤児という問題を脇役に語らせる事で分かりやすく、詳しくないわたしでも理解できた。 70歳にして兄が偽物では?と疑念を抱く主人公。 主人公が盲目という設定...

下村さんのデビュー作であり、苦節9年目に江戸川乱歩賞を受賞した作品。 気合いの入った作品だった。 満州開拓団、中国残留孤児という問題を脇役に語らせる事で分かりやすく、詳しくないわたしでも理解できた。 70歳にして兄が偽物では?と疑念を抱く主人公。 主人公が盲目という設定が、偽物かも?という兄への疑いを無理なく話が進む。 この本の見開きに下村氏の受賞のコメントが。 巻末に選考委員である作家らの選評が載っていた。 選評がとても面白かった_φ(・_・ 受賞作なので内容は絶賛されてますが… 応募時のタイトル「無縁の常闇に嘘は香る」 「とにかくタイトルを何とかしろ」と言う今野敏さんに笑ってしまった。 確かに今野作品のタイトルは短い笑 落選した作品の選評はみなさんボロクソ笑 「何の為に500枚も読まされたのか唖然とした」 これまた今野敏さんの選評笑 こんな選評を9年間もらいながら、クサる事なく挑んだ下村さんは凄い( ̄▽ ̄) 以下巻末に掲載されていた受賞経緯です♪ 第52回(2006年)から毎年江戸川乱歩賞に応募し続け、9度目で受賞に至った。この間、5度最終候補に残り、落選に落ち込む時もあったが、未熟さを見抜いた選考委員からの激励と受け取り、励むことが出来たという。[1]選考委員からは「相対評価ではなく、絶対評価でA」(有栖川有栖)、「自信をもって世に出せるものを送り出せた。ぜひ期待してほしい」(今野敏)と高評価だった[2]。応募時・受賞時のタイトルは「無縁の常闇に嘘は香る」だったが、「タイトルが意味不明」(石田衣良)、「作品のコンセプトを語り過ぎている」(桐野夏生)、「とにかくタイトルを何とかしてほしい」(今野敏)と総じて不評で、改題に至った。 タイトルは大事ですよね( ̄▽ ̄)笑

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2022/05/05

歴史的なことが濃く書かれているので、苦手な人には難しいが、深く分かろうとせずに読むとおもしろいと思って最後まで読めます

Posted byブクログ

2022/04/12

江戸川乱歩賞受賞作…もうほんと良かった。 中国残留孤児のことや満州からの引き上げのこと、臨場感があって読んでいて思わず息を呑んだ場面も多々あった。 40余歳で全盲になったことで自分自身と家族が戸惑い、その上数々の違和感を感じたら疑心暗鬼になるのも当然だと思う。 ところが結果、...

江戸川乱歩賞受賞作…もうほんと良かった。 中国残留孤児のことや満州からの引き上げのこと、臨場感があって読んでいて思わず息を呑んだ場面も多々あった。 40余歳で全盲になったことで自分自身と家族が戸惑い、その上数々の違和感を感じたら疑心暗鬼になるのも当然だと思う。 ところが結果、善意に溢れた登場人物たちに、意味で予想を裏切られた。良かった。

Posted byブクログ